なぜ相談者は「自分」ばかり語り、顧客の解像度が低いのか
この回のテーマは「自分の幸せを相談しているうちは一生稼げない」というものです。
菅原さんのもとには有料で1on1相談に来る人が多くいます。ですが、その相談のほとんどが「自分の課題」か「自分がどうなりたいか」に偏っていると言います。
課題を持ってきてくれること自体は嬉しい。ただ、その課題はだいたい間違っている、と菅原さんは指摘します。
なんで間違ってるかっていうと、どうなりたいかが決まってないからで。そうなりたい時にこの課題って本当に必要ですか?って聞くと、大体「これ関係なかったですね」ってなる。
問題は、その「どうなりたい」の中身です。多くの人が語るのは「私がこうなりたい」であって、お客さんにどう変わってほしいかがすっぽり抜けているといいます。
お客さんにこう変わってほしいっていう人はまず誰もいない。だからお客さんの解像度がめちゃくちゃ低いんですよ。
お客さんが喜んでくれないとお金を払ってもらえない。だからこそ、自分視点からお客さん視点へ切り替えないと難しい、というのがこの回の出発点です。
ただ、こうした思考は普通に生きているだけでは身につきにくいものです。前回の放送を聞いた人でも、相談の中身はやはり変わらないと菅原さんは話します。
考えたこともないと思うし、考えようと思ったこともないが正しいと思うんですよね。
「ありがとう」も「お金」も、あげないともらえない
菅原さんは今後、自分のノウハウを本やオンラインのプロダクトとして出し続けることに軸足を移すと話します。
その背景には、20代マーケター向けのイベントで見た印象的な光景があります。
「ありがとうと言ってもらいたい人」と聞くと、ほぼ全員が手を挙げました。一方で「今日ありがとうと言った人」と聞くと、手を挙げたのは1〜2割だったといいます。
ありがとうって言わない限り、ありがとうとは言ってもらえない。みんな最初にもらえると思ってるんですよ。僕は全く逆で、あげないともらえないと思ってる。
菅原さんにとって、この「ありがとう」の順番はそのままお金の順番でもあります。
お金欲しいなと思うのは、ありがとう欲しいって言ってるのと全く一緒。何をあげるのか、誰にあげるのかさえ決めてないので、うまくいきませんよねって話だと思うんですよ。
原価の積み上げではなく「相手のコスパ」から値決めする
菅原さんの値決めの考え方は、原価の積み上げとは根本的に違います。判断基準は一貫して「相手がどれだけ変化するか」「相手のコスパが合うか」だといいます。
その差は自身の料金体系にはっきり表れています。同じ「1時間のアドバイス」でも、相手によって金額が大きく変わるのです。
週1時間・月4回・12ヶ月で最低1440万円。年間利益が1億円単位で増えるため相手にとっては安い
月1回・6ヶ月で60万円。個人が払える範囲でコスパが合うよう設定している
やっていること自体は「1時間ミーティングするだけ」で変わりません。むしろ個人向けは月1回しか会えないぶん、大変さは増すといいます。
二十分の一手抜いてるわけでもないもんね。逆にだよ。
AI講座も同じ発想です。1対1で100万円を払ってもらうより、10〜30人が10万円で参加できるほうが受け手のコスパが合う。だからその形にしていると話します。
相手を困らせてはいけない。困っている人を助けてお金をもらう活動なのに、自分が課題の一つになってしまっては本末転倒だ、というのがこの章の核です。
もし今、何もない自分が起業するなら何をするか
話題は「今のスガケン少年が2026年に起業するなら何をするか」に移ります。菅原さんの答えは「英語とAI」、つまりインバウンドでした。
その前提として、日米の若者の意識差が語られます。アメリカの大学ではAI企業の卒業講演がブーイングを浴びるほど、若手の失業が現実味を帯びているといいます。
何千万も金払って大学行って卒業するのに、お前らのせいで職が失われる、なんだよみたいな。ガチブーイング回になっちゃってて。
一方で日本の学生は「AIで宿題がはかどるから学校が良くなった気がする」と話すなど、危機感の薄さが対照的だと菅原さんは言います。
菅原さんが狙うのは「経験値を得やすく、年上の人がもう諦めてやらない領域」です。日本は世界でも勉強しない国とされ、若い人のほうがAIに強い可能性がある。そこにチャンスがあると見ています。
重要なのは、英語やAIそのものではなく、それをどこに使えば最も変化量を起こせるかを見極める目だ、と川原さんは指摘します。
インバウンドが最初に思いついて、そこって英語とAIだからいいかってなった感じですよね。
菅原さんはこれを将棋にたとえます。次の一手ではなく、全体のバランスと最終形態を見てから、そこへ近づく手を打ち続ける、という考え方です。
英語だけでは負ける ── データと経験で優位を積む
英語が話せるだけでは、同じく話せる競合が来た時点で優位は消えてしまいます。だからAIを組み合わせ、時間とともにデータが蓄積される構造が必要だと菅原さんは言います。
たとえば唐揚げ屋を出しても、半年後には隣に似た店ができるかもしれません。値段勝負になれば薄利多売に近づきます。
