縁側で始まった、ちょっと緊張する初回
番組「好きのわ。あのね。」は、パーソナリティのまろんとゆうたによる第1回の収録です。冒頭からふたりは、収録しているという事実にソワソワしている様子を隠しません。
偉業すぎるのと、収録してるっていう事実にソワソワが止まりません。
まろんは、この番組を「好きすぎてうまく話せない、でも誰かに聞いてほしい話を持ち寄る縁側おしゃべり系ポッドキャスト」だと紹介します。肩肘張らず、フラッと始めたいという空気が最初から流れています。
肩肘張らずね、もうフラッと、フラッと始めましょうって感じでね、やりたいね。
とはいえ、慣れないことをしている緊張感はぬぐえません。まろんが「縁側に座ろうと思うと、なぜか茶室に行ってしまう」とたとえると、ゆうたも「正座してます」と応じます。
こういうね、縁側に座ろうって思うと、なぜか茶室に行ってしまうっていうね。
そう、うまくやろうとしちゃうんだよ。
ふたりが目指すのは、寝る直前にぼーっと聞けるような番組です。縁側でちょっとお昼寝したいくらいの気持ちで聞いてほしい、とまろんは話します。
ライターと会社員、ふたりは何者か
改めて、まろんは自分をライターだと名乗り、ゆうたは会社員をしている佐々木悠太だと自己紹介します。自己紹介の時点でガチガチになってしまうところに、この番組らしさがにじみます。
まろんはもともと、好きなことについて話すポッドキャストを一人でやってみたいと、なんとなく思っていました。ただ、一人で喋る自分がまったく想像できなかったと振り返ります。
好きなこと話してるのに、すごいガチガチになりそうなイメージしか湧かなくて。
好きなことなのに、うまく話そうとして思い詰めてしまいそうだった。それでも、好きなことを好きなように喋れる場所は欲しい。そんな矛盾した気持ちを、まろんはしばらくぼんやり抱えていたと言います。
ふたりはコルクラボというオンラインサロンで知り合い、5年ほどの付き合いになります。まろんにとって、ゆうたと喋る時間は特別リラックスできるものでした。
悠太と喋ってる時は結構自分がリラックスしながらいろんな話してるなっていう感覚はずっとあって。
ただ、改めて「一緒にポッドキャストをやろう」と声をかけるのは緊張するし、自分がやりたいと思っていることを言葉にするのも気恥ずかしい。まろんはそこで足踏みしていました。
公開ミーティングで知った、ゆうたの計画
そんな時、まろんはゆうたがイラストレーターのゆうこちかさんとスペースで公開打ち合わせをしているのを耳にします。ゆうたが何かを依頼している場面でした。
ゆうた自身も、ポッドキャストをやりたいと思っていました。きっかけは、コルクラボのメンバーとして佐渡島庸平さんのポッドキャストを手伝い始めたことでした。
いやなんかもうちょっと練習したいなと思って。じゃあ自分でやっちゃおうかなと思って。
一人で始めるのは難しい。締め切りもない。ゆうたは、何かの力を借りないと動き出せないと考えました。そこで、友人のイラストレーターゆうこちかさんにカバーアートを描いてもらえば、やる気が出ると思いついたのです。
いや、さっきマロンが言ってたようにさ、一人で始めるのってちょっと難しいからさ。
ゆうこちかさんに声をかけたところ、返ってきたのは「公開ミーティングしよう」という力強い誘いでした。こうしてTwitterのスペースで、ポッドキャストの打ち合わせが公開されることになります。
ゆうこちかさんは、月曜から土曜まで「おはよう福岡」、略して「おはふく」というスペースを毎朝開いています。まろんはその告知を聞いて、公開ミーティングに興味を持ちました。
あらあら、公開しちゃうの?ちょっと興味あると思って。
相手が誰かは告知されていませんでした。まろんがスペースに入ると、聞き慣れた声が聞こえてきます。相手はゆうただったのです。
「ぼんやりお気持ち」に、まろんが強く共感した
