うがい薬の話から始まったOTC類似薬の議論
この回でたいぞーさんが取り上げるのは、うがい薬を入り口にしたOTC類似薬の話題です。
OTC類似薬 ── 処方薬の中でも、市販薬(OTC医薬品)とよく似た成分・効能を持つ薬のこと。うがい薬や湿布、一部の胃薬などが該当しますの取り扱いや費用負担については、たびたびニュースで取り上げられていると話します。
たいぞーさんも、今後の業務で重要になる情報として意識するようになり、以前よりこうした情報に触れる機会が増えていると振り返ります。
そして、自己負担の対象になる薬剤がリストとして公開されていたため、業務のために確認していたといいます。
リストで見つけたイソジンと、コロナ禍の記憶
公開されたリストを確認する中で、たいぞーさんはイソジンうがい液が含まれているのを目にしました。
それを見た瞬間、たいぞーさんはある記憶が呼び起こされたといいます。新型コロナウイルスの感染が広がった時期の出来事です。
当時、イソジンのうがい薬を使うことでコロナウイルスの感染拡大を予防できるという情報が出回りました。
その結果、市場からイソジンのうがい液が消え、薬局でも手に入りにくくなり、流通が滞る事態になったとたいぞーさんは覚えていると話します。
たいぞーさん自身も、そのとき患者に説明をして対応した記憶があるといいます。
今も窓口で続く「イソジンがいる」という希望
コロナ禍から時間がたった今でも、イソジンのうがい液を希望する患者に窓口で出会うことがある、とたいぞーさんは話します。多くはないものの、そうした患者は見られるといいます。
医師が処方しているケースについても、たいぞーさんは医師も必要だと考えて処方しているのかもしれないと前置きします。
その一方で、患者自身が「やっぱりいるねん」と薬局の窓口で希望を伝えてくる場面に遭遇することもあると振り返ります。
イソジンのうがい液には口の中の殺菌効果があり、適切に使えば効果的な薬だとたいぞーさんは認めています。
日常の感染予防にイソジンを勧めない理由
ただし、日頃の感染予防のためにイソジンのうがい液を使うことは、たいぞーさん自身はあまり勧める方法ではないと考えています。
理由は、イソジンには口の中の細菌を死滅させる働きがあることです。口の中には多くの細菌が住んでいますが、悪いものばかりではありません。
もともと口の中に住み着いて共に生活している常在菌 ── 体の特定の部位に日常的に存在する細菌の集まり。悪さをせず、外から来る病原菌の侵入を防ぐなど、体を守る役割を果たすものもありますが存在するとたいぞーさんは説明します。
イソジンを使い続けると、口の中にいてほしい常在菌まで死滅させてしまうリスクがある、というのがたいぞーさんの指摘です。
その結果、かえって感染のリスクが高まるという報告もあり、安易な使用は望ましくないと話します。
さらに、普通にうがいするぐらいでも十分予防効果があると言われているとし、常用している患者などには、うがい薬は使わなくていいと伝えることもあるといいます。
イソジンを常用する
口の中の細菌を死滅させる働きがある
常在菌まで死滅する
本来いてほしい菌まで殺してしまう
感染リスクが高まる
かえって感染しやすくなるとの報告もある
患者の希望で処方される薬という現実
この思い出を振り返って、たいぞーさんが感じたのは、患者が希望して医師が処方するという場面が、望ましくない形とはいえ、今の医療現場に少なからず存在するということです。
そのうえで、たいぞーさんはOTC類似薬の費用負担が一部患者の自己負担になることに、プラスの面もあると考えています。
医師が「別にこれはなくてもいいのにな。でも患者さんも言うし、とりあえず飲んで悪いものでもないし、一旦出しとくか」という形で処方していた薬が、少なからず是正される方向に働くと期待できるからです。
別にこれ(イソジンなどのOTC類似薬)なくてもいいのにな。でも患者さんも言うし、とりあえず飲んで悪いものでもないし、一旦出しとくか。
たいぞーさんは、こうした処方が見直される仕組みが期待できると話します。
医師と患者、それぞれの判断を住み分ける
自己負担化が進むと、医師はより自分の判断や診断に基づいた処方ができるようになる、とたいぞーさんは考えます。
それでも患者が望むのであれば、自己負担で使ってもらう。そうすることで、医師は自分の判断と患者の意見を踏まえた判断を住み分けられるようになるといいます。
これは医師だけの話ではありません。薬局の窓口でも、患者から「実はこの薬も欲しかった」と相談されるケースは存在するとたいぞーさんは話します。
医師の診断や薬学的な必要性に基づいて処方する
必要性は低くても患者が望むなら自己負担で使う
薬剤師に求められる薬学的な評価とは
患者から希望を相談されたとき、薬剤師自身も、それが本当に今の患者にとって医療保険を使った治療として必要なものかを判断し、医師に打診することが必要になる、とたいぞーさんは話します。
その際に大切なのは、ただ患者が言っているからという理由だけで医師とやりとりしないことです。
患者の希望も踏まえたうえで、薬学的に考えてこの薬の必要性がどの程度のものなのかをきちんと評価することが、今後薬剤師に強く求められるようになるとたいぞーさんは考えています。
本当にこの薬が必要なのか、それとも患者の希望として害のない程度で使ってもらうものなのか。それを医師も薬剤師も考えなければいけないと話します。
たいぞーさんは、そうやって考えながら患者に関わることがこれからより大切になり、そうした仕組みがこれから始まるのだと、イソジンの思い出を振り返りながら改めて感じたと語ります。
まとめ
OTC類似薬の自己負担化を、たいぞーさんはイソジンをめぐる現場の経験から捉え直し、患者の希望と治療上の必要性のあいだで薬剤師が果たすべき役割を語りました。
- OTC類似薬の費用負担が話題になる中、たいぞーさんはリストにイソジンうがい液を見つけ、コロナ禍の記憶を思い出した
- イソジンは殺菌効果がある一方、常用すると常在菌まで死滅させ、かえって感染リスクが高まる報告もある
- 自己負担化により、必要性の低い薬の処方が是正され、医師は診断に基づく判断と患者の希望を住み分けられると期待される
- 薬剤師には、患者が言うからではなく、薬学的に必要性を評価したうえで医師とやりとりすることが求められる



