アヲハタのレシピ本、なぜ買ったのか
この回のテーマはジャムです。きっかけは、アヲハタが出したレシピ本『Is this “jam” or not?』で、前回のフルーツ火鍋の回で話題に出たこの本を、Eriさんが実際に買ってみたといいます。
その本(アヲハタのレシピ本)、私買いまして。
Eriさんがまず挙げたのは見た目の可愛さです。ジャムが一面に印刷されたスリーブに、キッチンにも収納しやすいコンパクトな本が入っています。
監修は、Eriさんが大好きでよくレシピを作っているという料理研究家の今井真実さんです。Moetさんも、今井さんはフルーツ料理といえば、という存在で、Xでの投稿もいつも美味しそうだと話します。
フルーツの料理結構可能性あるなっていう話の流れの中で買いまして。めっちゃ良かったよって話したいから、今日はジャム回です。
無糖ヨーグルト×イチゴジャムは「ジャクソンポロック」的サラダ
Eriさんが最初に試したのは「イチゴとヨーグルトの大人サラダ」です。ヨーグルトにジャムを入れること自体はよくある話ですが、このレシピは大人のディナー向けに組み立てられています。
Eriさんがこの本で特に気に入っているのが写真です。ジャムのある暮らしを提案するために、写真をきちんと頑張って撮った本だと感じたといいます。
収録中、EriさんはMoetさんに本を見せながら話しています。Moetさんは、ヨーグルトの白とイチゴの赤、透明感のある黄色いオリーブオイルが広がる様子に、地中海の食卓を思い浮かべたと語ります。
Eriさんの家では、たまたまいただいた美味しいサワードゥのパンを合わせました。エピソードのサムネには、そのとき自宅で作った一皿の写真が使われています。
ディップすることで混ざるっていうのを前提とした、なんかそれこそ結構アートな前衛アートみたいな。なんかジャクソンポロックみたいな。
Moetさんが「ジャクソンポロック的」と表現したのは、わざとムラを残す盛り付けのことです。Eriさんは、食感や香り、塩気、ペッパーの刺激のムラによって一口ごとに味が変わるところに、大人のジャムの楽しみ方があると話します。
Eriさんによると、このサラダは甘さをなくした塩気のあるメニューにしたことと、きちんとしたスタイリングや写真によって、ワンランク上の一皿に見えるといいます。あまりにシンプルなレシピだからこそ、レシピは奥が深いと感じたそうです。
楽をしてリッチに見える、という考え方
Moetさんは、このシンプルなヨーグルトサラダはハウスパーティーにも向いていると話します。手軽なのに「きちんと感」があるところがポイントだといいます。
Eriさんは、それこそ二人がハーブを通してずっと提唱してきたことだと応じます。身の回りのものを使い、楽をしながらリッチな生活を実現するという考え方です。
Eriさんは普段から、オレンジと鯛を合わせたカルパッチョ風のサラダなど、生のフルーツを使った料理も作っています。そのうえでジャムには、生のフルーツにはない手軽さがあると話します。
洗う手間もヘタを取る手間も皮剥く手間もないみたいな。
瓶を開けてスプーンですくえば、すでに完成したものがそこにある。Eriさんはこの体験から、ジャムは手軽さが際立つ調味料だったのだと気づいたといいます。
Moetさんも、もともとジャムを調味料の一種と考えてきました。甘味・酸味・香りが揃っている点が、ソースそのものの構造だというのです。
Moetさんはこのことに気づいてから、ジャムを希釈したり、ほかの材料と混ぜたりして料理に使っています。料理の時短アイテムとしても最高だと話します。
果肉ゴロッとのジャムと焼きカマンベール
今回のアヲハタの本で使われているのは、果実がゴロッと残った、瓶の値段がやや高いプレミアムタイプのジャムです。Eriさんは、その果肉が美味しさのポイントになるレシピが多いと感じたといいます。
