番組リニューアルと、35歳で起業した井上さんの実感
『41歳楽しいラジオ』は、41歳の井上博基さんが毎日を楽しむために意識している習慣や行動を発信する番組です。前回、初めてのゲストを迎えて配信を再開したところ、多くの人に聴かれ、反響もあったといいます。
復活後2回目となるこの回では、番組のアートワークも変わりました。井上さんはキャンプが好きでキャンプモチーフにしていましたが、最近バスケットボールのモチーフに変更したそうです。
この回のテーマは「起業すると楽しい」です。井上さんは6年前、35歳のときに起業し、大変なこともありつつ、基本的にはずっと楽しく過ごしてきたと振り返ります。
(起業してから)人生の充実度もすごく上がっているなぁという気がしていて。
井上さんによれば、起業は人生の大きく難しいイベントだと思われがちです。しかし実際には、人生を楽しくするための1つのアプローチになりうると考えています。
起業は本当にハイリスクなのか?
独立や起業と聞くと、多くの人は難しいもの、リスクのあるものという印象を持つかもしれません。井上さんは、正社員と比べたときに挙がりやすい不安として、次のようなものを挙げます。
- 毎月の安定した給料がなくなる
- 税金や社会保険の面倒な手続きを自分でやる必要がある
- 失敗すると大きな借金を抱えるかもしれない
特に35歳や40歳ぐらいで独立を考えると、家族や住宅ローンなど気になるものが増えます。井上さんは、起業したくてもリスクを取れないと感じるのは自然なことだとしています。
一方で井上さんは、今は起業の環境が変わってきていると話します。便利なサービスやAIを使って効率的に仕事ができるようになったうえ、会社側の姿勢も変わってきたからです。
特にコロナ以降、副業人材や業務委託人材を積極的に活用する会社が増えてきたといいます。以前の「社員が必須」という雰囲気から変わってきており、こうした会社とつながればリスクを大きく下げられる、というのが井上さんの見立てです。
社員が必須という雰囲気が強かった
コロナ以降、副業人材や業務委託人材を積極的に活用する会社が増えた
まずは地味に、毎月の仕事を獲得するところから
起業というと、オフィスを借りる、人を採用する、銀行から借り入れたり資金調達したりして大きなサービスを作る、といったイメージを持つ人もいます。井上さんがすすめるのは逆で、とにかく小さく始めることです。
井上さんが挙げる具体的な最初の一歩は、副業や業務委託を募集している企業を探し、毎月の仕事を獲得することです。こうした企業はIT業界に多く、最近では非IT業界にも増えてきているといいます。
ちょっと地味な始め方なんですけれども、そこを最初にやるというのがすごく良いかなというふうに思っております。
井上さんの起業の進め方は、まず安定的な売上を確保し、リスクを徹底的に抑えてから広げていくというものです。
仕事探しはスタートアップの採用系サービスで
仕事を探す手段について、井上さんは大手企業が運営するフリーランス・業務委託の紹介サービスもたくさんあるとしつつ、スタートアップ企業が運営する採用系サービスを個人的にすすめています。例として挙げたのはWantedly ── 企業と求職者をつなぐビジネスSNS型の採用サービス。会社の雰囲気や仕事内容を前面に出した募集が特徴です、ユートラストYOUTRUST、カジュアル面談のピッタPittaです。
スタートアップの採用系サービスをすすめる理由は、そこに登録している企業の性質にあります。登録しているのはスタートアップや、最近ではメガベンチャーなど、新しいサービスで人を募集しようとする会社です。
井上さんによれば、こうした会社はカルチャーが柔軟で、業務委託や副業人材を社員と変わらないように受け入れる土壌がある会社が多いといいます。そのため、起業してすぐの頃に持続的な契約や安定的な売上を作りやすいと考えています。
一方で、そうしたカルチャーがない大手企業やレガシーな企業では、業務委託の仕事がプロジェクト単位のスポット契約になりがちです。会社にもよるものの、プロジェクトが終わったり一定期間が過ぎたりすると契約終了になる可能性があり、売上が安定しにくいと井上さんは話します。
スタートアップやメガベンチャーなど。副業・業務委託人材を社員と変わらず受け入れ、持続的な契約になりやすい
プロジェクト単位のスポット契約になりやすく、終了や期間満了で契約が切れ、売上が安定しにくい
そのため井上さんは、副業・業務委託人材を柔軟に受け入れる企業と長く付き合い、そうした企業2、3社から仕事を受けることをすすめます。これが、安定的な売上という基盤づくりになるといいます。
売上が安定すると、人生の選択肢が増える
井上さんは、売上が安定していることをとても重要だと考えています。お金が安定するだけでなく、精神的にも焦りがなくなり、自分の中にいろいろな選択肢が出てくるからです。
具体的には、ワクワクすることや面白いと思うことに挑戦しやすくなり、新しい仕事やプロジェクトにも少しリスクを取って挑めるようになるといいます。
