なぜポッドキャストは聞かれにくいのか
ボードゲーム作家のManaさんは、自身のポッドキャスト「ボドゲの天下取り(ボド天)」の認知を広げるため、ショート動画を始めると話しています。この回のテーマは、ボードゲームそのものよりも情報発信の話です。
Manaさんが感じている課題は、ポッドキャストは拡散しにくく、リスナーが増えにくいという点です。番組名で検索して入ってきてもらわない限り、聞いてもらえる機会がなかなかないといいます。
やっぱりポッドキャストが中心となりますので、なかなかリスナーが増えにくいといったところはあります。まあ拡散がなかなかしにくいんですね。
Manaさんは、ポッドキャストの内容を要約記事やnote ── 文章や画像を投稿できるブログ型のプラットフォーム。サービス内でのおすすめ表示(レコメンド)機能も備えていますのブログ記事にも書き起こしています。ただ、Google検索やnote内のレコメンドから読まれても、読者はそのプラットフォームの中で止まってしまうそうです。
Xと連携して読者を引き込んではいるものの、Xからの流れもnote側で止まってしまうといいます。Manaさんにとって情報発信の源泉はポッドキャストであり、テキストはそれを整理したものだという位置づけです。
テキストに起こす過程では、細かい部分を除外することも多いとManaさんは話します。その除外した部分に話の流れとして重要なところや、熱量・テンションが含まれていることがあるといいます。
その言葉の話し方によって伝わるものってあるじゃないですか。そういったものってなかなかテキストだと、まあある意味整理されてしまって伝わりにくい
だからこそ、内容をしっかり把握するにはポッドキャストが最適だとManaさんは考えています。一方で、そのポッドキャストを聞いてもらうための告知や認知が弱いことが、この回の出発点になっています。
YouTubeのポッドキャスト枠ではなぜ伸びないのか
ボド天はApple、Amazon、Spotifyに加えてYouTubeでも聞けます。Manaさんによれば、YouTubeでは比較的聞かれているものの、ポッドキャストというジャンル扱いになるため、YouTube上でのレコメンドは弱いと感じているそうです。
YouTubeで配信しているボド天は、静止画のサムネイルが1枚載っているだけの状態です。ビデオポッドキャストにすれば違うかもしれないとしつつ、現状ではクリックされにくく、再生数も普通の動画ほど伸びていないといいます。
対照的に、Manaさん自身のボードゲームをショート動画で告知すると、再生数はかなり伸びるそうです。プレイ動画やプロモーションビデオのショート版などを公開してきました。
そんな頻繁に公開ってなかなかできないんですね。やっぱり同じ作品のことを、まあ何だろうな、手を変え品を変え紹介するといったものも大変だったり
ボードゲームのショート動画は、撮影・編集・投稿に手間暇がかかります。それでもManaさんは、自分のYouTubeなどからボードゲームの情報を見てほしいし、最近力を入れている情報発信も知ってほしいと考えていました。
言葉や音声を届けられて、なおかつ拡散力が高いものとして、ManaさんはYouTubeショートやTikTok、インスタのリールといったショート動画を告知ツールに使えないかと日々考えていたそうです。
Podyの新機能は何が違ったのか
そこで出てきたのが、Manaさんが要約記事づくりに使っているPody ── けんすうさんが立ち上げたサービス。ポッドキャストの音声を取り込み、要約記事などを作成できますの新機能です。ポッドキャストの内容をもとに、話した部分を切り抜いて拡散用のショート動画にしてくれるといいます。
Manaさんはこれまでも同様のツールをいくつか試してきました。ただ、音声の波形が動くだけで画面がほぼ静止画のものが多く、魅力的でなかったり、切り抜く箇所が微妙だったり、文字起こしの手間が結局残ったりしたそうです。
このPodyのサービスを使ってみたらですね、なんと話してた内容を図式化してくれるわけなんですよ。
Podyの要約記事にも図版化の機能がありましたが、新機能はその進化版のようなものだとManaさんは説明します。話している内容を図式化し、解説しながら画面を表示するショート動画が作れるようになったといいます。
Manaさんは何本か作ってみて「これはちょっと面白そうだな」と感じ、しばらく続けてみることにしたそうです。
YouTube・インスタ・TikTok・X、どこに投稿するか
ショート動画の投稿先として、Manaさんがまず考えているのはYouTubeショートです。YouTubeにはボド天のポッドキャストのプレイリストを聞いている人もいるため、ショートで知ってもらい、そのままYouTube上でポッドキャストを聞いてもらう流れを期待しています。
