理想のスマートグラスは、もうすでに存在していた
最初のコーナーはガジェットレポートです。今回は「買ってないけど気になって調べたら気になりすぎてしまった」という系統の話です。
きっかけは、今月末に控えているイベントの準備でした。基調講演でスマートグラスに触れようと考え、いろいろ調べているうちに、あることを思い出したそうです。
エピソード13でEven G2をレビューしたとき、神森さんは理想のスマートグラス像を語っていました。
私の考えるスマートグラスの理想はオートフォーカス。そこに情報が乗ってくるのかな、という話です。
当時は「今はまだないけど、いつかこうなったらいい」という理想の話でした。ところが、よく考えるとオートフォーカスのメガネはすでにあったのです。
調べてみると出てきたのが、ViXion01Sというオートフォーカスのアイウェアでした。
主張の強い見た目で、一度は記憶から消えていた
実はこの製品、発表時に知ってはいたそうです。ただ、見た目の主張が強くて引いてしまい、記憶から消えていました。
どう主張が強いのか。フレームの上、レンズの奥のほうに、小さな目玉のようなセンサーが付いているのだといいます。どう見ても普通の眼鏡には見えない外見です。
仕組みとしては、ブリッジ部分のセンサーで見ているものまでの距離を測り、その距離に応じて両目の覗き穴のような部分でフォーカスが自動的に合います。近くを見ればそこに、遠くを見れば遠くにピントが当たるというものです。
ものとしての評価は高いようです。ViXion株式会社は東京の会社で、2023年のクラウドファンディングで4億円超の支援を集めたという話も紹介されました。
価格はAmazonやビックカメラ、ヨドバシなどで8万円ほど。ただ、街中でかけるにはちょっと勇気がいる外見だと神森さんは話します。
「情報が乗る」理想とは、まだ少し違う
当初、神森さんはこのViXion01Sをスマートグラスではないと思っていました。ただ、レンタルサービスのLentioなどではスマートグラスに分類されていたそうです。
眼鏡型のウェアラブルデバイスというくくりなら確かにそうかもしれない、と受け止めつつ、神森さんが求めるものとは違う点も指摘します。
Even G2のように眼鏡の奥に情報を表示するのではなく、純粋にピントを合わせる機能に特化している。つまり、理想のうち「オートフォーカス」は満たすものの、情報が降りてこないという意味で、思い描くスマートグラスとは少し違う感じだったといいます。
それでも、室内で使う分には十分ありではないか、というのが神森さんの見立てです。
試したいのに、沖縄では借りられないというもどかしさ
8万円はさすがに手が出しにくい。試せないかと製品ページを見ていると、「購入はこちら」の横に「レンタルはこちら」がありました。
LentioとゲオあれこれレンタルというサービスでViXion01Sを借りられるとわかり、神森さんはLentioの会員だったため「これは試せる」と思ったそうです。
ところが、ここで思わぬ壁がありました。
昨今のリチウムイオン電池をめぐる問題や、物流の混雑といった事情から、沖縄県は決まったタイミングで届けられないなどの理由で、Lentioでは現在配送休止中でした。ゲオあれこれレンタルも、調べてみると沖縄には配送できませんでした。
ある意味ぎぎぎぎ、みたいな感じだったんです。いや、ほんと残念だなと思いました。
関連して、ViXion01S以前に存在したアイウェアも紹介されました。三井化学が開発したタッチフォーカスです。
神森さんは当時からこれを気にしていたものの、価格が20万円台後半と高く、手が出せませんでした。ViXion01Sと違って主張が強くない外見が良かったそうですが、調べると2023年9月に販売終了していました。
買えなくなったのは残念としつつ、オートフォーカスのメガネ界隈はこれから伸びると期待しています。理想は情報表示とオートフォーカスがセットになったスマートグラスで、それが実現すれば20万円台後半でも買うだろうと話します。
ただし、すでにEven G2を高い値段で買っているため、当面は買えないとのことでした。
アクセシビリティを、沖縄から「ともにつくる」
続いてはワークトークの時間です。今回は告知を兼ねた話でした。冒頭で触れていた月末のイベントについてです。
6月27日の土曜日、アクセシビリティカンファレンス沖縄 Pre Meetupを開催します。場所はおきみゅー(沖縄県立博物館・美術館)の博物館講座室、参加費は無料で、申し込みはConnpassから受け付けています。
テーマは「アクセシビリティを沖縄からともにつくる」です。神森さんは、来てほしい人の像をはっきり語りました。
アクセシビリティをすでに詳しく知っている方よりも、なんか気になってるけどよくわからない、これから取り組んでみたいという方に来ていただきたいなと思っています。
想定しているのは、県内のウェブ制作に携わる人、ウェブサイトを運用する事業者、そして学生です。会社にアクセシビリティの話ができる人がいない、気になってはいるが何から始めればいいかわからない、という人に来てほしいといいます。
同じような悩みを共有しながら、この先に向けて一緒に頑張っていく。そんな場を目指したイベントだと説明されました。
当日を彩る3つのセッションと登壇者たち
ここからは、イベントの中身がより具体的に語られました。大きなセッションは3つあります。
1つ目は、株式会社インフォアクシアの植木真さんによる「ガイドラインには書かれていない基本のき」です。さまざまな利用特性を持つユーザーがどうウェブを使っているか、どこからアクセシビリティを高めればよいか、現場で共有しておきたいことなどを扱う、最初の一歩の話になるといいます。
植木さんは、以前から沖縄でアクセシビリティのセミナーや講座を行っており、沖縄県とはゆかりの深い方だと紹介されました。
