なぜ今、情報は「収集」より「管理」なのか?
今回のおちつきAIラジオのテーマは「AI時代の情報管理ツールについて語ろう」です。アカデミックな回が続いたこともあり、しぶちょーさんは具体的なツールを紹介しつつ、情報をどう管理すればよいかを議論する回にしたいと話します。
しぶちょーさんがこのテーマを選んだのは、AIによって情報収集そのものより、集めた情報をどう管理するかのほうが重要になってきたと感じているからです。
今までさ、Google検索とかでさ、調べて、このサイトがあって、こういう情報があって、コピペコピペつって、いろいろ集めてくるようなものから、もう[[ディープリサーチ]]でドワって出てきてみたいな。
Google検索で1つずつ集めていた時代から、AIに聞けば一気に調べてくれる時代へ。収集が楽になりすぎた結果、かねりんさんは「情報がありすぎてフリーズする」と打ち明けます。
(情報が)ありすぎて、もっとちゃんと調べてからの方がいいかなとか思っちゃうし。
しぶちょーさんは、インプットは無限にでき、集めること自体が気持ちいいと指摘します。知識を手に入れた感覚で終わってしまうからこそ、使える形に管理しておく必要があるというのが、この回の出発点です。
Google検索でサイトを探し、コピペで少しずつ集める。集めること自体が大変だった
ディープリサーチやAIで一気に集まる。情報が多すぎて、どう管理し活用するかが課題になった
プロンプトの次に来た「コンテキストエンジニアリング」
しぶちょーさんは、情報管理が大事な理由の前提として、最近「プロンプトエンジニアリング」という言葉を聞かなくなったことを挙げます。かねりんさんも、2、3年前には盛んに叫ばれていたと振り返ります。
しぶちょーさんによれば、AIの性能が上がり、プロンプトの小手先のテクニック以上に、AIが自分で解釈して答えてくれる時代になりました。その次として注目されているのがコンテキストエンジニアリング ── AIの回答精度を高めるため、指示文の工夫だけでなく、AIに渡す前提情報(自分のデータや文脈)の質や構造を設計する技術ですです。
AIにどういうプロンプトを渡すかというより、どういう文章とか、どういう文脈を渡してあげるか。
背景にあるのは、コンテキストウィンドウ ── AIが1度のやり取りで読み込み、記憶・処理できるテキスト(トークン)の最大量のことですの急拡大です。しぶちょーさんは、2022年にChatGPTが出たばかりの頃はAIが覚えていられる範囲が3000文字ほどだったのに対し、今はGeminiなどで100万トークンほどになっていると説明します。
本1冊分が入るのであれば、質問の前にどんな情報をAIに渡しておくかが回答を左右します。しぶちょーさんは、渡す文章や情報をいかにクリティカルで綺麗なものにしておけるかが、プロンプトより重要になってきたと話します。
10回分の会議を踏まえてAIに相談するには?
コンテキストの話を聞いたかねりんさんは、まさにそこで困っていると切り出します。これまでのやり取りや会話の流れを、どうやってAIに入れればいいのかという悩みです。
例えば10回ぐらいの会議の内容を踏まえて、ちょっと整理したいことがある時にさ、どうやって入れようかなみたいな。
議事録全部突っ込んでみたいな感じなのか、もっとスマートなやり方ないのかなと思って最近考えてたけど。
しぶちょーさんの答えは、今なら議事録を全部入れてしまっても十分考慮してくれる、というものです。そのうえで、入れる議事録の選び方や順番、聞き方も精度に影響すると付け加えます。
さらに議題に関する参照情報も一緒に入れておけば、AIはより幅広く答えられるようになります。しぶちょーさんは「そこに何を入れるか」が重要だとまとめ、具体的なツールの話へ移ります。
Notionは京都の一軒家で生まれた
1つ目に紹介されたツールはNotionです。かねりんさんは、ブラウザのプラグインで気になったウェブページをNotionのデータベースに保存したり、文字起こしした議事録を送ったりして、情報をとりあえず貯めていると話します。
貯めとく、とりあえず貯めとくみたいな。データベース形式で。
しぶちょーさんは、Notion AIでデータベースの中にアクセスできるうえ、MPC ── AIアプリが外部のツールやデータにつながるための接続の仕組みを指すと考えられます。発言では「コネクター」と言い換えられていますなどのコネクターで外部のAIから処理させることもできるとして、Notionは管理場所として使えると評価します。
