勇気より目標設計?前回からの振り返り
番組の冒頭では、前回の「厚利少売の目標設計」の回が振り返られました。川原さんは、目標の設定そのものが思考の枠を外し、やるべきことを変えるきっかけになる、という話だったとまとめています。
すがけんさんは、前々回の「勇気」の回と並べて、多くの人の考え方は逆になっていると指摘します。勇気については慎重に考えるのに、目標設計はルーズになりがちだというのです。
みんな勇気は必要としてるけど、目標設計はなかったりするんですけど、これ実際は逆で、勇気なんかいらなくて、目標設計ちゃんとやった方がいいんですよ。
すがけんさんによれば、年収を上げたいのか、売上を何倍にしたいのかを決めると、社員を増やすのか単価を上げるのかといった具体的な打ち手が見えてきます。目標設計は人生やモチベーションに関わる話だからこそ、きちんと決めるべきだと話しています。
川原さんが印象に残ったと挙げたのは、「億」という目標を決めたとき、すがけんさん自身も「できると思えていない」と言っていた点です。すがけんさんは、目標は小さく見積もるほど現状に近づいてしまうと説明します。
50億を目指す
それでもすごいが、実際には縮んで10億程度になる
10億を目指す
さらに縮み、当時の会社のサイズに近い5億程度になる
結果
今の延長線上から抜け出せない
全然違う世界に行きたいんでしょ?だったら全然違う目標立てないと、なんないっすよ。
話は、月に行くほど大胆な計画が好きだというすがけんさんの気質にも及びました。すがけんさんは、話している相手が「どれくらいと言えばそこに行けるのか」を常に考えていると明かし、みんな忙しくなって友達がいなくなると笑いを誘っています。
副業で本業と同じことをしてはいけない理由
今回の本題は「副業の厚利少売」です。川原さんは、第9回で会社員にとっての厚利少売を扱ったことに触れたうえで、給料を上げる選択肢の一つとしての副業について、どんな副業が厚利少売なのかをすがけんさんに尋ねました。
すがけんさんの答えは明快で、副業は本業と同じことは一切やらないというものです。
だって本業と同じことやるんだったら、本業で頑張った方が出世して給料上がる可能性があるじゃないですか。
すがけんさんが考える副業は、普段なら行けない世界に行けるような仕事です。具体的には、時給が大きく違う仕事に挑戦すること、あるいは全く違う職種をやってみることの2つが挙げられました。
時給の例では、時給1万円の人が10万円になることも普通にある、とすがけんさんは話しています。職種の例では、マーケティングの仕事をしている人が、上がり幅が見込めないと感じたら、エンジニアやデザインの仕事をしてみてもよいといいます。
全然違う自分の活路を見出せそうな仕事をやってみるっていうのも副業の醍醐味だと思います。
高い単価が怖いときは?「怒られるだけ」の真意
川原さんは、本業と同じスキルで単価を倍にすることに「そんなことをしていいのか」という恐れを抱く会社員が多いと感じていました。その不安をどう解消すればいいのかと問うと、すがけんさんは即答します。
大丈夫、怒られるだけだから。
副業なんてどうせ単発の仕事なんだから、めっちゃ怒られるだけですよ。
ただし、すがけんさんは逃げてよいと言っているわけではありません。相手が求めるレベルに向けて努力すればよく、怒られたら責任を取って埋め合わせるくらいの余力を残して挑むのが副業だ、と説明しています。
すがけんさんは、多くの人がイメージする副業は小銭稼ぎなので、リスクを嫌い「楽して稼ぎたい」になってしまうと指摘します。そうした副業はあまりやらない方がいいという考えです。
本業でそうした挑戦をすればクビになるかもしれず、リスクを負うのは会社側です。一方で個人の副業なら、お金が払われない程度のリスクは自分で負えるため、補填できる範囲で頑張ってみればよい、とすがけんさんは話しています。
楽して稼ぐために割のいい仕事に飛びつく。時給1万円が1万1000円になって終わり、成長しない
本業でできないことにワンショットで挑む。怒られたら埋め合わせる余力を残し、成長して本業にも生きる
マーケターがデザインに挑むと何が起きる?
