投稿欄の投稿者同士が交流している
今回の入口は、地方紙の投稿欄です。ナム子さんは長崎新聞の投稿欄を読み込むなかで、投稿者同士が互いの文章を読み、交流しているという発見があったと切り出します。
BM×Zのときどき地方紙ズームイン!
このポッドキャストは、山梨と長崎の地方紙から、勝手に日本の未来を考えます。
すいません、こんな感じでも。はい、やっていきたいと思います。
はい、(今回は)投稿欄をいくと。
先に話しちゃうと、投稿欄について今回発見があったっていうのを話すと、投稿欄の投稿者同士が交流している。
っていうのが1個あったんですよ。読んでいいですか?
はい、お願いします。
ナム子さんが読み上げたのは、長崎新聞の声欄に載った「投稿文に見る考え方生き方」という投稿です。投稿者は、いとこのMさんの後を追うように約24年投稿を続けてきたと書いています。
投稿によると、亡くなったMさんの掲載紙面を切り取って貼ってきたものは、すべて娘さんに渡したそうです。また、以前ある常連投稿者から「お茶しませんか?」と誘われたものの当時は断り、「今となって、あの時に会っておけばよかったなと後悔している」と結ばれています。
へー、(投稿者同士は)どうやって連絡取るんだろう。
確かに。確かに。
でもあれか、昔は電話帳とかに名前とか載ってたから。住んでる市町、自治体とか載ってますよね、多分ね。それと名前で多分やったのかな。
っていうかね、新聞の投稿、奥深すぎない?これ。全てが、そのMさんの投稿欄を全部(娘さんに)あげたとかさ。
ちょっと、何この世界って思って。
ものすごい営みが感じられますね、向こう側の紙面の。
投稿に投稿を重ねる「紙のコミュニティ」
なので他にもね、そういうのをちょっと集めてみたんです、今回。
少し前にさ、7日付の声の欄に、「趣味を持って生きます」っていう人の話読んだの覚えてない?朝から起きて、習字したりなんかしたりして。
ああ、何ですかね。ああ、はいはいはい。
そうそう、それに感銘を受けたっていう返答の投稿もあったし。「私の場合はピアノでした」って言ってさ。
1つ趣味があると、人生に張りが出て心が豊かになりますっていう、応答の投稿。
他にもね、「投稿が前向きに生きる支えになっています」とかね、いう投稿もあったのよ。投稿に投稿を重ねている投稿っていう世界。
前ね、門徒さんで、投稿欄とか俳句とかを載せられたのを、全部自分で1冊の本にした人もいたもんね。
へー。あ、そういうのやる方いますね。写真集とか作って出す人ね。
その感じを、新聞の記事でやってったみたいな。
まあでも、それで載せてくれて、自分の励みになるならさ。何の趣味もなくてぼーっとしているよりは、とってもいいなと思った。
確かに。へー。俺、そこまで読み込んでないですわ。交流の跡が見えるまで。
逆に私は、それをポイントに読んだのよ。そういうのがないかなっていう感じで今回読んでたら、3つぐらい見つかった。
昔の趣味の雑誌とかも、文通相手募集とか昔ありましたよね。
それのさ、これ名残だよね、最後に。新聞に残ってたっていうさ。
だってもう今ね、ネットネットですもんね。
あ、でもこの「趣味を持って生きる」に応答した人ね、40歳の公務員なのよ。若い方も読んでんだなと。
たまに最近、投稿欄でもね、40代の人見かけるわ。
早川町の雨畑硯に憧れる先生の投稿
実はですね、僕も今回1つだけ投稿欄を切り抜いたんですけど、これ40代の方です。しかも公務員ですね。
40代公務員、大丈夫か?サクラとかじゃないですかね。全国の地方紙に40代公務員が散見されるってことだよね。
多分、高校の先生だから、教員だから多分公務員。
そっか、公務員っつっても幅広いしね。私も公務員って嘘ついて投稿しよう。
はい、嘘はいかんですよ。
ずいほうさんが紹介したのは、山梨の新聞に載った「憧れの雨畑硯で書道教育向上へ」という高校教員の投稿です。書き出しは、松本清張の推理小説『考える歯』が早川町 ── 山梨県南部の町。人口が日本で最も少ない町として知られ、伝統工芸の雨畑硯の産地でもありますの雨畑硯を題材にした作品だ、という紹介でした。
前回紹介した日本一小さい町っていう、テレビが映らなかったっていう、あの早川町ですね。
あそこを舞台にして、松本清張(が小説を)書いてんの?
