中医協で浮上した「オンライン診療受診施設」とは?
たいぞーさんは薬局で在宅医療や外来患者の対応に取り組みながら、社内の新人育成や研修の企画、市内研修の講師も務めています。勉強会やセミナーの開催に加え、「薬学で患者を語る」実践を深めたい薬剤師が集まるオンラインサロンも運営しています。
今回のテーマは、中医協 ── 中央社会保険医療協議会の略称。診療報酬や調剤報酬の改定について、厚生労働大臣の諮問を受けて審議する機関ですでの議論に出てきた「オンライン診療受診施設」です。たいぞーさんによると、来年度の調剤報酬改定に向けて、中医協では毎日のように議論が進んでいます。
その中で、オンライン診療の活用が議題の一つとして上がっています。背景にあるのは、デバイスをうまく使いこなせない人たちがオンライン診療を受けにくいという状況です。
そこで検討されてきたのが、公民館、郵便局、駅ナカ、職場、介護施設などに、オンライン診療を受けられる場所を設ける案です。受診そのもののサポートも含めて、身近な場所で診療を受けられるようにする考え方だと、たいぞーさんは説明しています。
薬局を受診施設にする案と、その狙い
今回の中医協の資料では、オンライン診療受診施設を作るうえでの課題や検討事項が挙げられていました。その中で、薬局をオンライン診療の受診施設にしてはどうかという点も議論されていたといいます。
たいぞーさんは、実施にはさまざまな課題があり、どこまで具体化するかはこれからの議論次第だと前置きしています。そのうえで、薬局が議題に上がった理由を、薬を受け取るのに適した場所だからだと整理しています。
オンライン診療を受けた患者は、その後どこかで薬を受け取る必要があります。薬局で受診できれば、受診から薬の受け取りまでの流れがスムーズになるのではないか、というのが議論の狙いです。
受診
薬局の場でオンライン診療を受ける
処方
診察を受けて処方が出る
受け取り
同じ薬局でそのまま薬を受け取る
薬局は「景品交換所」になってしまうのか?
一方で、たいぞーさんは資料を見たときに懸念も感じたといいます。薬局が、処方箋という「薬の引換券」をもとに薬を受け取るだけの場所になってしまう恐れです。
その分かれ目について、たいぞーさんは、薬局の人たちがどういう仕事をして患者さんに関わるかが大事なポイントだと話します。薬を渡すだけの場所にも、健康に関わる場所にもなり得るというのが、たいぞーさんの見立てです。
処方箋を引換券のように扱い、薬を受け取る景品交換所のようになる
薬局として、薬剤師として、患者さんの健康に関わる仕事をする
OTC販売と受診勧奨はどうつながるか
では、健康に関わる薬局とは具体的にどういうものなのか。たいぞーさんは、あくまで自身がイメージする関わり方として、いくつかの想定を挙げています。
1つ目はOTC、つまり市販薬の販売です。たいぞーさんは、OTC類似薬 ── 市販薬と成分や効能が似ている医療用医薬品のこと。保険給付の範囲を見直す議論の対象になっていますの一部を患者の自己負担にする議論も出てきていることから、今後OTCの利用は進んでいくと想定しています。
薬局では、OTCを販売するだけでなく、必要に応じて受診勧奨を行うことも求められます。薬局でオンライン診療が受けられれば、その場で「一度医師の診察を受けたほうがいい」と診察を促せるかもしれません。
さらに、OTCを販売した数日後に状態をフォローアップし、経過が思わしくなければオンライン診療を受けてもらうこともできます。フォローアップのために薬局へ寄ってもらうことも、受診の場があれば促しやすくなるとたいぞーさんは考えています。
健康相談と健康サポート薬局にも広がる活用
2つ目の想定は健康相談です。たいぞーさんは、薬局で健康相談を受け、薬学的なアセスメントをしたうえで、医師の判断も仰ぐためにオンライン診療につなぐことができると話しています。
また、健康サポート薬局 ── かかりつけ機能に加え、地域住民の健康の維持・増進を支援する体制を持つと届け出た薬局。健康相談やイベントなどを行いますとして、健康に関するイベントや相談会を定期的に開いている薬局も多くあります。そうした場でも、必要な人には速やかに受診勧奨ができるとたいぞーさんは見ています。
たいぞーさんは、薬局が受診施設になることには課題もあると認めつつ、患者にとってのメリットは大きいと話します。そのうえで、薬局の役割や患者への関わり方の幅を広げることにもつながるのではないかとまとめています。
今後に向けて、たいぞーさんはテクノロジーもうまく活用しながら、より良い患者さんへの関わりを模索することが大切だと感じたといいます。この回は、地域の中で薬局がどういう場所であるべきかを考えるきっかけとして締めくくられています。
まとめ
中医協で議論されるオンライン診療受診施設は、薬局を受診から薬の受け取りまでがつながる場にする可能性がある一方、薬を渡すだけの場所にしてしまう懸念もはらんでいます。たいぞーさんは、OTC販売後のフォローや健康相談とオンライン診療を組み合わせることで、薬局の患者への関わり方を広げられると考えています。
- 中医協では、デバイスに不慣れな人のために身近な場所でオンライン診療を受けられる施設が検討され、薬局も候補として議論されている
- 薬局が受診施設になると、受診から薬の受け取りまでの流れがスムーズになる可能性がある
- 一方で、処方箋を引換券とする「景品交換所」のような薬局になる恐れもある
- OTC販売後のフォローアップや健康相談からオンライン診療へつなぐことで、薬局は健康に関わる場になり得る



