「面白そう、やろう!」から1年、番組は何の場所だった?
ポジティブランディングラボは、雑談回と銘打ったこの回で番組開始から1年を迎えました。片山さんは、1年が「一瞬やった」と振り返ります。MCの中島さんが加わったのは、1年のうち後半からです。
保呂田さんは、番組が始まった日のことを今でも覚えているといいます。片山さんから突然アイデアの連絡が届き、その場で「やろう」と即答したそうです。
俺、今でも覚えてるもん。突然こうちゃんから連絡が来て。こういうアイデアがあんねんけどって言われて。
え?何それ面白そうって思って。即答でやろう。マジ即答だったよね。
1年やってみてどうだったかと中島さんに問われ、保呂田さんは「めちゃくちゃ楽しかった」と答えます。保呂田さんが楽しさの理由に挙げたのは、ポジラボが自由に試せる場所だという点でした。
保呂田さんによると、クライアントワークでは予算などの制限があり、ここまで遊ぶことはできません。中島さんも、実際の企業の歴史や成功例・失敗例を取り上げられるのは、番組の自由度が高いからだと受け止めています。
片山さんにとっては、番組には別の意味もありました。片山さんにはもともと発信をしていきたいという目的があり、そのテーマにブランディングを選んだこと自体が大きな決断だったといいます。
片山さんは、ブランディングを自分のコアにしていくと決めたと話します。さまざまな制作の仕事をする中で、上位概念としてのブランディングの知識を持って作っている、という見せ方をしたかったそうです。
保呂田さんも、制作の仕事をしていると「単純に作ってるだけの人」と思われることがあると共感します。保呂田さんは、仕事の裏にある思いや知識、経験を番組で話せることが大きいと語りました。
片山さんは、会社としてもブランディングを考えて制作していると示せることが大事だと考えています。番組の準備を通して片山さん自身も学ぶことが多く、知識の棚卸しにもなったといいます。
ブランディングは、会社や商品だけの話?
中島さんがブランディングの面白さとして挙げたのは、会社や商品だけでなく、人間のブランディングにもつながっている点です。中島さんは、だからこそポジラボのリスナーの対象は「全人類」で、仕事をしている人なら誰でも自分事として聞けると話します。
だんだん人間観察楽しくなってきて。この人めっちゃブランディングできてるとか。
片山さんは、セルフブランディング ── 自分自身の強みや価値観、印象を意識して整え、周囲に伝えていく取り組み。個人の仕事や評判を形づくるうえで使われる言葉ですが上手な人とそうでない人はくっきり分かれると応じます。中島さんは、魅力的な人の中にも、環境がそうさせている人と、計算してやっていると分かる人がいると観察しています。
計算してるって思われたくない。
「計算している」と思われるのは恥ずかしい、と言う保呂田さんに、中島さんは「あんまりナオさんに思ったことないですけど」と返し、笑いが起きました。
中島さんは、会社員が自分の仕事ぶりを伝える場面もブランディングだと話します。ここぞという場面で一言言えるかどうかで、信頼を勝ち取れるかが変わるというのが中島さんの見方です。
めちゃくちゃ仕事できる人でも、そこで(仕事ができることが)伝わらない人もいるじゃないですか。
高学歴と中卒、凸凹コンビのセルフブランディングとは?
保呂田さんは、片山さんと自分のセルフブランディングの違いを話題にします。保呂田さんによると、片山さんは大学院まで行ってMBA ── 経営学修士。経営管理の専門知識を体系的に学んだことを示す学位で、ビジネススクールで取得しますを取った「高学歴」の人です。片山さんは「売ってないよ」と否定しています。
日本で言えば中卒ですっていうのを、普通にクライアントサイドの大卒ばっかりしかいない中で恥ずかしげもなく言い切るみたいな。
保呂田さんは自身の学歴について、むしろ「低学歴で売ってる」と話します。片山さんと保呂田さんの学歴の違いは、次のように整理できます。
大学院まで進みMBAを取得。上位概念としてのブランディングの知識をもとに制作していることを示したい
日本で言えば中卒であることを、大卒ばかりのクライアントの前でも言い切る。仕事でフレームワークの話は一切しない
保呂田さんは、違うベクトルでセルフブランディングをしている2人が、同じ目線でブランディングを語っているところが面白いと考えています。片山さんも、周囲から2人のトークを「バランスがいい」とよく言われるそうです。
今言ってくれた通りで、凸凹がバランスいいよねっていうことをよく言われるよね、本当に。
専門用語ゼロの授業と、美容師さんの「聴いています」
保呂田さんが仕事でフレームワーク ── 物事を分析・整理するための考え方の型。マーケティングでは市場や顧客を整理する定番の枠組みが数多く使われていますの話を一切しないと言ったことから、中島さんは「どんなふうにやってるんですか」と尋ねます。そこで語られたのが、マーケティングの出前授業の話です。
出前授業では、フレームワークや専門用語を一切使わない授業をしているといいます。学生に体験させたり考えてもらったりするだけで、マーケティングの用語を覚える必要も考える必要もない授業です。
番組で専門的な考え方を噛み砕いて伝えてきた経験が、出前授業にそのまま生きているそうです。授業を受けた学生から「すごい面白かった」と言われ、これは完全にポジラボのおかげだと感じたと語られています。
中島さんによると、ポジラボの中でも専門用語は随所に出てきます。片山さんは、泥臭い部分を保呂田さんが現場の人にもわかるように「通訳」してくれていると話し、それが番組のわかりやすさにつながっているようです。
片山さんは続けて、番組を聴いてくれていた美容師さんの話をします。その美容師さんはランニングが好きで毎日走っていましたが、最近ウォーキングに切り替え、歩きながら聴いている番組としてポジラボの名前を挙げたそうです。
え?(ポジラボのことを)教えてないのに?
