実習生への研修で伝えた「効能効果で薬をみない」というテーマ
たいぞーさんは薬局で在宅医療や外来患者対応に取り組みながら、社内の新人育成や研修の企画、勉強会やセミナーの開催などを行っている薬剤師です。
この回のテーマは「効能効果で薬をみない」という考え方です。ちょうど薬学部の実習生が薬局での実習を始めて1ヶ月ほど経ち、服薬指導で患者に直接関わる機会も増えてきた時期にあたります。
たいぞーさんはこの実習生たちに集合研修を行う機会をもらっており、患者を薬剤師の薬学的な視点で読み解くために大切なポイントとして、このテーマを伝えたと話しています。
薬のことを効能、効果で語る、見るのではないということ、これがとても大切だなということを、最近僕自身の経験としても思ったので、学生たちにも伝えるメッセージとしてお話しさせてもらいました。
「血圧の薬」という答えは間違っていない。でも、それだけでは足りない
たいぞーさんは「効能効果で薬をみない」とはどういうことかを、血圧の治療に使われるアムロジピンアムロジピン ── 血圧を下げるために広く使われるカルシウム拮抗薬の一種。血管の筋肉をゆるめて血圧を下げる。を例に説明します。
「この薬は何ですか」と問われれば「血圧の薬です」と答えるのが一般的で、それ自体は間違った回答ではないとたいぞーさんは言います。
一方で、薬学部で学ぶ薬理学では、単に血圧の薬であるという事実だけでなく、なぜこの薬が体に投与されると血圧を下げるのか、体の中のメカニズムをどう変化させて効果を発揮するのかを勉強すると説明されています。
血管をゆるめる仕組みは、体のあらゆる筋肉にもある
アムロジピンが血圧を下げる仕組みについて、たいぞーさんは血管に起こる特別な変化ではないと説明します。
アムロジピンは血管にある筋肉をゆるめる働きを発揮することで血圧を下げていますが、その筋肉を調整する仕組みは血管だけにあるものではなく、体のあらゆるところにある筋肉にも同様に備わっていると話します。
アムロジピンは血管に一番届きやすい作りになっているため血圧を下げますが、それだけでなく体の別の部分でも作用してしまうことは十分あり得ます。
その結果、他の部分の筋肉がゆるんでしまうと、体にいわゆる副作用という形で症状が現れることも考えられるとたいぞーさんは説明しています。
薬を投与
血管に届きやすい作りになっている
筋肉をゆるめる
血管の筋肉をゆるめて血圧を下げる
同じ仕組みは他にも
筋肉を調整する仕組みは体のあらゆる筋肉にある
別の部分でも作用
他の筋肉がゆるむと副作用として症状が現れることも
メカニズムを捉えると、効果も副作用も同時に理解できる
たいぞーさんは、体に起こるメカニズムの変化を捉えられることが薬剤師の大きな強みだと語ります。
メカニズムを理解することで、その薬がどのように体に効くかだけでなく、体にどのような副作用をもたらすのかも同時に理解できると説明されています。
だからこそ、患者の話を伺う中で薬の効果が出ていることに気づけるのはもちろん、「実はこんなことで困っていて」と言われるような困りごとが、思わぬ薬の影響で起こっている可能性はないかもきちんと評価しアセスメントできるとたいぞーさんは話します。
効能効果で捉えると、薬が原因の変化を見落とす
たいぞーさんは、患者の体を薬学的な視点で見ようとしたとき、薬を効能効果で捉えてしまうことの危うさを指摘します。
薬を効能効果でしか見ていないと、体で起こっている変化が薬の影響かもしれないという視点を見落とす可能性があると話します。
薬を効能効果で語るのではなく、その薬が体にどういう働きをもたらすのか、体をどう変化させているのかを捉えて見ていくことで、患者を薬の視点からより深く理解できると説明されています。
その結果として、薬剤師だからこそ気づける介入やサポートが見えてくるのではないか、というのがこの回の着地点です。
「血圧の薬」と捉える。体で起こる変化が薬の影響かもしれないという視点を見落としやすい
体をどう変化させる薬かを捉える。効果も副作用も理解でき、薬剤師だからこそ気づける介入が見えてくる
まとめ
この回は、薬を「血圧の薬」といった効能効果で捉えるのではなく、体に起こるメカニズムの変化として見ることの大切さを、アムロジピンを例に語った内容でした。効果と副作用を同時に理解し、患者の困りごとに薬の影響がないかを評価するための考え方として紹介されています。
- 「効能効果で薬をみない」とは、薬を体のメカニズムの変化として捉えること
- 「血圧の薬」という答えは間違いではないが、それだけでは薬学的な視点にならない
- アムロジピンは血管の筋肉をゆるめて血圧を下げるが、同じ仕組みは体のあらゆる筋肉にもある
- メカニズムを捉えると、薬の効果だけでなく副作用も同時に理解できる
- 効能効果で捉えると、患者の困りごとが薬の影響である可能性を見落としかねない



