自社で活躍する人物像を、どんな質問で見抜くか
この回は、前回に続く「ONE HEARTの面接設計方法大公開」のQ&A編です。実際の面接試験の質問を一部公開しながら、どのように面接を設計しているのかを吉田さんが解説していきます。
前提として、吉田さんは社労士事務所で活躍する人の特徴を、前回このように整理していました。自分のキャリアに軸を持つ自立型で、ルーティンな仕事に強く、マルチタスクにも強い人です。
加えてONE HEARTの場合はITに強い事務所なので、ITスキルが一定程度ある人を採用したいと話されています。面接の質問は、こうした人物を見抜けるように設計されているとのことです。
吉田さんは、面接設計の考え方をこう説明します。
自社に合う人物像を明確に決めた上で、そういう人だったらこう考えるよねっていうのを作ります。それが見抜けるような面接を作っていきます。
1つ目「転職・退職理由」で見るキャリアの一貫性
1つ目の質問は、これまでの会社の転職・退職理由を教えてください、というものです。多くの会社でやっている質問ですが、吉田さんはここにキャリアの一貫性を見る意図を置いています。
自分のキャリアに軸がある人、軸を作りたい人であれば、転職にもちゃんとした理由があるはずだ、という考え方です。逆に、嫌なことがあったらすぐ辞めてしまうタイプは採用が難しいと話されています。
目安として、ONE HEARTに応募してくるのは30代から40代が多く、転職回数は2回か3回ぐらいの人が多いそうです。
一方で、30代で転職回数が10回といったケースは、正当な理由がなければその時点で採用は難しいと吉田さんは言います。
さらに、退職理由を聞くと前職の悪口をひたすら言う人もいて、そうした人は新しい会社でもうまくやっていけないと指摘します。退職時のトラブルがないかを確認する意味もある質問です。
2つ目「社労士試験の勉強法」で情熱と計画性を測る
2つ目の質問は、社労士試験の勉強をどうやって進めましたか、これから受ける人ならどう進めますか、というものです。ここで見ているのは、仕事への情熱と計画性です。
社労士という仕事に情熱がある人は、すでに具体的に行動しているといいます。たとえば半年の計画を立て、1か月目にこの科目、2か月目にこの科目、というように勉強の進め方を語れる、という説明です。
反対に、軽い気持ちで応募してきた人の回答は次のようになりがちだと吉田さんは言います。
どうやってっていうのを考えてないですねみたいな感じになって、苦し紛れに、これから頑張りますみたいなことを言われたりするわけですよ。
ひどいケースでは、社労士試験がいつあるのかもわからない応募者もいるそうです。試験は毎年8月にあり、要領のいい人でも最低半年前、吉田さんの実感では1年ほどの準備が必要になると話されています。
この計画性は、実務に入ってからも重要だと吉田さんは続けます。給与計算なら、いつ顧客から連絡をもらい、いつ業務が終わるのかという計画を立てる必要があります。
年間で見ると、7月に年度更新と算定という大きな業務があり、そこに向けてどう頑張っていくかを決める必要があります。だからこそ計画性を測る質問を置いている、という流れです。
3つ目「役立つエクセル関数」で実務レベルを確認
3つ目の質問は、仕事で役立つエクセル関数を教えてください、というものです。狙いは、履歴書に書かれた「エクセルが使える」という言葉の実力を確かめることです。
吉田さんは、この「使える」のレベルがかなり幅広いと指摘します。パソコンの電源を入れてワードを立ち上げるだけでも、使えていると言えなくはないからです。
仕事としてエクセルを使うなら、それだけでは足りません。吉田さんが実務レベルの目安として挙げるのは次の関数です。
- VLOOKUP関数
- SUM関数
- SUMIFS関数
- INDEX、MATCH関数
このあたりまで実際に使ったことがないと、ONE HEARTで活躍するのは難しいといいます。逆に、こうした関数を挙げた上で具体的にどんな業務に使ったかを語れると、優秀だと感じるそうです。
Wordを使えますって言って、ブラインドタッチも全くできないような人もいるんで、気をつけた方がいいと思います。
4つ目「リモートワークの印象」で自立度を見る
4つ目の質問は、リモートワークに対する印象を教えてください、というものです。ONE HEARTはリモートワークを推進しており、できれば完全フルリモートでやりたいと吉田さんは話します。
ただし社労士業務の性質上、一部は対面や書面のやりとりが残ってしまうとのことです。そのうえで、この質問にはリモートワークへの誤解を見抜く意図があると言います。
誤解とは、会社に行きたくない、楽したいからリモートワークをしたい、という受け止め方です。吉田さんは、リモートワークには特有の苦労があると指摘します。
たとえば聞きたいときに聞けない、孤独の中で1人でやっていかなければならない、といったデメリットです。だからこそ、自立的で自分に軸を持っている人でないとリモートワークはなかなかできないという考え方につながります。
そのため、コミュニケーションの大変さや自分で進めていく苦労を理解している回答であれば、入社しても大丈夫だと判断できるといいます。
フリートーク面接をやめると、なぜミスマッチが減るのか
時間の都合で全質問は公開されませんでしたが、吉田さんは面接設計のポイントをこうまとめています。自社に合う人物像を明確に決め、その人ならこう考えるはずだという回答を想定した上で、それを見抜ける質問を作る、という手順です。
回答は模範解答どおりでなくてもよく、納得性のある回答ができる人を採用していくのが基本です。そうすることで採用後のミスマッチを防げると話されています。
具体的には、入社後に「こんな人じゃなかった」となったり、スタッフ側から「こんな会社じゃなかった」と言われたりするのを避けられる、という説明です。
まとめ
ONE HEARTでは、自社に合う人物像を先に定義し、それを見抜けるように面接質問を設計しています。転職理由・勉強法・エクセル関数・リモートワークの4つの質問には、いずれも明確な意図が置かれていました。
- 自社で活躍する人物像を明確にし、その人物を見抜けるよう質問を設計する
- 転職・退職理由からキャリアの一貫性と退職時のトラブルの有無を確認する
- 社労士試験の勉強法から、仕事への情熱と実務でも問われる計画性を測る
- 「エクセルが使える」の実力は、具体的な関数と使用場面を聞いて確かめる
- フリートークではなく事前に質問を決めた面接にすると、採用のミスマッチを防げる





