中退共とは何か、その仕組み
今回のテーマは、退職金制度の中退共です。まずは、どんな制度なのかというところから解説されています。
正式名称は中小企業退職金共済制度中小企業退職金共済制度 ── 中小企業向けの退職金準備制度。事業主が掛金を納付し、従業員の退職時に共済から退職金が支払われる。国の運営する制度。といい、中小企業向けの退職金の準備を、中小企業同士で共に助け合っていこうという制度です。
吉田さんは、広い意味では生命保険の仕組みと同じだと説明します。みんなでお金を出し合い、退職という高額なお金が必要になったときに、中退共がお金を出してくれるという形です。
背景にあるのは、中小企業にとっての退職金の重さです。大企業なら潤沢な退職金があり、多くの退職者が出ても簡単に払えますが、中小企業はそう簡単ではないと言います。
一般的に中小企業では、新卒で入った人が定年退職するときの退職金は、平均して1000万ほどと言われているそうです。特に零細企業では、この金額を一度で用意するのはとても大変だと話されています。
なんでみんなでお金をプールして、それを退職っていうイレギュラーなことが起こった時に、中退共からお金を出してもらおうっていう、そんな制度です。
他の準備方法と比べた3つのメリット
退職金の準備方法にはいくつかパターンがあります。代表的なのが中退共で、他には生命保険で準備する方法や、確定拠出年金で準備する方法もあると紹介されています。
そうした他の制度と比較したとき、中退共にはどんなメリットとデメリットがあるのか、という切り口で話が進みます。
1つ目のメリットは、手続きや管理が簡単なことです。中退共の手続きのやり方がわからないと相談されることはほとんどなく、管理部門が強くない会社でもスムーズに加入・手続きができる印象だといいます。
2つ目は、節税効果です。毎月支払う掛金は、法人税や所得税を計算するときに、費用(損金)として全額認められます。
3つ目は、国からの掛金の助成があることです。国の制度であるがゆえのメリットで、新しく加入した場合には一定期間、掛金の一部を国が負担してくれる助成があると説明されています。
退職者に直接支給される仕組みは吉と出るか
ここからはデメリットの話です。まず、メリットでもありデメリットでもある点として、中退共の退職金は退職者に直接支給されるという特徴が挙げられます。
会社のお金をコントロールしたい経営者からすると、直接退職者に渡るのはあまりいい気がしないかもしれません。
一方で、従業員から見れば直接受け取れることは安心材料になります。仮に退職時に会社と仲が良くなかったとしても、変な意向が働かずに自分のところにお金が来るからです。
言い換えれば、採用や定着にプラスになる可能性もあるとされています。だからこそ、メリットとデメリットの両面があると話されています。
加入や掛金にまつわるデメリット
ここから、はっきりとしたデメリットが挙げられていきます。1つ目は、中小企業でないと加入できないという点です。制度名の通り、大企業は加入できません。
吉田さんは、自身の失敗談も明かしています。
中退共で準備したらどうですかみたいな気軽に言ってお客さんの相談に乗ったら、よくよく考えたらそのお客さん大企業だったなんてことはありました。
次のデメリットは、掛金の減額には本人の同意が必要という点です。今まで1万円かけていた掛金を減らしたいときには、本人の減額の同意が必要になります。
そのため、場合によっては、この掛金が経営の負担になることもあると指摘されています。
懲戒解雇でも掛金は返ってこない
3つ目のデメリットは、ひどい辞め方をした人への対応です。たとえば懲戒解雇された人には、退職金を支給したくないと思うのが経営者の人情かもしれません。
中退共でも、退職金の減額自体はできます。しかし、問題はそのあとです。
懲戒解雇でその人の退職金を不支給にしたとしても、それまで毎月かけてきた掛金は会社に返ってこないのです。
毎月一万円かけてきたじゃないかってなったら、まあそれ俺のお金じゃんとか、うちの会社のお金じゃんっていうふうに思って、じゃあ全額返してほしいと思うのが、まあ自然な発想だと思うんですけれども、この掛金は返ってこないと。
この点は、大きなデメリットの一つだと話されています。
経営者自身の退職金は準備できないという壁
最後に、もっとも大きなデメリットとして挙げられたのが、経営者自身は加入できないという点です。中退共は労働者のための制度だからです。
スタッフの退職金を準備するには優秀な制度でも、社長自身の退職金はこれでは準備できません。
吉田さんは、中小企業の経営者こそ、実は不安定な地位にいると考えています。労働者は労働基準法で守られ、大企業なら倒産しそうなときに国が助けたり貸付をしたりすることもあるからです。
一方で中小企業の経営者は、一見儲けているように見えても、地位としてはやはり不安定だといいます。そうした経営者の老後資金や退職金を、中退共では準備できないというのです。
吉田さんは、個人的には生命保険や確定拠出年金で準備することを勧めていると話しています。この2つの方法については、次回のテーマになるようです。
まとめ
中退共は手続きの手軽さや節税効果、国の助成といったメリットがある一方で、加入できる企業の制限や掛金が返ってこない点、そして経営者自身が加入できないという弱点があります。吉田さんは悪い制度ではないとしつつも、積極的には勧めないという立場を示しました。
- 中退共は中小企業が退職金を共に助け合って準備する国の制度
- メリットは手続きの簡単さ、掛金の全額損金による節税、国の助成の3つ
- 退職者に直接支給される仕組みは、採用や定着にプラスに働く可能性もある
- 懲戒解雇で退職金を不支給にしても、かけてきた掛金は会社に返ってこない
- 経営者自身は加入できず、吉田さんは生命保険や確定拠出年金での準備を勧めている






