単純接触効果とは?違う場所で3回聞いた曲が気になる理由
Manaさんは、自作のボードゲームをできるだけ多くの人に遊んでもらいたいと考えています。広く認知され、買われ、遊ばれるところまで考えると、マーケティングを意識せざるを得ないといいます。
この回でManaさんが取り上げるのは、単純接触効果 ── 同じ人や物に繰り返し触れるだけで、その対象への好感度が高まりやすくなるという心理現象。心理学者ザイアンスの研究で知られますです。ザイオンス効果やザイアンスの法則とも呼ばれます。
Manaさんの説明では、単純接触効果とは、同じ人や物、音楽などに繰り返し接触することで親近感が生まれ、好感度が高まって印象が良くなっていく現象です。
Manaさんは音楽を例に挙げ、ポイントは「違う場所で」聞くことだと話します。ラジオ、テレビCM、街中の有線、友達の車と、違う場面で3回ほど聞くと、ようやく曲が気になり始めるそうです。
違うところで3回ぐらい聞くと、あ、これ何の曲なんだろう?だとか、やっとそこから認知をされ始めて。
1〜3回目
ラジオ、テレビ、有線など違う場面で耳にし、何の曲か気になり始める
4〜5回目
「どこかで聞いたことある」と意識し始める
その後
親近感が湧き、流行っているのかなと感じて好きになっていく
Manaさんによると、単純接触効果は対象と接触している回数が重要だという考え方です。Manaさんは、これがボードゲームにもかなり有効だと考えています。
作者の「この作品です」だけでは足りない?
Manaさんは、自分のゲームを広めるときも、自分がボードゲームを買うときも、どこで認知してどのタイミングで欲しくなったかを振り返ると、単純接触効果が効いていると話します。
ボードゲームの情報収集は、多くの人がXで行っているとManaさんは見ています。タイムラインに流れてくること自体が、認知の入り口になります。
ただし、作者自身が「この作品です」と発信し続けるだけでは一方通行で、接触の形も1種類になります。Manaさんは、これでは単純接触効果に大きくはつながらないと考えています。
作者がこのボードゲームいいですよってひたすら発信しているだけではちょっと不十分だなと思っております。
Manaさんが効果的だと挙げるのは、X内でも角度の違う接触です。第三者のプレイ報告、ボードゲーム会の「今日遊んだもの」の投稿、ボドゲ棚の自慢写真、コンテストや賞、アンケート結果などで見かけることが、認知につながるといいます。
「この作品です」と1種類の形で流れるだけで、接触効果はあまり大きくない
プレイ報告、ボードゲーム会の報告、ボドゲ棚、賞やアンケート結果など、第三者の声で繰り返し見かける
広告扱いで目が滑る投稿から、どう抜け出すか
Manaさんは、ただ適当に流しているだけの投稿は広告のような扱いになり、目が滑って認知につながらないと指摘します。X上に流れる広告の中身を覚えている人がほとんどいないのと同じ状態です。
そこでManaさんが勧めるのは、いろいろな角度から接触してもらうことです。X内のバリエーションだけでなく、Xの外での接触もあるとさらに良いといいます。
Manaさんが挙げる例は、Xで見たうえで、テストプレイ会で実物を見た、友達の家で見かけた、店頭で見かけたという重なりです。別のシーンで見かけるほど、単純接触効果は高まっていきます。
オンラインでもプラットフォームが違えば効果は高まるとManaさんは話します。Xで見かけ、YouTubeで見かけ、インスタで見かけると、「この間Xであったやつだ」と気づくきっかけになります。
- テストプレイ会や友達の家、店頭などのオフラインの場
- YouTuberによる紹介
- VTuberのライブ配信
- インスタなど別のSNS
親近感だけでは買われない?認知とクロージングの役割分担
Manaさんは、単純接触効果が直接購買につながるかというと、それは弱いと認めています。単純接触効果はあくまで親近感や好感を高める方法であり、購入に至るかどうかは別の段階だといいます。
購入の段階で必要になるのが、接客や案内にあたるクロージング ── 営業やマーケティングで、検討中の相手を購入や契約の決定まで導く最終段階のことです。ブログの紹介記事やYouTubeのプレイ動画など、内容をきちんと説明するものがこれにあたります。
ただ、いきなりそうした説明コンテンツを見るのは、面白いボードゲームを自分で探している人に限られます。YouTubeでサムネイルが流れてきたとき、クリックしたくなるかどうかに単純接触効果が効いてくる、とManaさんは説明します。
全然好感とか興味がないものってなかなか押してもらえないと思いますので、まず好意が思っている興味があるっていう前提がやっぱり必要です。
単純接触
違う場所で繰り返し目に触れ、親近感や好感が生まれる
興味
サムネイルや紹介記事を見てみようと思う
クロージング
プレイ動画や詳細なルール説明を見て、良いと思ったら購入する
ゲームマーケットで勝負を分ける「なんか見たことある」
Manaさんは、オフラインのクロージングの場として、ゲームマーケットのような即売会が重要だと話します。即売会の前に宣伝合戦が起きるのも、そのためです。
