「ずっとベンチなのは普通?」という声
『グナラジ』のゆうせいさんは、試合に出られない時期をどう過ごせばいいかというテーマを、ネット上の相談サイトで見かけた声から切り出します。
相談サイトには「少年サッカーでずっとベンチなのは普通ですか?」「試合に出られない子はなんのためにチームにいるんですか?」といった相談がちらほらあったといいます。
ゆうせいさんは、こうした相談を書いているのは子どもを持つ親御さんが多いのではないかと見ています。実際に「ベンチにいる子供を見るのがつらかった」という保護者の体験談や、「小学生の頃、試合に出られず悔しい思いをした」という選手本人の声も見つかったそうです。
さらに、小学生と中学生400人に聞いた調査では、サッカーに限らない調査ながら、「運動で他人と比べられるのが嫌だ」と答えた子どもが68.8%いたと紹介されています。
(人と比べられるのは)私が子供の時もそんなにいい思いをしたことではないですし、よく比べられる。
「あいつはこれできるのお前できないよな」みたいなことも言われたことありましたね。
ゆうせいさんはこの回で、自身が出られなかった高校1年の時期、その1年間にしていたこと、指導者として選手にやってほしいことの3つを話すと予告します。
また、監督やチームを悪く言う意図はなく、移籍を勧める話でもないと前置きしています。あくまで、出られない時期を選手がどう過ごすかという指導者としての視点を語る回です。
ベンチにすら入れなかった高校1年の1年間
ゆうせいさんは高校1年の4月頃の練習試合以降、2月から3月頃まで、丸々1年ほど公式戦に出られませんでした。
ゆうせいさんの高校では1年生でも公式戦に出ている同級生がいたため、1年生だから出られないという環境ではありませんでした。それでもゆうせいさんはベンチにすら入れず、ベンチに入っても出られない時期が長く続いたといいます。
当時は同じポジションの先輩が活躍していて、先生からの信頼も厚く、なかなか食い込めなかったそうです。先輩は足が速く体も大きく、技術も上に感じられたといいます。
事実としてサッカー理解がまだまだ全然だったなという風に、今振り返ると、甘ちゃんだったなという風に思いますね。
ホームでリーグ戦がある日、ゆうせいさんは隣のテニスコートにボールが入らないよう、ボールボーイを務めていました。
今思えばあの時間、悔しくて悔しくてたまらず、ちょっと不貞腐れながらボールボーイをしていた記憶があります。
弱みを伸ばし、強みをさらに上げる2本柱
出られない1年間、ゆうせいさんが柱にしていたのは2つのことでした。1つは先輩に比べてできない部分をできるところまで伸ばすこと、もう1つはオーバーラップや足の速さ、ドリブルといった強みをさらに上げることです。
ゆうせいさんは背がそれほど高くなく体も屈強ではなかったため、好きではなかった筋トレや走り込みに取り組みました。高校では雨の日に階段ダッシュや筋トレがあり、それをサボらずにやっていたといいます。
そのおかげで今もそこそこ筋肉があるような体になっているので、あの時は筋トレちゃんとやっておいてよかったなというふうに、今は振り返れば思いますね。
最大の強みだと考えていた足の速さについては、遅くならないよう練習中も練習外もスプリントを続けました。ただ足の速さには上限が来るため、ドリブル技術や、得意とまではいえなかったパスやキックの技術も、自主練習で磨いたそうです。
先輩に負けていた強度や体力を、筋トレ・走り込み・階段ダッシュで底上げする
足の速さを保つスプリントに加え、ドリブルやパス・キックの技術を自主練習で磨く
この2本柱の考え方は、闇雲な練習をやめて自己分析をした経験から生まれています。
闇雲な朝練から、自己分析へ
ゆうせいさんは当初、何に取り組めばいいかわからず、中学生の頃の練習を朝早く学校に行ってグラウンドの隅で繰り返していました。
(朝練で)いざ実際何をやればいいかわからなくて、ひたすらにもがいていても時間がもったいないなというのに気づいた時期があって。
そこでゆうせいさんは冷静になり、先輩と比べて自分に何が足りないのか、逆に何ができて、試合に出たらチームにどんな良い影響を及ぼせるのかを考えました。
先輩は背が高く、競り合いや強度で上回っていました。背の高さには限界があるため、ゆうせいさんは筋トレで強度を上げ、外周ランニングなどの走り込みで体力負けしないようにすることを選びました。
もがく
何をすればいいかわからず、中学時代の練習を朝練で繰り返す
気づく
ひたすらもがくのは時間がもったいないと気づく
分析する
先輩と比べて足りないもの、自分がチームに与えられる良い影響を考える
取り組む
強度は筋トレ、体力は走り込み、と課題ごとに練習を選ぶ
プロの試合を見ることで気づけたこと
