副業にも潜む「薄利多売脳」とは?
厚利少売ラジオの前回のテーマは、副業と厚利少売でした。本業と同じことはやらない、やるなら本業の10倍の時給でやる、という一般的な副業論とはかなり違う内容です。
すがけんさんは前回を振り返り、副業にも薄利多売脳が潜んでいると驚いたといいます。同じものを同じ値段で、副業してまでたくさん売ろうとしてしまうからです。
結局副業してまでいっぱい売りたいってなっていて、売るものは同じで値段も一緒だから薄利なわけですよ。
すがけんさんは、薄利多売に流れてしまう原因を日本人の習慣だと見ています。書籍『厚利少売』の1ページ目には「本当はもっと高く売れる」と書いてあるのに、多くの人は「本当はもっとたくさん売れる」で考えてしまうといいます。
最後の最後のっていう話じゃなくて、最初の最初の部分がもう違う登山ルートに行っちゃってんすよ。
川原さんは、すがけんさんに質問すると「そこじゃなくて」と入り口から修正される理由がここにあると納得します。番組や本を繰り返し聞くことで、その入り口の選び方が身に染みつくことが期待されています。
なぜ同じ客に2倍より、別の客に10倍のほうが簡単なのか
今回のテーマは「厚利少売の提案」です。すがけんさんが厚利少売人になったプロセスを語った第11回・12回への反響から、リスナーの質問が届きました。
提案先は新規顧客か既存顧客のどちらでしたか?既存顧客であればどのように話を持ちかけたのでしょうか?
すがけんさんは、月100万円の取引を10億円にしたときは相手を変えたと答えます。月に100万円しか買わない相手の財布には、10億円がそもそも無いからです。
なぜか今のお客さん基準で物事を考えていて、私基準では考えてないんですよね。
すがけんさんは、転校すれば新しくデビューできるのと同じで、相手を変えれば自分もまたデビューできると話します。2倍にすると同じ客から2倍取る難しいゲームが始まりますが、10倍なら相手を変えるしかなくなります。
川原さんは、同じ顧客に2倍で売るほうが、フィットする別の人に10倍で売るより難しいという点を、この話の鍵だと受け止めます。
関係性も約束も変わらない中で値上げを迫ることになり、非常に難しい
商品を10倍の価値で感じてくれる人を探すところから始められる
「来週から倍ね」ってどうやってやるんですか?それちょっと僕も無理かもしれない。
川原さんは、人は今見えている範囲でしか考えられず、お客さん像もどうしても今の顧客になると話します。アメリカに移って「地球って広い」と気づいたことが、自分の視野や視座が劇的に変わった瞬間だったといいます。
ところ変われば全く違う世界観や支払い額、支払い能力、生活水準で生きてる方たちがいるんだっていうのに直接出会えた
すがけんさんは、川原さんの体験を「場所を変えて相手を変えた」ことだと捉えます。本当に変わりたいなら、引っ越すなど今のしがらみを飛び越えることさえやってもいいと話します。
新しい相手への一歩は怖くなかったのか
川原さんは、これまでと全く違うレイヤーの人に会うことを「ジャンプ」と表現し、すがけんさんがそのときどう意識したかを尋ねます。
すがけんさんにとって、100万円を10億円にする過程は飛び込み営業のようなものでした。100万円の予算の人、1000万円の人へと、飛び込む先が変わっただけだったといいます。
行き先が渋谷からなんか銀座に変わったとか、そんな違いでしかなかったですけどね。
すがけんさんは、真面目に数えれば違いはたくさんあると認めます。相手の年齢も、エレベーターの階数も上がり、会議室は社長室になっていきます。
めちゃくちゃありますけど、そんなん数えて探してったら何が起きます?緊張するだけですよね。
緊張の正体は「商品への自信のなさ」
すがけんさんは、緊張は売りたい商品に自信がないことの表れだと説明します。自分の商品が相手の役に立たないかもしれない、自分が売りたいだけかもしれない、という瞬間に人は緊張するといいます。
そのため、すがけんさんは緊張そのものを消そうとするのではなく、原因を直すことを勧めます。相手が喜んで買ってくれる商品にするまで改善すれば、結局は売れるものになるという考えです。
緊張する
なぜ緊張するのかを考える
原因に気づく
商品が相手の役に立たない、相手のためを思って話していない
直す
安心できるまで商品や自分の動機を改善する