ヨーグルトサラダでも、食べているとイチゴの果肉がそのままゴロッとのってくるのが良かったそうです。
Eriさんが試した2品目は「ブルーベリーの焼きカマンベール」です。円形のカマンベールに切り込みを入れてオーブントースターで焼き、熱々になったら冷たいブルーベリージャムをのせるだけという、こちらもごく簡単なレシピです。
焼きカマンベールはクラッカーにのせて食べ、仕上げに黒コショウをひくよう本に書かれています。Moetさんは、ホームパーティーの一品にぴったりだと反応しています。
このレシピをきっかけに、二人はジャムと相性のいい食材の話へ移ります。Moetさんはジャムと黒コショウ、Eriさんはジャムとオリーブオイルの相性の良さを挙げます。
Eriさんはその発見から、ヨーグルトにバナナとイチゴジャムかブルーベリージャムをのせ、オリーブオイルを回しかけるフルーツボウルを朝ご飯にしています。大人サラダの朝ご飯版のような一皿です。
オリーブオイルの話から、Moetさんはスペインでのホームステイの思い出も紹介します。ホームステイ先のお兄さんが、朝からテーブルスプーン1杯のオリーブオイルを飲んでいたそうです。
このレシピ本は「忠実に作る本」ではない?
Eriさんによると、この本のレシピ数はそれほど多くなく、のせるだけのようなレシピがほとんどです。そこからEriさんは、本の意図を自分なりに読み取ります。
このレシピを忠実にちゃんと作ってほしいわけじゃなくて、こういう使い方があるんだよみたいな、なんか入門書的な存在だなと思ってて。
Eriさんは、レシピを一通り試したあと、別の組み合わせで同じようにアレンジして楽しんでほしい、というメッセージとしてこの本を受け取りました。朝のフルーツボウルも、まさにそうしたアレンジの一つです。
高校生から続くロシア式イチゴジャム紅茶
Eriさんが紹介したもう一つの楽しみ方は、本を読む前の高校生のころにハマっていたものです。熱々の紅茶にイチゴジャムを入れて飲むと、美味しいうえに体が温まるといいます。
Eriさんによると、これはロシアの紅茶の飲み方で、いわゆるロシアンティー ── 日本ではジャムを添えた紅茶の名で知られます。ロシアではジャムを紅茶に入れるより、なめながら紅茶を飲むのが一般的ともいわれますと呼ばれるものです。寒くて冬に果物がとれないロシアでは、ジャムの形で保存し、ティータイムに紅茶へ入れて楽しんできたのではないか、とEriさんは話します。
寒い日の朝にこの紅茶を1杯飲んでから出かけるだけで、体がかなり温まるので、Eriさんはとてもおすすめしています。
しかも私はこれはね、もうね、アヲハタの果肉がごろっとしてるイチゴジャムでやってほしいんですよ。
Eriさんがアヲハタのジャムをすすめる理由は果肉です。紅茶を吸って少し渋みのある果肉を噛むと、口の中でジュワッと広がって美味しいといいます。
紅茶だと飲めるっていうよりは、もう食べる紅茶になるね。
ひらめきをくれる本と、豚肉のベリーソース
Eriさんは、冷やしトマトにオレンジジャムをかけるレシピなど、本にはほかにも試したいものがたくさんあると話します。ページをめくるうちに、自分なりの組み合わせのひらめきが湧いてくるのがこの本の魅力だといいます。
(この本は)ジャムの使い方ってこうなんだみたいな勘所を気づかせてくれる本だなと私はすごく思ってて。
Eriさんがこれから作ってみたいのが、豚肉のベリーソースがけです。イチゴにするかブルーベリーにするかは、まだ決めていないそうです。
Moetさんは、豚肉のベリーソースならすでによく作っていると話します。市販のブルーベリージャムで豚肉を炒め、バルサミコ酢と一緒に仕上げる食べ方です。
ソースを一から作るのやっぱ大変だし、こう果物洗ってそれを煮詰めてみたいな手間が本当にジャムだと省けるから。
