秋の食器検査で薬剤師は何を見ているのか
この回でたいぞーさんが取り上げるのは、学校薬剤師として担当する保育園での給食食器の検査です。秋のこの時期は、食器にデンプンや脂肪分の洗い残しがないかを確認する日にあたると話します。
たいぞーさんは、洗い残しが出るのは保育園の洗い方が甘いからではないと補足します。食器が古くなると傷の隙間に汚れが残ってしまうことは、どうしても避けられないと説明しています。
そのため検査は、食器を交換する時期やタイミング、傷み具合を定期的に確認する場になります。安全に給食を食べてもらえる環境を保育園のスタッフと一緒に作っていくことが目的だと語られています。
食器を交換する時期やタイミング、傷み具合みたいなのを定期的に確認することで、安全に給食を食べてもらえるような環境を、保育園のスタッフの皆さんと一緒に作っていく。
検査は春の5月と秋の9月の年2回行われます。たいぞーさんは今年から学校薬剤師の活動を始めたため、同じ保育園への食器検査は今回で2回目になると話しています。
1回目の検査で「教科書と見比べる」しかできなかった理由
たいぞーさんは、1回目の執務を振り返ります。以前から継続的に関わっていた前任者からの引き継ぎで担当することになったと話します。
食器の検査では、デンプンや脂肪分を調べる検査試薬をかけ、残っている部分に色がつくかどうかを見ます。その色の付き具合を目で見て、陽性か陰性かを判断していくと説明されています。
ただし1回目は、判断の基準になるものが限られていました。たいぞーさんは、教科書的な画像や写真を参考に、今回の結果が陽性にあたるかどうかを判断することに終始するしかなかったと話します。
一回目でとなると、基準となるのは、いわゆる教科書的な、判断材料になる画像や写真などを参考に、陽性にあたるのかな、どうかなということを判断するというところに終始するしかなかった。
2回目だからこそ見えた、経年劣化という新しい情報
2回目の検査でも、洗い残しがないかを確認する点は変わりません。ただ、たいぞーさんは、今回は前回と前後の比較ができることで、得られる情報が非常に多かったと話しています。
食器はずっと使っていくと経年劣化が生じます。この約半年間で劣化が見られるのか、どこに傷がついたり劣化の傾向が出ているのかは、前回の結果があるからこそ気づけたと語られています。
そしてその気づきをもとに、今後の対策をスタッフと一緒に考えることができたと振り返ります。前回のデータがあることで、検査が単発の判定ではなく、変化を追う作業に変わったといえます。
教科書的な画像や写真を基準に、陽性か陰性かをその場で判断することに終始した
前回の結果と比較でき、経年劣化の傾向や今後の対策まで考えられるようになった
食器の前後比較が、患者の血圧の見方に重なる
たいぞーさんは、この前後の比較を非常に重要なポイントだと捉えています。そしてこれは食器の検査だけでなく、患者の状態を見るときにも大事な視点だと話を広げます。
例として血圧を挙げます。病院で測った値が130の70だったと聞くと、高血圧の診療ガイドラインの数値を参考に、この値が体にどれくらい負担になっているかを考える要素になると説明します。
ただし、たいぞーさんはガイドラインの数値はあくまで多くの人を見るための指標だと指摘します。その人個人を見るとなると、また話が違ってくるのではないかと考えています。
(ガイドラインの数値は)多くの方々のことを見ようと思った時にどうかなというのを見る指標であって、その人個人を見るとなると、また話が違ってくるんじゃないかな。
同じ130でも、前回の値しだいで意味は正反対になる
たいぞーさんは、同じ130の70でも前回の値しだいで解釈が変わると説明します。前回が150の90だった人であれば、いい方向に改善している何かがあるのかもしれないと見て取れると話します。
逆に、これまで110から120ほどだった人が130に上がっているなら、見方は変わります。一時的なものなのか、薬が効きにくくなる要素があったのか、飲み忘れや他の薬との相互作用はないかと考える入り口になると語られています。
血圧が下がっており、改善に向かっている可能性があると読み取れる
上昇の理由を考える必要があり、一時的な変化か薬の効き方の問題かを疑う
たいぞーさんは、その人の中での変化を見ていくことで、また見えてくるものがあると話します。ガイドラインの数値を参考にしつつ、個人の変化に目を向ける姿勢が示されています。
連続したデータが、薬の影響を深く読み解く手がかりになる
たいぞーさんは、継続的に患者に関わり、連続性のある変化の中で体の動きを捉えることの意味を語ります。そこで何が起こっているのか、薬の影響はどうなのかを考える手がかりになると話します。
個人の体の中で起こる変化に対する薬の影響を見ていくためには、連続したデータや情報が非常に参考になると述べます。それがあることで、目の前の現象をより深く捉えられると振り返っています。
最後にたいぞーさんは、この気づきをもとに明日からも現場に立つと話します。薬の影響が得られているのか、なぜ状態が改善しないのかを考えながら、薬学的な視点で患者を見ていきたいとまとめています。
前後の比較って大事なんだなという気づきをもとに、また明日からも患者さんのことを見て、薬学的な視点を持って、薬学で患者を語りながら患者のことを見ていきたい。
まとめ
学校薬剤師としての2回目の食器検査で得た「前後を比較できる強み」は、そのまま患者の状態を見る力に重なります。ガイドラインという基準に頼るだけでなく、その人自身の変化を連続して追うことが、薬の影響を深く読み解く鍵になると語られた回でした。
- 秋の食器検査は、洗い残しの確認を通じて安全な給食環境をスタッフと一緒に作る場である
- 1回目は教科書的な画像との照合に終始したが、2回目は前回との比較で経年劣化まで見えた
- 血圧130/70も、前回の値しだいで改善とも悪化の兆しとも解釈が変わる
- ガイドラインは多くの人を見る指標であり、個人を見るには連続した変化への注目が必要になる
- 連続性のある関わりで得たデータが、薬の影響をより深く捉える手がかりになる


