なぜノープランのパリ行きが最高の10日間になったのか
この回は、余談だけを話すという趣旨のゆるやかな雑談回です。川原卓巳さんが、最近よく海外に行っている菅原健一さんの近況を聞くところから始まります。
菅原さんは6月8日から19日ごろまでパリに滞在していました。きっかけは一昨年、6月のパリがとても良かったという記憶でした。
6月のパリめちゃくちゃ良くて。逆にヨーロッパって冬はもう太陽がほとんど出なくなっちゃうんで。
6月のヨーロッパって夜10時ぐらいまで明るいんですよ、本当に。だんだん夕方みたいな感じでもなく、10時ぐらいまでピカピカに明るくて、バスッと暗くなるんですよね。
ただ、菅原さんは食事などの予定が入るとすぐに日程が埋まってしまうため、あえて2月か3月ごろに航空券だけを先に押さえたと話します。
何あるかわかんないけど、とりあえず行こうと。しかも一人だし。行ってみたらノープランだったんですけど、めちゃくちゃ良くて。
ホテルも前日に取る身軽さで臨んだ結果、偶然の出会いが次々と予定を埋めていきました。
偶然が連れてきたサグラダ・ファミリアの「国賓ビュー」
8日に到着し、9日の朝にはたまたまパリにいた先輩と朝食をとります。その先輩から、ガウディ没後の節目でサグラダ・ファミリアのセレモニーがあると聞きます。
菅原さんはその場で行こうと決め、バルセロナへ向かいました。すると今度は、川原さんのつながりで知り合ったGenさんから連絡が入ります。
1年前からエアビーですんごいサグラダ・ファミリア見れるとこ押さえてるから、家族と一緒でよかったら見に来ませんか、と言ってくれて。
その場所は、隣の隣にNHKのカメラがあるほどの好位置でした。バチカンの教皇らが下から見上げる中、菅原さんたちはど真ん中の正面から眺められたといいます。
マジ絵画だったもんね、窓から見えるサグラダ・ファミリア。
その後、6月16日から18日ごろにはアートバーゼルにも招かれて参加しました。ノープランで発ったはずが、結果的に忙しい10日間になったと振り返ります。
そんぐらい身軽だったから。8日着いて9日の朝先輩に聞いて、じゃあって言って行かないじゃないですか、普通。でも何の予定も入ってないし。
予定を埋めない身軽さが、かえって良い引き寄せを生んだ、というのがこの旅の実感でした。
なぜ日本の地方は「単体」ではなく「チーム戦」で戦うべきなのか
菅原さんがパリを気にかける理由は、これから観光国になる日本が最もお手本にすべき国だと考えているからです。
日本がこれから観光国になる時に一番お手本にしなきゃいけない国だから。
ただし、学者のように観察するのではなく、住む人の感覚で行かないと感じ取れないことが多いと話します。
実際に行ってみると、パリはヨーロッパのハブになっていました。ヨーロッパ各地から列車で5時間ほどで集まり、パリを起点に他国へも足を延ばしていきます。
東京京都とか行くのとあんま変わんないんですよね、感覚ね。
だからこそパリの観光客数は増え、そこからスペインやイタリアへと滞在が広がっていく。菅原さんはこの構造にヒントを見出します。
一方で、日本の地方は同じエリア内でライバルのように競い合ってしまっていると指摘します。本来は逆で、滞在日数を伸ばす方法を考えるべきだといいます。
個人戦で頑張るから苦戦する。地方同士がチームだと思い、ヨーロッパを当てもなくプラプラして相手の感覚をつかむことが、来てくれる人を満足させる体験づくりにつながる、というのが菅原さんの見立てです。
同じエリア内でライバルとして客を奪い合い、単体で集客に苦戦しがち
地方同士が協力し、滞在日数を伸ばして地域全体で客を満足させる
10日間プラプラして「感覚が引っ張られる」とはどういうことか