Eriさんは、日本ではイチゴ以外の美味しいベリーがなかなか手に入らないことも、ジャムを使う理由に挙げます。Moetさんも、ラズベリーは値段が高いと同意しています。
株主優待のマーマレードから生まれたレシピ
話はMoetさんのジャムレシピへ移ります。Moetさんはもともと料理に生のフルーツを使う派で、凝ったジャムを買うことも、一からジャムを作ることもあまりなかったといいます。
そんなMoetさんの家には、数年前から株主優待 ── 企業が株主に対して、自社製品やサービス券などを贈る制度です。日本の上場企業で広く行われていますでキユーピーのジャムが届くようになりました。届くのはほとんどが、ごく普通のマーマレードだそうです。
冷蔵庫に眠らせておくのはもったいないと、Moetさんはマーマレードを使う料理のレパートリーを増やしました。紹介されたのは、次の3品です。
| 料理 | 使い方 | ポイント |
|---|---|---|
| 鶏肉のバターソテー | 塩コショウした鶏肉を、白ワイン・ローズマリー・マーマレードと一緒にフライパンで火を通す | 肉が柔らかくなり、簡単にビストロ風になる |
| 白身魚のソテー | 作り置きのマーマレードバターを、フライした白身魚にソースとしてかける | レモンバターの代わりに柑橘の香りが出る |
| アスパラとマーマレードのパスタ | マーマレードバターとオリーブオイルにミントの香りを移し、ニンニク・塩コショウ・アスパラ・パスタを加える | 春の味になり、アスパラとの相性がいい |
マーマレードバターは、ブレンダーで混ぜて置いておけば素になります。1回作っておくと、いろいろな料理に応用できるのが便利だとMoetさんは話します。
パスタではフレッシュミントを油に入れて香りだけを移し、ミント自体はそのあと取り出してしまいます。ちょうど旬を迎えたアスパラと合わせた、最近作ったばかりのレシピだそうです。
マーマレードの話を聞いたEriさんは、ホワイトアスパラのバターソテーの残りのバターにマーマレードを加えてソースにする案や、レモンクリームパスタならぬマーマレードクリームパスタも思いつきます。Moetさんも、オランデーズソースのように上からとろっとかけるだけで美味しいはずだと応じます。
皿の下にソースを敷く夢、クリームチーズ×ジャムで解決
Eriさんには長年の憧れがあります。ビストロのように、皿の下にリッチなソースを円形に広げ、その上にソテーやグリルした野菜をのせたい、というものです。
なんか一億年ぐらい思ってるの。
ただ、それを家で実現するのはかなり面倒です。Eriさんは、普通の調理の順番ではソースが最後になってしまうことが原因だと説明します。
野菜をソテーして皿に盛り、残った油でソースを作って上からかける。ブレンダーが必要になるなど制約も多い
ジャムで先にソースを作って皿の下に敷き、その上に焼いた野菜をのせる
このEriさんの悩みに、Moetさんが出したアイデアがクリームチーズとジャムです。
クリームチーズにジャムを混ぜて下にソースとして敷いておいて。
天才じゃん。
Moetさんの案では、そこにグリルした野菜を置き、焼いたときに出た油をソース代わりに上から散らします。クリームチーズが硬ければ、オリーブオイルをかけてフォークでほぐしながら混ぜればいいといいます。
Moetさんは、地中海の料理でもフムスやアボカドのスプレッドを下に敷き、その上に盛り付けることはよくあると付け加えます。Eriさんは、マーマレードジャムがこの用途でとても使いやすそうだと話します。
Eriさんがここで改めて感じたのは、マーマレードの手軽さです。オレンジソースは皮をむき、苦味になるピールの白い部分を取り除く手間がかかりますが、マーマレードならスプーンですくうだけで済みます。
