焙煎ワークショップで気づいた「深く喋る時間」の楽しさ
ハナウタラジオは、ため息の中にあるポジティブな鼻歌を一緒に探す番組です。今回はライフコーチのなぎさんとさくさんが、まず「最近鼻歌したこと」を話すところから始まります。
さくさんはライフコーチのほかにコーヒー屋も営んでいます。8月ごろからふんわり考えていた焙煎 ── コーヒーの生豆を加熱して、香りや味を引き出す工程。焙煎の度合いによって苦みや酸味のバランスが変わりますのワークショップを、場所と日程だけ先に決めて10月に開催し、それがちょうど前日に終わったところでした。
週末にマルシェに出たんですけど、その時は不特定多数の方といっぱい喋るみたいな時間だったんですけど、今回は本当に参加者さん少なくて。
めちゃくちゃ喋るし話も聞けるから、そういう時間がやっぱ好きなんだと思って。
さくさんは、マルシェとワークショップという比較対象が近くにあったことで、少人数で深く話すほうが自分の充実感はまったく違うと実感したといいます。ライフコーチをしているのも、1対1で深く喋る時間が好きだからではないかと振り返っています。
不特定多数の人と、たくさん短く喋る時間
少人数で、めちゃくちゃ喋り、話も深く聞ける時間
ワークショップのあと、さくさんは車の中でずっと「めっちゃ楽しかった」と考え、帰宅後も普段はあまり仕事の話をしない夫に、楽しかったと言い続けたそうです。収録当日もまだその余韻の中にいる、まさに鼻歌状態でした。
新米3合をほぼ1人で食べた日
なぎさんの最近の鼻歌は、お米がとにかくおいしいという話です。いただいた新米3合を夜ご飯用に炊き、パートナーと2人で食べました。
翌日はなぎさん1人だったため、残った新米を1人で全部食べたそうです。なぎさんの計算では、実質2合ぐらいを食べたことになります。
本当に美味しすぎて、なんかずっと食べちゃって。
ご飯だけでなく、食べたいおかずも自分で準備して並べたといいます。なぎさんは、朝から夜まで鼻歌をしながらルンルンな気持ちで過ごせた1日だったと話しています。
さくさんが「怒られなかったですか?」と聞くと、なぎさんの答えは「怒られなかったです」。2人は、これから新米がたくさん出てくる時期だねと笑い合います。
屋久島で山を4時間歩いた娘と、見守る距離感
さくさんは、もう1つの鼻歌として9月の移動続きの日々を挙げます。仕事で北海道へ、シルバーウィークには家族でベトナムへ、最後にコーチングスクールの仲間たちと屋久島へ行きました。
さくさんは旅行というより移動そのものが好きで、それだけでも楽しい9月だったといいます。中でも屋久島は格別で、夜はその日に感じ取ったことを飲みながら仲間とシェアする、長く深い時間が楽しかったそうです。
屋久島には、さくさんの娘2歳か3歳かも一緒でした。元ガイドの仲間が主催し、事前に「小さい子でも楽しめるプランを組む」と言われていたものの、実際にはかなり本格的な山歩きになりました。
このまま歩かせるのこの山?みたいなところを歩かせたんですね。
すげえ頑張って登ってた。一日4時間とか山歩きを。
さくさんの娘は、2日連続で4時間ずつ山を歩きました。家族以外の大人と接することも頑張り、登り方もどんどん上達していく姿を、さくさんは「成長しとるな」と思いながら見ていたといいます。
さくさんは、親が近くにいると甘えてしまうので、あえて後ろから観察していたそうです。なぎさんは、その距離感がいいと感じたと伝えます。
基本的に放置してるんですよ。危なくないかどうかは見てるんだけど。
どうやってやろうとするのかなって一回見るみたいなのをしてたり。
さくさんは、まず様子を見る、まず話を聞くという姿勢に、コーチングの学びが活きている感覚があると話しています。
ところが、娘に一番楽しかったことを聞くと、答えは山ではなく、最終日に15分ほど海に石を投げて遊んだことでした。なぎさんは、娘さんにとって山は挑戦だったのかもしれないと受け止めます。
「考えているつもりが迷子になります」というお便り
本題は、ため息さんからのお便り紹介のコーナーです。今回届いたお便りは、短い一言でした。
考えているつもりが迷子になります。
さくさんは「めっちゃわかる」と感じ、なぎさんも「なりますよね、迷子」と応じます。なぎさんの迷子は、同じところを繰り返すタイプだといいます。
やりたいな、でもやったらどうなるかな、でもやりたいなみたいな、いろんな別の理由を出しながらぐるぐるするみたいな。
