名称を変えて新設された「残薬調整」の項目とは
今回のエピソードでたいぞーさんが取り上げるのは、調剤報酬改定で新たに名称を変えて設けられた残薬調整の項目です。
残薬調整とは、患者さんが飲み残したり手元に残していたりする薬について、処方日数を調整して無駄なく使えるように支援する取り組みのことです。これ自体は以前から評価されてきた業務だと説明されています。
今回の改定では、日数を調整して処方変更になった場合に評価される点はこれまで通りですが、大きく変わった点が1つあると話されています。
それは、残薬調整を行ったあとにかかりつけ薬剤師がフォローアップを行うと、その関わりに対して加算が算定できるようになったという点です。
薬の数を数える仕事は、医療費への貢献だった
たいぞーさんは、これまでの残薬調整が何に貢献してきたのかを、自戒を込めて振り返ります。
患者さんが持ってきた薬の数を数え、無駄なく使い切れるように日数を調整する。この関わりは、医療費を効率的に使うという点で大きな役割を果たしてきたと語られています。
今まで患者さんが持ってこられた薬の数を数えて、それを無駄なく使う、医療費を無駄なく使って
薬は家に余らせても別のものに使えるわけではないため、残っている薬も含めて使い切れるようにすることが、医療費の効率的な運用につながるという考え方です。
そのため従来は、数を数えて日数を調整し、家の薬も整理整頓して管理していきましょう、という対応が中心になっていたと説明されています。
飲み残しは「効いているか」を問い直すサイン
フォローアップという視点を持つと、残薬の見え方も業務のあり方も変わってくると、たいぞーさんは指摘します。
飲み残しがあるから無駄なく使おう、という視点はもちろん大切です。ただしそれだけでなく、これだけ飲めていないなら薬はちゃんと効いているのか、治療は成立しているのか、という問いを立てることが必要だと語られています。
そもそもこれって、これだけ飲めてなかったら、薬ってちゃんと効いてるんやろうか、治療はうまく成立してるんかな
患者さんが今抱えている問題の原因が、実は飲み残しにあるかもしれない。そこを専門的な視点で評価していくことが求められる、というのがこの章の主張です。
たいぞーさんは、残薬をただの数ではなく、治療がうまくいっているかを評価する手がかりとして見ることの重要性を語っています。
同じ「飲み残し」でも意味が違う薬の特性
飲み残しをどう評価するかは、薬の特性によって変わると、たいぞーさんは説明します。
服用してすぐ効果が出る薬もあれば、ある程度の期間続けて飲まないと効果が出てこない薬もあります。一度や二度の飲み忘れなら作用が持続して治療上の問題が生じない薬もあれば、そうでない薬もあると語られています。
つまり、飲めていないから一律にダメというわけでも、飲めていれば一度でバッチリというわけでもない、という整理です。
一度や二度の飲み忘れでは作用が持続し、治療が滞りなく継続できる薬もある
一定期間続けて飲まないと効果が出ず、飲み残しが治療に影響する薬もある
だからこそ、薬剤の特性と患者さんの状態、飲み残しの状況を踏まえて、その薬が治療に貢献できているかを考える必要があると話されています。
増量や環境変化が招く見落としの危険
評価を誤ると、思わぬ問題につながる例をたいぞーさんは挙げます。
飲み残しが原因で状態が悪くなっているのに、それに気づかず薬が増量されてしまう場合があります。その後に患者さんがきちんと薬を飲むようになると、増量された薬の作用が過剰に出るおそれがあります。
最近よくある例として、高齢の患者さんの家族が同居を始め、薬を適正に服用できる環境が整うケースが語られています。
この場合、以前は状態の悪化が原因と思って調整されていた薬の中に、実は飲めていなかったために調整されていたものが含まれていることがあります。服用できるようになったことで、かえって調子が悪くなる問題が生じることもあると説明されています。
こうした問題を事前に回避したり、環境を整えたあとに問題が生じていないかを見ていったりすることは、薬局の薬剤師にもできる大きな役割だと語られています。
フォローの時間はどこから捻出するのか
新たな関わりを担うには、そのための時間と労力が必要になると、たいぞーさんは現実的な課題に触れます。
薬剤師が暇なわけではなく、新しく採用するのも簡単ではない薬局が多い。そうなると、業務の見直しを考えなくてはならないという話です。
見直せるポイントの1つとして挙げられるのが、残薬調整で必ず生じる「薬の数を数える」作業です。日数を算出するために数を数える作業はどうしても発生します。
間違えてはいけないという理由から薬剤師が数を数えている薬局も少なくないのではないか、とたいぞーさんは見ています。
ただし数をカウントするだけなら、薬剤師でなくてもできると指摘されています。持ち込まれた薬の形状や、名称が記載されたPTPシートを見れば、数え間違いはあまり起こりうる間違いではないという理由です。
数を手放し、患者への介入に時間を使う
たいぞーさんは、数える作業を薬剤師以外のスタッフに任せる発想を提案します。
数を数えている間の時間を使って、患者さんから状況や状態を確認し、薬が体にどう作用しているかをアセスメントして、今後のフォロー計画を立てていく。そうすれば残薬調整とその後のフォローアップにつなげられると語られています。
たいぞーさんは、数を数える仕事を手放すことで、患者への介入という新しい役割に使える時間が生まれるという道筋を示しています。
そして、薬剤師でなくてもできる業務は数を数えること以外にもたくさんあるのではないか、と話を広げます。
改定を役割の見直しのきっかけにする
たいぞーさんは、業務見直しの背景として過去の通知にも触れます。
2019年に示された調剤のあり方についての通知(0402通知)以降、調剤業務を薬剤師以外のスタッフに任せる動きは着目されてきたと説明されています。
それ以外にも、調剤に関わらない仕事の中に薬剤師が現在担っている業務がないかを見直すと、案外そこに改善のポイントが隠れていることがあるとまとめられています。
この調剤報酬改定をきっかけに薬剤師の新たな役割を見つめ直し、今の業務のあり方を考えることで、薬局や薬剤師の業務はさらに患者さんに貢献できるものになっていくのではないか、と締めくくられています。
まとめ
この回は、調剤報酬改定で名称を変えた残薬調整の項目を切り口に、薬剤師の関わり方を「数の調整」から「治療の評価」へと捉え直す内容でした。フォローアップの視点を持ち、数える作業を手放して患者への介入に時間を使うという、現場での具体的な見直しが語られています。
- 残薬調整の項目が名称を変え、調整後のフォローアップに加算がつくようになった
- 従来の残薬調整は、薬を無駄なく使い切る医療費への貢献という側面が大きかった
- 飲み残しは、薬が効いているか・治療が成立しているかを問い直すサインになる
- 飲み残しの意味は薬の特性で変わり、増量や環境変化による見落としに注意が必要
- 数を数える作業を他のスタッフに任せ、患者への介入とフォローに時間を使う見直しが提案された