そこで効いてくるのがデータです。Googleマップのレビューやインバウンドのニーズはすぐに真似できない蓄積であり、後から来た店が追いつきにくい優位になると説明します。
後から入ってきて、英語は喋れてアプリも同じように作れても、データがないから勝てませんみたいになる。
「美味しい」はもう誰でも作れる ── コモディティを超える価値
川原さんは、ペルーのレストラン「セントラル」の話を持ち出します。3時間で15万円ほどのコースで、アンデスやアマゾンの原種を標高でたどるという内容です。
その味は、一般的な「美味しい」の軸とは違うといいます。
美味しいかの軸でいうと、もはや美味しいではないんだよね。
菅原さんは、これは必然だと受け止めます。味の素や冷蔵庫といった先人のイノベーションによって、「美味しい」はもうコモディティになってしまったからです。
本当にお金を出す価値って美味しいなんだっけ?誰でも作れる美味しいなんだっけ?ってなってきた時に出てきたお店だと思いますよ。
ただし、この方向は誰にでも真似できるものではありません。セントラルを真似た店を作ってもセントラルには勝てず、「美味しくないもの」を作るのは極めて難しいと菅原さんは言います。
多くの作り手は今も「美味しさ」を極め、その軸で上から何番目かを競っています。それでは薄利多売に近づいてしまう、という構図がここにあります。
作ったものを後から正当化するのではなく、まだ評価されていない「なかったもの」を見つけてから始める。それがコモディティを抜ける入り口だと語られます。
客は「入れ替え戦」をしている ── 顧客視点の設計
では、どう考えればよいのか。菅原さんは「お客さんが求めたものを作る」のではなく、「こんなお客さんが繋がっている」という起点から考えると言います。
たとえばご飯好きな100人がいて、それぞれが月に通う10店舗があるとします。その中で、次に30人が行きたくなる店は何か、を考えるのが一つのやり方です。
一番下のあの店はもう行かなくなってもいいから、次にこの店を二位か三位に入ってもらうにはどうしたらいいだろうって考えないと。
支出できる額も使える時間も無限ではありません。だから客は新しい店を「追加」するのではなく、最下位を蹴り落とす入れ替え戦をしている、というのがこの視点です。
気合や「頑張っています」だけで、このお気に入りの枠に割り込むことはできません。だからこそ具体的な提案が必要になります。
さらに菅原さんは、客を一律に見ないことの重要性を指摘します。リピートする客と、トレンドで一度だけ来る客は別物だからです。
新店舗ボーナスみたいなのは当然ある。でもそこで見方を間違えると、一気に来なくなる。こっちは一回来たい人、こっちは通う店を探してる人ってなるので。
京都の老舗が続くのは流行のためではなく、何十年も通う客が席を手放さないからだと菅原さんは言います。次の予約を入れて帰るのが当たり前、という関係です。
新規獲得は「掛け捨ての保険」 ── リピートが商売を強くする
リピートが弱いビジネスは、新規顧客獲得コストにずっと苦しめられます。菅原さんはこれを掛け捨ての保険にたとえます。
ずっと捨てては捨てては新規顧客を獲得するようなビジネスをやるのか。結局そこの広告費って無駄なんで。
リピーターがいれば、その広告費分をお客さんが喜ぶことに回せます。だからこそ、そちらを優先すべきだという話です。
菅原さんはデジタル広告の実情も明かします。3月は広告費の獲得コストが2月に比べておよそ2倍に跳ね上がるといいます。
予算消化
大企業が余った広告予算を3月に一気に投下する
インプレッションは変わらない
見る人の数は3月だから2倍になるわけではない
オークションが過熱
限られた表示枠に金が流れ込み、入札価格が高騰する
獲得コスト高騰
1人を獲得するコストが2倍・3倍に跳ね上がる
菅原さんは広告会社と年間契約していたため、あえて2月に予算を使い切っていたといいます。ただし、これは内情を知る人だからできる判断です。
問題の本質は、他人の行動で自分のビジネスが左右されてしまう構造そのものにあります。
アラブの石油王がめちゃくちゃ金突っ込んだら、めちゃくちゃ効果悪くなったみたいな。しかも平気で起きるんで。
だからこそ、そうした影響を受けにくいビジネスを作ることが大切だと菅原さんは言います。その鍵がリピートであり、卒業がないビジネスをどう作るかという設計思想です。
リピートしないビジネスは新規獲得の構造から逃れられない。だったらもう卒業がないビジネスをどう作るかだと思います。
まとめ
この回は、相談で語られがちな「自分の幸せ」を、いかに「お客さんの変化」へ置き換えるかという話でした。値決めも、扱う価値も、集客の設計も、すべて顧客視点から逆算するという一貫した原則が語られています。
- 相談で「自分がどうなりたいか」ばかり語る人は顧客の解像度が低く、稼ぎにくい
- 「ありがとう」もお金も、先にあげないと返ってこない。値決めは原価ではなく相手のコスパから逆算する
- 「美味しい」はコモディティ化した。作るのではなく、まだ評価されていない「なかったもの」を見つける
- 客は限られた枠で「入れ替え戦」をしており、新規追加ではなく最下位との交代を狙う必要がある
- 新規獲得は掛け捨ての保険に近い。リピートと「卒業がないビジネス」の設計が商売を強くする