話はNotion誕生の逸話にも及びます。しぶちょーさんによれば、創業者はサンフランシスコで起業したものの一度うまくいかず、従業員4人を解雇して、親からお金を借りて作り直したそうです。
いやちょっともうアメリカ高いんだよみたいな、家賃が。違うところに移住しようってなって、京都に来たんだって。
しぶちょーさんの説明では、サンフランシスコの半分の家賃で住める京都に移り、日本語も通じないのでコーディングに専念し、二階建ての家の2階で開発したのがNotionだといいます。2016年にバージョン1.0がリリースされたそうです。
Evernoteからの引っ越し組と、メモ難民の終着点
Notionの強みについて、しぶちょーさんとかねりんさんはやはりデータベースだと一致します。一方でかねりんさんは、もともと十数年前からEvernoteのヘビーユーザーで、Evernoteがつぶれたと感じてNotionへ全部引っ越したと話します。
まあEvernoteの方が俺的には良かったんだけどさ。
しぶちょーさんは逆に「メモ難民」だったといいます。GoogleドキュメントやiPhoneのメモアプリなどを転々とし、最終的にNotionにたどり着いて、今はおちつきAIラジオのネタ帳もポッドキャストの原稿もすべてNotionに入れています。
iPhoneのメモについてしぶちょーさんは、ワンクリックで開いてすぐ書けるのでメモ帳としては優秀だと認めます。ただ、テーブル構造を持って表のままデータとして扱える点では、Notionのほうが強いと話します。かねりんさんは、それを後からの検索性や情報の再利用性だと言い換えます。
Notionの弱点は「クラウドの箱」にある?
しぶちょーさんはNotionを高く評価しつつも、外部のAIとの連携がやりにくいという問題を挙げます。Notionという箱の中にデータがあり、コネクター経由で外から吸い出して処理する形になるからです。
しぶちょーさん自身も、OpenCLのエージェントにNotionのタスクを読ませ、毎日朝7時と夜8時に納期の近いタスクを通知させる仕組みや、Discordで頼むとNotionのデータベースにタスクを追加してくれる仕組みを作っているそうです。
もっとこう、しっかりがっつり連携させようと思った時に、結構Notionのこの箱ってのが邪魔になってきたりするので。
しぶちょーさんは、Notion側にもNotion AIがあるので、データをそこまでオープンにしたくないのではないかとも推測します。クラウドにあることが1つのボトルネックになっている、という見方です。
かねりんさんは、ネット接続が悪いときにメモできないのでつい別のメモアプリに書いてしまうと話します。しぶちょーさんも、東京と名古屋を新幹線で往復するときにトンネルで読み込めずイライラすることがあると共感します。
ローカルで動くObsidianと「双方向リンク」
Notionの問題を逆のアプローチで解決するツールとして紹介されたのがObsidianです。かねりんさんは初めて聞いたそうで、しぶちょーさんに「珍しい方がいたもんですね」と驚かれます。
しぶちょーさんによれば、Obsidianは2020年ごろに誕生したメモアプリで、AIのために生まれたわけではありません。AI時代になって改めて注目を集めているツールです。
Obsidianの1つ目の特徴は、データをすべてローカルで管理する「ローカルファースト」であることです。自分のパソコンの中にMarkdown ── 見出しや太字、リンクなどを簡単な記号で書けるテキスト形式です。プレーンテキストのまま扱えるので、AIにもそのまま読ませやすいのが特徴ですのテキストとして保存するので、軽く、AIにそのまま渡すなどデータの扱いがとても楽だといいます。
2つ目の特徴が双方向リンク ── ノートAからノートBへリンクを張ると、ノートB側にも「ノートAからリンクされている」と自動で表示され、双方向につながる仕組みですです。メモとメモの間にリンクを張ることで、メモ同士が蜘蛛の巣のようにつながっていきます。
使ってみんとちょっとよくわからんな。
しぶちょーさんがマインドマップのようなものだと補足すると、かねりんさんは値段を尋ねます。無料だと聞いたかねりんさんは「使ってない人バカじゃん」と笑いますが、実はかねりんさん自身も使っていませんでした。