はい、僕知らなかったです。これで初めて知りました。
へー、ちょっとすげえ興味深いな。早川町。
投稿者は、書写の教科書にも産地として載る雨畑硯にいつかはと憧れ、夏休みに早川町で墨をすって筆を走らせる体験をして「その違いが明確に見えた」と書きます。毛筆に接する機会が減るなか、雨畑硯を使う体験を授業に取り入れたいと結んでいます。
これ結構有名な硯で。うちにもあります。いただきものですけど。
松本清張は本作の執筆にあたり、自ら雨畑の硯職人を訪ね、硯職人の胸にできたタコに強く関心を寄せたんだって。
へー、ノミみたいなやつが(胸に)当たるのか。
「まだ見えてない」書道は目を養う
まあ、ナム子さんも書道されるのでと思って。
(書道を)したくないのに、結局すごいしてる。仕方なく。先生がすごい先生でさ。
いやー、字はね、習いたい習いたいと思いながらも全然ダメだな。
この情報社会でも、その時間ぐらい一人になれる時間を持っとくのもいいかなっていう感じはするね、なんとなく。
でも、逆に字が上手いっていいと思うな。
今やろ?逆にね。
それあったよ。10月3日の記事でさ、「手書きの習慣大切と思う人80パーセント」っていう文化庁の調査。
デジタルに変わるとかいうニュースがあったでしょ。じゃあみんながデジタルでいいと思ってるかっていうと、80パーセントはやっぱり手書き(が大切と思ってる)。特に子供の時はね。
うちの子もね、焦って書くんすよね。字が汚い人ってね、僕もそうだけど。
字は、結構図形みたいに捉えていくと面白いんだよね。アンバランスで整えていくから、特に書道ってさ。
こっちを重くしたら、こっちはちょっと(軽く)。パソコンとは違うんで、バランス感覚が大事っていうか。
先生とかも、ここは下にちょっと空間を持つとかさ、そういう空間に着目すると、字は結構。
整うというよりは、臨書とかになると見えるんだ。そうそう、見えてくる。
見えてくる?
見えてないから書けないんだよ。臨書って、見えたら書けるんだよ。
どの左の辺のどの部分から出て、こっち側はどの辺までしか出してないっていうのを、最初の頃とかって全然見えてないから。
先生によく言われてた。「まだ見えてない」って。
おお、なんかすごいですね。
すごいやろ。だから書道って、目を養うんだよ。
習字が「書写」に、墨職人の憂い
いやー、そうか、書道ですね。この間、奈良行ったんですけど、日本の墨の9割ぐらいが奈良産なんですってね。
で、そこで墨作り体験して、墨職人の人が面白いおじちゃんで、いろいろ話してくれたんですけど。
おお、いいな。
子供たちの習字の授業を、書写って最近言うんですってね。
ああ、書道じゃなくて書写。
書き写す。そう、それを(墨職人の人が)すごい憂いてました。書写じゃなくて、せめて習字、書道でやってもらいたいっていうね。
まあ、硬筆とかもやるからかな。
やる。で、それでもいいってことになっちゃってるかもしれないね。道具とかが大変やしね。汚すけんね、子供はね。
そうそうそう、本当ですよ。
でもああいうのも大事なんだよね。汚さないように物を扱うとかさ。汚さなくなってくると上手く書けてくるよって、先生言うよね。
俺も子供の頃、ちょっと親に(習字に)行かされてたけど、毎回汚してたもんな。
私なんて結婚するまで習わなかったから、本当に悲惨だよ。一からやった、本当。
お寺ってどうしても筆を持たなきゃいけないことが多いので、恐怖とか嫌とか言ってられないじゃない。ある程度自信が欲しかったんでやってるって感じだね。
だからもうやめたいんだけど、今度はやめられなくて。ここまで来ると。
え、もうじゃあ、何段とかですか。
何段だろう、もうわかんない。まあ高校の(書道の教員)免許とかは、取れるとこまではもうとっくに行ったっていう。
えー、すご。俺もやろうかな。やるやる詐欺になってんだよなぁ。
書はいいよ、でも。
ね、いいっすよね。やろう、来年やろう。来年とか。
いや、いつからでも書は、筆ペン持った時点で始められるので。ただ締め切りがやっぱ大事。
ああ、締め切りね。締め切りも増やしたくないな、これ以上。
ヴェルサイユと逆、日本の「アンバランスの美」
もう私、華道もやってるからさ。書道、華道、仏道っていう。
あとお茶とか。
お茶ね。お茶はちょっともうやめとってるね。逆に小学校の時やってた。近くに先生がいてさ。
花もね、いいですよね。
いい。花もいいけど、夏はやっぱ花材が少なくなってくるんで、大変ですね。
やっぱあれですか、和花を飾るんすか?
そうね、(真宗)大谷派は池坊が主流なんで、立花っていうのをいけるんですね。
立花っていうのは、自然の山の上から海に至るまでを表現していくんだけど。
山のもっと向こうの姿から、てっぺんから水が流れてきて、最後海に流れて、また循環していくっていう世界を、1個の花器の中で表現するっていう世界。
おーとしか言えないですね。
それも結構左右アンバランス。だけど西洋と逆なの。西洋のさ、ヴェルサイユ宮殿の庭とかって、全部左右対称じゃない。
でも日本の庭っていうのは、ある部分にすごく重みがあったら、こっちはすごく軽くするとか、そういう文化なんだよね。アンバランスやん、日本は。
なるほどね。教養が出ちゃってますね。
教養が、じわじわ出ちゃってるね。
タワマンに和室はない、でも畳は喜ばれる
でもあんまりそういうことが、もうわからなくなってくるじゃん、日本人って。どっちかというと西洋的とか。
本当、でも西洋的なのみんな好きだから。
この私の背景の絵になってるタワマンみたいな。タワーマンションの世界みたい。
異常に広いリビングですよね。
きっとこういうタワマンには、和室はないでしょ。
ないでしょうね。あえて作らないとないでしょう。新しい家とか、和室ないんじゃないですか。
いいけどね、和室って実は。
和室いいですよ。うちのやってる空き家を改装した宿坊に、東京から来る人はやっぱね、畳に喜びますよね。
へー。畳だ、みたいなこと?
