「苦手克服」がテーマなのに、克服した話はゼロ?
笠原さんは国語の教員です。それにもかかわらず、本を読むのが苦手だと冒頭で打ち明けます。学会誌や国語の雑誌は、半年分ほどまともに読めないまま溜まっているそうです。
国語の教員をしているくせに、自分は本を読むのが苦手なんですよ。
この回の目的は、再来週から始まる第4回「教育系ポッドキャストの日」の告知です。共通テーマは「苦手克服」に設定されました。ところが笠原さん自身の苦手を整理してみると、克服できたものが1つもなかったといいます。
自分の苦手を改めて挙げて整理してみたら、「どれ一つ克服できてねえじゃん」みたいな形になったんですよ。
笠原さんは、テーマを見た配信者が「克服した話なんて自分にはない」と参加をためらうのはもったいないと考えています。そこで主催者の自分から先に、克服できていない苦手を白状することにしました。
収録日はスポーツの日で、3連休の最終日でした。次の単元ではいよいよ生徒にポッドキャストを作ってもらう予定で、笠原さんは国語の教科書にポッドキャストを載せたいという思いから準備を進めています。
紙でも電子書籍でも目が滑る読書の悩み
笠原さんは、暇ができたから本を読むタイプではありません。勉強のために読まなければいけないと自分に強制して、ようやく本を手に取るといいます。
勉強のために読まなきゃいけないと自分に強制して、ようやく本を手に取るかなという、そういうタイプですね。追い込まれないと全然読めないんですよ。
大学院時代は、本を読むことが研究そのものだったため、ひたすら読んでいたそうです。今も国語科の教員として文章を扱うので、読むこと自体は「こなせる」スキルとして持っています。
ただ、前向きに楽しく読めているかというと微妙だと笠原さんは話します。好きな作者のシリーズでもない限り、手当たり次第に読むランダムな読書には向かないといいます。
笠原さんが本に集中できない理由の1つは、紙面を見ているうちに目がチカチカしてくることです。行間で光が反射するような感覚や、文字と文字の間の落ち着かなさが気になり、1ページ半ほどで集中力が切れてしまうそうです。
チカチカし出すと、もうそっちばかりが気になってしまって、全然集中して本って読めないんですね。
電子書籍に切り替えても、笠原さんの場合は目が滑ってしまいます。一方で、タブレットでの漫画やパソコンでの仕事は平気だといいます。
紙の本、電子書籍の文章。本の縦書きの行間で文字がチラついて集中できない
タブレットの漫画、パソコンでの仕事。画面そのものがダメなわけではない
溜まった学会誌と雑誌は床に積まれ、30センチほどの高さになっています。漫画も、この1か月半ほどはマガジンポケットやジャンププラスで読みたい作品があっても、気が散って読めていないそうです。
来年イベントがあるため封神演義を読み始めたものの、電子書籍で数ページ読んではやめてしまう状態です。笠原さんはここ数年、本を読む行為と根本的に相性が悪いと感じているといいます。
ウェビナーをリアルタイムで聞けないのはなぜ?
本だけでなく、オンライン講座も笠原さんの苦手の1つです。現在受講している生成AI関係の講座は、11月末ごろまで週に2時間ずつある形式ですが、リアルタイムで参加するやる気が出ないといいます。
ウェビナー形式なので、正直なところまあサボれちゃうんですよ。
リアルタイムで入っても、ウェビナーはながら作業になりがちです。笠原さんはウェビナーを流しながら、別の論文やニュースを読んだり、自分の記事を書いたりしているそうです。
床に積んだ学会誌は読めないのに、ウェビナーを流しながら別の論文は読んでるみたいな形で、時間の使い方としては完全に矛盾してバグってますね。
しかもその講座は毎回アーカイブが配信され、リアルタイムで受ける義務もありません。アーカイブなら2倍速、いけるなら3倍速で聞けるため、笠原さんはそちらを選んでしまいます。普段からポッドキャストも2.5倍速で聴いているので、内容は頭に入っているつもりだといいます。
笠原さんにとっては、まず全体を流して構造をつかみ、必要なところに戻って理解するほうが早いそうです。逆に、話の構造やゴールが見えないまま思いつきで話されると、最後まで集中できません。
ただし、オンラインそのものが苦手なわけではありません。国語関係の研究会のオンライン勉強会には、ちゃんとモチベーションを持って参加しているといいます。
聞いているだけで済み、アーカイブもあるため、リアルタイム参加の意欲が湧かない
人と話すことや、その場でコメントする力に価値を感じ、リアルタイムで参加できる
笠原さんの見立てでは、オンラインかどうかではなく、その場で自分が喋る側に回るかどうかでモチベーションが分かれています。そのうえで、本質は自分が怠惰なところにあると話しています。
手書きはなぜ「コミュニケーションに支障を来す」ほど嫌なのか
次に笠原さんが挙げる苦手は、紙での管理です。提出物は原則デジタルで集め、紙のプリントも集めたくないといいます。
もう定期考査の答案、絶対紙でやってくるじゃないですか。もう早くデジタル化して自分の手元に答案を持つことがないようにしてほしいと思ってますね。
さらに嫌なのが手書きです。笠原さんは、やっても成果が出ないとわかっているので、先回りしてやる気が出なくなっているといいます。その根っこには、子どもの頃から手書きでろくな目に遭っていない経験があります。
小学校の連絡帳について、笠原さんは教員から嫌になるほどいろいろ言われたそうです。書かないほうがマシだと思って出さずにいると、今度は出さないことであれこれ言われました。
