実習生に伝えたい「わかる・できる・アウトカム」の流れ
たいぞーさんはまず、実習生に何を身につけてほしいのかを語ります。大学で学んだ知識を、現場で実際に手を動かして使ってみることが出発点だと話します。
そのうえで、たいぞーさんが重視するのが「わかる」と「できる」の間にある壁を越えることです。わかるとできるの壁 ── 知識として理解している状態と、実際に現場で行動できる状態の間にある隔たりのこと。この番組で繰り返し扱われるテーマ。
さらにその先として、できるようになったことを患者さんへアウトプットし、きちんとしたアウトカムを提供するところまでを、実習で学んでほしいと語っています。
できるようになったことをきちんと患者さんにアウトプットして、(その能力を使って)患者さんにきちんとしたアウトカムを提供していく。
経験者の強みと、若手がぶつかる壁
たいぞーさんは、経験の多さがこの流れにどう効いてくるかを説明します。長く仕事に携わっている薬剤師は、生涯研修などで多くの学びを得ています。
そのため経験者は「わかる」の数が多く、壁を越えて「できる」に進める可能性も高いと話します。できることが多い分、行動につなげられる種も多く持っているのが強みだと言います。
一方で実習生や若手は、経験や学習の時間が少なくなります。たいぞーさんは、そこで行動力や「できる」の数の少なさという課題にぶつかるかもしれないと危惧します。
「わかる・できる・行動する」は階段ではなく螺旋階段
ここでたいぞーさんは、成長のとらえ方そのものを問い直します。「わかる」「できる」「行動する」という3つのステップは、一見すると階段状に進むように見えると言います。
つまり、わかるが溜まってからできる、できるが溜まってから行動する、という順番に見えるということです。しかしたいぞーさんは、このつながりは螺旋階段のようにぐるぐるつながっているものではないかと考えています。
だからこそ、わかるを100%、できるを100%にしてから行動するものではないとたいぞーさんは話します。1%でも2%でもいいから、わかったことをとりあえずやってみることを勧めます。
わかるを溜めてからできる、できるを溜めてから行動する、と順番に進むと考える見方
1%でもわかったらやってみて、行動が理解を深め、また次のできるにつながると考える見方
下手なりにやってみることが「わかる」を深める
たいぞーさんは、上手にできるかわからなくても、下手なりにできるようにやってみることを重視します。その実践能力を、実際に患者さんに使ってみることが大切だと話します。
ただし注意点も添えています。知識量や技術が乏しいとうまく関わりきれないため、患者さんが大きな不利益を被ることになってはならないと釘を刺します。
そのうえで、一定の能力と技術がある状態なら、自分が習得したものを患者さんに還元することは、何もないときよりもプラスになるはずだと語ります。
たいぞーさんは、思い切って実践すること自体に意味があると考えています。患者さんへのプラスがごくわずかであっても、行動をしたことで「わかる」が深まることが起こると話します。
実際にやってみることで、より学んだことを「あれってこういうことやったんか」というふうに理解をして、それを理解することで前よりももっと上手にできるようになる。
理解が深まればより上手にできるようになり、患者さんへより良いアウトカムを出せる行動につながります。それがまた新たな理解を生み、できることと行動できることが増えていく、という循環をたいぞーさんは描きます。
「知識が足りないから」と動かない人はどうなるか
たいぞーさんは、ここまでの話を一度まとめます。焦点になるのは、行動しない人と行動する人の差です。
たいぞーさんは、「まだ知識が足りませんから」「技術がなくてできません」と言って行動しない人は、いつまでたってもできるようにならないと指摘します。
反対に、上手にできるかわからなくてもとにかくやってみた人は、わかることが増え、できることも増え、患者さんに結果を出せる能力が身についていくと語ります。
下手なりにやってみる
1%でもわかったことを、実際に患者さんへの関わりで試す
わかるが深まる
やってみて「こういうことだったのか」と理解が深まる
もっとできるようになる
理解が深まることで、前より上手にできるようになる
できる・行動が増える
より良いアウトカムを出せる行動につながり、次の理解を呼ぶ
尻込みしないで。実習生という「恵まれた環境」
たいぞーさんは、積極的に関わって実践するほど能力が高まると話し、実習生という立場の特別さに触れます。
現場の薬剤師は、仕事として患者さんに関わることが役割になります。一方で学生は、薬剤師になるための学習・教育の機会として現場に出てきているとたいぞーさんは説明します。
だからこそ、実習生はとても恵まれた環境にいると語ります。尻込みするのではなく、失敗してもいいから積極的に行動していくことで、どんどん能力が高まっていくと話します。
(学生という立場は)とても僕、恵まれた環境だなというふうに思います。失敗してもいいから、積極的に頑張って行動していくと、どんどんと自分の能力が高まっていく。
たいぞーさんは、指導薬剤師として自分も積極的な行動を促していきたいと述べます。そして学生には、思い切って患者さんに関わり、実習の期間を自ら充実させてほしいと呼びかけました。
まとめ
たいぞーさんは、「わかる・できる・行動する」を階段ではなく螺旋状のプロセスとしてとらえます。完璧を待たずに動くことで理解が深まり、次のできるや行動につながっていく、というのがこの回の核心です。
- 大学で得た知識を現場で使い、患者さんにアウトカムを届けるまでが実習の目標
- 「わかる」と「できる」、そして「行動する」の間には壁があり、経験者はわかるの数が多い分そこを越えやすい
- 3つのステップは階段ではなく、行動が理解を深める螺旋状のつながりととらえる
- 100%を待たず、1%でも下手なりにやってみることが「わかる」を深める。ただし患者さんの不利益にならない範囲で
- 実習生は学習の機会として現場に出ている恵まれた立場。尻込みせず積極的に行動することで能力が高まる