すがけんさんは、マーケターが上を目指してデザインに挑戦する例を挙げました。デザイナーとしては初歩から始まっても、マーケティングセンスがあるため、ただのデザイナーとは違う存在として誰かに必要とされるはずだといいます。
すがけんさんにとって副業は、本業にブーストをかけるためのものです。時給10倍の10万円で仕事が来るようになれば、いつか本業を辞められ、副業が本業になる瞬間が訪れると話しています。
そうすると副業が本業になる瞬間が訪れるので、そのために頑張るっていうのが僕はいい副業だと思います。
川原さんは、自分らしく生きることをテーマに発信する中で、会社員の最初のスモールステップが副業であることが多いと感じてきました。ただ多くの人は、同じ単価か少し高い仕事を目指しがちだといいます。
川原さんは、厚利少売の考え方では単価10倍ほどの挑戦をするからこそ求められる変化量や価値が変わり、それを提供できる自分になる過程で成長がある、と受け止めています。
すがけんさんは、今副業を考える人の動機は少し不純で、大人の理屈で安牌を取るなら「そもそもやらなくてよかった副業」になると続けます。安く売るだけの副業は、駆け捨ての切り売りで何も得していないという指摘です。
専門性の越境はなぜ強いのか
川原さんは、自分のスキルを別の領域に持ち込むと、より高い価値になることが多いと話を振りました。すがけんさんはこれを「掛け算」と表現します。
みんな専門を目指すから、マーケができるデザイナーとか、デザインができるマーケターとか、トーク力が高いデザイナーとかいないんですよ。
川原さんも、コミュニケーション能力でさえ、越境するとめちゃくちゃ強い能力になると同意しています。ここから、すがけんさん自身の会社員時代のエピソードが語られます。
赤字案件を黒字にした「通訳者」のエピソード
すがけんさんは副業とは別の話として、エンジニアのリーダーとして働いていた会社での経験を紹介しました。入社した当時、その開発会社の案件はすべて赤字の危うい状態だったといいます。
原因は、お客さん、営業、開発の責任者の3者がまったく違う話をしていたことでした。川原さんはこれを「不毛なトライアングル」と表現しています。
営業は開発を理解しないまま客の要望を全部受けて請求を増やし、作るものがおかしくなる。ミスが増えて客は怒り、開発は会話に入れず困る
客の意図を正しく開発に伝え、作る量が減って品質が上がる。客が満足し、営業は値上げも受け入れてもらえる
すがけんさんが入社してしたのは、3者の真ん中に入ってひたすら通訳することでした。順番が逆だった、つまりいっぱい作ればお金がもらえるという薄利多売的な発想が問題だった、と振り返っています。
開発とお客さんがいいものを作れれば、お客さん満足するからお金をいくらでも払ってくれる。だから営業は満足する。順番が逆だったんですよ。
その結果、4ヶ月ほどで5つほどのプロジェクトがすべて黒字になったといいます。すがけんさんは「単なるコミュニケーション能力だけ」と話しますが、川原さんは開発への理解やスキルがあってこそのコミュニケーションだと補足しています。
営業から嫌がられなかったのかという川原さんの問いに、すがけんさんは、営業もお客さんに怒られまくっていて「全員助けて」の状態だったと答えています。こうして「通訳者」が新たな仕事になっていきました。
すがけんさんによれば、今ならプロダクトマネージャーやプロジェクトマネージャーのような「開発しないエンジニア」がいますが、当時は稀で、余計な人員とみなされる仕事だったといいます。
さほど働かずに全部のプロジェクトがうまくいったんで、そういう価値の発揮の仕方もあるなと思いました。
当時のすがけんさんは仕事が暇になり、定時で帰って銀座でカフェ巡りをしていたそうです。川原さんは、やっていることだけ切り取るとダメ社員っぽいが、大きな変化量を出しているから感謝されていると笑います。全部うまくいって問題がなくなり、すがけんさんは会社をすぐ辞めたといいます。
お悩み相談:リフォーム会社のブランド転換
後半はお悩み相談のコーナーです。副業で中小企業の事業支援をしているリスナーから、支援先のリフォーム会社のブランド転換について相談が寄せられました。
現在、副業で中小企業の事業支援をしています。その企業では小規模のリフォーム事業が売上の大半で、事業自体は安定しているものの、さらなる企業成長を求めて複合工事のリノベーション事業が得意な会社へのブランド転換を目指しております。その場合、新たな会社として打ち出していくのがいいのか、リノベ事業をブランド化させるためにネーミングやロゴ等を打ち出していくのがいいのかなど、今までの延長線とは違うという差別化は有益になりますでしょうか?私としては地域では信頼のある会社ですので、新会社まではさせなくとも、新たなプロジェクトとしてロゴなどを作り、ブランド戦略を立てていきたいと考えています。
すがけんさんはまず、こうした相談を自分にタダでできるのは羨ましいと笑ったうえで、相談内容を整理しました。単価が高く成長できる複合工事のリノベーションへイメージを変えたい、そのためにブランドが必要なのではないか、という相談だと受け止めています。
会社を分けるべきか、ロゴを変えるべきか?
