この国をもう一度挑戦者に、というテーマ
私、BreakingDownの溝口さんと仲がいいんです。会うのは1、2年に一回くらいなんですけど、要所要所で連絡を取って、傷を舐め合ったり励まし合ったりしています。
その溝口さんが掲げている「この国をもう一度挑戦者に」というコンセプト。私はもう、これにはほんとうに賛成なんですね。
ただ、それをやる上でのアプローチが、溝口さんと私とではちょっと違うと思っていて。向かう先は一緒なんですけど、やり方が違う。
私はこういう感じで挑戦者を増やして、応援して、サポートしていきますという話を、今日はさせてください。
なぜ北極星の印税をわざわざ分配したのか
私は「事業投資型クラウドファンディング」というものをやっています。改めて説明させてください。
第一弾は、映画『えんとつ町のプペル〜約束の時計台〜』の制作費を事業投資型クラウドファンディングで集めて、この映画にまつわる事業の向こう10年の売上を分配する、というものでした。
目標金額の4億8000万円が、2日間くらいで集まったんです。これはとんでもない可能性ですよね。普通に集めようと思ったら10年かかるかもしれない。その分、映画の制作スタートが10年遅れていたわけですから。
ポイントは、多分その次なんです。『北極星』という本を出して、その印税を読者に分配する、ということをやりました。
立て付けはこうです。本来なら出版社が負担する制作費を、こちらで全部負担する。究極の自費出版みたいな感じですね。その制作費1億2000万円を事業投資型クラウドファンディングで集めて、向こう5年の印税を支援してくださった方に分配し続ける。
ここで勘のいい人は、うん?ってなるはずなんですよ。これ、西野にメリットあるの?という話なんです。
私のビジネス書って、過去一番売れなかったものでも10万部くらい、だいたい10万部から30万部の間なんですね。その制作費を出版社が出してくれて、印税は当然私に全部入ってくる。
つまり、本に関しては私に持ち出しなんてないんですよ。それなのに、なぜわざわざ印税を分配したのか。
出版社の幻冬舎の見城さんたちに、「もういいから、こっちで出すから」と、けっこうゴリっと言ったんです。出版社のリスクも取らなくていいんですか?と驚かれながら。リスクはこっちで取りますから、と。
銀行にお金を貸してもらえなかった話
で、次に私が考えているのが、事業投資型クラウドファンディングを活用した「融資」なんですよ。これまでは投資でしたけど、次は融資でやろうと思っています。
チムニータウンにお金を貸してもらって、毎月仕事をしながら少しずつ返していく。これを事業投資型クラウドファンディングでやる。
いや、西野、ちょっと待って。お前の会社なら銀行から借りた方がよくない?という話ですよね。今のチムニータウンなら、ある程度信用もありそうだと。ここがポイントなんです。
銀行から借りるとなると、まず信用のある会社や個人じゃないと、まとまったお金は借りられない。
たとえば、才能もセンスも実力もある20歳の男の子が、でもお金がない。銀行にお金を貸してくださいと言っても、返済能力を問われて、貸してくれないんですよ。
そうすると彼は、稼いで貯めて、稼いで貯めてを繰り返して、ようやく貯まった頃には4、5年経っている。若いうちに挑戦できた方がいいに決まっているのに、これはもったいない。
実は私も、銀行からお金を借りられなかったんです。もう十何年も前、チムニータウンを立ち上げた頃ですね。お笑い芸人なんて、ちょっと怪しいところですから。
思い出しました。銀行に行って、こういうことをやりたいからお金を貸してください、事業のど真ん中にあるのはオンラインサロンの運営です、と説明したんです。
そうしたら「オンラインサロンって何ですか?」と。毎月これだけ入ってきているのに、わからないから貸せないと言う。
結局借りられなくて、私、担当者にちょっとブチ切れたんですよ。わからないのはわかったから、わかろうとしなさいと。なぜならあんたらが損をするからと、逆ギレしてしまって。
その経験も今となってはプラスだったなと思えますけど、あのとき私は、思いはあっても挑戦することができなかった。お金がネックでスタートできないことって、あるわけです。
