「ゲームデザイナー」と名乗るのをためらう人がいる?
ボードゲームを作っている人の多くは名刺を持ち、ゲームマーケットなどのブースへの挨拶やゲーム会、交流会で渡す機会があります。マナさんは以前の配信で名刺に何を載せるべきかを話していましたが、今回はその中の「肩書き」に焦点を当てます。
きっかけは、名刺の肩書きで「ゲームデザイナー」と名乗ることに抵抗がある人がいる、という話をマナさんがXで見かけたことでした。
正直、「え、そういうふうに思う人いんの?」っていうふうには、私はまあ感覚的にそう思いました。
マナさんが、肩書きを載せていない人やためらっている人の話を調べると、肩書きを書くと専業やプロであるかのように受け取られる、というイメージを持つ人がいたといいます。
作品が売れていない、知名度もないのに名乗っていいのか。「言ってるだけで全然じゃないか」と思われたくない。そうした気持ちから、ゲームデザイナーという肩書きを載せることをためらう人もいるのだろう、とマナさんは推測します。
同人の「漫画家」と何が違うのか
マナさんは関連して、コミケなどの同人界隈では、同人誌を描いて売っている人が肩書きに「漫画家」と書くことはあまりない、という話も耳にしたと紹介します。確かな話かどうかはわからない、と前置きしたうえでの紹介です。
その背景としてマナさんが聞いたのは、同人誌の多くは二次創作 ── 既存の漫画やアニメなどの作品をもとに、ファンが独自に創作した作品。権利者が定めたガイドラインの範囲で許されている場合がありますで、元になる作品の著作権者が別にいるという事情です。自分で生み出したものではなく、誰かが生み出したものを利用して描いているため、職業として名乗れるかがグレーだと考えられているそうです。
ボードゲームでも、ゲームマーケットで頒布されるインディーズ作品は「同人ゲーム」と呼ばれ、好きな人が勝手に作って頒布しているという印象を持つ人もいる、とマナさんは認めます。
ただしマナさんは、同人誌とボードゲームの大きな違いは、一次創作か二次創作かにあると指摘します。自分でルールを考えて頒布しているなら、その人はルールを作る人、つまりゲームデザイナーだという考えです。
元作品の著作権者が別にいて、職業として名乗れるかがグレーとされる
自分でルールを考えて頒布しているので、ルールを作る人=ゲームデザイナーといえる
実際に売れてる売れてない関係なくてですね、それはそれで全然ゲームデザイナーっていう職業になっているのかなと思います。
一人社長も「代表取締役社長」と名乗る
マナさんは、売れているかどうかで肩書きを決める必要がない理由を、会社の肩書きにたとえて説明します。上場企業の社長も、社員ゼロで法人化しただけの一人社長も、同じように「代表取締役社長」と名刺に書いています。
会社の規模を理由に「お前が社長なの?」とはならない、とマナさんは言います。肩書きは、その人がどういう立場で何ができるのかを示すものだからです。
それがなぜかまあボードゲーム界隈ではちょっと躊躇するっていうような人たちがいるっていうのが、まあ不思議だなっていうのが単純な感想です。
売れているか、有名かを基準にすると、いつになったら名乗れるのかという問題が残ります。自分なりの基準を決めて、そこに達してから名乗るという考え方もあり、それはその人の自由だとマナさんは認めています。
一方で、「私なんかが」という後ろめたい気持ちで肩書きを載せないのは、少し微妙ではないか、というのがマナさんの見方です。
肩書きは「あなたは何者か」に答えるもの
マナさんが肩書きを重視するもう一つの理由は、挨拶の場で「あなたは何者で、何ができるのか」が伝わりやすくなることです。ゲームデザイナーと書かれていれば、ゲームを作る人だとすぐにわかります。
ボードゲーム界隈には、イラストレーター、プロモーションを手がけるマーケター、出版社の社員、作品を広めるインフルエンサーなど、さまざまな立場の人がいます。その中で自分が何者かを示すことが重要で、自分が今どのレベルにいるかは関係ない、とマナさんは話します。
- イラストを描くイラストレーター
- プロモーションを手がけるマーケター
- 会社に所属する出版社の人
- 作品を広めるインフルエンサー
「ボドゲ制作者」を名前の前に置いた理由
マナさんは自身のXアカウント名の変遷も紹介します。立ち上げ当初のアカウント名は、最初の作品を広めたいという思いから作品名の「バーストオブマナ」でした。
その後、作品を出していく中で、最初の作品名のままでは分かりにくいと考え、周囲から「マナさん」と呼ばれていたこともあって、作者名を「マナ」に定めました。