次に挙げたのがインスタのリール動画です。インスタは放置気味だったものの、写真投稿よりリールのほうが拡散されやすいとManaさんは見ています。
インスタからPodcastにどう来るのかっていったところはちょっと未知数ではあるんですよ。
インスタの場合、リールで知ってもらった後に、Spotifyなどのアプリで自分で検索して入ってきてもらう必要があります。Manaさんはこの動線を「ちょっと遠い」と表現しつつ、更新頻度を上げてアカウントを強くするために、リールの投稿も続けたいと話しています。
TikTokについては、以前ボードゲームの動画を流したときにYouTubeやインスタより反応が悪かったため、検討中としています。
Xはnoteとの親和性が高い一方、noteで満足してしまうユーザーも多いとManaさんは感じています。ポッドキャストのアナリティクスを見ても、noteを始めたことで視聴数が大きく伸びたわけではないそうです。そこでXにも切り抜き動画を実験的に投稿しますが、反応は「ちょっと微妙かな」と見込んでいます。
Manaさんの話をもとに、各投稿先の位置づけを整理すると次のようになります。
| 投稿先 | 期待していること | 懸念点 |
|---|---|---|
| YouTubeショート | 同じYouTube内でポッドキャストへ誘導できる | 特に言及なし |
| インスタのリール | 拡散されやすく、アカウント更新の頻度を上げられる | ポッドキャストまでの動線が遠い |
| TikTok | 検討中 | 以前ボードゲーム動画の反応が悪かった |
| X | 実験的に反応を見る | noteで満足する層が多く、反応は微妙かもしれない |
フロー型の動画はストック型の入り口になるか
Manaさんは切り抜き動画と並行して、YouTubeショートの伸ばし方も研究したいと話しています。何時に投稿すると反応がいいのか、アナリティクス上で視聴がどう伸びていくのかといった点です。
この研究は、自分のボードゲームのショート動画を作るときにも参考になるとManaさんは考えています。インフルエンサーに依頼するほうが強いとしつつも、頼ってばかりでは「お金がいくらあっても足りない」ため、ある程度は自分でできる力をつけたいといいます。
Manaさんはショート動画をフロー型 ── 投稿した時点での反応が勝負で、時間とともに流れていくタイプのコンテンツ。Xの投稿などが代表例ですのコンテンツと位置づけています。投稿してどれくらい再生されたかで終わる、基本的には垂れ流しのものになるという見立てです。
一方でnoteやポッドキャストはストック型 ── 蓄積されて後から読まれたり聞かれたりするタイプのコンテンツとして続けています。Manaさんの狙いは、フロー型のショート動画でストック型のコンテンツへの興味を引き出すことです。
投稿したときにどれだけ見てもらえるかが勝負。拡散や告知の役割を担う
積み重なっていくが、新規を呼び込むのは大変。興味を持った人の受け皿になる
情報発信はボードゲームの売上に効いているのか
Manaさんは、情報発信を続けると自分を覚えてくれる人が増えると考えています。新作を発表したとき、全く知らない人の作品より「この人見たことある」という人の作品のほうが興味を持たれやすいからです。
発表した時の刺さり具合っていったものは結構変わってくるのかなっていうふうには思っておりますと。なので、認知は取るだけ取っておいた方がいいと思います。
さらに作品が大ヒットすれば、それまでの情報発信の厚みや信頼度も高まり、相乗効果が生まれるとManaさんは見ています。逆に情報発信をしていなければ、作品が売れても作品単体で終わり、作者に人がつかないといいます。
ただしManaさんは、今の段階では情報発信がボードゲームの売上に貢献している実感は、肌感覚としてはあまりないと正直に話しています。
ふるさと納税の発表をすればふるさと納税が動く、自分のボードゲームの話をすればそのゲームが動く、という程度の変化はあるそうです。それでも大きく変わった印象はなく、発信していなくても通販は動き、ゲームマーケットまではXの告知でなんとかなっていたといいます。
Manaさんはポッドキャストを始めた最初の配信でも、始めた理由として信頼関係の構築や「誰から買うのか」を挙げていたそうです。走り続けなければならず積み重ならないフロー型の大変さもあり、積み重なるコンテンツとして情報発信を始めたと振り返っています。
試行錯誤を共有すればボードゲーム業界が盛り上がる?