すがけんさんの最初の答えは、イメージだけの問題なら、ロゴを変えるのも会社を分けるのも「はっきり言ってどっちでもいい」というものでした。
一方で、社員のやる気や人員の整理といった目的があるなら、ブランドとは関係なく会社を分ける選択もありうるといいます。会社を分けるとお金も人も分ける必要があり、コストがかかるため、それでもする理由があるのかを支援者がしっかり伝えることが信頼につながる、とすがけんさんは話しています。
すがけんさんが肝心だと見るのは、ブランドではなく実績です。ブランドは大きくなったときに信頼され、多くの問い合わせを得るためのものであり、今回の段階で必要なのはお客さんに「そんなことができるんだ」と伝わることだといいます。
(発注してくれるお客さんには)「ああ、そんなことができるんだ」が伝わればいいだけなんで、それってブランドとかイメージの話じゃなくて、実績の話だと思うんですよ。
ブランドを作って待つより、会いに行く
すがけんさんは、ブランドを作ってただ待つやり方はあまり良くないと続けます。大きな会社ではないのだから、複合工事のリノベーションを発注してくれそうな相手はリストで決まっているはずで、そこに会いに行って伝えるのが一番効果的だという考えです。
川原さんは、すがけんさんが単価を100万円から10億円にしたときにも、まず会いに行ったことを引き合いに出しました。相手が求めるものを聞き、提案が通らなければ宿題を持ち帰り、できる会社とつないでまた提案に行く、という動きと同じだと確認しています。
すがけんさんは、BtoBとBtoCでは知ってもらう手法がまったく違うと説明します。
全員に会いに行くのは物理的に不可能なので、テレビCMや雑誌、SNSなどを駆使して知ってもらう必要がある
相手は所詮数百〜数千人なので会いに行ける。お金をかけずに済み、生の声も聞けるので早い
すがけんさんは、自分が広告代理店の人間だったら、地方のエリアで1000人に知ってもらうにはテレビも積まないと、とローカルのスポットCMを売ってしまうだろうと話します。売り物がない立場だからこそ、こうした答えができるのだといいます。
そのうえで、相談相手には売りたいものがあり、それに沿った提案が来ることが多いので気をつけた方がいい、と注意を促しました。川原さんはリスナーに向けて、相談には「この数字までにしたい」という具体的な数字を書いてもらえると、より具体的な回答になると呼びかけています。
厚利少売をみんなで実践するために
最後のお知らせでは、すがけんさんが書籍『厚利少売 薄利多売から抜け出す思考·行動様式』の発売に触れました。発売直後は在庫切れが起き、Xで書店に行ったという投稿を多く見たこと、在庫の問い合わせが追加の発注につながったことへの感謝を語っています。
すがけんさんによれば、この本は世界に比べて日本の値段が半分ほどになっている「安すぎる状態」を変えたくて書いたものです。だからこそ、奪い合いではなく、周りの人と一緒に厚利少売になっていくことが大事だと話しています。
みんなが小売り商売になれば、自分が失敗しても、お友達が小売り商売になったら、お友達は倍の収入になってるから、自分を助けてくれる存在になりますよね。
すがけんさんは、お金持ちの周りにお金持ちしかいないのはまさにそういうことで、成功すれば周りを引き上げられると続けます。書籍やラジオを紹介し、実践した体験を共有してほしいと呼びかけて、番組は締めくくられました。
まとめ
今回の厚利少売ラジオでは、副業を小銭稼ぎではなく、本業ではできない挑戦の場として捉える考え方が語られました。後半のお悩み相談では、ブランドより実績づくりと、発注してくれそうな相手に直接会いに行くことの大切さが示されています。
- 副業は本業と同じことをせず、時給を大きく上げる仕事や違う職種に挑戦する場にする
- 怒られたら埋め合わせる余力を残して挑めば、成長が本業にも生き、副業が本業になる可能性もある
- マーケができるデザイナーのように、専門性を越境させると価値が掛け算になる
- 新事業の認知にはブランドより実績が先で、BtoBなら発注しそうな相手に直接会いに行くのが早い
- 相談相手に売りたいものがある場合、その提案には気をつける