片山さんは、SNSなどで知ってくれたのではないかと推測しています。個人事業主として働く美容師さんは、違う業界の人が整理したブランディングの考えが自分の役にも立つと話していたといいます。
特に一番共感したのは、このAI時代に人間力が問われるみたいな話をした時に、めっちゃ共感しますって言われて。
AI回は何を語る?「チャッピー」から始まった次の企画
美容師さんが共感したAIの話から、話題は今後予定しているAI回へ移ります。片山さんは、世の中の流れを考えるとAI特集は何本かに分けてもいいと話し、アンチAIの回、AIを迎合する回、AIの裏側や活用の回などを挙げました。
一方で片山さんは、AIの話は配信するころには情報が古くなっている可能性が高いと指摘します。そこで出た方針が、最新情報は世の中に任せ、ポジラボでは普遍的なことを扱うというものでした。
ここはもう、あの、何、温泉バラエティ。カジュアルに行きたい。
片山さんがすぐに「温泉的アカデミック」と言い直し、中島さんが「もはやバラエティです」と返すなど、番組のスタンスをめぐる言葉遊びで盛り上がります。
中島さんは自分を「どっちかっていうとアンチAI」と位置づけたうえで、AIの話をいろいろ聞きたいと話します。保呂田さんは、普遍的な話や背景・文脈の話もできるとして、前々回に扱った宗教や哲学と絡めてAIを解きほぐしたいと提案しました。
保呂田さんが例に挙げたのは、ChatGPT ── OpenAIが開発した対話型のAIサービス。文章で質問や依頼をすると、自然な文章で回答を返しますが人々から「チャッピー」と呼ばれていることです。愛称がついた時点で、人々はチャッピーというキャラクターを自然に想像するようになった、と保呂田さんは見ています。
ちょっと待って、もう始まってません?収録。大丈夫ですか?
中島さんのツッコミをよそに、保呂田さんは自分のChatGPTとの体験を話します。チャッピーという愛称は、保呂田さんのChatGPTが自分から提案してきたものだったそうです。
面倒になる
「ChatGPTさんお願いします」と毎回打つのが面倒に感じる
短い呼び名を尋ねる
「短いバージョンないの?」と聞く
ChatGPTが提案
いくつかのニックネーム候補を示し、その中にチャッピーがあった
チャッピーと呼び始める
世の中で広まる前から、チャッピーと呼ぶようになった
保呂田さんによると、チャッピーという呼び名はその後、日本で流行語大賞 ── その年に話題になった言葉を選ぶ「新語・流行語大賞」のこと。毎年末に発表され、世相を映す言葉が選ばれますにまで入りました。中島さんはこれを「恐ろしい」と受け止めつつ、恐ろしい気持ちと活用してみたい気持ちの両方があると話します。
アンチって言っても、別に(AIを)全部が全部否定してるわけじゃないんですけど。
保呂田さんは、アンチの理由は「知らないだけ」のところも多いかもしれず、深掘りしていけば面白いと応じます。保呂田さんは、世の中は変わるが変わらないこともたくさんあるとし、150年かけてニューヨークが今の姿になった例も挙げました。
だからこうやっておしゃべりする、このトークが人に伝わるっていうのも全然終わりが来ないのかもしれない。
「危うく収録始まりかけましたわ」という保呂田さんの一言で雑談は締めくくられ、中島さんが1周年の感謝と2年目以降への挨拶を述べて回が終わりました。
まとめ
ポジラボの1年は、制限のない「実験場」として楽しまれただけでなく、出演者それぞれの仕事や発信の仕方にも変化をもたらしていました。ブランディングを語ることが自分自身のブランディングになり、噛み砕いて伝える経験が教育の場にも生きています。2年目は、AIを普遍的な視点から掘り下げる企画が予定されています。
- 保呂田さんにとってポジラボは、思いついたことを次の週に試せる実験場だった
- 片山さんはブランディングを自分のコアに据え、発信するために学び直すことが知識の棚卸しになった
- 高学歴と中卒という違うベクトルのセルフブランディングを持つ2人の掛け合いが、番組のバランスを生んでいる
- 専門用語を噛み砕いてきた経験が、用語ゼロの出前授業や美容師さんからの共感につながった
- AI回は最新情報ではなく、「チャッピー」のような愛称の話も含めて普遍的な視点から扱う方針