ストック型だけでは新規を呼び込みにくいため、拡散や告知にはフロー型も必要だとManaさんは考えています。そのため、情報発信の方向性は「行ったり来たり」になっていると自ら認めています。
Manaさんは、その試行錯誤の結果もポッドキャストなどで共有するつもりだといいます。良さそうなら同じことをすればいいし、微妙なら避ければいい、という形で聞き手の役に立てると考えています。
Manaさんが描くのは、情報の共有がボードゲーム業界全体の盛り上がりにつながる循環です。
情報共有
試行錯誤の結果を発信し、作り手が参考にできるようにする
業界が盛り上がる
作り手の活動が活発になる
遊ぶユーザーが増える
新たにボードゲームを遊ぶ人が増える
市場規模が高まる
ユーザー増加がさらに業界を盛り上げる
Manaさんは自分のボードゲームを売りたい気持ちに加え、ボードゲーム業界を盛り上げたいという気持ちが強いからこそ、発信を頑張っていると話します。実際に、初めてゲームマーケットに出る人や初めてボードゲームを作る人から「参考になる」という声をもらっているそうです。
内容には自信がある一方で、あとはどれだけの人に知ってもらえるかが重要だとManaさんは考えています。コンテンツ作りやボードゲーム作りだけでなく、知ってもらうためのプロモーションにも取り組み、その経験値を本番のボードゲームのプロモーションにも生かしたいといいます。
いろいろとこのお話とかも参考にしつつ、自分ごとに転換をして、使えるところだけ使ってっていうような形で何かしら持ち帰っていただけたらな
ポッドキャストの切り抜きはショート動画に向いているのか
Manaさんは、ショート動画を始めるのはなかなか大変だろうとも見ています。YouTubeショートで頑張るインフルエンサーの話を聞くと、アルゴリズムや流行りが次々に変わっていくからです。
さらに今回のショート動画はポッドキャストをベースにしているため、チューニングがしにくいといいます。冒頭の数秒でキャッチーなフレーズを入れるといった、世に言われるセオリー通りの作り方ができないそうです。
(切り抜き動画では)こういったトピックについて話してるよっていう紹介しかできないと思います。
Manaさんによれば、ポッドキャストは20分ほどの話をじっくり聞く落ち着いたコンテンツで、興味関心を一気に引きつけるアテンションコンテンツとは性質が違います。そのため、ショート動画との親和性は基本的にあまり合致しないと考えています。
それでも、ボドゲの天下取りでボードゲームの話をしていると広く知られれば、ゆくゆくはポッドキャストも伸びていくのではないかとManaさんは期待しています。
ポッドキャストって、ほんと普段ポッドキャストを聞く人しかポッドキャスト聞かないんですね。
Manaさんは、ポッドキャストを聞く人口自体が増えないと相乗効果は出にくいとも話しています。しかもポッドキャストを聞く人はショート動画を見ないことが多く、真逆のコンテンツである点が難しいところだといいます。
まだ何もわからない段階ですが、やってみてわかったことは順次発信していくとして、Manaさんはリスナーに温かく見守ってほしいと呼びかけています。
まとめ
ボドゲの天下取りのManaさんは、拡散しにくいポッドキャストの認知を広げるため、Podyの切り抜き機能を使ったショート動画を始めました。フロー型の動画をストック型のポッドキャストやnoteへの入り口にし、その試行錯誤も共有しながら、ボードゲーム業界の盛り上がりにつなげたいと考えています。
- ポッドキャストは熱量やニュアンスが伝わる一方、検索以外の流入が少なく拡散しにくい
- Podyの新機能は話の内容を図式化して切り抜き動画にでき、Manaさんはまずこれを試すことにした
- 投稿先はYouTubeショートを軸に、インスタのリールやXでも反応を見る
- 情報発信が売上に直結している実感はまだないが、作品がヒットしたときに信頼が積み上がる受け皿になると考えている
- ポッドキャストとショート動画は性質が真逆で、切り抜きがどこまで刺さるかは未知数とされている