ゲームマーケットにはサークルが多く、全部を見て回る時間は足りません。事前に決めていた購入を終えたあとは、歩きながら気になるブースに入っていく形になるとManaさんは見ています。
目移りする会場で目立つのは難しいものの、よく見かけるゲームが並んでいれば話は変わります。内容を知らなくても、YouTubeやX、インスタ、テストプレイ会の報告で見た気がするだけで、興味が湧くといいます。
なんか見たことあるっていうものが並んでいるだけで、ちょっと興味が湧きませんか?湧くはずなんですね。
ブースの飾りやパッケージ、呼び込みの話術が優れていれば人を呼べるかもしれません。それでも遠目から近寄ってもらうには、見たことあるかどうかが勝負になるとManaさんは強調します。
近寄った人ほど買ってくれる?売り込まないプロモーション
Manaさんによると、単純接触効果はブースに近寄ってもらうだけでなく、近寄った人の購入率も左右します。接触効果が高められている人ほど、購入に至る率が高いといいます。
もうはじめましての状態ではなくて、そもそも好意的なんですよ。もう慣れ親しんでいる、もう目が慣れている。
宣伝やプロモーションは売り込みだと思われがちで、ガツガツしていると思われたくないという抵抗感もあります。Manaさんはその気持ちはよくわかるとしたうえで、そうした抵抗感が指しているのは作者自らの「面白いです、買ってください」というアプローチだと整理します。
単純接触効果を使ったプロモーションでは、売り込みはさほど重要ではなく、むしろやらないほうがいいかもしれないとManaさんは話します。大事なのは、知ってもらうよりもさらに前の段階として、まずは目に触れさせることです。
逆に、ガツガツしすぎると情報ではなく広告や押し売りのように見えてしまいます。Manaさんは、せっかく高まった好意が一気にゼロ、むしろマイナスになるとして、信頼関係を積み重ねる意識を勧めています。
繰り返しの接触で少しずつ好意的になっている
押し売りに見えた瞬間に嫌悪感が生まれ、好意がゼロ、むしろマイナスになる
Manaさんの日々のXやnoteは、何のための発信なのか
Manaさん自身は、ゲームマーケットに出られなかったため最近は通販に向けた商品の宣伝もしています。それでも、日々のXやnote、ポッドキャストでの活動は、売り込みよりも単純接触効果と認知のために行っているといいます。
ManaさんがXで投稿しているのは「私の作品どう?」ではなく、考察や意見、ゲームマーケットのデータをまとめた情報などです。かなりの数を発信しているため、ボードゲーム界隈ではManaさんの星のマークのアイコンを見たことがある人は多いはずだと話します。
Manaさんの狙いは、何かのきっかけで「よく見るアカウントだ」と思ってもらうことです。そこにnoteやポッドキャストで長めの情報や思いを届けると親密感が増し、役に立ったと感じてもらえれば感謝の気持ちも生まれるといいます。
ゲームマーケットは年2回で、全国の即売会に全部出るのも難しいものです。だからこそManaさんは、日頃から接触効果を高めておき、頒布のタイミングで効果を発揮させることを狙っています。
この配信自体も、宣伝がうまくいかない人や、宣伝したくないのに宣伝しないと売れないのかと悩む人に向けたものだとManaさんは話します。伝えたいのは、無理をしなくていい、押し付けなくていいというメッセージです。
料理の写真に自作ボードゲームを写す投稿の狙いとは?
Manaさんは、食事やお出かけの写真に自作のボードゲームを一緒に写して投稿する作者も多いと紹介します。作品に一言も触れていなくても、写真を見た人はパッケージを目にしているので、それも単純接触効果になります。
こうした日常の些細な接触が繰り返されると、販売時にも効果があり、ボードゲーム会で見かけたときに「これ有名なやつだよね、やろうよ」という流れにもつながるとManaさんは話します。そう考えてXの投稿を見ると、作者たちの狙いが見えて面白いといいます。
Manaさんは、今回の単純接触効果の考え方には自身なりのアレンジも入っていると断っています。セオリーを押さえつつ、自分の商材に合うやり方や、どこに注力しどこで手を抜くかのバランスを、反応を見ながら探っていくことが大事だと締めくくりました。
まとめ
Manaさんが語る単純接触効果のプロモーションは、売り込みではなく、さまざまな場所で繰り返し目に触れてもらうことに重点を置く考え方です。日頃の接触が「なんか見たことある」を生み、ゲームマーケットなどのクロージングの場で選ばれる土台になります。
- 単純接触効果は、違う場所での繰り返しの接触で親近感や好感が高まる現象
- 作者の一方通行の発信より、プレイ報告やYouTube、テストプレイ会など角度の違う接触が効く
- 接触は購入そのものではなく、クロージングに入る前の土台をつくる
- 即売会では「なんか見たことある」が、近寄ってもらえるかと購入率の両方を左右する
- ガツガツした売り込みは押し売りに見え、積み上げた好意をマイナスにしかねない







