なぜ社内にいると「おかしさ」に気づけないのか
吉田さんはまず、勤めていると「辞めたい」と思う瞬間があり、その会社がブラック企業ではないかと感じることがあると切り出します。ただ、人間関係ができていて辞めづらかったり、そもそも判断がつかなかったりすると話します。
その理由として吉田さんが挙げるのは、人は自分がいる環境を当たり前だと感じてしまうことです。悪いことやおかしなことに囲まれていると、だんだん慣れて、おかしさに気づけなくなるといいます。
吉田さん自身も職業人生を振り返って、当時はおかしかったと感じることがあるそうです。ただしそれは組織を離れて初めてわかったことで、中にいるとなかなか気づけないと述べています。
ブラック企業の根っこにある「未来志向でない」という共通点
吉田さんは、ブラック企業には根底的な考え方があると指摘します。それは未来志向ではなく、場当たり的な対応をするという点です。
未来志向でないことが、まず法令遵守意識のなさにつながると吉田さんは説明します。法律を守ろうという意識がないというのです。
なぜ未来志向と法律を守ることがリンクするのか。まともな経営者なら、事業を起こしたときに5年先、10年先、20年先も発展する会社を作ろうと考えるからだと吉田さんは述べます。
長い期間、安定してビジネスを続けるには、法律を守らないとどこかで痛い目に遭うとわかるはずだといいます。だから法律に適合した形でビジネスモデルを組むと考えられます。
一方でブラック企業は未来志向でないため、その日の売上や今月の売上、向こう3か月の売上くらいしか頭にないと吉田さんは話します。
調査で嘘をつく会社、人を育てない会社
吉田さんは、未来志向でない会社が行政官庁の調査を受けたときの態度を例に挙げます。未来志向の会社なら、調査をきっかけに直そうと考えるといいます。
ところがブラック企業は、偽の帳簿を作って乗り切ろうとしたり、表面的に嘘を言って乗り切ろうとしたりすると吉田さんは指摘します。これが良くないと述べています。
続けて挙げるのが、人材を育てる気がないという特徴です。使えなかったらすぐに辞めさせようとするといいます。
吉田さんは、あまりに変な人を辞めさせる必要があるのはわかるとしつつ、ブラック企業はその判断が早いと話します。営業で採用したのに数字が出ないから辞めさせたい、という話をすぐにするそうです。
(数字が出ない営業に)教育しましたかっていったら教育はしてないと。雇ってみて、中途で雇ってみたものの数字が出せないから、じゃあ辞めさせたいみたいな。すごい短絡的なんですよ
本当に未来志向の経営者なら、良い人もそうでない人も入ってくると考え、教育システムを作ろうという発想になるはずだと吉田さんは述べます。それがないからブラック企業になってしまうというのが吉田さんの見方です。
予算計画がないから「買い叩き」に走る
吉田さんは、未来志向の人は計画を立てるはずだとして、経営計画の話につなげます。そのうえでブラック企業の3つ目の特徴として、予算計画がないから商談で買い叩こうとする点を挙げます。
吉田さんは、ネジを1000個仕入れるときに値引きを頼むような、量に応じた値引きは当然だといいます。一方で、士業のサービスやシステムエンジニアの労働力、派遣など、相場が決まっているものは本来買い叩けないはずだと述べます。
それでも無理に買い叩こうとする人は、相手の立場に立って考えられないため、ブラック企業になりがちだと吉田さんは指摘します。その発想が社内にも向かうといいます。
(社内でも)残業代払わなくていいじゃんとかって発想になったりとか、給料上げなくてもいいよねとか下げられないかとか、そういう風な発想になって、やっぱどうしてもブラックになっちゃう
吉田さんは、商談で無理な買い叩きをするところとは、士業に限らずどんな会社も取引しない方がいいと話します。合理的な値引き以外は受け付けない方が、後々大変にならずに済むという考えです。
すぐ辞めた方がいい「とんでもない会社」
吉田さんは、今回のテーマである「勤めている会社がブラック企業か見分ける方法」に話を戻します。まず、とんでもない会社はすぐ辞めた方がいいと述べます。
例として挙げるのが、社内で暴力やセクハラが横行しているケースです。部下が失敗したのに殴って制裁しているような会社は、今どきやばすぎるので辞めた方がいいといいます。
