正体不明の無料モデル「OX ALPHA」は何者なのか?
最初のニュースは、OpenRouter ── 複数のAI企業のモデルを、1つのアカウントとAPIでまとめて呼び出せる仲介サービス。モデルごとに個別契約しなくても使い分けられますに開発元を伏せた匿名モデル「OX ALPHA」が公開され、無料で使えると話題になっている、というものです。
しぶちょーさんによると、こうした「ステルスモデル」は、提供元が正体を隠したまま期間限定で無料公開する仕組みで、以前からたまにあるといいます。かねりんさんが「情報全部吸われるのでは」と心配すると、しぶちょーさんはそれこそがテストの目的だと答えています。
情報全部吸われてよしじゃない?そんなの。
それ(情報を集めること)がテストだと思う。
OX ALPHAは「ClaudeのFable相当」と騒がれました。ただ、しぶちょーさんは、それはベンチマークの一部だけの話で、だいぶ盛られていると指摘します。コーディング能力はOPAS 4.8程度ではないかと言われており、それが無料で使い放題なのは十分魅力的だという見立てです。
なぜ名前を伏せるのかについて、しぶちょーさんは、中国のモデルだと言われていることに触れつつ、「あの会社のモデルならこの程度」というバイアスなしに、どんなタスクをこなせるかを試したいからだろうと説明しています。
正体を伏せる
開発元の名前を出さずに公開する
無料で開放
期間限定で誰でも使えるようにする
先入観なしで試される
「あの会社だから」というバイアスを避ける
能力を測る
どんなタスクをどこまでこなせるかを確認する
正体については、中国のZAI ── 中国のAI企業。番組内では、以前はDeepAIという名前だったと紹介されています。GLMという系列のモデルを開発していますのGLMではないかという見方が有力だそうです。GLMはオープンウェイトのモデルで、重みが公開されているため手元のパソコンで動かすこともできます。
利用には制限もあります。1日1000リクエスト程度まで送れるのは、OpenRouterに累計10ドル以上課金した人だけです。しぶちょーさんは、10ドルを入れた実績だけで条件を満たせるものの、OPAS 4.8相当でいつまで無料かもわからないので、そこまでする必要があるかは微妙だと話しています。
しぶちょーさんは、入力してはいけないデータを入れない前提で試す程度がよいとし、番組の「おちつきAI RAG」に、注意事項付きでこのモデルと話せる実験室ページを期間限定で用意したことも紹介しました。
中国AIとローカルLLMを今触っておく意味は?
OX ALPHAの話から、かねりんさんが「中国のAIもキャッチアップすべきか」と尋ねます。しぶちょーさんの答えは、アメリカ勢だけでなく中国の動きも追うべきで、特にアリババのQwenとDeepSeekは見ておいた方がよい、というものでした。
Qwenはオープンウェイトの中でも評価が高く、100万円ほどのパソコンなら動かせるといいます。例に挙がったのはNVIDIAのDGX Sparkで、家電量販店のパソコンランキングで1位になっているのを見て驚いたという話も出ました。
しぶちょーさんがローカルLLMにこだわる理由は、かねりんさんにとって毎回腹落ちしない点でもありました。しぶちょーさんが挙げたのは、定額プランが終わって従量課金に切り替えられたら困る、という依存のリスクです。
今さ、生殺与奪の権を握らせてるよね、OpenAIとかClaudeに。
しぶちょーさんはさらに、日本全体からアメリカにお金が流れ続けるという大きな視点や、ローカルなら電気さえあれば動きセキュリティも保てるという利点を挙げます。今後は大きなモデルではなく、特定タスクに特化した小さなモデルがエッジデバイス ── クラウドではなく、手元のパソコンやスマホなど利用者側の機器のこと。そこでAIを動かすことをエッジで動かすと言いますで動くようになる、という見立てです。
大体みんな本当にすごいスポーツカーに乗って、時速30キロぐらいで走ってるみたいな感じなのよ。俺も含めて。
しぶちょーさんの比喩では、今は多くの人がF1カーでコンビニに行っている状態です。軽自動車を10台並べるように、小さなタスクに分解して軽いモデルに実力いっぱい働かせる運用がありうる、と語っています。
高性能なモデルを何にでも使う。F1カーでコンビニに行くような状態で、提供元の料金体系に左右される
タスクを小さく分解し、手元で動く軽いモデルに任せる。電気があれば動き、セキュリティも保ちやすい
自宅のRTX 4070で何が動くのか?
