オーディション優勝、そして値上げへの葛藤
この回から、厚利少売プロデュースオーディションの優勝者・上野京子さんへの公開コンサルが始まります。まずは上野さんが、優勝後の反響を語りました。
プロデュースの学校に通う人やリスナー、そして現在のお客様からも「YouTube見たよ」と連絡が届いたそうです。
先日は優勝させていただいて本当にありがとうございました。あれからやっぱり反響が大きくて、現在のお客様からもたくさんメッセージをいただいて。
一方で、上野さんには葛藤もありました。厚利少売へと変わることで、今のお客様のところへ行けなくなるかもしれない、という心苦しさです。
実際に小売り商売になるってなったら、お伺いできなくなるかもっていう心苦しさもあり、そこが今引っかかってます。
直接そう言われたわけではなく、上野さん自身が「そうなるかもしれない」と感じている段階です。それでも、変わりたいという意思は明確でした。
「目的」と「目標」は違う、というスタート地点
コンサルは、上野さんが「どう変わりたいか」を数値にするところから始まりました。料理代行を続けたいこと、単価を上げたいこと、そして11月から始まる部活動事業に時間を割きたいこと。上野さんは複数の願いを語りました。
これに対しすがけんさんは、それらは「目標」ではなく「目的」だと指摘します。
なぜ数値化が必要なのか。すがけんさんはダイエットを例に説明しました。
痩せたいですって言って始めて、500グラム痩せたらコーチは大喜び、僕は5キロだと思ってたから怒ってる、みたいなことになっちゃうわけですよ。
目的が曖昧なままだと、依頼者とコンサルタントの間で「達成」の基準がずれてしまう、という話です。
ちっちゃいボールを10個抱えて走るな
すがけんさんは、まず何を叶えたいのかを一つに絞るよう促しました。料理代行と部活動、二択ならどちらか。上野さんの答えは「料理代行」でした。
その理由もシンプルです。本業がパツパツのままでは、部活動のアドバイスをもらっても実行できないからです。
一つを確実にやり遂げてから次に進む。それができれば上手になり、残りは自分でもできるようになるかもしれない、というのがすがけんさんの考えです。
100個宿題もらっても困るじゃないですか。まずは料理の方をもうちょっと具体的にしていけたらいいかな。
値上げをためらう気持ちと、5000円という目標
上野さんが具体的な数字を出します。料理代行の単価は現在1時間2500円で、これを1年以内に5000円まで引き上げたいという目標でした。
上野さんはこれまで一度だけ値上げをしています。元は2000円で、500円上げて2500円にした際、お客様が離れるのではとヒヤヒヤしたものの、結果的に離れる人はいませんでした。
ただ、次の値上げには踏み切れずにいました。このラジオの内容が頭にあったからです。
そんなちまちま500円上げてるからあかんねみたいに聞こえたので。
聞こえたというか、そう言いました。
そのため上野さんは、今の金額のまま踏ん張っている状態でした。
単価を上げるだけなら簡単、でも売り上げが減る
ここですがけんさんは、単価を2500円から5000円にすること自体は簡単だと言います。ただ値上げすればいいだけだからです。
しかし、それではお客様が減り、総収入も減ってしまう可能性があります。上野さんの願いは、単価を上げることそのものではないはずだ、というのがすがけんさんの指摘でした。
大事なのは、年間でいくらの売り上げにしたいか、それを何時間で叶えたいか。この2つを先に決める必要がある、という流れです。
ストーリーではなく、数字で語れ
上野さんが答え始めますが、「稼働件数を半分に減らした場合」といった話の展開になります。すがけんさんはここで、多くの人がやりがちな癖を指摘しました。
すがけんさんは、これは上野さん個人を責めているのではなく、リスナー全員に知ってほしいから言っている、と繰り返し添えます。
体重を何キロにしたいかと聞かれれば「60キロ」と答えればいいのに、つい「夜中にスイーツを食べちゃって」と物語で返してしまう。そんな例えで、数字で語ることの重要さを伝えました。
そして、やるべきことはたった一つだと整理します。