滞在の後半になると、菅原さんは現地の人の感覚がだんだん分かってきたと話します。肌の色、国籍、年齢、行く場所などが感覚的につかめてきたといいます。
その変化を象徴するのが、帰国便での体験でした。
最後JALで帰ってきたんですけど、空港に着いたぐらいから日本人だらけじゃないですか。そこ行った瞬間、うわ、日本人いっぱいいるってなっちゃった。
感覚がすっかり現地側に引っ張られていた、ということです。菅原さんは、この感覚は3日では得られないと強調します。
さらに現地では、中国人や韓国人も同じくらいいた一方、日本人はもっと少なかったといいます。人口比を考えると、韓国人のほうが裕福に見えたと話します。
冷静に考えると、韓国って中国の20分の1ぐらいしかいないから。やっぱ韓国人裕福っぽいですよ。
川原さんは、これは日本人が今、世界的に見て裕福ではないという現実の裏返しだと受け止めます。
だからこそ、と菅原さんは商売的な視点を付け加えます。みんなが海外旅行どころではないと思っているうちに、早く行って感覚をつかむべきだというのです。
同じことをしていては希少性は生まれません。みんながなっているうちに早く行って感覚をつかむことが、希少性を発揮する道だと語ります。
なぜ「3日間のぎゅうぎゅう視察」は最も効率が悪いのか
話は、経営者が陥りがちな海外視察の落とし穴へと移ります。菅原さんが最も反対するのは、行った気になることです。
仕事として3日間行って、ぎゅうぎゅうに企業訪問とかやってるの、あれもうアホだなと思うんですよ。マジ何しに行ってんだろうみたいな。
場所を変えても、結局は同じような環境の中にいるだけになりがちだと川原さんも同意します。一番効率が良さそうに見えて、実は一番効率が悪いというわけです。
菅原さんは、見るべき相手が違うと指摘します。働く人ばかり見ても意味がなく、住んでいる人=消費者を見なければならないというのです。
会社のお金と時間で詰め込みの視察をし、右も左も同じ会社や同じレベルの経営者だけで回る。それでは何もわからない、と菅原さんは言い切ります。
バンかバス借りて、全部同じ人たちだけで喋りながら移動して。
だからこそ、一人か数人、あるいは家族で行き、現地の人と話すことを勧めます。思っている以上にみんな優しいこともあるといいます。
言語化できない感覚を「感じに行く」ことの意味
菅原さんは治安についても触れます。一昨年に訪れたミラノは危ないと感じたものの、パリは今そんなに治安が悪くないと感じたそうです。
そのうえで、この旅の核心を一言でまとめます。感覚を得に行く、ということです。
言語化を仕事にしている菅原さんだからこそ、あえて言葉にできないものを自分の感覚として持ち帰ることの価値を説きます。川原さんも強く共感を示していました。
皆様もう2、3回聞いてください。これは本当にしてほしい。
ノープランの雑談から始まった話は、日本の観光戦略と、海外の感覚をどう得るかという示唆深い内容に着地しました。
まとめ
ノープランで臨んだ渡欧10日間の振り返りから、日本の観光やビジネスにおける「感覚をつかみに行く」ことの大切さが語られた回でした。予定を埋めない身軽さ、地方のチーム戦、そして間違った視察への警鐘が印象に残ります。
- 予定を埋めないノープランの身軽さが、偶然の良い出会いを引き寄せることがある
- パリはヨーロッパのハブとして機能しており、地方観光は単体ではなくチーム戦で滞在日数を伸ばすべき
- 現地の感覚は3日では得られず、10日から数週間プラプラして街や人を眺めることでつかめる
- 3日間で企業訪問を詰め込む視察は効率が悪く、住んでいる人を見て現地の人と話すことが大切
- 日本人が世界的に裕福でない今だからこそ、早く行って感覚をつかむことに希少性がある