なぎさんは今では自分のループのパターンを知っているため、2周ほどしたところで「あ、回ってる」と気づけるようになったそうです。気づく速さも上がってきているといいます。
ループに気づいたあと、なぎさんは「これって何の声だっけ?」と外から見直します。コーチングでよく扱うサブパーソナリティ ── 一人の人の中にいる、異なる考え方や感情を持つ複数の「部分的な人格」を指す考え方。それぞれの声を見分けることで、内面の葛藤を整理しやすくなりますを自分でやる感覚だそうです。
ループする
やりたい・でもどうなるかを、別の理由を出しながら繰り返す
気づく
2周ほどで「あ、回ってる」と気づく
声を見直す
今出ている考えは何の声なのかを外から見る
まとまる
「こっちが言い訳か」「こっちが本当か」と見分けて考えがまとまる
あ、こっちが言い訳か、こっちが本当かみたいなのが出てくるので、ああ、じゃあそっちじゃなかったねみたいな考えにまとまる。
ぐるぐる迷子と飛び石迷子、「迷子で遊ぶ」という発見
さくさんは、なぎさんの方法を「もう半回答でいいんじゃないか」と評しつつ、自分の迷子は種類が違うと話します。さくさんの場合は、同じところを回るのではなく、全然別のカテゴリのことを考え出してしまうのだそうです。
コーチングのこと考えてたのに、気づいたらコーヒーのこと考えてるとか、そういう感じです。
同じところを繰り返す。やるかやらないかを、別の理由を出しながらぐるぐる回る
話題が移り変わる。考えていたことから別のカテゴリへ飛んでしまう
さくさんは、お便りを聞いて「もはやコーチングを受けてほしい」と思ったといいます。考えるテーマを決め、相手がいる状態で話せば、話が飛んでもコーチが戻してくれるからです。
ちゃんとここ考えるんだよって教えてくれる人が、別にコーチじゃなくても友達でもそういう人がいたらいいと思うんですけど。
一方でさくさんは、飛び石のようにいろいろ考えるうちに、別々の考えが繋がったりアイデアが生まれたりする時間が好きだとも話します。そういう時間だと割り切って迷子になるのもありではないか、という見方です。
なぎさんはこの話を聞いて、話題が移り変わっていく考え方は、自分の中では迷子ではなく「考え遊び」だったと気づきます。晩ご飯を作りながら、今日の仕事や明日の予定を考え続けていても、そこで答えを出そうとはしていなかったといいます。
さくさんはこの「迷子で遊ぶ」という表現を、ポジティブに捉えられそうだと喜びます。夕飯のような日常の考え事の最中に、仕事の大事なことを思い出して結論が出ることもあると2人は共感し合います。
なぎさんは最後に、一人で考えられないときはコーチに頼ればいいと付け加えます。
走っているとき、2人は何を考えているのか
話題は、2人ともが走ることへ移ります。なぎさんが「走りながら考えていますか?」と聞くと、さくさんは勝手にめっちゃ考え始めると答えます。
止まってる時よりなんか脳に隙間が空いてる感じがするんですよ。
さくさんによると、走っているときも考えは飛び石のように移りますが、どれが一番大事そうかが分かりやすく、無意識にテーマを絞っているかもしれないといいます。結論が出るのも早く、体を動かしているので楽観的になる面もあるそうです。
一方のなぎさんは、「走ってる時何考えてるの?」と聞かれると「何も考えてないです」と答えているかもしれない、と振り返ります。今日は体が動いていないな、暑いな、といった体の感覚から走り始めるといいます。
モヤモヤしてることがあって、「いや、ちょっと体を動かしておこう」みたいになった時は、そのお題をぼーっと浮かべてたりするんですけど。
答えを出しに行ったことがないかもしれない。
なぎさんは思考ではなく感覚に集中するため、走り終わるころには悩んでいたことを忘れ、「ああいい気分だった」で終わっている気がするそうです。
飛び石のように考えが浮かび、大事なテーマが絞られ、結論が早く出る
体の感覚から入り、お題は浮かべても答えは出しに行かず、悩みを忘れている
音楽についても2人は違います。なぎさんは気分で使い分け、音楽を聴くとペースが上がってしんどくなるため、ゆったり走りたいときは音楽そのものをやめるそうです。さくさんは外の音が聞こえづらくなるのが嫌で、耳の休憩時間として基本的に聴かない派です。
マラソンでは「考え事」をしないほうがいい?
