なぜ湿布は「飲み合わせ」の確認から抜け落ちるのか
薬局で患者さんの併用薬を確認すると、飲み薬はすぐに答えてもらえることが多いそうです。一方で、湿布薬や目薬、塗り薬のような外用薬は、答えの中に含まれていないことがよくあるといいます。
たいぞーさんは、その理由を「外用薬は使った場所にだけ効き、全身には影響しないので、飲み合わせには関係ない」と思われているからではないか、と考えています。
飲み薬などはスッと答えていただける方も多いんですが、湿布薬や目薬、塗り薬のような外用薬は抜け落ちていて、なかなか(併用薬の)答えの中に含まれていないことも多くあります。
たいぞーさんが最近対応した患者さんは、内科と整形外科など複数の医療機関にかかっていて、それぞれから湿布薬が処方されていました。処方が重複していたため、まず患者さんに事情を聞いてみたそうです。
この患者さんは全身の痛みがひどく、湿布の使用枚数がとても多い方でした。保険診療では湿布は1回の処方で出せる枚数に制限があるため、1つの医療機関の分だけでは足りず、複数の医療機関から出してもらっていたといいます。
話を聞いたたいぞーさんは、この患者さんのことがとても心配になりました。そこで「胃の調子は悪くないですか?」と尋ねます。
すると、患者さんはとても不思議そうな顔をされて、なんでこの人(は)湿布の話してるのに胃のことを聞いてんねやろというような顔をされました。
局所に効く湿布が、胃や腎臓に影響する仕組み
湿布薬や塗り薬、目薬といった外用剤は、使用した部位に薬が届いて作用する仕組みになっています。たいぞーさんはまずこの基本を確認しています。
ただし、外用剤の中には全身に吸収されて影響が出る種類の薬もあります。局所に作用する薬であっても、少なからず全身に吸収されて作用が出ることは十分に考えられる、とたいぞーさんは説明します。
鎮痛薬の湿布を何枚も使えば、1枚あたりは少量でも、体に吸収される量は枚数に応じて増えていきます。その結果、鎮痛薬 ── ここでは主に、湿布にも使われる消炎鎮痛成分を指します。飲み薬では胃の粘膜を荒らしたり、腎臓の血流に影響したりする副作用が知られていますの特徴である胃や腎臓への影響が及ぶ可能性もゼロではなくなるといいます。
湿布の枚数が増えると全身への影響がどう広がるのか、たいぞーさんの説明を流れとして整理すると次のようになります。
湿布を貼る
局所に作用するが、少量は全身に吸収される
枚数が増える
体に吸収される量も枚数に応じて増える
全身への影響
鎮痛薬の特徴である胃や腎臓への影響の可能性が出てくる
今回の患者さんについては、話を聞いたところ胃の不調や腎機能の問題は見られず、ひとまず一安心だったそうです。痛みも、多い枚数の湿布で何とかコントロールできている状態でした。
湿布を無理にやめさせず、患者さんと一緒に考える
たいぞーさんは、湿布を無理にやめさせることは考えませんでした。今は大丈夫でも今後問題が起こる可能性はあるため、採血結果などの経過や体の変化を確認しながら、今後の対応を一緒に考えていきましょうと患者さんに伝えています。
たいぞーさんの頭の中には、別の選択肢も浮かんでいました。湿布をこれだけ使っても痛みをコントロールしきれないなら、湿布以外の薬が必要かもしれないし、湿布のままでも別の薬に変える必要があるかもしれない、という考えです。
いきなり患者さんの湿布薬をどうする、こうするということを話するよりは、ひとまず今は特に不調もないようなので、長い目で見た時に、この人の治療が最適になるように(考えたい)。
たいぞーさんは、どの治療方法をどう使えば患者さんの状態がより良くなるのかを、患者さんとしっかり話しながら考えていく関わりを選びました。
この経験を通じてたいぞーさんが改めて大切だと感じたのは、外用剤も含めて薬は体全体に影響を及ぼす可能性があるという視点です。
そのうえで、症状が改善しないのはなぜなのかを薬学的な視点で解き明かし、最適な治療の選択肢を患者さんと一緒に模索していきたい、と話しています。
まとめ
湿布などの外用薬は「貼った場所にしか効かない」と思われがちですが、全身に吸収されることもあり、枚数が増えれば胃や腎臓への影響も考えられます。たいぞーさんは、すぐに薬を変えるのではなく、経過を見ながら患者さんと一緒に最適な治療を考える姿勢を大切にしています。
- 外用薬は併用薬の確認から抜け落ちやすく、飲み合わせに関係ないと思われがち
- 局所に作用する外用剤でも、少なからず全身に吸収される可能性がある
- 鎮痛薬の湿布を多く使うと、胃や腎臓に影響が及ぶ可能性もゼロではない
- 問題がない段階では無理にやめさせず、経過を見ながら患者さんと治療方針を一緒に考える