(マーマレードを)瓶の中からスプーンですくえばちょうどいい状態になってるっていうのがなんか奇跡なんじゃないかと思う。
Moetさんは、瓶の中で状態にムラがないことが、ジャムの使いやすさにつながっていると話します。ペースト状にしたいならハンドブレンダーやウィスクで混ぜたり、無塩の生クリームと合わせたりしてもよいそうです。
二人はジャムの可能性を改めて確認し、ジャムは最高の調味料という結論にたどり着きます。この本は広告料をもらって紹介しているわけではなく、Eriさんが普通に買い、今井真実さんを推しているだけだと補足しています。
肉×ジャムはどこかのレストランで食べた味
Eriさんがこの本で特に感心したのは、肉とジャムの組み合わせのセンスです。どこかのレストランで食べたことがあるかもしれない、と思わせる組み合わせだといいます。
Moetさんは、そうした料理を家で再現しようとすると手間がかかると思いがちですが、ジャムならそのハードルが下がると話します。
想像だにしなかったものが家庭にやってくるかもしれないという。そんな夢のある本だと私は思いました。
ニース式フルーツビネガーの発想でジャムを使う
Eriさんは、このフルーツジャムの使い方からフランスのニースを思い出したといいます。ちょうど1年前にニースに滞在した体験は、番組でも4回ほどにわたって話されています。
Eriさんによると、ニースではフルーツのビネガーがたくさんあり、サラダにかけるだけで生活が少し豊かになるものでした。その発想を、ジャムにも応用できるというのです。
ジャム
もともと酸味はあるが、ビネガーほど強くない
ビネガーと混ぜる
白ワインビネガーやバルサミコを加えて酸味を強くする
料理に使う
サラダにかけたり、スープに加えたりする
スープへの活用はMoetさんも考えていなかったそうですが、美味しそうだと反応します。Eriさんはベリーのスープもありそうだと話し、Moetさんは鶏肉のスープをコンソメとマーマレードで作る案を出します。
Eriさんは、こうした取り入れ方はとても南フランス的だと感じたといいます。フランスに着想を得たボタニカルブランドを運営する二人らしい締めくくりです。
番組1か月お休みのお知らせ
番組の最後に、botanical life.fmが1か月ほど更新をお休みすることが告げられます。やめるわけではなく、ネタを集めてパワーアップして戻ってくるための期間だと説明されています。
お休みの間は、40回近くまで積み重なったアーカイブを聴いてほしいとMoetさんは話します。2週に1回のペースで地道に続けてきたことを、Eriさんは「継続は力なり」と振り返ります。
でもやっぱり語り尽くせないね、ボタニカルってね。
Eriさんも、1年続けてもネタは尽きず、同じ切り口でも1年経てば知識や経験が増えていると話します。休止期間中は、E CA QUIのホームページやInstagramで最新情報をチェックしてほしいと呼びかけて、この回は終わります。
まとめ
アヲハタのレシピ本『Is this “jam” or not?』を入り口に、ジャムを甘味・酸味・香りが揃った「ソースの構造体」として使う発想が語られた回でした。手間を省きながら食卓をリッチにできるジャムは、二人がハーブで提案してきた暮らし方とも重なっています。
- 無糖ヨーグルトにイチゴジャムとオリーブオイル、塩コショウを混ぜすぎずにのせるだけで、大人のサラダになる
- このレシピ本は忠実に再現するためのものではなく、ジャムの使い方の勘所を教えてくれる入門書だとEriさんは受け取った
- マーマレードは鶏肉のソテーやマーマレードバター、パスタなど、ソースとして幅広く応用できる
- クリームチーズにジャムを混ぜれば、ビストロのように皿の下にソースを敷く盛り付けが手軽にできる
- ニースのフルーツビネガーのように、ジャムにビネガーを足せばサラダやスープにも使える