しぶちょーさんによれば、NotionからObsidianへ、あるいはその逆へ移る人がよくいて、Obsidianだけを話すポッドキャストがあるほど熱心なファンがいるそうです。
しぶちょーさんは、表はひたすら記事が積み重なって並ぶだけで、一見関係ない記事同士のつながりのような立体的な情報の形を捉えられないと説明します。自由にメモをつなげられる双方向リンクこそがObsidianの一番の強みだといいます。
本棚のNotion、マインドマップのObsidian
しぶちょーさんは、NotionとObsidianの違いを比喩で説明します。
Notionってまあ言ってしまえばさ、なんか図書館の本棚みたいな感じなのよ。ジャンル分けしてこうずらっと並べてるみたいな。
Obsidianはなんかもうマインドマップよね。脳の中の知識をこうパーって開けて、こことこう繋がってるよねみたいな感じで見ていくと。
図書館の本棚。クラウド上のデータベースで、表として整理・再利用しやすい。外部AIとはコネクター経由
マインドマップ。ローカルのMarkdownで管理し、双方向リンクでメモ同士をつなげて発見を生む
しぶちょーさんは、ObsidianがAI時代に再注目された理由を「ローカルにデータを持っていること」だと説明します。Claude CodeやCursor、Antigravityのように、ローカルで動かせるAIツールが増えているからです。
ローカルにMarkdownのテキストがあれば、それを全部コンテキストとして一気に読み込ませられます。Notionのようにコネクター経由で取りに行く必要はありません。
さらにしぶちょーさんは、LM StudioのようなローカルLLM ── クラウドではなく自分のパソコン上で動かす大規模言語モデルです。データを外部に送らずに処理できる点が注目されていますを使えば、ローカルの情報をローカルのAIで処理できる点も挙げます。オフラインでも書けて、AIにも処理させやすいことが、Obsidianが見直された経緯だといいます。
ルーマンのツェッテルカステンと、梅棹忠夫の古典
しぶちょーさんは、かねりんさんにツェッテルカステン ── 1つのメモに1つのアイデアだけを書き、分類ではなくリンクでつなげて、後から新しい発想を生むドイツ発祥のメモ術ですを知っているかと尋ねます。何度か言い間違えながらの紹介に、かねりんさんは「ドイツ語の技術者みたいな名前」と返します。
しぶちょーさんによれば、これは社会学者ニクラス・ルーマン ── ドイツの社会学者。社会システム理論で知られ、膨大なメモカードを使った執筆法でも有名ですのメモ術です。ルーマンは生涯で70冊以上の本と400本以上の論文を書いた「アウトプットの鬼」だといいます。
1メモ1アイデア
1つのメモに1つのアイデアを書く
封筒にしまう
関係のありそうなところに入れて整理する
知識がつながる
ある日、全然違う知識同士が結びつく
新しい気づき
つながりが新しいアイデアになる
しぶちょーさんは、自分が持っている情報や知識を横軸につなぐ方法はとても生産的だと話します。同じ方法をとった日本人として、梅棹忠夫の『知的生産の技術』を名作として薦めます。
ツェッテルカステンについては『TAKE NOTES!』という本もあるものの、しぶちょーさんは「海外の自己啓発本って感じ」で、事例が延々と続く難しい本なのであまりおすすめしないと話します。かねりんさんが『知的生産の技術』はおそらく1969年の本だと言うと、しぶちょーさんは古くても言っていることは同じだと応じます。
デジタルでAI使ってうまくやるというよりは、その情報の整理として横のつながりをどう作れるかっていうのが結構重要になってくると。
マインドマップが示す「箇条書きは脳に合わない」
しぶちょーさんは、立体的なつながりをつくることの有効性はマインドマップでも示されていると続けます。マインドマップはトニー・ブザン ── イギリスの著述家・教育者。マインドマップという思考整理法を考案し、普及させた人物として知られていますが考えた手法です。
人間のその脳の作り的に横につなげて考えていく、だから箇条書きみたいな形で考えるのって、人間の脳の作りと合ってないの実は。
しぶちょーさんによれば、箇条書きは体系的に見えても情報を階層でしか捉えられず、発想が広がりにくいといいます。自由に配置することで意外なつながりが見えてくる点は、どのメモ術も共通しており、それを今の時代に落とし込むとObsidianのような形になると話します。
