ネットの委託販売を、即売会でできないか?
この回でManaさんが語るのは、全国のボードゲーム即売会で作品を委託販売できる仕組み、「全国委託販売ネットワーク」というアイデアです。今動いている事業ではなく、Manaさんが思いついた企画として、どんな問題がありどう解決できるかを考える内容になっています。
Manaさんによれば、委託販売とは、作者が自分の作ったボードゲームを企業などに預けて代わりに売ってもらい、売れたら代金が支払われる販売形態です。買い取って売るのではなく、倉庫に預けて売れたら支払われる形は、通販ではかなり一般的だといいます。
ある意味Amazonとかも結構それに近いような形態なのかなっていうふうには思いますね。
Manaさんは委託販売を「売り場の提供」だと整理します。実店舗では限られた売り場面積で何を置くかが問題になりますが、ECサイトはデータの世界なので、何点でも掲載できます。
そのうえでManaさんが考えたのが、この委託販売のオフライン版です。ここでいうオフラインは実店舗ではなく、ボードゲームの即売会を指しています。
出たくても出られない作者、行きたくても行けない買い手
Manaさんは、ボードゲームの即売会が日本全国で増えていることを挙げます。ゲームマーケット ── 日本最大級のアナログゲームの即売会。東京や大阪などで開催され、個人サークルから企業まで多くの出展者が新作を頒布しますだけでなく、BGBE、ラクイチラクイチ、札幌卓ゲット札幌卓ゲットなど、各地でイベントが開かれています。
一方で、作者が全国のイベントに出展するのは簡単ではありません。移動の費用がかかり、普段は仕事をしているので日程的にも全国を飛び回る時間はない、という人もいるはずだとManaさんは話します。
買い手の側にも同じ壁があります。関東の人はゲームマーケットにしか行かない、関西の人はBGBEにしか行かないというように、近場の即売会だけに参加する人は多く、北海道や沖縄の人が遠方まで買いに行くのはハードルが高いといいます。
遠方の人は通販で買うしかありませんが、多くの作品はゲームマーケットで完売して通販をしなかったり、あっても売れ残りがわずかだったりします。Manaさんは在庫の少なさも問題の1つとしつつ、一番大きいのは作者がイベントに出展できないことだと見ています。
まずそもそも商品が置かれていないっていうところ、これを何か解決できたら面白いんじゃないのかなっていう風に考えて。
作品をイベントからイベントへ運ぶリレーの発想
Manaさんの解決策は、全国のイベントすべてに出展できるサークルがあると仮定し、そのサークルが各地のボードゲームの委託販売を受け付けるというものです。地方のイベントでも、ゲームマーケットにしか出ていなかった作者の作品を買えるようになります。
Manaさんが理想に挙げるのは、各イベントの主催者同士が提携する形です。ある会場で次のイベントに出したい作者を募り、その場で在庫を受け取って次の会場へ持っていく、という流れを順繰りに回していきます。
募集
ゲームマーケットなどの会場で、次のイベントで売りたい作者を募る
預かり
その場で作者から在庫を受け取る
販売
次の地方イベントで、預かった作品を販売する
再募集
その会場で、さらに次のイベントに出したい地元の作者から預かる
この形なら、地方のイベントにしか出展できない作者の作品も、次のエリアへと運ばれていきます。買いたい人も売りたい人も全国にいるという前提で、イベントを通じて作品を回していくイメージです。
Manaさんがこの発想を得たのは、大きなお祭りの飾りが持ち回られる様子からでした。青森の方の七夕祭りで使われた大きな飾りが、一度で終わらせるのはもったいないとして南へ順に移動し、Manaさんの地元でも飾られることがあるといいます。
そういう風に持ち回っていくよっていうようなスタイル。それを見ていて、ちょっとボードゲームとかにも活用できるんじゃないのかなとも少し思いました。
主催者の負担とイベント規約という壁
ただし、主催者が担うには負担が大きいとManaさんは認めます。大量のボードゲームを預かれば管理が大変になり、リスクやトラブルの元にもなりかねません。
そこでManaさんは、出展者側が担う案も挙げます。ゲームマーケットには中古品を大量に売るようなボードゲーム店も出展しており、そうした企業が作品を預かって全国のイベントに出展すれば、委託販売に近いことができるのではないかという考えです。
Manaさん自身、このアイデアを以前から温めており、まず自分のサークルでゲームマーケットに他の作品を受け付けられないか調べたこともあります。しかし共同出展にはイベントの規約上の制限があり、断念したといいます。
規約には、売上分配や出展料の分割はサークルの自己責任で、と書かれていたそうです。Manaさんは、完全に自己責任なら大量に扱っても問題ないのではと感じつつも、何か懸念があっての制限なのだろうと推し量り、詳しい人にコメントを求めています。
対照的な例として挙げるのが、コミケ ── コミックマーケットの略称。同人誌などを扱う日本最大級の同人誌即売会で、年2回東京で開かれていますです。コミケには委託販売の文化があり、イベントごとに委託販売のエリアがあって、好きなものを選んでまとめて会計できるのが一般的だそうです。
実物を手に取れることの価値と、課題への向き合い方
Manaさんは、作者がその場にいなくても、即売会で作品が売られていること自体に強みがあると考えています。その理由は、実物に触れられることです。
問屋さん経由して全国流通をしている作品じゃなければですね、なかなか遠方から欲しいなって思っても、実際に手に取って質感ですとか重みですとかサイズ感ですとか、そういったものを確認する機会ってなかなかないと思うんですね。
イベントで売られていれば手に取れますし、試遊が許可されていればその場で遊ぶこともできます。インストできる人がいない点は悩ましいとしつつ、Manaさんはそこに物があるだけで十分な価値になると話します。地方で売れていなかった作品も売れ、地方の買い手も買いやすくなるといいます。
Manaさんはこの構想を、まだ妄想や空想のレベルだとしながらも、問題があるなら解決に動こうという提言として発信しています。もちろん課題は多く、Manaさん自身が次のような点を挙げています。
- お金の管理をどうするか
- 不良品や破損があったときにどうするか
- 宣伝したい作者向けに何か用意するか
- 作品を大量に扱うときの優劣をどうするか
それでもManaさんは、やる理由は「盛り上がりそうだから」の一点だとし、何ができて何ができないのか、実現するにはどうすればよいかに頭を使いたいと話します。協力してくれる人や、実現のための意見・問題点の指摘を広く募り、進捗も発信していくとしています。
まとめ
全国委託販売ネットワークは、遠方の即売会に出展できない作者と、遠くまで買いに行けない買い手をつなぐために、作品をイベントからイベントへ運んで委託販売するというManaさんの構想です。主催者の負担や規約上の制限といった壁はあるものの、実物を手に取れる場を全国に広げる価値は大きいと語られました。
- ボードゲーム即売会は全国で増えているが、作者の出展にも買い手の参加にも距離と日程の壁がある
- 七夕飾りの持ち回りに着想を得て、各会場で作品を預かり次のイベントへ運ぶリレー型の委託販売が提案された
- イベント規約の共同出展制限や管理リスクが壁で、コミケの委託販売文化が参考例として挙げられた
- 作者が不在でも、実物に触れられること自体が大きな価値になるとManaさんは考えている
- 課題は多いが、盛り上がりそうだからという理由で、実現に向けた意見と協力を呼びかけている