自分の人生の時間とか、自分の人生の選択みたいなものをしっかりと自分で選べる、握っているみたいな感覚になるなというところがあるので。
井上さんは、会社員でも工夫次第で働く時間を調整したり新しいことをしたりはできるとしています。ただ、社員にはどうしても会社や組織のルールがあり、起業すると自由に設計できる時間が大きく増えるといいます。
起業した井上さんが柔軟に設計できるものとして挙げるのは、起きる時間、働く時間、家族と過ごす時間、誰とどんな仕事をするか、どのプロジェクトに自分のリソースを割くか、です。
売上や報酬を上げたければ仕事を増やし、家族や趣味の時間を確保したければ仕事をセーブすることもできます。井上さんは、こうした選択肢の多さが起業の良さだと話します。
独立して初めて見えた「社会との接続」
独立してわかった、起業のもう1つの良さとして井上さんが挙げるのが「社会との接続が見えやすくなる」ことです。
会社員の頃は、会社という大きな仕組みの中で仕事をしていました。営業が仕事を取り、経理が請求し、法務が契約書をチェックし、総務が手続きをするというように、さまざまな役割の人が仕事を担って会社が成り立っています。
一方、自分だけで会社をやっていく場合、会社の登記、口座の開設、Misoca ── 請求書や見積書をオンラインで作成・送付できるクラウドサービス。個人事業主や小規模事業者に広く使われていますやfreee ── 会計や請求書作成、確定申告などをオンラインで行えるクラウドサービス。中小企業や個人事業主向けに提供されていますなどのサービスでの請求書作成、税理士への相談、契約書の確認まで、すべて自分でやることになります。
会社員時代は、営業・経理・法務・総務など、どこかの部署の誰かが担ってくれていた
独立後は、登記・口座開設・請求書作成・契約書確認などを全部自分でやる
井上さんは、それまで他部署がやってくれていた業務を自分でこなすことで、会社と社会のつながりがかなりクリアに見えてくるといいます。こうした学びも、起業の面白いところだと考えています。
地味な起業でも、生成AI時代は大きなアップサイドを狙える
ここまでの話だと、起業がせせこましく、フリーランスとあまり変わらないように聞こえるかもしれない、と井上さん自身も認めます。何十億円も資金調達して社員をどんどん採用する華やかなスタートアップと比べると、地味さはあるといいます。
それでも井上さんは、今の時代ならアップサイドを狙えると考えています。生成AIによって、誰でもプロダクトやサービスを作ってリリースできる時代になってきたからです。
安定を築く
業務委託などで売上を作る
作って試す
空いたリソースでプロダクトやコンテンツをゼロから作り、いくつも世に出す
見極める
可能性があり数字が出そうなものを見つける
グロース
見つけたものにリソースを割いて伸ばす
井上さんが起業した6年前は、今ほどAIがなかった時代でした。外部に委託して数百万円をかけてサービスを開発し、大コケすることも結構経験してきたといいます。
今はリスクやコストを抑えて挑戦できると井上さんは話します。AIを活用すれば、あまりリスクを取らずにプロダクトが月100万円、200万円を稼ぐこともありうるし、さらにうまくいけばサービスを別の会社に数億円で売ることもありうる、という見立てです。
怖いと感じる人が、まず確かめておきたいこと
井上さんは念のためとして、起業は誰にでも絶対おすすめできるものではないと付け加えます。会社員のほうが向いている人や、組織の中で楽しく働いている人は、起業する必要はないと考えています。
一方で、独立や起業をしてみたいけれどリスクが怖いと思っている人には、いきなり会社を辞めるのではなく、正社員のまま副業として業務委託サービスを使い、本業以外でどれぐらい売上を作れるか試すことをすすめています。
井上さんは、売上だけでなくコストの解像度を上げることも大事だといいます。自分や家族の生活費が今どれくらいかかり、最低限どれくらいの収入が必要かを数字で具体化すると、意外とこれぐらい稼げば生活していけるという目安が見えてくるそうです。
そういったところ(必要な収入の数字)をまず一歩目として確認してみるというのも良いのかなというふうに思っております。
まとめ
井上博基さんは、起業を大きなリスクを伴う一大決心ではなく、小さく始めて安定を築き、人生の選択肢を広げる手段として語りました。副業・業務委託を柔軟に受け入れる会社とつながり、生成AIを活用すれば、リスクを抑えながら挑戦できる時代になっているというのが、この回の中心的な考えです。
- 起業は小さく始め、まずは副業・業務委託で毎月の安定した売上を作るのがおすすめ
- 仕事探しには、柔軟な文化を持つ会社が集まるスタートアップの採用系サービスが向いている
- 売上が安定すると、時間の使い方や仕事の選び方を自分で設計できるようになる
- 生成AIの時代は、安定を土台に低コストでプロダクトを試し、大きなアップサイドも狙える
- 怖い人は、会社員のまま副業で売上を試し、生活に必要な収入を数字で確かめるところから