かねりんさんが「付箋ではもう情報が多すぎてできない」と言うと、しぶちょーさんも同意します。大きな文脈の一部同士がつながっていることは物理的には表しにくく、Obsidianで作るのも複雑になりがちだが、できれば非常に強いと語ります。
「情報の越境」と新結合がAIにできない価値になる
しぶちょーさんは持論として、別のポッドキャストで聞いた「情報の越境が価値だ」という考えを紹介します。一見関係ない情報同士を、抽象化すると同じ構造を持つとしてつなげ、話を展開していくことです。
それってAIにできないその人の視点ならではの繋がりなんだよね。
しぶちょーさんは、「イノベーションとは新結合である」という言葉も引きます。まったく新しいものは世の中に存在せず、他のものと他のものがくっつくことでイノベーションが生まれるという考え方です。
ただしObsidianを使えば必ず新しい視点が生まれるわけではない、としぶちょーさんは念を押します。リンクを張るかどうかはその人のセンスや視点なので自動ではできず、普段からつながりを意識して情報を見る必要があるといいます。
Obsidianを使おうと思って、そういうふうに情報を見出すっていうのは結構いいかもしれない。
古い自己啓発本は、ずっと同じことを言っている
しぶちょーさんは、Obsidianを試すことに加えて、情報の横のつながりが昔から大事だと言われてきたことを本で知ってほしいと話します。挙げたのは『知的生産の技術』『TAKE NOTES!』『マインドマップ 最強の教科書』の3冊で、1冊に絞るなら『知的生産の技術』だといいます。
話は古い自己啓発本の面白さに広がります。しぶちょーさんは15〜20年ほど前の自己啓発本を最近読み、インターネットによって情報が簡単に手に入るようになったので、知っていることより自分で考えて判断することが大事だと書かれていたことに驚いたそうです。
AIに置き換えて全く同じこと書いてる人いるなと思ってさ、なんか。
しぶちょーさんは、時代を席巻するツールは変わっても、人に必要とされる力は変わっていないと話します。2004年ごろの働き方の本にも、年功序列は崩壊すると書かれていて、今と同じだったといいます。
変わらずに言われ続けていることにこそ本質がある、というのがしぶちょーさんの見方です。情報整理においては、それが情報の横のつながりだといいます。
それを咀嚼して横につなげないと、本質的な価値にはならないんじゃないかなっていう。
ただ知識を詰め込むだけなら、メモを取ってすぐアクセスできる環境を作れば済みます。しぶちょーさんは、Notionがダメなわけではないとしつつ、単に綺麗にまとめるだけではない価値としてObsidianが注目されているのが今のAI時代の面白さだと話します。
無料のObsidianと、課金しても使いこなせないNotion
ローカルで強いツールはObsidianくらいかというかねりんさんの問いに、しぶちょーさんはローカルならそうだと答えます。開発体制は大きくないものの、ファンコミュニティがあり、プラグインが有志によって開発されているそうです。
しぶちょーさんによれば、Obsidianはオープンソースではないものの、アプリ自体は完全無料で、ネット接続もサインインも不要です。クラウドでデバイス間を同期する場合は月4ドルほどかかるかもしれない、とのことです。
Notionも無料で使えますが、かねりんさんは課金しているそうです。AI機能も試しに課金したものの、「おまけ機能みたい」であまり使い物になっていないと話します。
Notionがね、なんかいいよいいよってみんな言うからNotionなんだけど、なんかイマイチなんだよな。
しぶちょーさんは、Notionには相当お世話になっていると返します。「ものづくりの視点」の600本分の原稿、「ものづくりのラジオ」の200本近い原稿、さらに執筆した本のデータまでNotionに入っていて、使えなくなったら「終わり」だといいます。
それでもObsidianも自分のデバイスに入れて試しているそうです。しぶちょーさんは、ローカルのデータをClaude Codeなどで処理し、自分の書いたことや思いついたことについていろいろ聞き出せる点が、ファンに好まれる理由ではないかと話します。
Kindle Paperwhiteは「抜刀」できる位置に