旅館に行って、子供が畳にゴロゴロする、あんな感じじゃないですか。
みんなお寺に行けばいいのにって思うよね。
お寺にね、行けばいいよね、畳ね。そうなんですよ。
まあ大変だけどね。(畳は)傷むからね。
そうなんですよね。で、今、(畳の)職人さんも少なくなってますからね。
熊本の震災とかで、い草とかもなかなか大変なんだよ。あの辺りは産地なんで。
そうか、熊本ね。まあ輸入も多いけど、(国産も)あるんだ、まだ。
でもかなり減ってるっていう話だけどね。
そのぎ茶、八女茶、知覧茶、嬉野茶の飲み比べ
今何分ぐらい話してます?
今15分ぐらい話しましたよ、多分。
最近よく見かけるのが、東京の大学生とかが、長崎でいうとお茶の町に、2週間ぐらい滞在して。
人的資源の発掘とか活用とか、SNSによる観光情報発信などについて提案をするような。
ふるさとワーキングホリデーとかじゃないですか、それ。
それを大学レベルでやるっていう話かな。それで単位取れて、学んで、やっぱり長崎行きたいみたいな人がいればさ、いいかなとは。
最近、結構そういうの多いかもしれないですね。
多いかも。もっともっと増えてほしいけどね。
ちょっと話変わるんですけど、長崎のお茶の産地ってどの辺なんですか?
そのぎって言ってね、大村からちょっと佐世保側に行ったところとか、わりとあるんです。
へー。ナム子さんは八女出身。
うん、だから八女茶は甘みがすごい強いのね。
私の感覚だと、そのぎ茶はすっきりしてる。すごい飲みやすいっていうか、冷茶に向いてるなって感じがする。
八女茶はコクがあって甘いんだよね。
結構だから、西のお茶と関東のお茶って違うんですよね。関東系はやっぱ苦みが多いですよね。
西の方はあれですよね、黒い布をかぶせるんですよね、途中でね。あれで旨味が出るらしいんですよね。
で、静岡茶とかやっぱ苦くて。九州のお茶とかトロッとしてますよね。僕もね、ああいうお茶の方が好きなんですよね。
え、じゃあ今度いっぱい大量に送る?あ、でもお茶あるやろ。
でもちょっと飲み比べ的に1袋ぐらい送ろうか。レターパックで入れて。
あ、いいですか?遠慮なく。お茶ってレターパックで送られてきますよね。
結構僕、鹿児島のお茶とか冷茶用のやつ買って飲んでたな、前。
ああ、鹿児島の知覧茶とかね。特攻隊が飛び立ったところの辺りのですね。
出てくるわ出てくるわ、話は。お茶に詳しすぎよ。
煎茶好きのお茶屋さんがあって。カウンターで利き茶みたいなのを、コースでやってくれる人がいて。
それ最近、嬉野茶でやってますね。綺麗なカウンターみたいなとこでさ、バリスタみたいな人がお茶入れて。
そうそうそう。茶畑に茶室なんか作ったり。だからお茶のフルコースで、1万円ぐらいで、付きっきりで注いでくれるっていう。
ワイングラスみたいにね、入れたりする。
そう。このお茶は何秒ですとか、これは何秒とか。
いやでも、今後お酒が厳しくなってくる中さ、お茶は結構。
お茶もやっぱ、オタクの時代ですね、やっぱね。
結果、お茶の話。
お茶の話。何から始まったのかよくわかんない。
投稿欄だったけど。面白いね。
ということで、まぁ今回はこんな感じですかね。
はいはい、ありがとうございます。
まとめ
長崎新聞の投稿欄からは、投稿に投稿で応え、時に実際に交流する「紙のコミュニティ」の姿が見えてきました。そこから話は雨畑硯の投稿、書道の「見る力」、華道や庭のアンバランスの美、畳と和室へと広がります。最後は、そのぎ茶や八女茶、嬉野茶など産地ごとの日本茶の違いにたどり着きました。
- 投稿欄には、投稿者同士が読み合い応答し合う、ゆっくりとした交流がある
- 雨畑硯の投稿をきっかけに、手書きや書道の価値が語られた
- ナム子さんいわく、書道は字が「見える」ようになることで書ける、目を養うもの
- 立花や日本庭園には、左右対称の西洋とは逆のアンバランスの美がある
- 日本茶は産地で味が大きく違い、コースで味わう新しい楽しみ方も広がっている






