自分の声が「伝言ゲームの最後」になる瞬間
この回のテーマは、自分で喋った音声をAIで文字起こしし、記事に落としていく作業のなかで感じた違和感です。
便利ではあるのですが、大山さんはある日の作業中に気づいたことがあると言います。あちこちに発信・投稿していくうちに、なんだか伝言ゲームの最後の方みたいになっていると感じたそうです。
文章がまとまらないので別のAIに見てもらっても、まとまっているようでまとまらない。そこで原文を渡して「何が言いたいか見てみてください」とお願いすると、思いがけない答えが返ってきました。
もうちょっと原文を渡すので、そこで何が言いたいか見てみてください、というお願いをすると、「あ、全然話が違いますね」という風になったんですよ
要約を重ねると文章はどんどん良くなっていくのに、いま考えて喋っている中身のほうは、どんどん薄らいでいく。伝えたい思いじゃない形に変換されている可能性があるのではないか、と大山さんは話します。
Podyもノートブックも便利、でも「離れていく感」は否めない
大山さんは、使っているツール自体を否定しているわけではありません。むしろ読みやすくしてくれる点は高く評価しています。
Podyで読みやすくピックアップしてもらえるし、ビジュアルも整う。どの部分が大事だったか、自分で気になったところを振り返れるので、要約文としてはとても良いと言います。
さらにGeminiのノートブックで要約してもらい、それを記事にして、何が言いたいかを対談音声にして出してくれることもあるそうです。
それでも、こう離れていってる感は否めない、と大山さんは言います。音声を解説してもらうと、その受け取り方に引っかかりを覚えることがあるそうです。
この音声の中で大山っていう人はこういうことを言ってます、こうらしいです、って言うんですけど、いや、ちょっと違うんだよなって受け取り方をすることがあるんですね
原文と要約を分ける。LISTENとPodyの役割分担
そこで大山さんがたどり着いた対策が、原文と要約を「分ける」ことでした。実は最初からやっていた運用でもあると言います。
stand.fmの音声は、近藤さんのサービスであるLISTENで全文文字起こしされます。これは良くも悪くも、話したままの全文です。
一方でPodyは、そのまま要約してもらう形にする。Podyはnoteのように「皆様にこういうお話をしました」と伝えるのに向いている、というのが大山さんの見立てです。
ただし、この要約をさらにAIに渡してしまうと、読みやすくしたものをもう一度要約することになります。わかりやすいを通り越えちゃうわけです。
だからLISTENで全文を残し、その全文をAIに渡すようにしないと、要約の要約が伝言ゲームになってしまう、と話します。
話したままの一次情報を残す。AIに渡す原文として使う
読みやすく整えて、聴いていない人に内容を伝える
Podyに眠る427本と、手をつけられない409本
運用は今のところ散らかっている、と大山さんは正直に打ち明けます。stand.fmはLISTENが、SpotifyはPodyが拾う形に分けているものの、たまにいじると別の場所が消えたり途切れたりするそうです。
RSSやPodcastの設定はややこしく、どこが音源なのかがわかりにくい。最近はAIが記事を重ねるうちに音源の在り処を探しに回るようになった、とも話します。
その音源をたどると、片方はstand.fmに、もう一方はSpotifyにたどり着く。生の声を聴けば「この人は本当に考えて喋っているんだな」とわかる、というのが大事なポイントです。
Podyで全部を文字起こしして見やすくしたらどうなるかと思い、やろうとしたところ、想像以上の本数があったと言います。
なぜ手をつけられないかというと、相当コストがかかるからです。とはいえ隠すこともないので、そのまま進んでいる、という状況だそうです。
AIで増やせるからこそ、ウニ戦法はやらない
ここから話は、AIを使った発信の広げ方へと移ります。AIを使うと作業は早くなり、思いつくSNSやブログサービス全部に、これまでとほぼ同じ作業量で発信できるようになります。
でも、それをしてしまうとAIの思うつぼになってしまうので、やらない方がいい、と大山さんは言います。
どのアカウントを見ても同じことを言っていて、新鮮味がない。短い情報をあちこちに散らすやり方を、大山さんはある生き物にたとえます。
全部にウニのようにトゲを張っても仕方がないというか、短いんですよね
この「ウニ戦法」ではなく、つながるチェーンを作りたい。そう考えて活動の方向を変えた、というのがこの回の核心です。
四方八方にまくより、バケツリレーで遠くまで
大山さんが目指すのは、各方向に細かく飛ばすのではなく、バケツリレーのようにつなげていく発信です。
自分のいる位置から四方八方に水をまいても届かない。けれどバケツをリレーしていけば、遠くの火まで消せるし、水を運べるようになる、という考え方です。
以前はチェーンや架け橋、吊り橋という言葉で表していたそうです。島から島に橋を架けて発信活動をしていきたい、というイメージです。
そのつながりがあるだけでも、自分の言葉に戻りやすい気がしてくる、と大山さんは言います。
AIに任せることと、自分を薄めることは違う
この回で大山さんが行き着いた結論は、AIに任せることと、自分を薄めることは違う、というものです。
AIに任せることと、自分を入れない、自分を薄めるということは違うんじゃないかと思います
要約を5個、10個と重ねていくと、最終的には自分の記事と判断できるかどうかというところまで整えられてしまう、と大山さんは指摘します。
角を取られて丸く丸くしていくうちに、言いたかったこととは違うものになっていることが多い。だからこそ、原文を残して編集したものを分けていく作業が必要だ、というわけです。
自分で考えて喋る
熱量や思考の機微が乗った一次情報
AIで要約する
読みやすく整えられていく
要約をさらに要約する
角が取られ丸くされていく
自分の言葉ではなくなる
言いたかったこととズレた記事になる
今日の話は、実際に要約を重ねた記事を見て「何だこの記事?何が言いたいんだろう」と感じた、大山さん自身の体験から生まれたものでした。
まとめ
AIによる要約は発信を速く、広くしてくれます。けれど要約を重ねるほど、いちばん伝えたかった熱量は薄まっていきます。四方八方にまくのではなく、原文を残しながら手の届く範囲でつないでいく。そんな発信のあり方を考える回でした。
- 要約を重ねると、伝えたい思いが別の形に変換されてしまうことがある
- LISTENで全文を残し、Podyで要約する形に分けて運用している
- 短い情報を全SNSに散らす「ウニ戦法」はAIの思うつぼになりやすい
- 四方八方にまくより、バケツリレーのようにつないで遠くまで届ける
- AIに任せることと、自分を薄めることは別ものだと大山さんは考えている