かねりんさんは、読書家のしぶちょーさんに、KindleのハイライトをBookNotion ── 読書記録やハイライトをNotionに取り込むためのツールですのような連携でNotionに送っているのかと尋ねます。
しぶちょーさんはKindle Paperwhite派で、Paperwhiteからはできないと思っていたと話します。一方かねりんさんは、ハイライトはクラウドに送られるので、プランによってはどの端末からでも自動でNotionに飛ばせると教え、しぶちょーさんは「知らんかった」と調べてみることにします。
しぶちょーさんのKindle Paperwhiteへのこだわりは相当なもので、リュックのファスナーのないサイドポケットに必ず入れ、スマホより早く出せるようにしているそうです。かねりんさんがチャカに例えると、しぶちょーさんは侍の抜刀になぞらえます。
だからリュックもサイドポケット、オープンなサイドポケットがないと嫌なのよ。そこに入れときたいから。絶対。
スマホで読まない理由は、通知がうるさいことと、子どもに取られることです。Kindleなら子どもが触ってもつまらないので取られないといいます。
自己啓発本など、ページを戻る必要がない本
技術書・専門書。前のページのコードや式を見返すため。読み終えたら断裁してPDFにしてローカルに保存
PDFをNotionに入れて中身を検索できるかという話では、かねりんさんがEvernoteでは取扱説明書のPDFを検索できていたと話します。しぶちょーさんは、OCRで文字情報に書き出すプログラムならClaude Codeなどに頼めば作れるだろうと応じます。
面白い発信は「一見関係ないもの」をつなげている
しぶちょーさんは、本当は読んだ本の情報もObsidianでつなげて管理したいと話します。ブログや本を書くときにも、知識同士のつながりを記録したネタ帳が必要だからです。
ただしObsidianは自由度が高いぶん使い方が難しく、先人のやり方を真似しないと車輪の再発明になりかねないといいます。AI系の人や効率化・創造を好む人はみんな使っているそうです。
かねりんさんが「その人たちは面白いアウトプットを出しているのか」と問うと、しぶちょーさんは自分の中の定義だと断ったうえで、面白い発信をする人は一見関係ないものをつなげていると答えます。
面白い文章書いてるなと思う。そのなんか、それがAIに書けない文章だなってのは自分の中の答えとして一個あってさ。
かねりんさんは、AIで書くとつまらない文章になってバレるし、手で書くのはアホらしくなるので、最近はトークだけにしていると明かします。Obsidianを使えばネタがあふれるようになるかという問いに、しぶちょーさんは「なるはず」と答えます。
しぶちょーさんは番組づくりにもこの発想を持ち込みたいと話します。今は1つの軸を深掘りする構成ですが、全然違う2つの専門を「俺はこれがつながっていると思う」と結びつける回があってもいいといいます。かねりんさんはそれを「あっち行ってこっち行ってピーン」と表現し、しぶちょーさんも「キャッチーなフレーズ」だと喜びます。
情報コレクターではなく、アイデアを育てる場を
しぶちょーさんは、情報を箇条書き的に管理していいのかという問いを投げかけます。かねりんさんも、入れておくだけでは実際には使わず「倉庫」になってしまうと認めます。
しぶちょーさんによれば、SNSでは「情報収集を効率化できました」という投稿がよく見られ、いわゆるAI驚き屋さんもよく発信しています。しかし、それをきちんと思考の場にできているかが問われるといいます。
まあでも蓄積も悪くはないんだけど、育てる場いるよねと。
しぶちょーさんは、アイデアを育てる場所、いわゆるセカンドブレインとしてObsidianは重要なツールになると考えています。無料で成り立つ理由はよくわからないとしつつ、クラウドサービスではないので、パソコンとOSが対応している限りは使い続けられるとも話します。
今日のアクションプランは、まずNotionを触ること
ゆるくツールを紹介してきたこの回で、しぶちょーさんがリスナーに勧める行動は「Notionを使っていない人は、まずNotionを使ってほしい」というものです。
かねりんさんは、AIエンジニアの界隈でなければNotionを使っていない人は多く、せいぜいGoogleドキュメントやExcel、スプレッドシートだろうと話します。しぶちょーさんはそれでもいいとしつつ、ちょっと触るくらいから始めてほしいと勧めます。
