スペシャリストの給与で最初に考えるべきこと
スキルはあるけど、マネジメントに向いていない人の給与はどう考えればいいですか?
吉田さんはまず、この質問が指す人物像を「スペシャリストみたいな人」と整理します。
そのうえで、給与を考えるときに忘れてはいけない存在があると話します。それが管理職、いわゆるマネージャーの存在です。
こういう方の給料を考える上で忘れちゃいけない存在があるんです。それは管理職の存在です。
一般的には管理職のほうが給料が高いため、その管理職との給料のバランスを考えることが一番最初の作業になると説明します。
名プレーヤーが名監督になるとは限らない
安田さんは「この方の場合、給与を上げるにはマネージャーを目指すしかないのか」と尋ねます。吉田さんは、会社の制度によってはそうなってしまうと答えます。
日本の多くの会社では、スタートアップも含めて、管理職イコール偉い人で給料も高いという給与設計になっていることが多いといいます。課長より部長、部長より専務、という具合です。
ただ、この制度には弊害があると吉田さんは指摘します。
野球とかサッカーとかでもそうですけど、名プレーヤーが名監督になるとは限らないですよね。
営業成績がいい人が、いい営業部長になるとは限りません。安田さんも「まとめるのが苦手」「部下の指導が苦手」といったケースがあるかもしれないと応じます。
特にエンジニアやデザイナーのように専門性の高い職種では、高い技術力を持ちながら管理職には向かない人も珍しくないといいます。
管理職にならないと給料が上がらない仕組みだと、こうした優秀な人が「給料が上がらないなら」と会社を離れてしまう、と吉田さんは話します。
現場に戻りたい人に管理職を任せると起きること
ここで安田さんが、自身の経験を語ります。アナウンサーも専門性の高い職種だという前提です。
同僚が部長になったものの、アナウンサーとしての技術は高い一方でまとめるのが上手ではなく、部下が振り回されたといいます。会社は「まとめる能力はないが部長にしたい」と、その状況を放任したとのことです。
スペシャリストでいてくれたらなというのが、正直、部下の感想としてはありましたね。
吉田さんは、そうしたケースでは周りも大変で、何より本人が一番苦労しているかもしれないと受け止めます。
そして、スペシャリストとしての能力に自負がある人に管理職を任せると、最悪の場合どうなるかを説明します。
こんな給料逆に要らないと。俺は現場の仕事をしたいんだから、この会社を辞めて現場の仕事ができるところに行くとか、独立するとか言って一人でやり始めたりするケースもあるので。
つまり、マネージャーにならないと給料が上がらない仕組みには、どこかで弊害や限界が出てくるということです。
スペシャリスト専用の給与テーブルという解決策
では、スペシャリストをうまく生かすにはどうすればいいのか。安田さんの問いに、吉田さんは一つの方法を挙げます。
それは、スペシャリストを管理職に登用せず、スペシャリスト専用の給与テーブルを作って処遇するというものです。
こうした制度は今では珍しくなくなってきたといいます。気の利いた会社では、本人と面談し、管理職を目指すかスペシャリストを目指すかを確認する例もあると紹介します。
あなたは管理職目指しますか、スペシャリスト目指しますか、みたいな面談があって。
希望どおりの処遇になるとは限らないものの、なるべく本人の希望を踏まえたうえで、管理職コースかスペシャリストコースかを決めていくのがおすすめだと話します。
部下のマネジメントを担い、その役割に見合った報酬を受ける道
管理職には就かず、専門スキルを軸に専用の給与テーブルで処遇される道
スペシャリストが管理職を上回る給料はアリか
ここで安田さんは、スペシャリストを優遇すると管理職から不満が出るのでは、と不安を口にします。吉田さんも、その通りだと認めます。
給与テーブルの作り方によっては、スペシャリストの給料が管理職を上回る可能性もあります。ここは会社の考え方次第だといいます。
吉田さんは、管理職の大変さを強調します。多くの部下を抱え、好き嫌いや合う合わないがあっても平等に接し、役割を遂行しなければなりません。
マネジメントっていうのはやっぱり難易度も高いし、やれる人も限られているので、それに見合った十分な報酬を出すべきだと思います。
そのうえで、会社にとってスペシャリストのスキルがきわめて重要な場合の判断についても触れます。
専門職か管理職か、大事なのは見極め
安田さんが今回の質問をあらためて振り返り、要点を整理します。
マネジメント能力は大変なものなので、そこにはしっかり給与を払うべきだといいます。一方で、マネジメント能力がない人に管理職の仕事をさせるのも違う、という点も指摘します。
だからこそ、専門職としてのポストをきちんと与える見極めが大事なのではないか、とまとめます。
吉田さんも同意し、多様な働き方を踏まえてスタッフの個性や考え方を尊重する会社が増えていると話します。
そうした流れの中で、管理職にならないと給料が上がらない単一的な制度より、複数のコースを用意している会社が増えてきているといいます。複数コースを用意できるなら、その形で処遇するのがいいと結びます。
まとめ
スキルはあるがマネジメントに向かない人の給与は、まず管理職とのバランスから考えるのが出発点です。管理職一本の昇給ルートには限界があるため、スペシャリスト専用の給与テーブルを設け、本人の希望も踏まえてコースを分けて処遇するのが吉田さんのおすすめでした。
- スペシャリストの給与は、まず管理職とのバランスを考えることから始める
- 管理職にならないと給料が上がらない仕組みは、優秀な人材の離職につながりやすい
- 管理職コースとスペシャリストコースを分け、本人の希望も踏まえて処遇する
- 管理職の役割は難易度が高く、それに見合った報酬を払うべき
- 会社に不可欠なスペシャリストなら、管理職を上回る給料もあり得る