しぶちょーさんは、愛知県の自宅にあるRTX 4070搭載のデスクトップでどこまで動くかを調べたそうです。12GB程度のGPUメモリなら、Qwen 3.5の9B、つまり90億パラメーターのモデルが載るとわかりました。
ただ、その性能はClaude Sonnetの古い版やGPT-4o程度とのことで、かねりんさんは「Fableを知った僕らには戻れない世界」と返しています。しぶちょーさんも、ローカルで回せるとしても何をやらせるかで悩んでいると明かしました。
本当は自分の音声の文字起こしを延々とやらせたかったといいます。さらに、OpenCode ── Claude Codeに近い使い勝手のオープンソースのコーディングエージェント。APIを接続すれば、さまざまなモデルを選んで使えますを使えば、Claude Codeのようなエージェント的な作業を完全にローカルで実現できる、と紹介しています。
かねりんさんが「何から始めればいいか」と整理を求めると、しぶちょーさんは段階ごとの入口を示しました。
しぶちょーさんは、ステルスモデルは突然課金されることはないものの提供が止まることは必ずあるので、その期間だけ遊んでみるのがよいと添えています。
おちつきAI RAGが一度閉じるのはなぜ?
話は番組の公式ツールに移ります。しぶちょーさんは、おちつきAI RAGを1週間ほど工事中にし、仕組みとデザインを作り直すと告げました。現在Googleアカウントで登録してもらっているアカウントも、一度すべて消すそうです。
理由は、ちゃんとしたメーリングリストを取りたいから、という戦略的なものです。Googleアカウントのアドレスはあっても、メルマガを送る承諾を規約で取っていないと送れない、と説明しています。
ここまで来ましたけど。あれ、みんなのアドレス知らないなみたいな。
かねりんさんも奇遇にも、番組全体でリストを取る仕組みを作り始めたところでした。RAGのユーザーは100〜200人ほどいるといい、しぶちょーさんは、概要欄のニュースとリンクに今回話したことの要約を添えるだけでも役立つメルマガになると話しています。二人は、同じものを別々に作らないよう後で相談することにしました。
ReplitのFreeModeで何が変わったのか?
2つ目のニュースは、Replit ── ブラウザ上でプログラムの作成から公開までできる開発サービス。AIエージェントがアプリを作ってくれる機能で知られますに、クレジットを消費しないFreeModeが登場したことです。おちつきAI RAG自体もReplit上で作られています。
しぶちょーさんによると、これまでのReplitは強いモデルだと1回のやりとりで1ドルかかることもあり、ちょっと直したいだけでも腰が重くなる設計でした。月20ドルのプランで使える20ドル分はすぐ溶け、100ドル単位で追加していたといいます。
何をしてもクレジットを消費し、小さな修正でもためらう
具体的な修正はFreeModeで行い、難所だけパワーモードやマックスモードに上げて課金する
実際、OX ALPHAの実験室ページもFreeModeができたからこそ、ほとんど無料で作れたそうです。
かねりんさんが「Claude Codeではだめなのか」と聞くと、しぶちょーさんは、Replitはデプロイまでできる点が違うと説明します。データベースを持ったウェブサービスを組み、そのまま公開し、Stripeと連携した課金まで一式で完結できるというのです。
自前でAWSやAzureを使う場合、ボタン1つの押し間違いで高額になる怖さがあり、かねりんさんも設定ミスで何十万円もの請求が来た経験を語りました。しぶちょーさんは、Claude Codeで設計してから途中でReplitに渡す流れを基本にしているそうです。
G検定の勉強はどこからやる?
Replitの話の流れで、かねりんさんが9月頭のG検定に申し込んだことが話題になりました。しぶちょーさんは、出題は満遍なく、教本に載っていない問題も4割ほど出ると話します。
いや本当にね、あの聞いたことない概念が結構出るのよ、受験って。
しぶちょーさんが勧める最短の方法は、教本を一度さらっと読み、問題集を解き、間違えた箇所を読み返すというテンプレ的なやり方です。かねりんさんは3日ほど根を詰めて臨むと宣言しました。最後にしぶちょーさんは、Replitの日本のアンバサダーに申し込んだことも明かしています。
Claude Codeの上限+50%延長と、止まらないAI利用
3つ目のニュースは、Claude Codeの週次上限+50%が8月31日まで延長されたことです。キャンペーンは5月13日から続いており、しぶちょーさんたちは増えた状態が当たり前として使ってきました。
しぶちょーさんは、Anthropicは恒久化したいと考えつつも、需要によるキャパシティ逼迫の可能性を理由に様子を見ていると紹介します。やめればユーザーがCodexに流れかねないので、引き延ばしているのではないかという見立てです。
ここで、かねりんさんがClaudeとCodexの両方で200ドルプランに課金し、Grokも上限に達してAPIで使っていることが判明します。何に使っているのかを聞かれ、かねりんさんはポッドキャストの編集周り、ショート動画、テロップ、そして執筆中の本のファクト確認などのリサーチを挙げました。
7時間分の指示を出したCodexはどうなった?
