3時間7500円が2時間1万円に、値上げが「二つ返事」で通った理由
公開コンサル第2回の主役は、兵庫県で料理代行を営む上野京子さん。お客様の自宅に伺い、冷蔵庫にある食材でその場で調理をする仕事を、一人で続けてきました。
前回のコンサルで単価は1時間2500円、年収1000万を目標にしていました。今回はまず、値上げの結果報告から始まります。
思い切ってお客様にお値上げのお話をしたら、結構皆さん二つ返事でいいよって言ってくださって。
時間を短くして単価を上げるという方法でご提示したら、2時間1万円という形でご利用いただけるお客様が増えました。
もともとは3時間7500円、つまり時給2500円でした。それが2時間1万円になったことで、時給は5000円へと倍増しました。
時給5000か。時給2500円が時給5000円になったんだ。数字にすると大きいですね。
お客様20人のうち15人に値上げを伝え、その15人全員が快諾したといいます。すがけんさんが理由を尋ねると、上野さんの答えは意外なものでした。
休んでくださいって、まず。もうそんな休まず働くはおかしいから、ちゃんと休み取ってくださいって言ってくださって。
なぜ「結果が同じ」なのに価値が上がったのか
ここですがけんさんは、上野さんに一つの問いを投げかけます。3時間を2時間に短縮しても結果が同じなら、値段は変わらないはずではないか、と。
結果が変わらないんだったら、本当は値段が変わらないはずじゃない?何があったんだろうなと思います?
上野さんは「信頼関係」「なくなったら困る」と言葉を探します。すがけんさんは、価格が上がるのは価値が上がることだと整理していきます。
たどり着いたのは、価値そのものが変わったのではなく、その価値がお客様にとって「大切な価値」だと再確認されたという結論でした。
「休んでください」の一言に隠れていた価値観
すがけんさんは、お客様が「休んでください」と言った理由を、上野さん自身が言語化することを促します。
その理由は、上野さんが疲れて見えたからではありませんでした。お客様が料理代行を頼むのは、自分の休みを大切にしたいからだ、というのがすがけんさんの解釈です。
お客さんが上野さんに仕事をお願いするっていうのは、自分が休みを大切にしたいからなんですよ。
つまり、休みを大切にする価値観を持つ人たちだからこそ、上野さんにも休んでほしいと願う。同じ価値観を持つ人が集まっている、ということです。
相手がしてくれるってことは、基本的に自分もしてあげたら喜んでもらえるっていうことなんですよ。
ここからすがけんさんは、商売の核心へと話を広げます。お客様との何気ない雑談こそ、改善のヒントの宝庫だというのです。
コーヒーの話をする人は紅茶好きではない。お金の話をする人はお金が大事。お客さんが話すことは、その人が大切にしている価値観だと、すがけんさんは繰り返します。
お客さんが言うことはもうほとんどヒントなんで。お客さんが喋ってくれるってことだけでありがたい。
上野さんも、これまで雑談から好みの味や調味料の傾向を拾ってきたと振り返り、値上げに応じてくれたお客様への感謝を新たにしました。
時給2倍で休日8日、目標にどこまで近づいたか
値上げの効果を、すがけんさんが数字で確認します。現状は月20人、売上40万円。一人が月およそ2回頼む計算です。
値上げ前
3時間7500円(時給2500円)で稼働。休日は月3日
値上げ後
2時間1万円(時給5000円)に。1回あたりの時間が短縮
結果
同じ売上でも稼働時間が減り、休日を月8日取れる見込み
8月は既存客への値上げ通知に加え、新規客の受け入れも検討しています。上野さんが「このタイミングで新規を入れていいのか」と尋ねると、すがけんさんは即答しました。
いいよ、いいよ。こういう時がチャンスじゃないですか。自分にとっても、お客さんにとっても。
公式LINEに直接連絡をくれた既存の見込み客を優先しつつ、インスタでも希望を募るのがよい、という助言です。
新メニュー「料理の家庭教師」は片づけの魔法と同じ構造
後半は川原さんにバトンが渡されます。まず川原さんが確認したのは、新メニュー「料理の家庭教師」が何をするサービスなのかという点でした。
上野さんの説明によれば、雑談の中でお客様の困りごとが個々に違うことに気づいたのがきっかけです。味付けが決まらない、そもそも料理が嫌い、でも自分でもできるようにしなければ、という声がありました。
だったら、そのお家に合った仕組みを私が家庭教師みたいについて伴走するので、よかったら作る楽しみを見出せるようになりませんか。
川原さんは、これが近藤麻理恵さんの片づけメソッドと同じ構造だと指摘します。
