そもそも勉強会は「行けばいい」ものなのか
今回のテーマは、有意義だった勉強会とそうでなかった勉強会です。まず前提として、吉田さんは勉強会そのものを積極的に肯定しているわけではないと話します。
とにかく行った方がいい、という考えではなく、ちゃんと選んで行くべきだという立場です。その理由として挙げるのが、実際の仕事から得られるものの大きさです。
実際にお客さんから依頼されてないと、人間本気出せないと思うんで、やっぱり実際の実務を誠実にやるっていうのが最大のパワーアップだと思います
一方で、社会保険労務士は知識で成り立つ商売でもあります。勉強を怠ると、いわば仕入れがない状態になっていくと吉田さんは表現します。
お客さんから相談されたときに引き出しがなくなり、うまく答えられなくなる。だからこそ勉強会に行きたくなる、という流れを踏まえたうえで、これまでの経験を振り返っていきます。
開業前の「借金への恐怖」を変えた財務の勉強会
最初に挙げる有意義だった勉強会は、財務の勉強会です。税理士の先生が貸借対照表や損益計算書を解説する内容で、すごく役に立ったと振り返ります。
吉田さんは、開業前は借金が怖かったと言います。借り入れで首が回らなくなるといった話への漠然とした恐怖があったそうです。
ところが実際に開業してみると、印象は逆転したと話します。
実際に開業してて思ったんですけど、借りれない方がはるかに怖いんですよ
財務的な視点で安定した中小企業を作るには、手元にどれだけ現預金を持っておけるかが重要だと吉田さんは説明します。
現預金があれば、割の悪い仕事を断ったり、不採算の顧客を解約したりする際にも、会社を立て直すための時間の余裕が生まれるといいます。
その現預金を作る手っ取り早い方法が、金融機関からの借り入れだという点が学べたことを、財務の勉強会の収穫として挙げています。
実際に開業後まず動いたのが資金調達でした。資金調達を専門とする行政書士のインクの若林先生に依頼し、500万ほど借り入れたところから始めたと話します。その後も借り換えを重ね、今では借入額がわからないほど借りられている状態だと振り返ります。
数千円のセミナーで得た「誰に何を伝えるか」という骨組み
2つ目に挙げるのは、マーケティングの勉強会です。数十万から100万を超えるものもある分野ですが、吉田さんが参加したのは数千円のセミナーでした。
その主催者が、高額なセミナーで集めたノウハウを数千円で公開しているという、破格の内容だったと言います。
そこで学んだマーケティングの基本が、誰に何を提供するか、誰に何を伝えたいかという骨組みをちゃんと作るという考え方でした。
この考え方に出会えただけでもすごく役に立っている、と吉田さんは話します。
理由は、マーケティングが会社経営に役立つだけでなく、誰に何を伝えるかという視点が、日々の顧客対応でも重要になるからだといいます。
弁護士の労働法セミナーが顧客対応に効いた理由
3つ目に行って良かったと挙げるのは、弁護士の先生が労働法を解説するセミナーです。
実名として、石崎伸規先生や向井蘭先生のセミナーを挙げ、話もうまくて聞き入ってしまうと振り返ります。
そこで聞いた話から、労働法はこうやって考えるのか、こういうときに実務に役立つのか、といった学びが得られたといいます。
さらに、話している雰囲気そのものが、社労士としての顧客対応に間接的に役立ったと吉田さんは話します。
欲張りすぎた採用コンサルとコーディングの勉強
ここからは、今から考えると意味がなかった勉強会の話に移ります。1つ目は採用コンサルティングの勉強会です。
背景には、開業時のキャラクター設定の悩みがありました。今でこそマネーフォワードやDXに強い社労士というイメージがついていますが、当時はどういうキャラでいこうか悩んでいたそうです。
そこで考えたのが、壮大な採用コンサルの計画でした。採用という人事の入口から、労務管理という後工程までを社労士が一気通貫で見る、という構想です。
採用の最前線から労務管理まで一人で見切れる社労士になり、それをマーケティング上の売りにして目立っていく。そんな戦略でしたが、結果は違ったと振り返ります。
正直ですね、欲張りすぎて無駄だったと思いました
当時は採用の勉強に加えて、HTMLやCSSといったコーディングにも手を出しました。ランディングページを自分で作り、顧客の採用支援の商品として提案しようと考えたためです。
しかしコーディングはあまりに奥が深く、まったく身につかなかったといいます。プログラム的なものはプログラマーに頼んだ方がよく、コーディングの勉強とか社労士はしない方がいいと結論づけています。
プレゼン資料作成の勉強会で学んだこと、そして限界
意味がなかったものとして次に挙げるのが、プレゼン資料作成の勉強会です。
勉強になった点もあったといいます。世の中には、プレゼン資料を作るだけで生計を立てている人がいることを知ったそうです。
具体例として、上場企業が株主総会で株主に配る資料の話が出ました。しっかりしたデザインの資料でないと納得されないため、専門に作られているといいます。
勉強会では、資料を紙で配るのかディスプレイで見せるのかによって、最初の初期設定から変えるといった内容も教わったと吉田さんは話します。
紙とディスプレイでは、16対9などの比率が異なります。間違えると印刷時に上下に余白が出て格好が悪いため、紙で配るならA4の比率に合わせて作りましょう、といった具体的な内容だったそうです。
ただ開業して思ったのは、プレゼン資料はプロに作ってもらった方がいい、ということでした。実際にプロに依頼したところ、自分で作るのとはレベルが違ったため、今から考えると意味がなかったと振り返ります。
不労所得の勉強会と、詐欺の一歩手前だった体験
最後に挙げるのは、開業前に自分探しをしていた時期に呼ばれた、不労所得を勉強する会です。
みんなで不労所得を作り、経済的自由を目指そうという趣旨で、聞こえだけはすごくよかったと吉田さんは話します。
飲み会に誘われて行くと、参加者はみんな親切で、吉田さんに次の会への参加を熱心に勧めてきたそうです。
やがて、品川の高級マンションの一室に呼ばれました。そこで一緒に不労所得を目指そうと言われ、最後に入会金の額を提示されたといいます。
今から考えると詐欺の一歩手前でしたよね
吉田さんは怪しいと感じ、考えさせてほしいと伝えて、入会金を払わずに帰ってきたと振り返ります。ただ、時間はすごく無駄になったといいます。
この体験から伝えたいこととして、勉強会には詐欺も多いので注意してほしい、と話します。開業すると名刺交換会などいろいろな場に顔を出すことになるため、詐欺には注意した方がいいと締めくくっています。
財務・マーケティング・弁護士の労働法など、考え方の土台や本業の顧客対応に直結したもの
採用コンサルやコーディング、プレゼン資料作成など、専門家に任せるべき領域を自分で抱え込もうとしたもの
まとめ
吉田さんは、勉強会は行けばいいものではなく、選んで行くべきだという立場から、自身の経験を有意義だったものと無駄だったものに分けて振り返りました。実務に生きた学びと、専門家に任せるべきだった領域の違いが浮かび上がる内容でした。
- 勉強会よりも、実際の依頼に誠実に取り組むことが最大の力になると考えている
- 財務・マーケティング・弁護士の労働法セミナーは、経営観や顧客対応に直結して役立った
- 採用コンサルやコーディング、プレゼン資料作成は、専門家に任せるべき領域を抱え込もうとして無駄になった
- 開業後は名刺交換会など人と会う機会が増えるため、詐欺には注意した方がよい





