国試翌日に開くセミナー、その狙いとは
たいぞーさんは、薬局で在宅医療や外来対応をしながら、新人育成や研修企画、社内研修の講師なども担っている薬剤師です。現場での経験や学びを共有するため、勉強会やセミナーの開催、外部講演にも取り組んでいます。
今回はまず、本題の前に1つの告知から始まりました。2月23日の月曜日に開くセミナーの案内です。
この日は、2月21日・22日に実施される第111回薬剤師国家試験の翌日にあたります。国家試験が終わってすぐのタイミングで、この国家試験を実務に生かすという視点でセミナーを開くという企画です。
開催はオンラインで、時間は午後2時から2時30分までの30分間、参加費は無料です。薬剤師や薬学生が対象で、実務実習中の人もこれからの人も参加できます。
たいぞーさんは、対象として「薬学部で学んでいる勉強は何のために勉強しているのか」が気になっている人も挙げています。
自分たちの学んでいることの価値、薬剤師として持っている専門性の価値ということに、改めて気づく機会にしていただけるのではないかなと思います。
申し込みフォームのリンクは放送の概要欄に用意されていると案内されています。
調剤報酬改定で高まる「薬剤師と事務」の連携
本題は、先週発表された調剤報酬改定の答申から始まります。薬局を取り巻く報酬体系がさまざまな部分で変更になることが明らかになりました。
具体的な点数が明らかになったことで、薬局の経営や運営に関わる人は、これからどう運営していくかを考えている段階だとたいぞーさんは見ています。薬局は地域に医療を届けるインフラであり、その維持が課題になるためです。
そうした業務の見直しやブラッシュアップを考える中で、たいぞーさんが1つ強く感じたのが、薬剤師と調剤事務スタッフの連携の必要性でした。
たいぞーさんは、今の会社の1つ前に勤めていた会社で、調剤事務と薬剤師の連携を重視して業務を行っていた経験があります。両者が連携したほうが、薬剤師が専門性を生かして仕事に臨みやすくなると考え、その体制づくりにも関わっていました。
一人薬剤師の店舗で直面した「同行できない」問題
その連携の中で、たいぞーさんは調剤事務スタッフの可能性の広さを強く実感します。ピッキングのサポートなど調剤の補助にとどまらない役割があると感じた出来事があったからです。
それは、たいぞーさんが一人薬剤師として店舗を担当していたときのことです。在宅の訪問依頼が入りました。
依頼のあった患者は終末期を過ごす方で、疼痛緩和のために注射薬を必要とする状態でした。退院後の初回の注射薬導入に向けて、用量の設定や状態の把握を進めることがとても重要なケースでした。
そこでたいぞーさんは、医師の初回の往診に同行し、一緒に状態を見て治療を速やかに始めたいと考えました。しかし医師に訪問診療の時間を確認すると、薬局の開局時間のちょうど真ん中の時間帯だとわかります。
一人薬剤師の店舗なので来局する患者は多くありませんが、店を閉めるわけにはいきません。同行したいのに店を離れられない、という状況に頭を悩ませることになりました。
事務スタッフに託した「オンライン中継」という一手
悩んだ末にたいぞーさんが選んだのは、当時一緒に勤めていた調剤事務スタッフに、医師の訪問診療への同行を頼むことでした。
ちょっとこの医師の訪問診療に同行してついて行ってくれへんやろうか、ということをお願いしました。
ただし、スタッフに専門的な状態把握や難しい部分のフォローを任せるのは難しい、とたいぞーさんは考えていました。それは能力の問題というより、専門教育を受けていないためにできることが限られ、発言に責任を持てないからだと説明しています。
そこでたいぞーさんが託したのは、判断ではなく「現場をつなぐ」役割でした。スタッフが現場にいてオンラインで映像をつなげば、自分がその場にいなくても、医師と一緒に状況を確認し治療の導入を検討できると考えたのです。
薬剤師は店舗に残る
一人薬剤師のため開局中は店を離れられない
事務スタッフが訪問診療に同行
患者宅で医師の診察に立ち会う
オンラインで映像をつなぐ
スタッフのカメラで薬剤師が現場を確認
医師と薬剤師が直接検討
承諾を得て電話をつなぎ治療量を決定
成功を支えた事務スタッフの「働き」
たいぞーさんは、どうなることかと思いながら対応していたと振り返りますが、結果はとても良いものでした。まず、同行してもらったスタッフの働きが優秀だったといいます。
スタッフは、医師の声が聞こえる場所に立ち位置を取り、患者の状態や医師の診察の様子がきちんと見えるようにカメラを向けてくれました。医師と検討する際にも、きちんと承諾を取ったうえで電話をつなぎ、その場で直接話しながら対応できました。
そのおかげで、患者の治療量を正確に把握でき、患者が帰宅してから最短の時間で薬を供給し、治療を開始できたとたいぞーさんは語っています。専門性は薬剤師が担い、現場をつなぐ役割を事務スタッフが担うことで、一人薬剤師でも最善の対応が実現しました。
職域を決めつけない、輝ける環境のつくり方
この経験から、たいぞーさんは連携の形にはさまざまなものがあると述べています。そのうえで、組織としてどういう連携を行うのか、仕組みや体制を作っていくことも大切だと補足しています。
きちんとした枠組みを用意することには、両方向のメリットがあるとたいぞーさんは考えています。事務スタッフには新たな役割で輝ける領域が広がり、薬剤師には自分の専門性を生かせる機会が増えるという点です。
自分たちの仕事はこれだと限定して決めてしまうのではなく、いかなる可能性も考慮して、患者さんにより良い治療を届けるために、自分たちができることを模索していく。
たいぞーさんは、こうした連携を進めることで、新たな報酬体系の中でも、薬剤師も薬局で働く事務スタッフも含めたすべてのスタッフが輝いて働ける環境を作っていけると語ります。
今回の放送は、薬剤師と調剤事務スタッフの連携のあり方について、可能性を広げて考えるきっかけにしてほしい、という言葉で締めくくられました。
まとめ
たいぞーさんは、調剤報酬改定を機に薬剤師と調剤事務スタッフの連携の重要性を語りました。一人薬剤師の店舗で、事務スタッフがオンライン中継役を担ったことで、終末期患者の治療導入を最短で実現した実体験がその核にあります。
- 第111回国家試験の翌日、2月23日に「国試を実務に生かす」無料オンラインセミナーを開催
- 調剤報酬改定を受け、薬剤師と調剤事務スタッフの連携の必要性が高まっている
- 一人薬剤師の店舗で、事務スタッフが訪問診療に同行しオンラインで現場を中継した
- 専門的な判断は薬剤師が担い、現場をつなぐ役割を事務スタッフが担うことで役割分担が成立した
- 職域を決めつけず可能性を模索することで、すべてのスタッフが輝ける環境を作れる