なぎさんは、ハーフやフルのマラソンでも考え事をしながら走ると疲れずにゴールできるのかを、さくさんに尋ねます。さくさんは、実業団 ── 企業に所属し、会社の支援を受けながら競技を行うチームや選手のこと。陸上競技では駅伝やマラソンで多くの実業団選手が活躍していますランナーとして10年ほど走ることを仕事にしていた経験があります。
マラソン前半寝て、寝てろって言われる。寝とけって言われるんですよ。
さくさんによると、脳はエネルギーを消費するため、レースの前半は無のまま省エネで行くのがベストだといいます。「あの人調子良さそうだな」「きつくなってきたな」と考えるだけで疲れるそうです。
ただ、30キロや40キロを同じペースで走る練習中は暇なので、直前まで読んでいた漫画の登場人物のことなど、どうでもいい軽い考え事をして気を紛らわせることもあったといいます。
考え事をせず、無のまま省エネで進むのがベスト
漫画の登場人物など、どうでもいい軽い考え事で気を紛らわせる
さくさんは、大会に出る目的は人それぞれだとも話します。今年当たった京都マラソンは給食が楽しく、最後に京バウムが出たり、以前は八ツ橋も出ていたりしたそうです。
なぎさんは、記録を狙うなら体力を残すべきだが、楽しく走るなら全然違うことを考えながら走ってもいいのかもしれない、とまとめます。街中や寺社の景色、太鼓を叩く人たちを楽しみながら走るのもいいという話に、なぎさんは「私そっちタイプかも」と応じます。
話は来月の大会へ移ります。出場の理由は、現役時代に出ようとしていたマラソンがコロナで1度も走れなかったことの「回収」だと語られます。走らなくなって体力が落ち、このままでは一生やらないと思っていたところに、ちょうどタイミングが来たそうです。
答えを急がず、喜んで迷子になりに行く
さくさんは「喋ってて迷子になってない?」と笑い、なぎさんも「移り変わっていってますね、私たち」と認めます。さくさんは、最初に素晴らしい回答が出ているので、迷子になっていいと思いながら喋っている、雑談が好きなので迷子も好きかもしれないと話します。
答えを出したいものに関しては、迷子になっちゃうとしんどいなとか、なんか自分ってなんでこんなに迷子になっちゃうんだろうみたいな風に思ってしまうと悲しいかもしれないですけど。
(考えたりぐるぐる喋ったりが)好きなので、あの喜んで迷子になりに行っている気がします。
さくさんは、深刻な悩みは別としても、日常のどっちつかずでもいい問題なら迷子の時間が長いほうが人生は豊かになりそうだと続けます。決めないからこそ、話をいただくこともある気がするそうです。
なぎさんは、答えを出すことこそ正義、それも早く出して正しい方を選ばなければいけない、という空気が結構あると指摘します。それを始めるとがんじがらめになってしまうといいます。
一方でなぎさんは、こうしてお題があると迷子になりにくいかもしれないとも気づきます。最後に2人は、自分たちは迷子になるのも楽しんでいる、というポジティブな回答が見つかったと締めくくります。
まとめ
「考えているつもりが迷子になる」というお便りに対し、なぎさんとさくさんは、迷子には種類があり、抜け出し方も楽しみ方もあると話しました。答えを急がなくていい問題なら、迷子の時間そのものを味わう選択肢もあるというのが、今回の2人の結論です。
- なぎさんは同じところを回る迷子に気づいたら、「これは何の声か」を外から見直して考えをまとめている
- 話題が飛ぶ迷子は、テーマを決めて誰かと話せば戻りやすく、あえて飛び石のように考える時間にもなる
- 答えを出そうとせず考えを転がす時間は、迷子ではなく「迷子で遊ぶ」時間と捉えられる
- 走るときも、さくさんは考えが絞られ、なぎさんは感覚に集中するなど、頭の使い方は人によって違う
- 日常のどっちつかずでもいい問題なら、答えを急がず迷子を楽しむほうが人生が豊かになるかもしれない