大体いくらぐらいの売り上げにしたくて、それを何時間で叶えたいんでしたっけ、っていう話だと思うんですよ。
月240時間労働という現実に気づく
上野さんの現在の売り上げは年間480万円ほど。これを倍にしたいという目標が示されました。すがけんさんは、この数字を一緒に分解していきます。
単価2500円、1回あたり4時間、月40回。ここまでを整理したうえで、見落とされがちな移動時間を加えます。往復で2時間、つまり1回あたり実際は6時間かかっている計算です。
すがけんさんは、この240時間という数字を上野さんに突きつけました。
6時間かける40回、二百四十時間も働いてますね。これ実感ありますか。
上野さんは「実感がない」と答えます。ただそれは、働いていないという意味ではなく、大変だという実感がないという意味でした。
もうするしかないみたいな感じなので。
残業しないサラリーマンの労働時間が月160時間ほど。それと比べると、上野さんはおよそ1.5倍働いていることになります。
以前は月60回、1日3回まわっていた時期もあったそうです。休みの日はなく、実質30日稼働している状態でした。上野さん自身も「あと2年ぐらいで辞めなきゃかな」と感じていたと明かします。
値上げではなく「時間を削る」逆転の発想
この240時間を減らさないまま単価を5000円にすれば、売り上げは倍になっても働く時間は減りません。それでは、部活動など他のことをやる時間は生まれない、とすがけんさんは指摘します。
上野さんは、時給を3倍に上げる感覚が想像できないと言います。そんなお客様に出会ったことがなく、自分にその価値が備わっているとは思えない、という理由でした。
自分がお金をもらう価値があるというところにまだ至ってないから。7500円を提示できるとは思えてない。
そこですがけんさんは、自分の仕事を例に出します。1時間30万円で受けているが、それは一人のお客様から月4時間、120万円しかもらわないから成立しているという説明です。
みんなに分割して買ってもらってるんですよ。一人にまとめて買ってもらったら無理、絶対。
上野さんの場合も同じ発想が使えます。値上げをしなくても、4時間かかることが2時間で終われば、時給は倍になるというのがポイントです。
たとえば数日分をまとめて作る日を設けたり、作り置きを届けたりすることで、1回の作業時間を短縮できます。お客様が払う金額は変わらないまま、上野さんの時間だけが減る形です。
単価を2500円から5000円へ上げる。お客様が減るリスクがあり、働く時間は変わらない
金額は同じで作業を4時間から2時間へ。お客様の負担は変わらず、時給だけが倍になる
実際、上野さんのもとには「作ってきてほしい」というニーズもありました。休日に朝から買い出しに付き合ってもらうと1日が終わってしまうお客様がいるからです。
ただし、商品を届けるには営業許可を得たキッチンが必要で、現在は合意した数軒だけに届けている状態です。すがけんさんは、免許を取るなど解決策はいくらでもあると応じました。
移動時間の効率化も鍵になります。エリアを絞るなどすれば、5000円、さらには7500円程度までは持っていけそうだ、というのがすがけんさんの見立てです。
ただし本当の問題は別にあります。単価を上げて売り上げを倍にしても、働く時間が減らなければ、上野さんが求める「他のことをやる時間」は結局手に入らない、という点です。この難問は後編へと持ち越されます。
後編はこちら
まとめ
公開コンサル前編は、値上げの恐怖を「時給の考え方」で解きほぐす回でした。数字で語り、一つに絞り、価格ではなく時間に目を向ける。厚利少売への転換の入り口が示されています。
- 「どうなりたいか」という目的は、いつまでに・いくらという目標にしなければ達成を測れない
- 複数の願いを同時に追わず、まず一つの大きなボールに絞って確実にやり遂げる
- コンサルからは、ストーリーではなく数字で語ることで正しい処方箋が得られる
- 移動を含めると月240時間労働という現実が、数字の分解で初めて可視化された
- 値上げをせずとも、作業時間を半分にすれば時給は倍になるという逆転の発想がある