しぶちょーさん自身も、この日Codexの100ドル分を1日で使い切ったといいます。リサーチ、PC内での実験、結果のまとめ、GPT Image 2での挿絵作成、ブログ記事としての納品までを一気に指示し、朝7時に動かして帰宅してもまだ動いていたそうです。
ずっとやって、やればやるほどどんどんそれてくの。
結果は、ゴミのようなものが生み出される大失敗でした。お盆前にBooksscannerのレビュー記事で同じ流れが成功し、投稿までAIに任せられたため、調子に乗って次の案件でも試した結果だったといいます。Fableの週の枠は9割使っていたのでCodexを選んだものの、文章はFableの方がよく、Codexは硬いという感想も語られました。
Booksscannerのレビュー記事。本人のレビュー以外をAIが書き、投稿まで成功
長大な指示を一気に実行。作業がそれていき、使えない成果物に
大きな自動化より小さな仕組みがうまくいく?
かねりんさんも、ポッドキャストのエッセンスをNoteやX、Facebook向けのネタとして机に並べてくれるアプリを作ろうとFableを溶かし続けていますが、うまくいかないと悩みを明かします。
完成形がイメージできてないものは結構作れないんだよね、やっぱね。
しぶちょーさんは、パーツごとに作った方が意外とうまくいくと話し、自分の例を紹介しました。Xへの投稿を30分ごとにClaude Codeが確認し、ThreadsとLinkedInに展開する仕組みで、LinkedIn向けにはビジネスライクな文章に書き換えるそうです。
ほかにも、登録したサイトのRSSを毎朝7時に集めて要約・ランク付けしNotionに書き込む「RSSコレクター」(しぶちょーさんの自称)があり、そのNotionから毎週土曜の全自動AIポッドキャストを作っています。1つの塊ではなく、小さな塊がそれぞれ機能している状態だといいます。
RSSコレクター
毎朝7時に登録サイトの新着記事を集めて要約する
Notion
面白さでランク付けしたネタが蓄積される
AIポッドキャスト
毎週土曜にNotionのネタから番組を作る
かねりんさんは、LISTENへの動画アップロードをAPI化しようとして容量やサムネイルの制限に当たった際、LISTENの社長の近藤さんにメールしたら半日で機能が追加された、という体験も話しています。
飲食店の「激キモAI飯」の犯人はBingなのか?
4つ目のニュースは、飲食店のメニューに不自然なAI生成の料理写真、いわゆる「激キモAI飯」が広がり、その原因はMicrosoftのBing Image Creatorではないかという説が話題になっていることです。米粒が玉のようだったり、パスタが編み込まれたような幾何学模様だったりする画像です。
しぶちょーさん自身も、東京駅の八重洲地下のカレー屋で遭遇しました。おいしそうなカツカレーだと思ってよく見ると、カツの衣が幾何学的で、食欲が落ちて食べなかったといいます。
めっちゃキモくて、そのカレーが。そのカツがさ。うわ、これ激キモAI飯やと思って。
Bing Image CreatorはMicrosoftアカウントがあれば無料で使え、DALL-E 3など1世代前のモデルが使われています。無料だから多くの店が使っているのではないか、というのが話題の説です。
しぶちょーさんは、自分たちはnano bananaやGPT Image 2の話をしている「エコーチャンバー」の中にいると振り返ります。世の中にはそれ以前のツールを使い続ける人がいて、情報格差を見せつけるニュースだと受け止めています。
もうもっとnanoバナナ以前のやつをずっと使い続けてる人たちがやっぱ世の中にはいて。
ChatGPTでも無料で画像が作れるのに、そこまでたどり着かない人が多いのではないか、とかねりんさんも同意します。しぶちょーさんは、こうしたことが今後いろいろな分野で起きるだろうとまとめました。
FANZAの成人向けAI制作サービスは誰のためのもの?