人から手書きについてあれこれ言われて矯正されるのが、もうとにかくトラウマレベルで嫌なわけですね。
手書きで丁寧にやりなさいと言われると、こっちはもう真面目にやってんだよって本当にムカッとくるわけです。
言われた通りに手書きで出しても、書いたものにコメントが付くことにも笠原さんは苛立つといいます。今でも手書きを強要される書類には、判別不能なレベルの字で「塩対応」してしまうそうです。
本気で丁寧に書いても判別不能と言われるだけの字なので、受け取る側からすると塩対応でも本気でも大差ないのかもしれないですけどね。
一方で、笠原さんは周りに迷惑をかけないようにはしていて、板書の手書きも善処しているといいます。書道も、自分でやるのは絶対に嫌ですが、良い書や書く人の様子には芸術的な美しさを感じるそうです。
笠原さんは、静かに書と向き合う時間を、先週の回で話した「絵を15分眺める」時間に似ていると話します。そして、やりたくないことをやってもパフォーマンスが出ない代表例が、自分にとっては手書きだとまとめています。
苦手と向き合うとは、自分で決めること
苦手を並べてきた笠原さんは、やらなくていいことを後回しにしている自分を、不健全かもしれないと認めます。ただ、特に手書きについては意地をこじらせていて、誰に何を言われても苛立つため、改善の可能性はほとんど閉じているといいます。
そのうえで笠原さんは、苦手なことと向き合うことと、人から苦手を改善しろと言われることは、まったく次元の違う話だと区別します。
笠原さんにとって苦手と向き合うとは、メタ認知 ── 自分の考え方や行動を、一段上から客観的に捉えて把握する力のこと。学習や自己調整の文脈でよく使われる言葉ですを発揮して自分を把握し、やるべきことを自分で決めることです。自分が選んだことと、その結果への責任を引き受けることだとも話しています。
笠原さんは、この回で挙げた苦手それぞれについて、自分で選んだやり方を振り返ります。
| 苦手 | 笠原さんが選んでいるやり方 |
|---|---|
| 読書 | 勉強のために自分で自分に強制して読む |
| ウェビナー | 一度は流して聞き、必要なところは何度も確認する |
| 紙の提出物 | 紙で集めず、デジタルで集める工夫をする |
| 手書き | できる限り排除する |
苦手なものでも、他人の楽しみ方は愉快
笠原さんは、苦手について人の話を聞く気がないわけではないと補足します。自分の苦手に関して影響される気はないものの、人がそれを楽しそうに語るのを聞くことは勉強になるといいます。
他人の楽しみって、まあ見ていて結構愉快なものだなって思うわけですよ。
たとえば笠原さんは、スポーツ観戦の趣味がほとんどありません。プロ野球の千葉ロッテはちゃんと見ているものの、WBCや甲子園にはまったく興味がなく、自分でやっていた陸上競技も3分ほどで飽きてしまうそうです。
それでも、スポーツの話で盛り上がる生徒の様子は微笑ましいと笠原さんは話します。細かいところまでよく見ていて、見るべきポイントを自分なりに持っていることに感心するといいます。
面白さや価値がわかれば試してみる気になるかもしれない、と笠原さんは考えます。ただ、自分一人ではなかなかやる気が湧かないので、試すかどうかを決めるのもやはり自分自身なのだろうと話しています。
「克服する気がない話」でも参加できる教育系ポッドキャストの日
笠原さんは、教育系ポッドキャストの日では、苦手の楽しみ方でも付き合い方でも自由に語ってほしいと呼びかけます。克服した成功談がなくても大丈夫だというのが、この回で一番伝えたかったことです。
今まさに苦手と格闘中の話でも、苦手の克服は諦めて別の武器を磨いたみたいな話でも全然構わないです。
今日の自分みたいにそもそも克服する気がないみたいな話でももちろんありですから、ぜひ皆様の参加をお待ちしています。
第4回教育系ポッドキャストの日は、10月26日の月曜日から11月1日の日曜日まで開催されます。勉強、仕事、人付き合い、早起きや片付けなど、誰にでもある苦手が題材です。
10月の終わりは推薦入試や総合型選抜の本番時期にも重なります。笠原さんは、受験で苦手科目とどう向き合ったかという話を、受験生へのエールとして寄せてもらうことも歓迎しています。
配信はポッドキャストでもVoicyでもよく、5〜10分のショートトークから何時間もの雑談回までスタイルは自由です。参加方法は次の通りです。
参加表明した番組は、笠原さんがまとめて紹介する予定です。配信していない人も、ハッシュタグで参加番組を探して聴き、その番組に感想を送ってほしいと呼びかけています。
笠原さん自身の本番回は10月26日配信で、国語の苦手の話をする予定です。この回の苦手の話は「まあ愚痴ですね」と笑いながら締めくくられました。
まとめ
国語教員の笠原さんは、読書、ウェビナー、紙の管理、手書きと、どれも克服できていない苦手を白状しました。そのうえで、苦手との向き合い方は、他人に直されることではなく、自分で把握し、どうするかを自分で決めることだと語っています。
- 紙でも電子書籍でも行間のチラつきで集中できず、本は自分に強制して読んでいる
- ウェビナーは聞くだけで済むと意欲が湧かず、喋る側に回れる場では参加できる
- 手書きは子ども時代の経験から、指図されるほど意地になるほど嫌いになった
- 苦手と向き合うとは、克服ではなく自分で決めて結果の責任を引き受けること
- 第4回教育系ポッドキャストの日は、克服していない苦手の話でも参加できる