挑戦者にお金が届く動画を作りたい
私が事業投資型クラウドファンディングにこれだけお熱なのは、この選択肢を日本人全員が持てば、何かやろうと思ったときにスタートできるからなんです。
投資型と融資型がある。これを知っておくだけで、みんなが挑戦しやすくなる。だから北極星の印税をあえて捨てて、これはPRだと。こういうやり方がありますよと本に書いたんです。
で、ここからが本題です。これをさらに広めたい。どうやったら事業投資型クラウドファンディングが日本国民全員の選択肢になるか、いろいろ考えてみたんですよ。
そうしたら、まだ皆さんとの間に距離があると気づいた。もっと言うと、投資と皆さんの間に距離がある。これをキュッと近づける必要があるなと。
セキュリテのページをずっと見ていて、そっか、まだテキストだよなと思ったんです。テキストも胸を打つけど、動画の方が距離を縮められるなと。
自分でYouTubeの夜のライブ配信をやると、実感するんですよ。ダラダラ喋りながら概要欄にクラファンのリンクを貼っておくと、「支援しました」というコメントがぶわーっと入る。動画と支援って、めちゃくちゃ相性がいいんです。
見えてきたのは、事業投資型クラウドファンディング×動画ですね。
再生回数を捨てて、出資金額で勝負する
じゃあどういう立て付けかというと、私と、セキュリテの代表の中園さん、あともう一人ゲストに来てもらう。MCはぼーちゃんやつっつんにやってもらって。
そこに志願者の方に来てもらいます。すでにセキュリテで企画を立ち上げた人に、こういう事業をやっています、ぜひご支援くださいとプレゼンしてもらう。
そのあとは質疑応答です。詰めもしないし、説教エンタメにもしません。わからないところを聞いて、あるとすれば「ここをこうするともっと伸びるかもしれないですね」というアドバイスをする。
20分くらいやりとりをして、興味がある方は概要欄の事業投資型クラウドファンディングのページから出資なり融資なりをしてもらう。視聴者がプレゼンターに直接お金を出せる動画です。
ここでめっちゃ大事なのは、目的は再生回数じゃなくて、その事業にお金が集まることなんです。
再生回数を回そうとすると、へぼい人を呼んで説教でタコ殴りにした方が見られるんですよ。でも、それとは全然逆をやりたい。
そもそも、何千万や何億のお金を、説教でタコ殴りにされるような経営者に預けられるわけがない。シンプルに優秀な人に出てきてもらって、その人にお金が集まって、日本の経済が回る方が私は面白いなと思うんです。
ビジネス系のピッチ動画を見ていて、ずっと気になっていたのは、言葉を選ばずに言うと、金額が小さすぎるということ。2、300万円入りましたイエーイでは、事業をやっている人間からすると何も始められない。
だから、優秀な人が出てきて、ちゃんとした金額が集まる。動画としてのエンタメ要素は落ちても、今回に関してはそれで構わないと。事業の内容と可能性を、ただ見たいだけなんです。
もちろん法的な問題もあります。プレゼンターが直接大衆に向けて資金調達をすると出資法に触れてしまう。それをどういう立て付けなら大丈夫なのか、というのを昨日、弁護士の先生と話し合っていたんです。どうやら、いけそうだなと。
この収録は公開収録にして、河口湖の音楽と森の美術館のホールでやろうと思っています。終わったらそのままビアガーデンに流れて、そこには投資家も経営者も集まっている。次の話ができるかもしれない。そんなことを8月15日くらいにやろうかなと。
まとめ
まだ確定ではないんですけど、今こんなことを考えています。とにかく日本の挑戦者を増やして、わかりやすい金額でちゃんと応援して、まず始めてもらう。私自身も出資したいから、ちゃんとした人に出てきてほしいと思っています。
- 投資型と融資型という選択肢を全員が持てば、お金がなくても挑戦をスタートできる
- 銀行に借りられなかった自分の経験から、若いうちに挑戦できる仕組みを作りたい
- 動画と支援は相性がよく、事業投資型クラウドファンディング×動画で距離を縮めたい
- 再生回数ではなく出資金額で勝負し、優秀な人にお金が集まる場をつくる