セクハラについても、飲み会で脱ぎ出すような行為があり、それを注意する人がいない時点で会社としてダメだと吉田さんは話します。
さらに、ビジネスモデルそのものが違法なケースも挙げます。一見ちゃんとしたことをやっていそうでも実は違法、という瞬間を見つけたら、やめた方がいいと述べています。
一見まともに見える会社の危険サイン
吉田さんは、ここからが本題だと切り替えます。そこそこまともそうに見えるが、実はブラックかもしれない会社の特徴です。
1つ目に挙げるのが、経営計画がないことです。惰性で毎日仕事をしているような状態を指します。
ちゃんとした経営者なら、経営計画を立ててスタッフに提示し、会社をこうしていきたいから一緒に頑張ろうという発想になるはずだと吉田さんは述べます。未来志向でないから経営計画を作らないというのが吉田さんの見立てです。
2つ目は、就業規則の改定年月日が古い会社です。吉田さんは、3年以上前なら結構やばいのではないかと話します。
就業規則って本来だと毎年のように法改正が入るんで直していかなきゃいけないんですよ
吉田さんは、法改正への対応だけでなく、より良い働き方を目指して新制度を作るなら就業規則は見直されるはずだといいます。自社では年1回か半年に1回程度見直していると述べています。
吉田さんは、就業規則の改定年月日が3年以上前なら、もう少し疑ってかかった方がいいと話します。
タイムカードと社員面談から見える会社の姿勢
3つ目のサインは、タイムカードがないことです。会社には労働時間の把握義務があり、スタッフの労働時間を記録しなければならないと吉田さんは説明します。
吉田さんは、タイムカードがないことの本当のまずさは別にあると述べます。本気で会社を経営するつもりなら、売上と費用の両方をコントロールしたいはずだからです。
記録された労働時間は人材の仕入れ原価のようなもので、スタッフが何時間働いているかに経営者は関心を持つはずだといいます。適正な数字に収まっているか確認して安心したいはずで、それがないのは未来志向でない証拠だと吉田さんは指摘します。
4つ目は、社員面談制度がないことです。ちゃんとした会社なら、社員と対話して会社の状態を知りたいと思うはずだといいます。
聞きすぎると不満大会になるリスクはあるものの、定期的に話して、スタッフが現場でどう考えているか、上司への不満がないかを聞いた方がいいと吉田さんは述べます。話さなければ正しい情報が入らず、経営判断もできないというのが理由です。
上司のズルを誰も注意しない会社
最後の5つ目のサインとして、吉田さんは上司がズルをしている会社を挙げます。
どんなズルかというと、小口現金を不正して、領収書をうまく使ってポケットに入れているような上司や同僚がいる会社だといいます。
吉田さんは、それを誰も注意しないこともまずいと指摘します。上司は本来、部下を正しい方向に教育して導くのが仕事なので、上司自らがズルをしているのはやばいという見方です。
5つのサインで見分けるブラック企業
吉田さんは最後に、見分け方を整理します。まず、暴力やセクハラ、ビジネスモデルが違法なとんでもない会社は、すぐ辞めた方がいいと繰り返します。世の中にそうした会社は少ないだろうと述べています。
そのうえで、ややブラックで長く在籍しない方がいい会社の特徴を、5つに整理します。
吉田さんは、こうした会社にいる人は転職を検討した方がいいのではないかと締めくくります。
まとめ
吉田さんは、ブラック企業の根っこには「未来志向でなく場当たり的」という共通点があると整理しました。そのうえで、一見まともに見える会社でも、経営計画・就業規則・タイムカード・社員面談・上司の振る舞いという5つの点でその姿勢が見えると解説しています。
- ブラック企業の根本は、未来志向でなく場当たり的な対応をすること
- 環境に慣れると社内のおかしさに気づけなくなるため、外の基準で見直すことが大切
- 暴力・セクハラ・違法なビジネスモデルの会社は、すぐ辞めた方がよい
- 一見まともな会社は、経営計画・就業規則・タイムカード・社員面談・上司のズルの5点でチェックできる
- 5つのサインに当てはまる会社にいるなら、転職の検討を勧めている