しぶちょーさん自身、Notionを学ぶためにUdemy ── オンラインの動画学習プラットフォームです。個人の講師が講座を公開し、受講者は講座ごとに購入して視聴しますの講座を2、3個買ったそうです。
本で見るより、ここをこうやってクリックして、こういうことするとこうなりますよねみたいなやつが動きで見るから早いね、キャッチアップが。
本だとアイコンの位置がわからなかったり、UIが変わって「ないやん」となったりしますが、Udemyは講師がUIの変化に合わせて更新してくれることが多いといいます。Notionのほか、ポッドキャスターが使うAuditionなど、マニアックなツールの講座も多いそうです。
Udemyは「セールの値段が本当の価値」
しぶちょーさんには、Udemyで気に入らない点が1つあります。セール以外の時期は値段がとても高いことです。
割引されてる時が本当の価値ぐらいの(情報価値しかないから)。
しぶちょーさんによれば、セールは月に2回、1週間ほどずつあるので、月の半分くらいはその値段で買えるそうです。番組で紹介されたからといって1万円で買わないでほしい、と強く呼びかけます。
かねりんさんは、気になる講座をお気に入りにしておき、セールが始まったらまとめて買えばいいと整理します。しぶちょーさんはGitやGitHub、コマンドライン、Google Apps Scriptなどの講座も受け、星の評価が高い講座を選べばまず外れないと話します。
YouTubeより体系的で質がよく、本1冊くらいの値段で学べるのも利点だといいます。等速では本より時間効率が落ちるものの、2倍速ほどで見ればインプットの速さとしても申し分ないそうです。
急に白熱したポッドキャストのマネタイズ論
かねりんさんが、しぶちょーさんもUdemyに講座を出してもおかしくないと言うと、しぶちょーさんは一度考えたものの、マネタイズより広く見てほしいのでYouTubeになってしまうと答えます。G検定対策も、番組で無料で届けたいという話になります。
そこから、無料で出してカンパを受け付ける「Wikipedia方式」の話になり、しぶちょーさんは最近ポッドキャストのマネタイズ論が加熱していると切り出します。けんすうさんがポッドキャストのIP化に取り組んでいることや、佐々木亮さんの取り組み、コミュニティで収益化するROOMのようなサービスが例に挙がります。
しぶちょーさんは、アイデアは出尽くしているかもしれないが、Obsidianで情報をまとめれば別の業界のマネタイズ手法がポッドキャストに使える、といった越境のアイデアが生まれる可能性もあると話します。ただし自分たちはマネタイズへのモチベーションはそれほど高くないそうです。
かねりんさんは、マネタイズできないからとYouTubeへ移る人も増えていると指摘します。しぶちょーさんも、ポッドキャストが最も聞かれているプラットフォームがYouTubeになっていること、ビデオポッドキャストを推す流れがあることに触れ、番組も半分はビデオになっていると話します。
話が脱線したことに気づいた二人は、Udemyに戻ります。しぶちょーさんはObsidianの講座もセールの時期に買ってキャッチアップし、いつか「使ってみた回」をやりたいと話します。
木こりのジレンマとObsidianは「刃を研ぐ」時間
かねりんさんは、毎週使わなければいけないツールが増えていくプレッシャーを冗談まじりにこぼします。「落ち着くAI番組なのに、毎週プレッシャーかかってくる番組になってきた」という言葉に、しぶちょーさんは[[木こりのジレンマ]]を持ち出します。
しぶちょーさんが説明する木こりのジレンマは、切れない斧で必死に木を切る木こりに、旅人が刃を研ぐよう勧めても「斧を振るのに忙しくて研ぐ時間がない」と答える話です。
目の前の作業
切れない斧で木を切り続ける。情報を集め続ける
研ぐ時間がない
忙しさを理由に、刃を研ぐことを後回しにする
刃を研ぐ
集めた情報をどう咀嚼し整理するかの方式やツールを整える
かねりんさんは「重要じゃないけど緊急なことばかりやっている状態」と受け止めます。しぶちょーさんにとってObsidianは、AIツールの具体的な使い方を学ぶことより、刃を研ぐことに近いといいます。
しぶちょーさんは、これがこの回でずっと言っているメッセージだとまとめます。かねりんさんも、AIだからではなくそもそも重要なことで、インターネットの登場からずっと言われてきたと応じます。
「AIを使っていない」が価値になる未来?
