サウジで王族と仕事をするとはどういうことか
保呂田さんは今回、サウジアラビアとドバイを巡って帰国したばかりです。サウジでは、神戸ビーフという和牛のトップブランドのイベントを現地で行ってきたと話します。
そのイベントは、日本の神戸ビーフに惚れ込んだサウジの王族が、そのお肉を出すレストランをオープンしたことを祝う式典のようなものだったといいます。保呂田さんは、王族と一緒に仕事をする体験そのものが面白かったと振り返ります。
本当に王族と一緒に仕事をするってこんな感じなのかなって。すごく面白い体験だったんですけど。
王族と聞くと近寄りがたい印象がありますが、保呂田さんの第一印象は違ったようです。
めちゃくちゃいい人で。こんなにいい人なんだっていうのが第一印象なんですよ。
ただし、普段は簡単に話せる相手ではないため、周囲の人が話すときにはやはり緊張している空気を感じたといいます。保呂田さんは、日本ではアメリカ産牛肉のイベントに皇族が突然登場するようなことは考えにくい、と例えて説明しました。
サウジは日本と違い、王族の数がとても多いのも特徴だといいます。石を投げれば王族を知っている人に当たるほどだと保呂田さんは表現します。
私、王族と知り合いだよなんていう人を探すと、だいたいいろんなところで石を投げると王族知ってる人に出会うことがあります。
ビジョン2030が動かす、鎖国を解いたような転換
保呂田さんによると、サウジで働いている人の多くは、中東の別の国から来た人たちだといいます。それでも自国民の割合が異常に多く、カタールなどはもっと少ないと現地で教わったと話します。
平野さんが、2030年の万博に向けた動きがあるのかと尋ねると、保呂田さんはビジョン2030という国家プロジェクトの存在を挙げました。
ビジョン2030って言ったかな。その国家プロジェクトで大きな転換点を迎えていて、サウジアラビアというのが。もう本当に驚きが隠せないほどの巨大なプロジェクトが今進行中で。
サウジはとても敬虔なイスラム教国で、女性は目しか出さず、女性をじろじろ見ると警察に捕まることもあるといいます。その国で、30年ぶりに映画館がオープンしたことに保呂田さんは大きな意味を見ています。
それって日本で言ったら鎖国を解いたぐらいの感じのインパクトなんじゃないかなって思うぐらい。
平野さんは、こうした変化の背景に、サウジという国のブランド戦略があるのではないかと問いかけます。保呂田さんも、それは間違いなくあると答えました。
保呂田さんはドバイの展示会で、サウジの国のブランドがとても目立っていたことを挙げます。会場の一番外で、レッドブルのように無料のサンプル飲料を配っていたといいます。
ここもサウジなんだっていうぐらい、今とっても勢いがあるなっていうのを、中東素人ながらめちゃくちゃ肌で感じてきましたよっていう話です。
平野さんは、大阪関西万博の際にもサウジが早い段階からテレビや新聞など多くの媒体に国として広告を打っていたことを思い出し、国としてちゃんとブランド戦略をやっている点に驚きを示しました。
王族とのコネが成功を左右するサウジの商慣習
平野さんが、経営者としてこの市場に自分もやってみたいと感じるか、それともやりづらそうかと尋ねると、片山さんは個人的にはとても興味があると即答しました。
僕個人的にはめちゃくちゃ興味あるよ。それは。
一方の保呂田さんも興味はあるとしつつ、中東ならではのカルチャーの違いに難しさを感じているようです。
今すぐアメリカの株式市場に上場しろって言われる方が、もしかしたら気分的には簡単かもしれない。
片山さんは、サウジでどのようにビジネスをスタートするのか、その商慣習が日本や欧米とどう違うのかを知りたいと質問します。保呂田さんは、中東あるあるかもしれないと前置きして答えました。
保呂田さんによると、サウジではすでにナショナルブランド化された企業に、王族経営のものが多く存在するといいます。ある会社が成功しているのは、特定の王族がサポートしているからだ、という語られ方をするそうです。
特にサウジっていう国で感じたのは、ロイヤルファミリーオリエンテッドみたいな感じ。
いかに王族とコネがあるかみたいなところが結構大事ってことね。