ただ、「マナ」とだけ書かれていても、X上では何をしている人かわかりません。そこでマナさんは、アカウント名の冒頭に「ボドゲ制作者」とはっきり付け、ボドゲを制作している人だと宣言しました。
マナさんによれば、肩書きを付ける人でも「マナ ボドゲ制作者」のように名前の後ろに置く人がほとんどです。しかしマナさんは、名前を覚えてもらうより先に、何をしているかを伝えるほうが重要だと考えています。
「ボドゲ制作をしているマナ」っていうような主語にしたいんですね。マナはボドゲを制作しているではなくて、です。
名刺のレイアウトでも、肩書きはたいてい名前の上に書かれています。マナさんは、それが「この肩書きのその人」という意味合いにするのに最適だからだろう、と考えています。
アンケートで見えた「Xの人」という印象
マナさんが先日、自分はどういう人かというアンケートを取ったところ、「ボドゲを作っている人」と「Xの人」という回答が半々ぐらいだったといいます。
もしかしたら、まあXで見ている人の中で、私がボドゲを作って、で、売っているって知らない人ももしかしたらいるのかなっていうふうに、ちょっと恐怖を覚えました。
アカウント名に「ボドゲ制作者」と書いていても、制作者としての認知を取るのは難しいという実感です。だからこそ名刺の肩書きに書かなければ、何者なのかはまったく伝わらない、とマナさんは話します。
名刺交換の場では多くの人と名刺を交換するため、相手は全員を覚えるだけでも大変です。肩書きがあれば、その場で何者かが伝わり、後から思い出してもらう手がかりにもなります。いろいろな活動をしている人なら、複数の肩書きを書いてもよいとマナさんは言います。
「ゲームデザイナー」より伝わる言葉を選ぶ
一方でマナさんは、「ゲームデザイナー」という言葉自体は少し分かりにくいと考えています。デジタルゲームと区別しにくいうえ、「デザイナー」はアートワークや絵、見た目を整える人という印象がまだ強いからです。
そのためマナさんはゲームデザイナーという言葉を使わず、「ボドゲを作っている人」という意味が伝わる「ボドゲ制作者」を肩書きにしています。
マナさんの結論は、肩書きを名乗ること自体はよいが、どの言葉を選ぶかは人それぞれだというものです。世の中にある肩書きに縛られる必要はなく、独自に作ってもよいとしています。
ただ、それがわかりにくければ意味ないですけどね。
独自の肩書きでも、誰も理解できない言葉では載せる意味がありません。みんなが理解できる言葉で、何をしている人かが伝わることが大切だ、とマナさんは話します。
名乗ってから、ふさわしい人間になる
肩書きを宣言するもう一つの効用として、マナさんは「気合いが入る」ことを挙げます。そして、肩書きをためらう気持ちは、かつてのマナさん自身のものでもあったと明かします。
私もそんな、ね、ボドゲ全然作っていない時代から、ボドゲ制作者って名乗っていいのかって実際に思いました。
マナさんも、何か賞を取ってから、あるいは大ヒットした代表作ができてから名乗ったほうがいいのではないかと考えていた時期があったといいます。
それでも、知名度を上げ、自分が何者かを知ってもらうには、宣言しないと何も始まらないと考えるようになりました。マナさんは、名乗ってから、その名にふさわしい実績を積んでいくという順番を選んだのです。
賞を取るか、ヒット作ができてから「ボドゲ制作者」と名乗るべきだと考えていた
先に名乗り、その名にふさわしい人間になるよう実績を積むと考えるようになった
マナさんは、肩書きをどうしようか迷っている人に向けて、まずは名乗ってしまおうと呼びかけます。自分がやっていることに自信を持ち、しっかりアピールしてほしいという思いで、この配信を撮ったと語って締めくくりました。
まとめ
マナさんは、売れているかどうかに関係なく、自分でルールを考えて頒布しているなら肩書きを名乗ってよいと考えています。肩書きは実績の証明ではなく、何をする人かを相手に伝える宣言であり、名乗ってから実績を積んでいけばよいというのがこの回の結論です。
- 一次創作でルールを作っているなら、売れ行きに関係なくゲームを作る人と名乗れる
- 一人社長も代表取締役社長と書くように、肩書きは規模ではなく立場と役割を示すもの
- 名前より先に「何をしている人か」を伝えるため、マナさんは「ボドゲ制作者」を冒頭に置いている
- 「ゲームデザイナー」に限らず、誰にでも伝わる言葉なら独自の肩書きでもよい
- 迷っているなら先に名乗り、その名にふさわしい実績を積んでいけばよい