公開ミーティングを聞いていたまろんは、ゆうたが考えているポッドキャストの内容に、「ああ、それ」と強く反応します。何の打ち合わせかと思いきや、ゆうたもポッドキャストをやろうとしていたのです。
ゆうたが語ったのは、役に立つ情報は持ち合わせていない、けれどポッドキャストはやりたい、という気持ちが先にある番組像でした。
どうしようかなと思ってる時に、まあぼんやりお気持ち話すぐらいはできるかなっていう。
この「ぼんやりお気持ちを話す」という発想に、まろんは深く共感します。自分も、提供できる情報やお役立ち情報があるわけではないところから始めたかったからです。
まろんが特に惹かれたのは「ぼんやり」というキーワードでした。自分の中でぼんやりしているものを、誰かに聞いてほしい。それを話せる場所があったらいい。そう思って、まろんはゆうたを誘います。
ぼんやり好きなこと話すラジオ一緒にやってって、お声がけをしてしまいました。
ゆうたは、そうやって誘ってもらえたことをとても喜びます。まろんも、断られなかったことに心底ほっとした様子でした。
そうやって誘ってもらえるっていうのは本当めちゃくちゃ嬉しいことだからさ。
おもしろいのは、ゆうたが先にポッドキャストをやろうとしていたのに、その話を聞いたまろんの番組のほうが先に収録日を迎えたことです。ゆうた自身の番組「ぼんやりお気持ちを話すラジオ(通称ぼんきも)」は、追い越される形になりました。
決まっていないのに、収録日から決めた
ふたりは、タイトルも中身も決まっていない状態から、まず収録日を決めました。普段はフットワークが重いというふたりにしては、珍しく身軽な動き出しでした。
何も決まってない、タイトルも決まってないところから収録日を決めたからね。
最初にまろんがゆうたを誘い、どういう番組をやりたいかをZOOMで2時間ほど話しました。「ひとまず収録してみよう、いつやる?」から、あっという間に収録当日を迎えます。
その短い間に、タイトルも決まり、カバーアートもゆうこちかさんにお願いすることが決まりました。まろんは、一人でやっていたら延々と悩み続けていただろうと振り返ります。
一人でやってたら多分延々、わー何喋ろうかな、どうしようかな、どういうタイトルにしようかな、で、まだやってたと思う。
ふたりで始めたからこそ、決めきれずに止まってしまいそうなことが、次々と前に進んでいった。この初回は、その勢いそのものが記録されています。
好きすぎて話せない、というコンセプト
番組名を決めるにあたって、ふたりはコンセプトを言葉にしていきます。まろんが最初に持っていたイメージは、「好きすぎて話せなくなっちゃったこと」でした。
めちゃくちゃ好きだからこそ、大事に話したいし、ちゃんと伝わってほしい。まろんは、その好きなもの自体を、自分が話すことで価値を落としてしまうのが嫌だと言います。
そうして言葉を探しているうちに、話せなくなってしまう。ギュッと包み込まれてしまった好きなもの。それでも、好きだからやっぱり話したい気持ちもある、とまろんは続けます。
話したいよね。誰かに聞いてほしいしさ、話したいしさ。
ゆうたは、好きなことを話している人はまぶしいと言います。さらに、好きなことについて話すのは自己紹介でもある、という視点を加えます。
好きなことっていうのを聞くとさ、その人のこともさ、すごくよくわかるよね。
好きについて一度言葉にしてみると、改めて自分を見つめ直せる。そんな話を持ち寄れる縁側になったらいい、とふたりは語り合います。
むくむくぽんから「好きのわ。」へ
まろんは、番組のイメージを餅にたとえます。キュッとなっていた好きの気持ちが、だんだんぷくっと膨らんで、パーンと広がっていく。そんなイメージをゆうたに伝えました。
それを受けてゆうたが返したタイトル案が「むくむくぽん」でした。むくむくっと膨らんでポーンとはじけるタイトルを、とChatGPTに聞いて、そのまま返ってきたものだったと明かします。