主語を料理に変えたら、多分ほぼ同じことを今聞いている。究極は片づけることが自分を整えることで癒すことにまでなってる。
マンツーマンで、自宅のキッチンや調理器具を使い、その家に合った仕組みを作り上げる。川原さんは、このサービスにニーズがあると太鼓判を押しました。
モニター価格をどうつける?「一生モノの技術」から逆算する
上野さんは、値上げ直後に新メニューの価格を出すことにためらいを見せ、モニター価格の付け方を相談します。現在の2時間1万5000円には、実は明確な根拠がありませんでした。
高単価商品という意味で勝手につけただけです。
川原さんは、基礎に立ち返って考えることを促します。価値とは相手の変化量であり、お客様が支払うお金と、将来的に得られる変化を天秤にかけるべきだ、というのです。
一度身につけた料理の力は一生涯使えます。川原さんは、2時間1万5000円はむしろ安いくらいだと評価しました。
その上でモニター価格については、サービスとしての価値を下げる理由ではなく、自分側がまだ確認が取れていないから試させてほしいという理由づけにすべきだと助言します。
試させてください。それがじゃあ10パー引きなのか20パー引きなのか、そこはお任せしますけど。
川原さんは、プロフェッショナルほど自分の当たり前を過小評価しがちだと指摘します。料理も掃除も、普段値段がつかないからこそ、その価値を自分が理解する必要があるといいます。
できないんだってば、普通の人って。料理もお掃除も片づけも、家の中のことは特にそう。値段が普段つかないからこそ、そこに値付けするの難しいけど、できないんだって。
文字は勝手に働く資産、プロデュースの4つの表現手法
川原さんは、プロデュースやセルフプロデュースで最初に取り組むのは、自分が当たり前にやっていることの言語化だと語ります。
言葉にすることで、自分でも価値を認識でき、それを見て喜ぶ人に出会える。発信すれば反応があり、次のお客様にもつながっていくという流れです。
川原さんはこれを「貯文字」と表現し、貯金よりも資産になると話しました。その上で、プロデュースでできる表現は4方向しかないと整理します。
レシピ中心のアカウント。作業工程や自身の価値はほとんど発信していない
自分の違い・こだわり・信念・ストーリーを、文字・写真・音声・動画で表現する
川原さんは、上野さんが尖ったワーディングをする「言葉が強い人」だと評価し、本になるほどのエッセンスを持っていると伝えます。
上野さんは過去に書籍化の打診を受けたことがあると明かしつつも、フォロワー10万人が条件と言われて半信半疑だったと振り返りました。川原さんは、価値が一つ明確に作れれば10万人は到達しうる数字だと励まします。
「準備は机上の空論」いつ市場に出すか
すがけんさんの総評では、まず数字の裏づけが示されます。時給7500円なら100時間で75万円。一般的なサラリーマンよりはるかに短い時間で目標に近づける計算です。
さらに、不安との向き合い方にも触れました。
価格については、正規価格を2万円に設定し、今回だけ1万5000円のモニターにする形が提案されました。また、料理の家庭教師は1回では定着しないため、反復の訓練として続けることの重要性も議論されます。
これ反復の訓練なんで、定着するまでが価値じゃないですか。1回で終わるっていうのは無責任な気がする。
最後にすがけんさんは、新メニューの告知時期を尋ねます。上野さんが「お盆前後」と答えると、すぐに切り返しました。
明日か明後日じゃないの?世の中に出してみないと結果ってわかんないんだから。
準備に時間をかけても、それは机上の空論にすぎない。話したことをすぐ実行する訓練をつけたほうがよい、というのがすがけんさんの一貫した姿勢です。
AIで動画を文字起こしし、LPまで作って、とにかく早く市場の反応を見る。この助言を受け、上野さんは明日か明後日に投稿すると約束しました。
まとめ
時給2倍という大きな変化を実現した上野さんですが、この回の本質は、値上げの成否よりも「自分の提供する価値を自分が理解すること」にありました。お客様の雑談に眠る価値観を拾い、一生モノの技術という価値を言語化し、そして準備よりも実行を優先する。3人の対話は、そのまま小さな商売を強くするための道筋になっています。
- 値上げが通ったのは、休みを大切にする価値観を共有するお客様に恵まれてきた結果である
- お客様の何気ない雑談は、その人が大切にする価値観であり、改善のヒントの宝庫
- 価値は相手の変化量から逆算する。一生使える技術は、自分が思うより価値が高い
- 自分が当たり前にやっていることの言語化が、プロデュースの第一歩になる
- 準備に時間をかけるより、明日にでも市場に出して反応を見るほうが早く前に進む

