たいぞーさんとこの番組の立ち位置
薬学で患者を語る薬剤師のたいぞーさんは、薬局で在宅医療や外来患者対応に取り組みながら、社内の新人育成や研修の企画、社内研修の講師なども担っています。
さらに、勉強会やセミナーを自ら開催したり、外部の講演会で話したりもしています。
最近では、薬学で患者を語ることを現場で本気で実践したい薬剤師や、その活動を応援したい仲間が集まるオンラインサロンの運営にも取り組んでいます。現場での実践や思考のプロセスをリアルタイムに共有しながら、一緒に学び合う場作りを進めているとのことです。
国家試験の翌日に開くセミナーの狙い
本題の前に、たいぞーさんは1つの告知をしています。2月23日、第111回薬剤師国家試験が終わった翌日の14時から、「第111回薬剤師国家試験を実務に生かすセミナー」を開催する予定です。
このセミナーはオンラインで、参加費は無料です。薬剤師や薬学生に向けて、興味を持った人に参加を呼びかけています。
狙いは、薬学部で学ぶ知識を試験勉強のためだけの知識で終わらせないことにあります。現場で最大限に活かして、学んだ価値を最大化する、そんなことを考えられるセミナーにしたいと話されています。
インスタライブで浮かび上がった「橋渡し」という言葉
今回の本題は、先日たいぞーさんが薬剤師革命家のりょうたさんと行ったインスタライブがきっかけです。テーマは薬学教育で、お互いが薬学教育について思うことを語り合いました。
その中でたいぞーさんに強く残ったのが、大学教育と臨床がうまく橋渡しできていない、というキーワードでした。
大学の教員は専門領域を突き詰めて深めている人が多くいます。一方で臨床現場では、患者さんに向き合いながら、日々の実臨床の中で薬学を活かし、より良いアウトカムを出すことに全力を注ぐ薬剤師が数多くいます。
学生は実務実習などで大学から現場に出て、また大学に戻るという行き来をしています。しかしそれぞれの領域で何を考え、どんな課題を持ち、どう取り組んでいるのかは、十分には共有されていないと指摘されています。
専門領域を突き詰め、その領域を深めている
患者に向き合い、実臨床の中で薬学を活かして成果を出すことに全力を注ぐ
お互いを把握できていないという課題
たいぞーさんとりょうたさんが話したのは、大学側も臨床のことを把握しきれておらず、臨床側も大学の現状を把握しきれていない、という状態への懸念です。
お互いのことがわからないまま教育が進んでしまっているのではないか、という課題感が語られました。
この点について、たいぞーさん自身にも思い当たるところがあるといいます。もっと大学でこういうことを教えてもらったらいいのに、という思いが少なからずあるのが正直なところだそうです。
ただ対談を通じて、それは臨床側の一方的な視点だと気づいたと話されています。大学の立場からしても、臨床現場でもっとこういうことを実習の中できちんと教えてほしい、という思いが一方にあるのではないかと考えるようになりました。
そこからたいぞーさんは、大学と臨床の薬剤師が、もっと本音で腹を割って話す場面があってもいいのではないかと感じたと述べています。
兵庫県で見える「連携できる体制」と現場の課題
たいぞーさんが今いる兵庫県には、薬学部のある大学が5つあります。さらに病院薬剤師会と兵庫県の薬剤師会が一緒になっているため、組織としては連携が取れる体制になっていると話されています。
合同で研修会を開いたり、相互に現状を共有し合ったりすることはできているだろうといいます。
ただ、実際に現場レベルでそれができているかというと、まだまだ課題も多いのではないか、というのがたいぞーさんの見立てです。
お互いを知ることで、それなら臨床現場で解決できる、と気づける課題もあるかもしれません。逆に臨床現場の課題が浮き彫りになることで、それは大学の教育の中で解決できることだからこちらで引き取る、という展開もありうると語られています。
相互理解が進んだ先に思い描く教育の姿
相互に理解し合い、教育をより良くするという目的に向かって進み始めると、次は学生のことを一緒に見ていくこともできるようになる、とたいぞーさんは展望します。
その視点は、全体としての教育体制だけでなく、個々の学生にも及びます。この学生はこういうところがポイントで、こういう強みと弱みがある、といったことをシームレスに、フラットに共有し合えるようになる、という話です。
そうして教育を行っていけば、教育の質は格段に上がっていくという、素敵な未来を対談の中で思い描くことができたと振り返っています。
お互いを知る
大学と臨床が、それぞれの課題や取り組みを共有し合う
役割分担が生まれる
臨床で解決できること、大学で引き取れることが見えてくる
学生を一緒に見る
個々の学生の強みや弱みをフラットに共有する
教育の質が上がる
全体の体制と個別の関わりの両面で教育がよくなる
臨床家として踏み出せる「第一歩」
たいぞーさん自身も、臨床現場で実務実習に関わりながら、薬学教育の一端を担っています。それでも今回の対談で、自分が臨床現場からの視点一方に偏っていたことを強く思い知らされたといいます。
相互に理解し合えるように、今の自分に何ができるのか。たいぞーさんが挙げるのは、まず実務実習に来ている学生に全力で関わることです。
そして、実習で関わる機会を活かして、大学側と何かいい関係性を作る第一歩を踏み出せるようなアクションを自分から起こせたら、自分も含めて前に一歩進んでいけるのではないか、と語られています。
たいぞーさんは、今回の放送が、臨床家として薬学教育の中でできることは何だろう、と考えるきっかけになればと締めくくっています。
まとめ
薬剤師革命家りょうたさんとの対談から、たいぞーさんは大学教育と臨床現場が互いを知らないまま進む薬学教育の課題を掘り下げました。批判ではなく、まず相互理解の場を持つこと、そして臨床家として実習の学生に全力で関わることから第一歩を踏み出したいという姿勢が語られた回です。
- 大学教育と臨床現場は、互いの課題や取り組みを十分に把握できないまま教育が進んでいる懸念がある
- 「大学でこう教えてほしい」という思いは臨床側だけでなく、大学側からも臨床側へ向けられている
- 兵庫県では組織としての連携体制はあるが、現場レベルの相互理解にはまだ課題が残る
- お互いを知れば役割分担が生まれ、学生を一緒に見ていくことで教育の質は格段に上がりうる
- たいぞーさんは、実務実習の学生に全力で関わり、大学とよい関係を作る第一歩を起こしたいと語っている