むくむくぽん、心が膨らむトークタイム。
雑にお願いすると雑に返ってくる、とふたりは笑いますが、この「むくむくぽん」のリズムの良さはしばらく頭を離れなかったそうです。
いくつもの案を出したあと、最終的にまろんが辿り着いたのが「好きの輪」でした。ChatGPTと会話するうちに出てきた言葉から、複数の意味が重なっていったと言います。
好きの輪が話す輪と、なんかこう輪っかになる輪。好きの輪っかがつながる。
話す「話」の輪、つながる「輪っか」の輪、そして平和や和みの「和」。それらがひっくるまっている感じがいい、とまろんは「好きの輪」を選びました。
「あのね。」に込めた、ヒロトとマーシーの言葉
タイトルに「あのね」をつけるかどうかは、最後まで悩んだところでした。この言葉は、まろんが大好きなバンドThe Cro-Magnonsのアルバム『MONDO ROCCIA』に収録された「恋に落ちたら」に由来します。
この曲は、歌詞がずっと「あのね、あの、あのね」なのだと、まろんは説明します。何かを好きになったり、何かが自分の中にふっと入った瞬間の気持ちを、まさに言い表していると感じたそうです。
好きなものって、いや、あのね、あの、あのねしか言えないと思って。
まろんは、自分の感覚の中に甲本ヒロトと真島昌利の影響が大きくあると話します。何かを話すとき、彼らの言葉で自分が話している気がしてくる、というほどです。
これは私が考えたことじゃないかもしれない。ヒロトとマーシーが言ってたな。
好きすぎて、好きとしか言えない。まろんにとって「あのね」は、うまく言えない気持ちや、その人の気持ちが乗る言葉です。だからこそ、好きなことを話す番組に、この言葉を借りたいと思ったのだと言います。
まろんが「あのね」の由来を語ると、ゆうたは即座に「もうそれ必要です」と応じました。好きが入っていていいねというゆうたの言葉に、まろんはウキウキしたと話します。
「あのね」の由来というか、今話してくれたことを聞いたら、もうそれ必要ですって。
縁側にまた集まりたくなるように
ふたりが目指すのは、好きなことを話そうとすると言葉に詰まってしまう、そんな気持ちを持ち寄れる場所です。二人だけで話してもいいし、誰かがこの好きの輪に加わってもいい、とまろんは言います。
好きを飾らず、肩肘張らずに好きなように喋って、ニッコニコしながらそれぞれの暮らしに戻っていく。そんな縁側のような番組にしたい、とふたりは語り合います。
好きなように喋って、なんかこうニッコニコしながら戻っていくみたいな。
また縁側に集まりたくなったら集まって、おしゃべりして。ぼんやり好きなこと、好きだけどぼんやりしか話せないこと。互いのぼんやりを持ち寄っていけたら、とまろんは締めくくります。
こうして、決まっていないところから走り出した初回の収録は、番組名の由来まで語り終えて幕を閉じます。ふたりは「バッチリだと思います」と、手応えを口にしました。
まとめ
「好きのわ。あのね。」の第1回は、好きすぎてうまく話せないふたりが、それでも話したいという気持ちから番組を立ち上げ、タイトルに辿り着くまでの記録でした。決めきれずに止まりがちなことを、ふたりだからこそ前に進めていった様子が印象的です。
- まろんとゆうたは、好きなことを好きなように話せる縁側のような場所を求めて番組を始めた
- 一人では動き出しにくかった企画が、収録日を先に決めることで一気に前へ進んだ
- 番組のコンセプトは「好きすぎて話せない、でもやっぱり話したい」という気持ちにある
- 「好きの輪」には、話す輪・つながる輪・和みの和という複数の意味が重ねられている
- 「あのね。」は、まろんが愛するThe Cro-Magnonsの曲に由来し、好きを言い表す言葉として選ばれた