売れる
相手も喜んで買ってくれるようになる
だから緊張はいいサインだと思いますよ。あ、これ自信がないんだな、直そう、緊張をやめようじゃなくて、自信が持てる商品にしよう。で終わりですよね。
川原さんは、緊張の正体は自分に向いているエネルギーだとまとめます。すがけんさんも、自信のなさや「お金が欲しい」というやましさの表れだと応じます。
緊張は相手のためにならない。だからスーツを着ない
すがけんさんは、緊張される側の立場からも考えます。相手の役に立ちたくて無理やり空けた1時間が、緊張した会話のまま何も起きずに終わると、ものすごい喪失感があるといいます。
わかります。なんだろう、申し訳なさと悔しさと。
川原さんはオーディションでも同じことを感じると話します。いつものらしさで臨めばベストマッチだったかもしれないのに、緊張でポテンシャルが出ず縁がなくなってしまうからです。
緊張は相手のために1ミリもならないどころか、毒にさえなるので、緊張は相手のためにやめようっていう。
すがけんさんがスーツを着ないのも、スーツを着ると自分が緊張してしまうからです。偉い人に遠回しに服装を指摘されたときも、緊張するとお互い困るから普段通りでやっている、と答えるといいます。
「ああ、そうなんすよ。僕スーツとか着て真面目な喋り方しちゃうと緊張して。なんかそれだとね、困りますもんね。僕も困るんで」って言って。
川原さんは、自分らしさを良しとしてくれる相手とだけ縁が残るのはむしろ良いことだと受け止めます。すがけんさんは「お金払ってんだからペコペコしろよ」という人とは仕事をしたくないと言い切ります。
お金を払う側が人を助けてるわけじゃなくて、お金をもらう側が人を助けてるはずなんですよね、大原則。
すがけんさんは、助けたくないと感じた相手との会議では、60分をどうスマートに10分で終えるかを考えるそうです。川原さんはそれを「失敗した婚活パーティー」にたとえ、すがけんさんはお金のために自分を曲げないことの大切さを強調します。
いい提案をする人は「提案」をしていない?
川原さんは、新しい相手に提案する前に筋の良し悪しを試せれば緊張も和らぐと考え、厚利少売の提案をお便りで2人に送ってもらう企画を持ちかけます。すがけんさんもぜひ聞きたいと乗り気です。
そのうえで、すがけんさんは「いい提案ができてる人って提案してない」と切り出します。多くの人が思い描く提案は、ひざまずいて箱を開けるプロポーズのように、イエスかノーを迫る形だといいます。
仲良くてよく遊びに行ってたら、気づいたら同棲してたみたいな提案なんですよ、僕のスタイルって。
「今から提案します」と切り出し、相手にイエスかノーを迫る
相手の課題を一緒に話すうちに、気づいたら仕事が始まっている
最近のすがけんさんは、「ちょっと相談あるんで聞いてもらえますか?」と会いに行くだけだそうです。相手はすがけんさんの仕事内容や価格感をすでに知っているため、課題の話をするうちに「やってくれるかもしれないんですか?」となり、契約まで進むといいます。
困りごとから始まらない商売に感じる違和感
川原さんは、すがけんさんの相談型の進め方を「上級者」だと評します。すがけんさんは、一番重要なのは相手が困っていることだと答えます。
だって助けなきゃいけないから、こっちは。困ってない人を助けることは無理なんで。
すがけんさんは、今は困っている人より売る人のほうが増え、「買って買って」というノイズばかりが出ていると指摘します。本来の商売は「困りごと相談乗るよ」から始まるはずだという考えです。
川原さんは、何ができる人なのかを適切に表現しておくことが大事なのだと受け取ります。すがけんさんは、自分に何ができるかを手前で知ってもらうことが実はもう提案になっていると話します。
川原さんは「提案の内容で悩んでいる時点でスタンスが違う」とまとめます。すがけんさんも、困っていないかもしれない人に提案したいと言っていること自体が大間違いだと応じます。
英語講師から厚利少売へ。肩書きが単価を決める理由
後半は、時給30万円で経営アドバイザーをしているすがけんさんにリスナーの悩みをぶつけるお悩み相談のコーナーです。