ゆうせいさんが同じ時期に習慣にしたのが、サッカーの試合をよく見ることでした。当時はDAZN ── スポーツ中継を中心とした動画配信サービス。サッカーのリーグ戦などをスマートフォンやパソコンで視聴できますが月1000円ぐらいの時期で、暇があれば開いていたそうです。
プロの選手がどんなプレーをし、チームにどう貢献しているかを見ることで、何ができればチームにポジティブな影響を与えられるのかに気づけた面があったといいます。
プロと比較するのはおこがましいですけども、じゃあ何ができればいいのかなとか(を考えられた)。
ゆうせいさんは、今出られていない選手にもプロの試合観戦を勧めます。地域にJリーグのチームがあればスタジアムへ足を運んでもいいし、ヨーロッパの試合もスマートフォンやパソコンで見られる時代だと話しています。
3月、評価が変わり始めたとき
ゆうせいさんは、自分の弱みを平均に、強みをそれ以上の強みにする取り組みを繰り返しながら、高校1年の3月頃を迎えました。
先輩たちの引退が近づき、新年度から指導する先生が変わることになりました。3月中頃から新しい先生が週末に来るようになり、その頃からゆうせいさんのプレーや強みが評価されるようになっていったそうです。
ゆうせいさんはこの1年間の取り組みを振り返り、強みと弱みを分析し、強みをさらなる強みに、弱みを弱みじゃなくする努力をしようとまとめています。
でも大前提、練習は全力でひたむきに取り組まないと、先生は、もしくは指導者の人は評価してくれないので、まずは練習を100%それ以上120%で取り組むこと(が大事です)。
指導者として一番やってほしいことは何か?
指導者になった今、ゆうせいさんが出られない選手に一番やってほしいのは、普段の練習に積極的・主体的に取り組むことです。
ゆうせいさんによれば、普段の練習で人一倍努力することで、チーム内で上手くなろうと頑張っている姿勢を見せられます。逆に練習で積極的でなければ、他の場で頑張っても評価される場所が減ってしまうといいます。
そのうえでゆうせいさんは自主練習も勧めます。ドリブルが苦手ならボールタッチやドリブル、パスやキックが苦手なら壁に向けて蹴ったり、友達を捕まえてパス練習をしたりする、と具体例を挙げています。
プロの試合やYouTubeの映像を見て学ぶ姿勢も、上達につながるとゆうせいさんは考えています。最大のメリットはサッカー理解が深まることで、最初は自分と同じポジションのプロ選手と比較しながら見るのが入りやすいそうです。
出られない選手は何をしていたか
ゆうせいさんは、サッカーが11人制である以上、出られない選手は必ず出てくると話します。これまで関わってきたそうした選手を思い出すと、自主練をしている傾向が強かったそうです。
1秒でも試合に出られるように、自分でできないことをできるようにしようとか、得意なことをもっと得意にしようっていうふうな自主練習をよくしていたように思います。
また、なぜ試合に出られないのか、何が上手くなれば出られるのかと、具体的な課題を監督に聞きに行く選手も多かったといいます。
ゆうせいさんは、出られなくても何かできないかと行動する選手からは、成長しようとひたむきになる姿勢が感じ取れるため、聞きに来る選手には真摯に答えようと考えています。
先日もゆうせいさんのもとに「どうしたら試合に出れますか?」と聞きに来た選手がいて、練習後に苦手な部分と、コーチとしてできるようになってほしい点を伝えたそうです。
コーチとしてはこういうふうに思っているから、これができるとより試合に出れるようになるかもね(と話しました)。
ネガティブに捉えすぎないために
ゆうせいさんは、試合に出られないことをネガティブに捉えすぎないでほしいと選手に呼びかけます。
チームの事情や他のメンバーとの兼ね合いで、選手本人のせいだけではないことも多々あるといいます。そのうえで、少しでも成長していけるような行動をとることが大事だと話しています。
保護者に向けては、「出られないのはこれができていないからだ」と言うのではなく、一緒にできることを探してほしいと語ります。食事面や生活面、学生なら勉強面など、サッカー以外でのサポートが大事だというのがゆうせいさんの考えです。
最後にゆうせいさんは選手に宿題を出しています。次の練習か試合で、この回の話から1つでも実践し、その感想をコメントで送ってほしいというもので、悩みにも返信すると呼びかけました。
まとめ
試合に出られない時期について、ゆうせいさんは自身の1年間のベンチ外経験と指導現場の実感から、練習への姿勢と自己分析に基づく努力が評価と成長につながると語っています。
- まずは普段の練習に積極的・主体的に、120%で取り組む
- 先輩や上の選手と比べて足りない点と強みを分析し、弱みを平均に、強みをさらに強くする
- 自主練習やプロの試合観戦で、苦手を補いサッカー理解を深める
- 出られない理由を監督に聞きに行くなど、主体的に行動する
- 保護者は責めるより、食事・生活・勉強などサッカー以外の面で支える