片山光祐 さんからの質問
保呂田さんによれば、一からビジネスを組み立てて成功した人も一定数はいたものの、成功している人たちは王族に関係する人が多いといいます。王族が絡むと国も動きやすく、かけられる投資額が大きく変わるためです。
平野さんは、サウジがサッカーチームの運営で王族が有名選手を呼んでいることを例に挙げ、そうした動きがスポーツの垣根を超えて広がっている可能性を指摘しました。
完成形のドバイ、ベータ版のサウジという構造
話題はサウジから、その後に訪れたドバイに移ります。保呂田さんは、カタール、サウジアラビア、ドバイと巡った中で、ドバイはとくに早く発展した都市だと説明します。
保呂田さんはドバイを、アメリカでいうニューヨークのような存在だと例えます。政治というより経済の中心で、欧米系をはじめ多くの外国人がいるといいます。
平野さんが、外から来る人を受け入れるうまさがあるのかと尋ねると、保呂田さんはまさにそこだと応じました。
外国の企業を誘致して、その人たちに安い税金で活動していただいて、その国にお金を落としてもらおうと。それでさらに発展させていこうっていうようなところがとても見て取れる。
片山さんは、この2つの街の構造的な違いを、ドバイは完成形、サウジはベータ版というイメージで捉えられるかと問いかけました。
ドバイって言ったらイメージとしてはもう完成形みたいなイメージで、サウジは今ベータ版みたいな状態のイメージを持つけれども、そんな感じで合ってるんかな?
中東で早くに発展した経済の中心地。外国企業を安い税金で誘致し、外国人も多くビジネスに参入しやすい土壌がある
ビジョン2030で巨大プロジェクトが進行中。自国民の割合が多く、王族とのコネが成功を左右する、これから伸びる市場
ただし保呂田さんは、自分は中東のスペシャリストではないと繰り返し強調します。こうした仕事の際は、必ず中東の専門家にアドバイスをもらいながら進めているといいます。
例えば宗教的なバックグラウンドだったりとか、文化的な背景をこちらがしっかり理解をしていないと、本当に事故るというか。
それでも保呂田さんは、初めて中東に出会った視点で感じたことを、そのまま番組で共有したいと話しました。
初めて出会った曇りなき眼でキャプチャーしてきた模様を、ポジティブブランディングラボの僕たちにこうやって一緒にコンテンツで背負って話をしている。
今チャンスがあるのはドバイかサウジか
片山さんは、知り合いの日本人がドバイでネイルサロンやネイルスクールを経営している例を挙げ、日本人にとってもビジネス参入しやすい土壌があるのではないかと述べます。その一方で、サウジはまだ参入が難しそうだという印象を持ったといいます。
平野さんが、ビジネスをするならサウジよりドバイのほうが今はやりやすそうかと尋ねると、保呂田さんの答えは意外なものでした。
いや、全然そんなことないですね。今行くんだったら僕はサウジを選ぶべきだなと。
保呂田さんは、中東のプロの助けを借りて事故を減らしながら進めるのであれば、これから伸びるサウジアラビアにこそ飛び込むべきだと考えています。
本当に飛び込むべきはサウジアラビアのような、これから伸びていくよっていう。面白いんじゃないかな。
平野さんは、この話を旅行にコーディネーターが必要な感覚に例え、ビジネスでも現地のプロのコーディネーターが介在することがポイントだと整理しました。
サウジもドバイも、日本とは違うやり方を持つ国だと平野さんは感じます。片山さんは、その象徴として、まずお酒が飲めないことを挙げました。お酒の代わりにあるのが甘いものだといいます。
お酒の代わりに何するの?っていうと、甘いものなんですよ。ウェルカムデーツとか。
デーツにもグレードがあり、出された際にはきちんといただく作法があるといいます。また、外国人については最新の情報では、酒屋で買って自宅でビールやワインを飲む分には許されるよう、少し緩和されている面もあると保呂田さんは話しました。
CBBE理論で見ると、和牛は共鳴まで揃った稀なブランド
片山さんが、今回のお肉の仕事で和牛がどのように受け止められたのかを尋ねると、保呂田さんは、まだ出てきたばかりのブランドとしてウェルカムに迎えられている状態だと答えます。