5つ目のニュースは、FANZAが成人向けAIコンテンツ制作プラットフォーム「FANZAスタジオ」の提供を始め、8月24日からベータ版の先行体験を開始したことです。視聴者向けではなく、クリエイターとして参加するためのサービスです。
しぶちょーさんの説明では、複数のAIモデルで成人向け作品を作り、一般のプラットフォームでは公開しにくい作品を正式に公開できる場所です。先行体験は審査制で、通ると5000円分のDMMポイントが付与されます。多分イラストや同人的な作品が中心ではないか、としています。
しぶちょーさんはすでにクリエイターとして申し込み済みで、レッドオーシャンを避けてマニアックなジャンルを選んだそうです。これはアートの話だと強調しています。
かねりんさんも申し込んでみると応じました。最後に、FANZAはDMM系列で、アダルト事業をブランドとして切り離したものだと確か記憶している、としぶちょーさんが補足しています。
指の痛みがきっかけでAqua Voiceに年額課金?
最後の話題は、しぶちょーさんが音声入力ツールAqua Voice ── 話した内容をAIが整えて文字入力するツール。デスクトップとスマホで同じアカウントを使えますに年額課金した体験です。きっかけは、右手の親指と人差し指の痛みでフリック入力もタイピングもつらくなったことでした。
無料版を試したところ、言い間違いや「これ違った」と言い直した部分を自動でカットし、言いたいことだけの文章にしてくれたといいます。クラウドのAIで整形されるため、誤字脱字もなく速いそうです。
なんか適当にバーッと喋って、あ、これ違った、違う、そうじゃなくてこっちですみたいなこと言っても、なんかちゃんとそういう文章になってて。
実は、前述の7時間分のCodexへの指示も、Aqua Voiceで入力しやすかったからこそ出せたものでした。月8ドル程度(月額契約だと10ドル)でユーザー辞書もあり、スマホでも使えます。無料枠は1000語程度で、体験自体はユーザー辞書がない以外は同じだそうです。
しぶちょーさんは、これまでタイピングが速いので音声入力に価値を感じていなかったと振り返ります。そのうえで、AI界隈がなぜ音声入力を勧めるのかがわかったといいます。
かねりんさんは、Manusで一度に20〜30個のタスクを投げたらクレジットがゼロになって止まった失敗談を披露し、しぶちょーさんに「一気にやりすぎ」と笑われていました。
シニア×AIは「リープフロッグ」を起こすのか?
エピソードの終盤は、お便りの紹介です。墨田区のコミュニティセンターを中心に活動する方から、シニアとAIについてのメッセージが届きました。
私は47歳で墨田区内のコミュニティセンターを中心にシニア×AI未来会議という活動を行っています。60代から90代のAIに興味がある方を対象に勉強会や体験会を開催してます。活動を始めて1年になります。
シニア×AIはブルーオーシャンだと思っているので、今後に期待です。シニア世代に生成AIを教えるということは、AI以前のスマホの使い方といった問題もあったりと、若い方に教えるのとは勝手が違う面がありますが、活用してもらうと若い世代に想像できないようなアイデアが出てきたりと面白いですよ。
しぶちょーさんは、シニア×AIの話題を各所で聞くようになったと話し、収益化は難しくても行政からの業務委託の形はありうると見ています。
さらに、お年寄りの方がAIを使いこなすのではないかと語ります。クレジットカードや銀行の文化が根付く前だった中国で電子マネーが一気に広がったように、下地がない分、一気に定着するリープフロッグ現象 ── 古い技術やインフラが普及していない地域で、中間段階を飛ばして最新技術が一気に広まる現象。カエル跳びにたとえた言葉ですがお年寄りとAIでも起こるのでは、という見立てです。
一方で、AIにお年寄りの相手をさせるという発想は上から目線だとも指摘します。お年寄りが能動的にAIで生活を豊かにする方が健全だ、という考えです。
しぶちょーさんは、98歳の妻の祖母と幼稚園の子どもが手を握り合って一生懸命話していたお盆の光景を紹介し、人のぬくもりを感じたと語りました。そのうえで、AIを使うことが果たして正解なのかは難しい、と含みを残しています。
まとめ
この回は、無料のステルスモデルやReplitのFreeModeといった使える話題と、激キモAI飯のような情報格差を示す話題が並びました。どのニュースにも、AIを「どう触るか」の差が表れていたと言えそうです。
- OX ALPHAは期間限定の無料ステルスモデルで、「Fable相当」は一部ベンチマークの話と受け止めるのがよい
- しぶちょーさんは、提供元への依存を避ける意味でも、小さく分けたタスクをローカルLLMで回す経験を今から積むべきだと考えている
- ReplitのFreeModeで小さな修正の費用負担が減り、公開まで一式で完結できる強みが使いやすくなった
- 大きな一括自動化は迷走しやすく、小さな仕組みをつなぐ方がうまくいったという実体験が語られた
- 激キモAI飯は、最新ツールを知る層とそうでない層の情報格差を映すニュースとして語られた





