評価するなら絶対評価がいい、その理由は?
今回のリスナーからの質問は、人事評価をするときに絶対評価と相対評価のどちらがいいか、というものです。
人事評価を実施するときに、絶対評価と相対評価の考え方があると思うのですが、どちらがいいですか?
安田祥子 さんからの質問
吉田さんの答えは絶対評価。理由は、相対評価だと正しく評価されないケースがあり、従業員のモチベーションが下がるからだと話します。
相対評価の仕組みを、吉田さんは具体的な割合で説明します。たとえば上位20パーセントにA、中間層の60パーセントにB、下位20パーセントにCをつける方法です。
この方式だと、ものすごく頑張った人でも上位20パーセントに食い込めなければB評価になってしまいます。
これって頑張ったのに評価されないっていうのは、かわいそうじゃないですか。
そうですよね。
だからこそ吉田さんは、あらかじめ基準を決めておく絶対評価をすすめます。この基準を満たせばA、この基準ならBと決めておき、それに応じてランクを出す形です。
絶対評価にも「限界」がある
一方で吉田さんは、本当の意味での絶対評価は存在しないとも話します。
理由は、会社である以上、給与に回せる原資が限られているからです。売り上げや利益、人件費の構造の中で分配することになります。
つまり絶対評価で評価したとしても、最終的な給与の分配は相対評価になるというわけです。
それでも吉田さんが絶対評価を推すのは、従業員からの見え方が理由です。
頑張ったのに他がより頑張ってたから、絶対評価でAの人が相対評価だとBになってしまう。これは本人にとっては良くないと思うし、会社としてもそれで他の会社に行きますと言われるのも困る。
なので私は、スタッフからの見え方としては絶対評価をおすすめしていますね。
学校の成績で分かれた「絶対評価の学校」と「相対評価の学校」
この話題で、安田さんは学校の成績評価の話を持ち出します。学校によって絶対評価と相対評価が分かれていたと振り返ります。
安田さん自身は絶対評価の学校で、頑張れば認められる環境を後になってありがたく感じたと話します。
母に言われたんですよ、絶対評価の学校でよかったねって。その時は何を言ってるのか全然わからなかったんですけど、後々入ってみて、頑張れば認められるっていうことはすごく楽だなって感じました。
ここで吉田さんは、絶対評価が常に優れているわけではないと補足します。認められるという点では絶対評価が良い一方、徹底的に競争させたい場合は別だと言います。
競争を促進したい、徹底的に競争させたいのであれば、相対評価にして上のランクをとことん絞り込めば、みんなその席を奪い合うように頑張るというのもあります。
つまり、必ずしも絶対評価が優位というわけではなく、会社の考え方によって変わるということです。人によっても、認められて安心する人と競争で燃える人がいるかもしれません。
絶対評価と相対評価、その違いを整理する
ここで吉田さんは、両者の定義をあらためて整理します。
絶対評価は、あらかじめ基準を決めておき、それを満たせばその評価が取れる仕組みです。極端に言えば、全員が最上位の基準を満たせば全員A、誰も満たせなければ全員Cもあり得ます。
相対評価は、上位20パーセントをA、中間層の60パーセントをB、下位20パーセントをCと決めておき、上から順に序列をつけて割り振る仕組みです。
基準を満たせば評価が決まる。全員A、全員Cもあり得る。頑張りが認められやすい
上位20%A・中間60%B・下位20%Cのように割合で序列化。人件費をコントロールしやすい
相対評価のメリットは、予算が決まっている場合にA評価が出すぎて給与が想定以上に上がってしまう、という予算の狂いが起きない点だと吉田さんは説明します。
そのため、人件費を確実にコントロールしたい大企業などでは、相対評価を採用しているところも珍しくないと話します。
絶対評価を運用するときに気をつけること
絶対評価の方が従業員のメンタルには良さそうだと感じた安田さんは、運用上の注意点を尋ねます。
絶対評価を進める上で、気をつけた方がいいこと、念頭に置いておいた方がいいことはありますか?
吉田さんがまず挙げたのは、評価する人同士の目線合わせです。人事評価を入れる規模の会社なら、複数のマネージャーがそれぞれの部下を評価する形になるからです。
優しい部長は全員にAをつけるけれども、厳しい部長はまだまだお前らダメだなという感じで全員にCをつけたりするわけです。そうなると評価が成立しない。
だからこそ、どうなったらAになるのか、どうなったらCになるのかを会社の中で事前に決めておき、その通りに評価してもらうことが重要だと言います。
固定給を上げるときは慎重に、短期の頑張りは賞与で
もう一つの注意点として、吉田さんは固定給の扱いを挙げます。真剣に仕事を考えている社長やマネージャーほど、頑張っているメンバーの給与を上げたいと考えがちだと言います。
しかし固定給は、一度上げると下げるのが法律的にも心理的にも難しいものです。人件費を上げるときはかなり慎重にすべきだと話します。
そこで吉田さんは、短期的な頑張りは賞与で還元するといった方法をすすめます。会社の経営の自由度を失わず、後で困らない人事評価制度にするためです。
決めてしまったことは、会社の中だとなかなか動かせないということもありますので、判断は慎重にというところを気をつけていただければと思います。
まとめ
絶対評価と相対評価にはそれぞれ役割があります。吉田さんは従業員からの見え方を重視して絶対評価をすすめつつ、原資の限界や運用上の注意点にも触れました。会社の考え方に合わせて選ぶことが大切です。
- 吉田さんは、頑張りが認められる見え方の点から絶対評価をすすめている
- 原資が限られるため、最終的な給与の分配は相対評価にならざるを得ない
- 競争を促したい会社や人件費を厳密に管理したい会社では相対評価も選択肢になる
- 絶対評価では、評価者同士の目線合わせと事前の基準づくりが欠かせない
- 固定給を上げるのは慎重にし、短期的な頑張りは賞与で還元する方法もある