保呂田さんは、欧米では和牛が少しずつコモディティ化し、価格の撃ち合いが起きることもあると指摘します。だからこそ、その価値をどう守るかを丁寧に解きほぐせたことに手応えを感じているといいます。
広まればいいとか売れればいいじゃなくて。価値をやっぱり最大化させて、日本の和牛ってこんなに素晴らしいよねっていうことをちゃんと伝えられたかな。
片山さんは、これをCBBE理論で整理するとどうなるかと問いかけます。片山さん自身が無茶ぶりと認めつつ、機能価値、情緒価値、そしてユーザーの感覚という段階から一緒に考えていきました。
保呂田さんは、まず和牛が比較的新しい食材で、アメリカやオーストラリアの肉とは柔らかさが違うという機能的な価値があると説明します。さらに日本から直接来た、歴史とストーリーのある肉であることに情緒を感じてもらえるといいます。
そして、その肉の色が「ルビーのようだ」と評されている点が印象的です。実際、王族がサウジに作った高級なおまかせレストランは「ルビー」という名前だと保呂田さんは明かしました。
ルビーというところでコミュニティ化されてきている。やっぱりそこに固定のファンがついて、本当に高いよ。
片山さんは、これを機能、情緒、そして最上段の共鳴まで揃った状態だと整理しました。
保呂田さんは、まだ小さな初動の段階ではあるとしつつも、それが揃っていることを認めます。片山さんは「ルビー」というネーミングのうまさにも感心しました。
世界で高まる日本ブランドへのリスペクトの理由
保呂田さんは、現地で日本がどう受け入れられているかについて、中東に限らずどの国でも一定のリスペクトを感じると話します。昔に比べて、その傾向は強まっているといいます。
インターネットとかでもたくさん日本の丁寧なところだったりとか、職人技術だったりとか、すごいねって言われることがとっても多い。
片山さんが、職人のスキル以外で評価される部分はあるかと尋ねると、保呂田さんは人々の丁寧な気持ちを挙げました。中東の人々とは、根底の部分で日本人と近いところがあるのではないかと感じるといいます。
保呂田さんは、ファミリーや仲間を大切にし、丁寧に接するところが、他の国に比べて日本人と重なると話します。片山さんは、その誠実さが響いている可能性を指摘しました。
一方で保呂田さんは、日本が常に尊敬されてきたわけではないと補足します。30年前のバブル全盛期には、ヨーロッパで日本人はとても嫌われていたと聞いたそうです。
当時の日本人は、今の中国人による爆買いのように、価値もわからずブランド物を買いあさっていた、という背景があったといいます。だからこそ保呂田さんは、日本人だから優れているとは一概に言えないと考えています。
この何十年っていう中で、日本人の民度はちゃんと上がってきたんじゃないかな。それが世界の人たちに伝わってきて、今世界では尊敬されてるっていう状態にとても感じてます。
片山さんは、この話を傍から聞いていても嬉しく、誇らしいと感想を述べました。
片山さんは、この生の体験そのものが、日本ブランドが世界にどう認知されているかを知る原体験になると受け止めます。今後も現地レポートとして続けたいと話し、収録は締めくくられました。
まとめ
神戸ビーフのプロモーションで中東を巡った保呂田さんの現地レポートから、王族が経済を動かすサウジの商慣習、完成形のドバイとベータ版のサウジという構造の違い、そしてCBBE理論で見た和牛ブランドの強さが見えてきました。日本ブランドへの世界の敬意は、職人技術だけでなく、丁寧さや誠実さへの信頼から高まっていると保呂田さんは感じています。
- サウジでは王族経営の企業が多く、王族とのコネが投資額や成功を左右する。ドバイは外国企業を誘致し、参入しやすい経済の中心地
- 保呂田さんは、中東のプロの助けを借りるなら、今飛び込むべきはこれから伸びるサウジだと考える
- 和牛は機能・情緒・共鳴が揃った稀なブランドで、「ルビー」という呼び名がその価値を象徴している
- 日本ブランドへの世界の敬意は、丁寧さや誠実さへの信頼が数十年をかけて伝播した結果として高まっている





