中学生ゲストが自ら相談に来た理由とは?
今回の「Teacher Teacher」は、中学2年生のTKOさんを迎えたゲスト回です。学生の出演は、以前に小学生が出演して以来とされています。
TKOさんは、はるかさんたちが関わる福岡の居場所に何度か来ていた中学生です。学校に行っておらず、進路に悩む中で番組を知り、勇気を出して2人に相談したいと申し出たことから、対面での収録が実現しました。
きっかけになったのは、番組で以前放送した中学生からの相談の回です。お便りで「将来が不安です」という相談が届き、TKOさんはその回を聞いて、自分と同じように悩む人がいることと、2人の話に安心できたことを伝えていました。
普段その居場所で接しよったけど、やっぱ改めてそんな悩み持ってたんだっていうのは、本当対話せんとわからんなって思って。
ひとしさんは、この回を悩んでいる中学生だけでなく、クラスメイトの立場の中学生にも聞いてほしいと話します。はるかさんも、自分と同じだと感じる子もいれば、もう少し配慮しようと思う子もいるかもしれないと応じました。
はるかさんによると、TKOさんの根本の悩みは、学校に行かないと決めている一方で「このままで将来大丈夫なのか」という漠然とした不安があることです。そこに、他人の目が気になって疲弊してしまうという悩みが重なっていました。
この回では大きく、他人の目を気にしてしまう自分とどう向き合うかと、将来の不安とどう付き合うかの2つに答えていきます。
テニスとラジオが好きな中学2年生
本編は、TKOさんの近況から始まります。TKOさんは番組のイベントをきっかけにテニスを始め、6回目ほどのレッスンに通い続けていると話しました。
初心者クラスでサーブなどの基本を習い、サーブはできるようになったそうです。好きな作品として『テニスの王子様』の名前も挙がりました。
TKOさんは夜にいつもラジオを聞いています。子ども目線で勉強を扱う回や、不登校についてゲストが話す回、そして「Teacher Teacher」の中学生からの相談の回を聞いていたといいます。
緊張今もしてます。
初めての収録について聞かれたTKOさんは、もっと大きな機械があると思っていたと答えています。人に相談するには勇気がいったとも認め、はるかさんは相談したいと思ってもらえたことを何度も喜んでいました。
夜に一人になると押し寄せる不安の正体
TKOさんの最初の相談は、一人になったときや何もすることがなくなったときに、このまま学校に行けていなくて大丈夫なのかと考えてしまうというものです。
すでに学校には行かないと決めているのに、なぜ不安が来るのか。TKOさんは、どの高校に行くかを決めて、その高校でこのままやっていけるのかが気になると説明しました。
TKOさんが中学校に行かないと決めた理由は、人が今何を考えているかを考えすぎてしまうことにあります。
僕は人が今こんなことを考えてるとかをめちゃくちゃ考えてしまうから、それでいろんな人に気を使って疲れたみたいな。
TKOさんによると、この感覚は小学校のころにはまったくなく、中学校に入ってすぐに始まりました。自分が人の目を気にしていると気づいたのは中学2年生ごろで、疲れて休み始めてから「考えていて疲れているのかな」と思い至ったそうです。
はるかさんも、友達との会話をシャワー中に思い出して嫌になった経験や、20人ほどの場に入ると「この人は自分をこう思っているのでは」と考えてしまう感覚を打ち明け、TKOさんの感覚に重ねていました。
夜の不安への今の対処法は、ラジオを聞くことです。TKOさんは、動画だとずっと見てしまうけれど、ラジオなら耳だけで済み、聞いているうちに他のことを考えられて眠れると話しています。
「人と話しても疲れないようになりたい」の裏側
どうなればうまくいったと言えるのか。はるかさんの問いに、TKOさんははっきりと答えました。
はるかさんは、夜に思い出してしまうことへの対処ではなく、そもそも人と話しても平気になりたいという願いだと受け止めます。そのうえで、収録ではよく話しているし、はるかさんの息子とも遊んでいたと指摘しました。
疲れる相手と話しやすい相手の違いを聞かれ、TKOさんは小さい子どもは話しやすいと答えます。子どもは相手が何を考えているかを考えないので、こちらも考えずに済むからです。
一方で、人と話して疲れることに良い面はあるかと聞かれると、TKOさんの答えは率直でした。
いやもうただただ弱み。
ひとしさんは、自分も同じように思っていたと明かします。ただ、コンテンツを作って配信する仕事に就いてからは、人がどう思うかがわかると発信内容を考えやすいと気づいたといいます。
人がどう思うか気になるのは、ただただ弱みだと思っていた
発信の仕事では、人の受け止め方がわかることが強みになると納得している
ひとしさんは、たまたまそういう立場にいるから納得できているとも付け加えています。はるかさんは、疲れた分だけ一人で帰ってNetflixを見る時間が楽しくなると、自分なりの付き合い方を話しました。
ひとしさんは、TKOさんが子どもと出会った瞬間にすごいエネルギーで接していた姿を挙げ、そこで解放されていることが強みではないかと伝えます。TKOさんは小学6年生のころ、1年生の手伝いをして子どもと接する楽しさに気づいたそうです。
子供と接するのはいいけど、色々考えすぎちゃう人たちとは接することができないのは、逆もあるんだなって。
保育士の夢と高校進学、本当の課題はどこに?