2つ目は、株式会社ディーゼロの平尾優天さんによる「アクセシビリティ×フロントエンド古今東西」です。フロントエンドの技術に絞り、ウェブアクセシビリティが今と昔でどう変わったのか、過去を振り返りつつ最新情報も紹介する内容です。
平尾さんは、アクセシビリティカンファレンス福岡の立ち上げに尽力した人物として語られました。今は千葉や名古屋にも広がっているこのカンファレンスについて、神森さんはその意義を強調します。
この方が動かなければ、多分こういういろんなこのイベントすらなかったんじゃないかな。
3つ目は、株式会社コンセントの平さんと田中さんによる「沖縄から広げるウェブアクセシビリティ」です。現場の実例を交えながら、アクセシビリティを特別な対応ではなくみんなで考えるものとして捉える、対話型のトークセッションだと説明されました。
コンセントは沖縄県に支店を持ち、神森さんも前年度・前々年度のGAAD Japanパブリックビューイング沖縄で一緒に運営した縁があるそうです。
植木真さん(インフォアクシア)
ガイドラインには書かれていない基本のき。取り組みの最初の一歩を紹介する
平尾優天さん(ディーゼロ)
アクセシビリティ×フロントエンド古今東西。技術の今と昔を振り返る
平さん・田中さん(コンセント)
沖縄から広げるウェブアクセシビリティ。実例を交えた対話型セッション
現地でも録画でも、沖縄からの取り組みに参加する方法
神森さんは、県内はもちろん県外からの参加も歓迎すると話します。6月27日は梅雨明けしている可能性が高く、早めの夏休みを兼ねて来てもらえたら泣いて喜ぶ、と語りました。
遠方で来られない人向けには、別の選択肢も用意されています。
Connpassの申し込みページで現地参加か録画視聴かを選べるようになっており、録画視聴を選べば後日イベントを見られます。録画配信の登録が伸び悩んでいるため、ぜひ登録してほしいとのことでした。
当日は途中に20分、30分、20分と長めの休憩を設け、登壇者や参加者同士の交流の時間にしてほしいといいます。イベント後には人数限定の懇親会も予定されています。
- 日時は6月27日(土)、参加費は無料
- 場所はおきみゅー博物館講座室
- 申し込みはConnpassから、現地参加・録画視聴を選択可能
Sunoが歌い出す地獄と、40秒問題との格闘
最後のコーナーはSuno AI Labです。今回は夏用インストの第3弾、曲名は「夏、全開」です。
エピソード18、19に続く3曲目で、今回は挑戦的なテーマを掲げました。昭和の時代、夏を歌わせたらこのバンド、という某バンドの雰囲気を狙ったのです。
エレキギターがジャカジャカと鳴り、ブラスが入り、明るくキャッチーな夏の歌謡曲。タイトル自体も、その某バンドが歌ってそうな響きで、Sunoとのやり取りの中から「夏、全開」に決まったといいます。
タイトルまではすんなり決まりましたが、曲作りは難産でした。
スタイル指定に「J-POP」と入れると、すぐに1曲目からSunoが歌い出したのです。セクションを指定しているのに、途中で歌が始まってしまいました。
ノーボーカルとか入れても途中で歌い始めるし、なんかもう意味がわかんない。
あくまで感覚だと前置きしつつ、神森さんは1つの仮説を語ります。J-POPやジャパニーズサマーポップのように日本語でジャンルを指定すると、ボーカルが入ってきやすいのではないか、というものです。
楽器名とか質感とかで直接指定する方が、やっぱりコントロールしやすいのかな、という感じですね。
問題は歌だけではありませんでした。出来上がる曲の長さが40秒しかなかったのです。ポッドキャストで流すには当然短すぎます。
Extendという機能で伸ばそうとしても、まったく伸びてくれません。伸ばせば伸ばしたで、また歌が入ってくる始末でした。
スタイルを変え、セクション指定を減らし、歌詞欄を空欄にし、と試行錯誤を重ね、気づけばガチャは十数回、20回近くに達していたそうです。
狙いとは違う着地、それでも「夏の曲」
前回のエピソード19も難産でしたが、最終的に方向転換して着地しました。ただ今回は、そこを妥協したくなかったといいます。
そこで神森さんは、J-POPやサマーポップの指定を外し、いつものシティポップベースに切り替えました。すると2分19秒の曲が出てきたのです。
後ろでバックコーラスが入るものの、気になるほどではない。夏っぽいと感じて、これに決めたそうです。
出来上がった「夏、全開」が本当に某バンドっぽいかというと、そこは「うん」という感じだと正直に語ります。それでも、狙いとの距離をこう受け止めていました。
相変わらず、狙いとは少し違う着地になりましたが、これはこれで夏の曲だと思っております。
シティポップベースながらブラスとエレキギターも入り、明るく開放的な仕上がりになったといいます。狙い通りにはならなくても、これはこれで夏の曲という受け止めで、夏インスト集の3曲目が完成しました。
まとめ
沖縄から1人で語る20回目は、ガジェットへの期待、地域発のイベント告知、AIとの音楽制作という3つの話題を、いずれも「試す・関わる・作る」という実践の目線でつないだ回でした。
- 理想としていたオートフォーカスのアイウェアViXion01Sはすでに存在するが、情報表示はなく、沖縄ではレンタルも配送休止で試せない
- 6月27日開催のアクセシビリティカンファレンス沖縄 Pre Meetupは、これから取り組みたい人に向けた「ともにつくる」イベントで、現地参加も録画視聴も可能
- 3つのセッションは植木真さん、平尾優天さん、コンセントの平さん・田中さんが登壇し、それぞれ沖縄やアクセシビリティにゆかりのある顔ぶれ
- Sunoでの夏インスト作りは、日本語ジャンル指定でボーカルが止まらない問題や40秒問題に苦しみ、シティポップベースへ切り替えて「夏、全開」が完成した




