選考が始まる前に、会社が明確にすべきこと
吉田さんは今回のテーマを「ワンハートの面接設計方法大公開・選考設計編」として、応募後にどう選考を進めるかを話しています。
前回のテーマは「募集団形成」で、どんな人にどんな求人広告を打つかという話でした。今回はその続きで、応募があった後の具体的な進め方に踏み込みます。
ただし吉田さんは、選考の前に会社の中で明確にしておくべきことがあると指摘します。本来は求人を打つ前に決めておくべき項目だと話しています。
まずやらなきゃいけないのは、自社が欲しいと思う人物像を明確化するっていうところです。
吉田さんによれば、活躍しやすい人物像は業界ごとに傾向があります。建設業の現場なら体力のある男性が多く、病院の看護師なら女性が多いといった具合です。
そのため、まずは自社で活躍しやすい人がどんなタイプかを分析するところから始めるべきだと話しています。
社労士業界で活躍しやすいのは、どんな人か
吉田さんは、自身が働く社労士業界について「女性が活躍しやすい業界」だという印象を語ります。普通に採用していくと女性のほうが多くなるといいます。
私の印象だとすごい女性が活躍しやすい業界だなと思ってます。
男女比についても、事務所によって差はあるものの、6対4や7対3で女性が多くなる傾向があり、全員女性の社労士事務所も珍しくないと話しています。
具体的に活躍しやすい人物像として、吉田さんはアラフォーで子どもが2人ほどいる女性の例を挙げます。新卒の頃はキャリア志向で頑張っていたものの、子育てとの両立で一度退職したり時短勤務になったりした人です。
そうした人が「このままでキャリアを終わらせたくない」と考え、自立したキャリアを目指して社会保険労務士の資格に注目し、社労士事務所に入社するケースが多いといいます。吉田さんは、このパターンで入社した人が活躍する傾向にあると話しています。
そのため、社会保険労務士法人ワンハートでも、そうした人が活躍しやすいような労働時間や働き方の設計をしていると説明しています。
マルチタスクと家事は似ている、という見立て
ここから吉田さんは「私の偏見みたいな話」と前置きしつつ、なぜそういう人が社労士事務所で活躍しやすいのかを掘り下げます。
社労士事務所で最も多いのは顧問型で、1人のスタッフが20社ほどのクライアントを担当し、労務関係のお世話をしていくことが多いといいます。
この仕事にマッチするのは、複数の仕事を同時並行で進められるマルチタスク型の人だと吉田さんは話します。そして、これが家事と似ていると例えます。
2人の子どもがいると、上の子ばかり構えば下の子が泣き出す。料理も、メインとサラダを並行して作らないと、片方が食卓で冷めてしまう。こうしたバランス感覚が、複数のクライアントを満足させる能力と似ているというわけです。
そういう能力と、社労士事務所で複数のクライアントさんにご満足いただく能力っていうのは結構似てるんですよ。
さらに吉田さんは、細かいルーティンな作業が得意な人も活躍しやすいと付け加えます。給与計算や社会保険手続きは、細かい作業を正確に繰り返す必要があり、ストレスのかかる仕事だからです。
一方で、コロンブスのように未開の地を切り開きたいというフロンティアスピリットを持つ人にとっては、この作業は苦痛になりがちだといいます。吉田さんは、男女を比較すると女性のほうがこうした作業を得意とする傾向があると考えています。
資格が「自分の軸」になる、という相性の良さ
吉田さんが挙げる最後の要素は、自分の軸を持ちたい人が社労士事務所で活躍しやすいという点です。これは男女問わず当てはまると話しています。
女性のキャリアには、自立系でバリバリ働くか、扶養の範囲内で働くかという分岐があると吉田さんは整理します。その中間として、リモートでワークライフバランスを重視しながらも自分の軸を持ちたい人もいるといいます。
いずれのパターンでも、自分の軸を持ちたい人にとって社労士という資格は相性がいいと吉田さんは説明します。専門職業は自己完結した一人の仕事が多く、お客さんとも1対1で対応し、その中で満足してもらうサービスを提供する必要があるからです。
ここまでの話を、吉田さんは活躍できる人の条件として整理しています。
なんか不思議と、なんか女性の人が多い、もしくは女子力の高い男性が多いっていう印象です。
吉田さんは、こうした条件を持つ人を採用していくイメージだと話し、ここから選考設計の話に移ります。
適性検査で見抜けないものを、面接で確かめる
こうした人を採用するには、その特徴を見抜ける面接の設計が必要だと吉田さんは言います。
ワンハートでは、面接試験の前にまず適性検査を行い、どういう性格なのかを分析します。仮に情緒をコントロールできず依存体質だという結果が出た人は、自分の軸を持ちにくいため、社労士事務所でのキャリアは難しいと判断されます。
そうした場合、残念ながら適性検査の段階でお断りすることになると吉田さんは話しています。
ただし、適性検査は効果が高いとされる一方で、すべてを見抜けるわけではないといいます。だからこそ、質問への回答で合否を決める面接試験を最終試験として置いていると説明します。
なぜフリートーク面接をやめるべきなのか
ここから吉田さんは、中小企業の経営者に向けて面接手法の注意点を語ります。
中小企業でよく行われているのは、台本のないフリートークの面接です。吉田さんは、これは面接手法としては精度が低いとされていると指摘します。
理由として吉田さんは、フリートークでは話の進み方が読めないため、欲しい人物像を見抜く質問を流れの中でできず聞けなかったり、話が盛り上がって聞き忘れたりすることを挙げます。
さらに、面接官が1人とは限らないため、面接官によって聞くことが変わり、採用選考の基準までぶれてしまうこともあると話しています。
フリートークの面接はやめた方がいいというのが採用の世界だと定説になってます。
では、どうすればいいのか。吉田さんは、あらかじめ質問を設計しておくことが必要だと話します。
具体的には、10個や15個といった質問を決め、それぞれがどういう意図の質問なのかを定めたうえで、模範解答まで作って面接を行う方法です。こうすることで、かなり高い精度で自社にマッチした人を採用できると吉田さんは説明します。
話の流れ任せで質問を聞き忘れ、面接官ごとに基準がぶれる。精度が低いとされる
意図を定めた質問と模範解答を用意し、高い精度で自社に合う人を見極められる
吉田さんは、ワンハートで実際にどんな質問をしているかを紹介したいとしつつ、時間の都合で具体的な質問は次回に話すと予告しています。
まとめ
この回は、欲しい人物像を明確にすることから始め、それを見抜くために面接を設計する必要があるという流れで、社労士事務所の実例に沿って選考設計が解説されました。フリートーク面接の弱点と、質問を事前に設計する意義が中心です。
- 選考の前に、自社で活躍しやすい人物像を明確化しておく
- 社労士事務所では、マルチタスク・細かい作業が得意・自分の軸を持ちたい人が活躍しやすいと語られた
- 適性検査で性格を分析し、見抜けない点を面接試験で確かめる二段構えをとっている
- 台本のないフリートーク面接は精度が低いとされ、採用の世界では避けるべきとされている
- 意図を定めた質問10〜15個と模範解答を用意すると、自社に合う人を高い精度で採用できる





