善悪が決まっていないキングダムの魅力
前回に続き、吉田さんが『キングダム』と給与経営を絡めて話します。まずキングダムそのものの魅力から入ります。
一般的なアニメは、主人公が善で敵役が悪という、善悪がはっきりした構成が多いと吉田さんは指摘します。
一方でキングダムは、より上の年齢層を狙っているためか、はっきりとした善悪が決まっていないといいます。
登場人物ごとの価値観とか世界観っていうのがあるんです。
だからこそ、読者は「俺はこの武将派だ」と応援するキャラが分かれる楽しみがあります。
自分はこの人を応援したくなるとか、いや俺はこっちだっていう、分かれるっていう楽しみもあるわけですね。
キングダム好きな人は、俺はこの武将派だとか、そういうので話がもう止まらなくなるっていうのは、キングダム好きのあるあるなんですね。
スタートアップ型の飛信隊、大企業型の王翦軍
この回では、主人公の信と、武将の王翦という2人のキャラクターを挙げて会社経営を語ります。
信は王様の幼馴染のような存在で、一緒に中華統一を目指して成り上がっていく主人公です。
吉田さんは信を、スタートアップの起業家にたとえます。「お前ら俺についてこい」と部隊をまとめ、敵に突撃していくキャラだといいます。
もうエネルギー全開で燃えたぎってるみたいな感じですね。
社労士目線ではブラックな職場に近いものの、社長の人柄に惚れ込んで集まった兵隊なので、結束力はとても強いと吉田さんは話します。
もう1人の王翦は、砦を作ってその中にこもり、相手をうまく誘導して自分の勝ちパターンに乗せる戦い方が得意な将軍です。
吉田さんはこれを大企業のイメージに近いとします。自分の市場を持ち、その中でナンバーワンのポジションをキープし続ける戦い方だといいます。
突撃して戦う。結束力は強いが職場はブラック寄り
砦にこもり勝ちパターンで戦う。安定したホワイト職場
どちらのキャリアに子どもを行かせたいか
吉田さんは、2つの組織をキャリアの観点で比較します。まず飛信隊はスタートアップ的なので、いろんな経験ができるといいます。
オールマイティに何でもやって経験値爆上げみたいな感じですよね。
一方の王翦軍は大企業的で、砦にこもっているため仕事はワンパターンになりやすいと吉田さんは見ています。
吉田さんは、もし2歳の息子が両方の内定を取ったら、親としては王翦軍に行けと言うだろうと話します。飛信隊は労災事故発生率が高そうだと考えるためです。
ただし王翦軍にもデメリットがあります。砦での戦いに特化していると、それ以外のパターンで通用するスキルが身につかないリスクがあるといいます。
王専軍の兵士は多分王専軍でしか使えないような能力になっちゃうんじゃないのかなと思います。
問題社員に手こずるのはどちらの会社か
ここで吉田さんは、飛信隊と王翦軍のどちらが問題社員対応に手こずるかを安田さんに問いかけます。
なかなか活躍できない人がいた場合、飛信隊と王翦軍で、隊長になったつもりでどちらが問題社員に手を焼くと思いますか。
吉田優一 さんからの質問
安田さんは、飛信隊は何でもやる中でその人の向いているところが見えてくるが、王翦軍は一つのことしかやらないため長所を見つけにくいのではないか、と答えます。
吉田さんはその答えを正解とします。現実の労務管理でも、飛信隊のような会社では問題社員対応は実は少ないといいます。
理由は、突撃していくノリに合わない人はすぐ辞めてしまうからです。ブラックなノリについていける人しか残らないため、かえって問題社員対応にはなりづらいのです。
一方、王翦軍のようなホワイトな職場では、問題社員が生まれると手こずる可能性が高くなります。
たとえば王翦軍でしか使えないスキルしか持たない50歳の社員に、他の軍で活躍してこいと言っても難しいためです。
もう持ってる武器がこれしかありませんっていう状態ですからね。
そうなると、他へ移れと言っても「ここで活躍させてください」となり、問題が泥沼化していくケースが多いといいます。
話し合いから追い出し部屋、M&Aまで
では王翦軍のような会社は、問題社員にどう対処するのか。吉田さんはまず、どの会社でもやってほしいこととして話し合いを挙げます。
どうやったら活躍できるのかを一緒に考えてあげることが重要だといいます。
その上で吉田さんは、現実に世の中で行われている対応も紹介します。ただし賛否両論があると前置きします。
大企業がよく取る方法として、追い出し部屋を作ってそこに配置転換するケースがあるといいます。
ちょっと浮かんだんですけど、あまりに残酷だなと思って。
吉田さんは社労士としてやらない方がいいとしつつ、こうした会社が実際にあることは経営者として知っておくべきだと話します。ドラマ『半沢直樹』のように、出世コースから外れた人を出向させる例も挙げます。
さらにトリッキーな方法として、飛信隊のような社風の違う会社を買収し、そこに合わない社員を配置転換して適性を試す方法も紹介します。
今までぬるま湯に浸かってた人をいきなり過激なところに入れて、そこで生き残れるかっていう状態に置くっていうことですよね。
一見ひどく見えても、本気で変わる気があるなら、きつい職場で変わる機会を与えるのも会社として重要だと吉田さんは補足します。
なお安田さんが「大企業にしか取れない戦略」と言ったのに対し、吉田さんはM&Aは今、中小企業でも活発化していると指摘します。
ある程度の一般的な中小企業、中規模の企業でしたら、他の会社を買収するってことは可能です。
自分はどちらの会社を経営しているのか
最後に、この回のポイントを吉田さんがまとめます。
飛信隊を経営しているなら、いろんな経験をしたい人を採用することになると吉田さんは言います。
王翦軍なら、どちらかというと安定志向の人を採用することになるといいます。
だからこそ、自社がどちらのタイプかを自覚した上で採用や経営をすることが重要だという結論です。
そこを間違うと、後々自分が社員に苦しめられるっていう結果になってしまうので、まずは自分の会社の方向性をしっかり自覚しましょうということですね。
まとめ
キングダムの信と王翦を、スタートアップ型と大企業型の会社にたとえて問題社員対応を考えた回でした。組織のタイプによって、起こりやすい問題も取れる対応も変わってきます。
- 飛信誼はスタートアップ型で結束が強く、合わない人は早く辞めるため問題社員対応は少ない
- 王翦軍は大企業型のホワイト職場で、他で通用しにくいスキルの社員が問題化すると手こずりやすい
- 対応の基本は話し合い。追い出し部屋やM&Aによる配置転換など現実の手法も存在する
- 経営者は自社が飛信隊型か王翦軍型かを自覚し、それに合った採用と経営を行うことが重要