現在英語講師をしています。ちなみに現在は薄利多売モデルです。講師のまま厚利少売モデルに変えていこうと思ったのですが、講師業よりも本教材作りが好きで、メイン事業に据えていこうと思っています。具体的にはまだ著者でない人も含めて、英語学習法のスキルを持っている方の本、教材を伴走して作るイメージです。価値を相手の変化量と考えると、どういう打ち出し方、言語化が最適かを迷っており、ヒントをいただけますと幸いです。なお、現在は英語教材プロデューサーと名乗っております。
すがけんさんはまず英語講師の時給感を問いかけます。川原さんによると、一般英会話の時給相場は1500円から3500円程度だそうです。
英語講師って言った時点で相場が決まってるってことなんですよ。
すがけんさんは、決まった相場の中で高く稼ぐには上位1%に入るような努力が必要だと指摘します。川原さんも、シリコンバレーでGoogle社員に英語を教える先生は英語講師界のトップクラスだろうと例を挙げます。
すがけんさん自身は、コンサルや顧問と名乗らず「アドバイザー」という肩書きを探してきました。3年、5年ほどで肩書きを意図的に変え、そのときほぼ誰も使っていない名前から始めるのは、相場がないからだといいます。
僕ら軽なんだから、もうそこで勝負しちゃダメなんですよ。ってことは、もうレースの内容を変えていくしかないんで。
逆に言えば、薄利多売で時給換算が安い人も、全く違うレンジの肩書きに移るだけで、平均点を取れば違う収入を得られる可能性があります。すがけんさんは、2倍、3倍、場合によっては10倍違うジャンルに挑戦することを勧めます。
英語講師や顧問など相場が決まっており、高単価には上位層に入る努力が必要
相場がないため、自分が強いレースを自分で設定できる
教える相手に支払い能力はあるか
すがけんさんは、ワタナベさんの「著者や講師の代わりに本や教材を作る」構想には怪しさを感じるといいます。顧客になる英語講師は、そもそも英語講師だから稼げていない可能性があるからです。
教材、本を作ってあげることで、その講師の人を稼げるようにできるならば、逆に言うと、今英語講師をしている渡辺さん自身が稼げるようになるはずという、なんか入れ子の構造になっちゃってるんで。
そこですがけんさんは、まず自分という講師に教材作りを試し、成功させて証拠にする道を提案します。それでも他の講師向けにやりたいなら、相手の年収が何倍になるかで価格を決めればよいといいます。
ただし、目標が3000万円となると、多くの講師から少しずつ利益を積み重ねる、結局は薄利多売のモデルになりかねないとすがけんさんは注意します。川原さんは、支払い能力のある顧客にどの変化を提供するかがまだ詰められそうだとまとめます。
「好き」を優先すると何が起きるのか
すがけんさんがもう1つ指摘するのは、「講師業より本教材作りが好き」という動機です。自分が好きかどうかは、お金を払う相手にはおよそ関係がないといいます。
要は困ってる人を助けてお金をもらうのが商売だとすると、自分が好きで始めるものはおよそ趣味になってっちゃうんで、そこはちょっと気をつけた方がいいかなと思います。
厚利少売を優先するなら、好きよりも「今まで喜んでくれた人は誰か」「英語のジャンルで一番喜ばれている業種は何か」から考えるのがよい、というのがすがけんさんの助言です。
一方で、好きを優先する生き方も否定はしません。田舎に住んで生活費がかからず、お金を必要としていないなら、安くいろいろな人に提供する道もあるといいます。
僕らが今日したのは厚利少売になるためのアドバイスだっていう風にお考えください。
番組の最後には、お便りやコメントへの感謝、2024年11月24日の出版記念イベントの案内が伝えられました。川原さんは「厚利少売」は厚い利益で少なく売るという意味だと改めて説明しています。
まとめ
今回の厚利少売ラジオでは、提案の出発点を「今の顧客」ではなく「10倍の価値を感じてくれる相手」に置き直し、提案そのものも相談から始めるという考え方が語られました。英語講師の相談では、肩書きの相場、顧客の支払い能力、好きと稼ぐことの優先順位が論点になりました。
- 今の顧客に2倍で売るより、相手を変えて10倍で売るほうが現実的
- 緊張は商品や動機に自信がないサインで、直すべきは商品のほう
- いい提案はプロポーズ型ではなく、相手の困りごとに乗る相談型
- 肩書きを名乗った時点で相場が決まるため、相場のない名前を選ぶ
- 厚利少売を目指すなら、好きよりも支払い能力のある顧客と変化量で考える