話題は進路の不安に移ります。TKOさんの不安は今も夜や一人のときにやってきて、「このまま高校に行ってやっていけるかな」と考えてしまうそうです。
TKOさんがその高校を選んだ理由は、将来の夢に一番近づけそうだからです。その夢は保育士で、小学6年生のころには、子どもが好きだから子どもと接する仕事に就きたいと考えていました。
はるかさんは、人付き合いが苦手なことを裏返して子どもが好きだと気づき、それが将来の夢になっていることを、自分と向き合った結果だと評価しました。
そこまで決まっているのに、なぜ不安なのか。TKOさんの答えで、不安の中身がはっきりします。
このまま高校を決めても(人のことを)考えるのは変わってないから、また疲れて行けなくなる。
はるかさんは、ここまでの話を1本の流れに整理しました。
子どもが好き
小学6年生のころ、子どもと接する楽しさに気づいた
保育士になりたい
子どもと接する仕事に就くことが将来の夢になった
行きたい高校がある
夢に一番近づけそうな高校をほぼ決めている
行けなくなる不安
人と話して疲れる状態のままだと、高校にも行けなくなるかもしれない
つまり、本当に解決したい課題は「人と話すと疲れること」だと確認され、はるかさんは「絶対解決しよう」と応じました。
「俺が俺が」タイプには子どもと思って接する
はるかさんは、疲れる相手をタイプに分けて、1人ずつ攻略法を作ろうと提案します。TKOさんが最初に挙げたのは、自分のことを一番に考える人でした。
その人と会ったらその人に合わせなきゃってなって疲れちゃう。
はるかさんは、自分のことばかり考える人はこちらのことを考えていないのだから、子どもと同じように接してもいいのではと発想を転換します。プレゼンで聴衆をじゃがいもだと思うように、1年生だと思えばいいという提案です。
TKOさんも「じゃあ俺も」くらいの気持ちで接すればいいと応じ、1つ目の攻略法が決まりました。
はるかさんはさらに、年齢が上がるほど「俺が俺が」の人は減っていく実感があると話します。TKOさんも、大人と話すのが得意なのはそのためかもしれないとうなずきました。
学校は特にこのタイプが多いとTKOさんは言います。はるかさんは、30人が1つの狭い教室にいれば、給食の余りを勝ち取るにも「俺が俺が」が必要で、そうした人が目立つのも無理はないと説明しました。
気持ちを言わない「内に内に」タイプの攻略法
TKOさんが2つ目に挙げたのは、「俺が俺が」の逆で、全部を相手に任せてしまう人です。気持ちを言ってくれないので、本当はこうしたいのかなと察し続けて疲れてしまうといいます。
はるかさんはこのタイプを「内に内に」と名づけ、自動的に察してしまうTKOさんの力を才能だと感じると伝えました。相手が何も言わなくても喜ぶものを差し出すおもてなし ── 相手の求めを言葉にされる前に察して、心を込めて応対する日本の接客文化を表す言葉。茶の湯の精神と結びつけて語られることが多いですを例に、察する力は仕事で生きるし、言葉で伝えられない小さな子どもにこそ生きると話します。
これまで試した対処法を聞かれ、TKOさんは考えないようにしようと強く思うことだと答えました。
もう考えないようにしようってめちゃくちゃ思う。
やってみたけどすごい疲れる。
はるかさんは、力技でやろうとすると疲れると受け止めたうえで、普段このタイプの子どもに使っている方法を紹介しました。昼休みに「ドッジボール、お絵描き、昼寝のどれがいい?」と聞き、選んでもらうというものです。
何がしたいかがそもそもない相手でも、選択肢があれば選べます。こちらがリードしつつ相手の意思もぎりぎり反映されるので、自分が「俺が俺が」にならずに済むのが利点です。
