なぜ「まず給与」なのか
今回の質問はシンプルです。給与と福利厚生、かける費用のバランスはどう考えればいいのか、というものです。
これに対して吉田さんは、自身の考えとしながらも、明確な優先順位を示します。
できるだけ給与に振った方がいいかなと思います。経営に余裕が出てきたら、その段階で初めて福利厚生を検討するというのが良いと思います。
安田さんが理由をたずねると、吉田さんはまず求人の観点を挙げます。給与に振れば給与額そのものが高くなり、求人で強くなるという理屈です。
確かに福利厚生から見る人ってあんまりいないような気がしていて、給与を見ますよね。
一番最初に見るのは、例えば自分の月給とか時給ということになると思うので、そこが十分に上がっていない段階で福利厚生を充実させても、やっぱり世の中お金だと思うんです。
会社経営から逆算する給与の考え方
吉田さんは、求人の話にとどまらず、会社経営そのものから逆算して給与を考えます。
会社経営って経営者だけでやれるものでもないし、スタッフだけでやれるものでもないんですよ。
会社と経営者とスタッフが一体となって成果を出し、利益や売上を上げていく必要がある。ではどうすればそうなるのかを逆算すると、モチベーションの高い働き方に行き着く、という流れです。
吉田さんは、給与が一定程度上がらなければ、モチベーションが下がって前向きに働けないと指摘します。さらに深刻なのは、教育が完了して活躍し始めた人材が、その段階で辞めてしまうケースだと話します。
だからこそ、給与の高低は仕事を続けていく上で非常に重要であり、まずは給与を上げて会社経営の目標を達成していくことが大切だとまとめています。
確かに一番人の心を突き動かすのって、現金な話ですけど、お金だったりしますからね。
福利厚生を考え始めるタイミング
では、福利厚生はいつから考え始めればいいのでしょうか。吉田さんは前提条件から説明します。
まず、会社の経営が安定してくることが前提です。特に中小企業やスタートアップでは、現預金残高が重要だと強調します。
お金が無くなったら会社経営おしまいなので、潤沢に現預金があって、売上も安定的に上げられそうで、利益も出そうだといった時に、初めて福利厚生をするかしないかを考えた方がいいと思うんですよ。
そのうえで、給与の水準にも目安を示します。それぞれの業界には、一人前ならこれくらいもらえるという水準があります。
この業界水準の給与と同等か、それ以上を支払えている段階になって初めて、福利厚生を検討するのがよいという考えです。
福利厚生はどう位置づければいい?
給与が業界水準に達したうえでのプラスアルファとして考えるのがよい、という位置づけです。給与が十分でない段階で福利厚生を充実させても、求人の魅力にはつながりにくいと吉田さんは話しています。
福利厚生は「目的」から逆算して作る
福利厚生を考えるフェーズに入ったら、何から手をつければいいのか。吉田さんは、福利厚生は幅が広く自由にできるからこそ、皆が迷うと言います。
どういう人に会社で活躍してほしいのか、どういう人がターゲットなのかという目的を考えて、そこから逆算して福利厚生を作るというのがいいと思います。
安田さんも、やみくもに他社のいいところだけを持ってきても、自分の会社にそぐわないことがありそうだと応じます。
他社がやっているからうちも同じ福利厚生をやるとか、そういう導入理由はやめた方が良くて、何の目的でこの福利厚生をやるのかを十分に社内で明確化した上で始めた方がいいと思います。
目的別の具体例と、気になる福利厚生
目的に応じた福利厚生とは、具体的にどういうものか。吉田さんは業界や職場の特性から例を挙げます。
社労士業界のように勉強し続ける必要がある業界なら、書籍補助制度やセミナー補助制度が受け入れられやすいと言います。
一方、子育て中の人が活躍しやすい職場なら、ベビーシッター代の補助といった子育て支援が考えられます。
そこに魅力を感じてくれる人が求人に応募してくれるので、活躍してほしい人が自然と集まってくるし、定着にもつながるというところでいいと思います。
安田さんが、吉田さん自身が魅力的だと感じた福利厚生をたずねると、時間の使い方に関する例が出てきます。
特定の週末だけ早帰りできるとか。一時期、役所の方もプレミアムフライデーと言って推していましたけど。
吉田さんは、労働時間中に好きなことをしてもいい、副業をしてもいいといった仕組みにも触れます。
週40時間という枠の中で自由時間があるような福利厚生というのは、すごく面白いなと思いますね。
書籍補助制度やセミナー補助制度が響きやすい
ベビーシッター代の補助など子育て支援が響きやすい
まとめ
給与と福利厚生のバランスは、まず給与を優先し、経営が安定して給与が業界水準に達してから福利厚生をプラスアルファとして考える、という順序が今回の答えです。福利厚生は他社の真似ではなく、活躍してほしい人物像から逆算して設計することがすすめられています。
- 費用配分はまず給与に振り、求人の魅力とモチベーションを高める
- 福利厚生の検討は、現預金が潤沢で経営が安定してからが前提
- 給与が業界水準と同等以上になって初めて福利厚生を考える
- 福利厚生は他社の模倣ではなく、活躍してほしい人物像から逆算して作る
- 学び続ける業界なら学習補助、子育て世代が活躍する職場なら子育て支援など、目的に合わせて選ぶ




