実務実習が始まる日に、指導者として考えたこと
薬局薬剤師のたいぞーさんは、外来対応や在宅医療に取り組みながら、新人育成や社内研修の講師なども担っています。勉強会やセミナーの開催、オンラインサロンの運営など、現場での学びを共有する活動も行っています。
この回が配信されたのは2月16日で、たいぞーさんの薬局でもこの日から2026年度の実務実習が始まります。学生を受け入れ、これから2ヶ月半にわたって指導にあたる立場から、実務実習について話が進みます。
実務実習に来るのは、4年の課程を終えた5年生の学生です。薬学部のカリキュラムでは、実務実習に出るまでに専門の教育課程をほぼ終えているため、学ぶべきことはほとんど学び終えた状態で実習に来ることになります。
大学での学びというのはとても優れているなと思っていて、専門的な知識や能力というのは、大なり小なりみんなの中に定着しているものがあるんじゃないかなと思っています。
習熟度に個人差はあるものの、専門的な知識や能力は学生一人ひとりの中にすでに定着している、というのがたいぞーさんの見方です。
実習は「新しく学ぶ」より「学んだことを使ってみる」場
患者さんと直接関わる実習の中で、学生は何を学ぶのか。たいぞーさんは、実習を「新しいことを学ぶ場」というより、これまで学んできたことを実際に使ってみる場だと位置づけます。
知識を使う経験、使えるようになるというアクションを起こしてできる経験を積み重ねること。それが実務実習でとても大事だと、たいぞーさんは考えています。
何かを知識としてわかっているということと、それを実際に使って行動を起こすためにできるようになるという、==わかるとできるの間にはとても大きな壁がある==なと思っています。
研修でもよく話すという「わかる」と「できる」の壁が、この回の中心です。特定の専門領域をちゃんとわかっているだけでは足りず、その知識を患者さんの治療にどう使うかまで踏み込む必要があると語られます。
専門領域の知識を理解し、身につけている状態
その知識を患者さんの治療のために実際に使い、行動を起こせる状態
専門知識を「できる」に変えていく。そんな実務実習を受け入れる学生に過ごしてほしい、というのがたいぞーさんの願いです。
専門知識を使うことが目的ではない、その先にあるもの
たいぞーさんは、話をさらに一歩進めます。専門知識をどう使うかを身につけることに加えて、実際にそれを実践する場が実務実習の中にはある、という点に注目します。
薬剤師にとっても薬学生にとっても、一番の目的は専門知識を使うこと自体ではありません。使って患者さんの治療をより良くしていくことが目的だと、たいぞーさんは話します。
一番の目的になるところは、専門知識を使うことではなくて、使って患者さんの治療をより良くしていくことだなと思います。
学生が実務実習に出るまでに学んできた専門知識を生かすこと。そしてそれを実際に患者さんに使い、薬物治療をより良くするための行動を薬剤師として起こすこと。この流れが目指す先として語られます。
わかる
専門知識を理解し、身につける
できる
その知識を患者さんの治療にどう使うかを考え、使えるようになる
患者さんの治療をより良くする
使って行動を起こし、薬物治療の改善につなげる
「わかるとできるの壁」を越える2ヶ月半へ
これから始まる2ヶ月半について、たいぞーさんは学生と一緒に過ごしたい時間を語ります。わかるとできるの壁を越えて、その先の行動につなげていくことが目標です。
わかるとできるの壁を越えて、その先の行動につなげていく。そこまでができると、患者さんの薬物治療をより良くしていく薬剤師としての関わり、学んだ成果というものが生まれてくるのではないかなと思います。
自分たちの持つ薬学の専門性を使って患者さんに関わる。その面白さややりがいを、学生と一緒に見つけていく時間を過ごしたいと、たいぞーさんは話します。
この回は、実務実習の学生を受け入れる指導者に向けても投げかけられています。指導する立場としてどのように関わるか、どのように学びの機会を届けるかを考えるきっかけになれば、という言葉で締めくくられました。
まとめ
実務実習は新しい知識を学ぶ場というより、学んできた専門知識を実際に使ってみる場だとたいぞーさんは語ります。「わかる」を「できる」に変え、その先で患者さんの治療をより良くする行動につなげることが、実習の目指す先として示されました。
- 実務実習に来る5年生は、専門知識をすでにほぼ学び終えた状態にある
- 実習は「新しく学ぶ」より「学んだことを使ってみる」場としてとらえられている
- 知識をわかっているだけでは足りず、患者さんの治療に使える「できる」との間に大きな壁がある
- 最終的な目的は知識を使うことではなく、使って患者さんの薬物治療をより良くすること
- 指導者にとっても、学生にどう関わり学びの機会を届けるかを考える回になっている