軽くなりそう。これでいいんだみたいな。
はるかさんは、この方法は保育士として何をしたいかわからない子どもと関わるときにも使えると付け加えます。ひとしさんも、TKOさんが目指す高校は子どもという共通点で人が集まる学校なので、そこは良い環境だと話しました。
落ち込んだ夜のおまじないは「興味のないラジオ」
最後に、ひとしさんは攻略法を試しても落ち込んでしまった夜に何をするかを決めようと提案します。はるかさんも、人は波のように落ち込んでは元気になるを繰り返すものだと話しました。
今週何回落ち込んだかと聞かれ、TKOさんは毎日だと答えます。収録の前日も落ち込んでいたそうで、はるかさんは勇気を出して来てくれたことをねぎらいました。
俺も今週7回は落ち込んでると思う。
ひとしさんの対処は「落ち込むよね」と受け入れることです。はるかさんは、攻略法を持っていれば、落ち込んでも次はこうしようと少し見えてくるのではと続けました。
TKOさんのこれまでの解消法は、まったく別のことを考えることです。起きて本を読んだり、トイレに行って休憩したりしているといいます。はるかさんは、子どものころの不安は出会ったことのない不安だから怖く、大人になると知っている不安が増えて慣れていくのかもしれないと話しました。
音楽やテニスの試合観戦は、目が冴えてしまいそうだと却下されます。そこでひとしさんが出したのが、本当に退屈な話を聞くと眠くなるという案でした。
興味のない話で眠れればよし、もし興味を持てたら新しい発見になる。はるかさんは、自分と真逆のことを聞けば幅が広がると、この案の教育的な良さにも気づきます。こうして「不安で眠れない夜は、まったく興味のないラジオを聞く」という解決策が決まりました。
3つの攻略法でTKOさんがすっきりするまで
はるかさんは相談全体を振り返ります。TKOさんには保育士という夢があり、そのために行きたい高校があります。中学校には人と話す疲れで行けていないので、高校ではリベンジしたいという整理です。
TKOさん自身の言葉で、決まった攻略法が確認されました。
| 場面 | 疲れる理由 | 攻略法 |
|---|---|---|
| 「俺が俺が」タイプ | 相手に合わせなきゃと思って疲れる | 子どもだと思って付き合う |
| 「内に内に」タイプ | 本当の気持ちを察し続けて疲れる | こちらから選択肢を出す |
| 落ち込んで眠れない夜 | 一人になると不安を考えてしまう | つまらないラジオを聞く |
はるかさんは、実際に試して教えてほしいと伝え、自分たちも実践してみると話しました。ひとしさんが興味のないものとして「テントウムシの育て方」を挙げると、それは少し興味があるのではと返され、興味のないものを探すこと自体が難しいと笑い合います。
はるかさんは、学生がどんな不安を抱えているかをここまで深く聞けたのは初めてで、自分たちのほうが学びが深まったと締めくくりました。
まとめ
中学2年生のTKOさんの将来への不安は、突き詰めると「人と話すと疲れて、高校にも行けなくなるかもしれない」という一点にありました。疲れる相手をタイプに分けたことで、漠然とした不安が、試せる具体的な攻略法に変わっていきました。
- TKOさんの不安の根っこは、人が何を考えているかを考えすぎて疲れてしまうことだった
- 人付き合いの苦手さの裏返しで子どもが好きだと気づき、それが保育士という夢につながっていた
- 「俺が俺が」の人には子どもだと思って接し、「内に内に」の人には選択肢を出す
- 年齢が上がるほど「俺が俺が」の人は減り、大人になると違う世界が広がるとはるかさんは話した
- 不安で眠れない夜は、まったく興味のないラジオを聞いて眠るか、新しい発見にする