30年後の世界を想像するうちに、しぶちょーさんは逆にAIを使っていない情報が価値を持つようになるのではないかと話し出します。最近SNSで、クリエイターが「今回AIを使っておりません」とこだわりを打ち出しているのを見かけるからです。
化学調味料みたいな扱いだよね。
フルCGの作品でも「AIを使っていない」とうたう様子を、しぶちょーさんは「オーガニック3D」と表現します。かねりんさんは、AIを使っていると言うと好感度が下がるという研究か調査があったと話します。
しぶちょーさんは、それもイメージの問題で、10年後、20年後も人がそうしたイメージを持っているかは微妙だといいます。手書きのメッセージの温かさはわかるが、Google検索でリサーチしたことが温かいと言われたら面白い、とも話します。
写真もPhotoshopで編集しているのに、AIとの違いは何かという問いも出ます。しぶちょーさんは、味の素が体に悪くないと言われても嫌だという人がいるのと同じで、感覚的なものだろうと締めくくります。
Podcast WeekendとPodcast Mixerへの出展・登壇
番組の最後には、イベントの告知があります。5月9日と10日に東京で開かれるPodcast Weekendに、おちつきAIラジオが出展します。番組オリジナルグッズや企画、できれば企業とのコラボも考えているそうです。
あと1か月ほどしかないことに気づいた二人は慌て、かねりんさんはグッズ準備を次の配信までの宿題にします。しぶちょーさんも、ボタンを押すと音が鳴るグッズを形にしなければと話します。
翌週の5月16日(土)には、神戸で開かれるPodcast Mixerに登壇し、からあげ先生とのコラボ回を収録する予定です。
しぶちょーさんは、Podcast Weekend直後の5月11日から東京の家を借りられるため、荷物を時差で送り、仕事の合間に鍵を受け取って東京での仕事を始めるという慌ただしい日程を明かします。予定が入ると「吐きそうになる」というかねりんさんは驚きっぱなしです。
1時間20分は長すぎる? アフタートーク
本編が終わったアフタートークでは、収録時間が話題になります。二人とも40分ごろには早く終わりそうだと思っていたのに、Udemyのあたりから話が発散して1時間を超えたと振り返ります。
1時間を切りたいという話から、長く話して30分ほどに分割する番組もあるという話になります。しぶちょーさんは、週に2本、どれも1時間20〜30分という番組は見たことがなく、それについてくるリスナーは熱量が高いと感謝を述べます。
かねりんさんは、その熱量の受け皿として、YouTubeライブのような公開収録のWeb版に挑戦したいと話します。しぶちょーさんが東京に移れば、リアルで一緒に収録もできそうです。
収録は深夜1時過ぎですが、これはしぶちょーさんの通勤に2時間かかるためで、東京に来れば早くなるそうです。しぶちょーさんは、6年間、通勤の電車内で原稿などをこなしてきたといいます。
バイブコーディングでさ、裏で(Claude Codeを)走らせながら、こっち原稿書いてみたいな。お前ちょっと画像生成しとけみたいな。
会社に着く頃にはへとへとで、一仕事終わっているというしぶちょーさんの「電車内オフィス」に、かねりんさんは「尊敬してる」と感心します。東京に移ってからの新しい展開を楽しみにしつつ、この回は終わります。
まとめ
AIで情報収集が楽になった今、しぶちょーさんは集めた情報をどう管理し、つなげるかが重要だと語りました。王道のNotionは本棚のように整理する強みがあり、ローカルでMarkdownを扱うObsidianは知識をつなげる場として再注目されています。
- コンテキストウィンドウの拡大で、プロンプトよりAIに渡す情報の質が大事になった
- Notionはデータベースに強いが、クラウドの箱ゆえに外部AI連携やオフラインに弱さがある
- Obsidianはローカル管理と双方向リンクで、AIに読ませやすく知識をつなげやすい
- ツェッテルカステンや『知的生産の技術』が示すように、知識を横につなげる重要性は昔から変わらない
- 情報を集めるより、集めた情報を咀嚼し整理する「刃を研ぐ」時間を優先したい






