Triconはどんなイベントか
この回でたいぞーさんが紹介するのは、9月26日に開催される薬学生向けのオンラインイベント「Tricon」です。放送では、参加者が少しずつ集まってきている一方で、もっと多くの人に知ってもらいたいという思いから、告知を続けたいと話されています。
集まらないにしても、こういったイベントがあるんだということは、せめて知ってもらった上で参加するしないという決断をした上での参加人数の集まりということを期待したいなと。
Triconの趣旨は、学生がオンラインで症例検討を行うことにあります。薬学部で学ぶ専門知識を、実際の症例の中で使うという経験をするためのイベントです。
たいぞーさんは、患者を見るために薬学の専門知識を使うことを、教わるだけじゃなくて、自ら経験を通して学ぶ機会にしたいと話されています。
「自分についていけるか」という不安への答え
症例検討と聞くと、不安を感じる学生もいるかもしれません。たいぞーさんは、そうした不安の中身を具体的に言葉にします。
自分自身にその症例検討を行うだけの知識が本当に備わっているだろうか、(自分が)ついていけるかなみたいな不安が、もしかしたら出てくる方もいるのかなと。
これに対してたいぞーさんは、心配する必要はないと答えます。症例に対してどう検討を重ねればいいかがわからない人も、現場での症例の見方を一からステップを踏んで学ぶ機会にしてほしいという考えです。
扱う症例も、難しいものは想定していないといいます。まずは検討する、考える、薬学を使ってみることを体験するのが一番の趣旨だからです。
その背景には、現場の実感があります。たいぞーさんによれば、非常に複雑な症例に出会うケースはむしろ稀で、毎日の患者との関わりで検討すべき状態は、至ってシンプルなことがほとんどだといいます。
今回扱うのは便秘の症例
参加への安心材料として、たいぞーさんは今回扱う症例をあらかじめ紹介します。テーマは便秘の患者さんのケースです。
患者さんの処方は、酸化マグネシウム ── 便をやわらかくして排便を促す下剤。効果がおだやかで一般的に広く使われます330mgを3錠、1日3回。さらに頓服でセンノシド ── 腸を刺激して排便を促すタイプの下剤。便秘時に頓服で使われることがあります12mgを1回1〜2錠、便秘時に適宜調整して服用する、という内容です。
相談の場面はこうです。酸化マグネシウムをずっと飲んでいても便の出が悪くなってきて、毎日センノシドを1錠飲んでいるがなかなか便が出ない。そこで患者さんが、センノシドを2錠に増やそうと思うがどうかと、薬局の店頭で相談してきた、という設定を想定しています。
どちらも薬剤師にとって一般的な薬です。だからこそ、たいぞーさんは薬を知らない人でも参加できると強調します。
この薬、聞いたことあるけどよくわからへんなというような方でも心配ありません。
ステップ1は「薬の情報を調べる」
ここからは、たいぞーさんが用意した3ステップの検討の流れです。ステップ1は、まず薬の情報をきちんと調べてみることから始めます。
酸化マグネシウムやセンノシドは、学生も現場の薬剤師も「知っている」という人が多い薬です。ただし、たいぞーさんは知っていることだけに頼るのは危ういと指摘します。記憶があやふやなこともあり、医療の情報は常にアップデートされていくからです。
そのうえでたいぞーさんが語るのは、知識の使い方についての考え方です。知識そのもので考えるのではなく、適切な情報源にアクセスする最短ルートをたどるためのツールとして知識を使うという発想です。
だからこそ、薬を全く知らなくてもステップ1には入っていけると話されています。スマホで情報を調べることができれば、症例検討を始められるという設計です。
ステップ2は「理想と現状のギャップ」を見る
ステップ2は、薬の情報を踏まえつつ、患者さんからも情報を集めて検討材料をそろえる段階です。
ここでたいぞーさんは、患者さんに聞くべきことをいきなり考えるのではなく、順序を踏むよう促します。先に集めた薬の情報から、この患者さんはこの薬を飲んでいればどういう状態になっているはずかを想像してみる、という手順です。
そのうえで、薬から描いた理想像と、便が出ていない今の現状との間にあるギャップを見極めます。そのギャップに何があるのかを突き詰めると、患者さんのどんな情報が足りないのかが見えてくるという考え方です。
薬の情報から理想像を描く
この薬を飲んでいれば、患者はどういう状態になっているはずかを想像する
現状とのギャップを見極める
便が出ていない今の状態と、理想像との間にある差を見つける
聞くべきことが見える
そのギャップを埋めるために、患者からどんな情報が必要かがわかる
つまり、なぜこの薬が効かないのか、本当に効いていないのか、という視点をもとに患者さんから情報を集めていくわけです。薬の情報と患者さんの情報の両方がそろって初めて、薬が患者さんにどう影響しているかが見えてくると話されています。
ステップ3で対応を考え、検討を完結させる
最終のステップ3では、薬の影響を読み解いたうえで、この患者さんにどんな対応を取るべきかを考えて検討を完結させます。
たいぞーさんは、そこから見えてくる対応をいくつも挙げています。薬の使い方を変える、別の薬を組み合わせる、薬以外の対応をする、といった方向です。
さらに、薬がきちんと体で働いている場合の可能性にも触れます。便が出ないのが病気など別の要因によるものなら、受診勧奨をして医師に病状を見てもらう必要があるかもしれない、という視点です。
この1・2・3のステップとシンプルな症例のおかげで、たいぞーさんは薬学部1回生からでも参加できる検討会にしたいと話されています。症例検討のやり方そのものと、大学で学ぶ専門知識が現場でどう役立つかを、あわせて体感してほしいという狙いです。
放送の最後に、たいぞーさんは開催当日ギリギリまで参加者を募集したいと呼びかけます。学生本人はもちろん、現場の薬剤師にも、周りの学生への声かけをお願いしたいと締めくくっています。
まとめ
この回は、9月26日開催の薬学生向けイベント「Tricon」の内容紹介です。症例検討への不安に対し、たいぞーさんは便秘というシンプルな症例を題材に、薬を知らなくても参加できる3ステップの進め方を具体的に示しました。
- Triconは、学生がオンラインで症例検討を行い、薬学の専門知識を経験を通して学ぶイベント
- 扱う症例は便秘。酸化マグネシウムとセンノシドを飲む患者が、センノシド増量を相談してくる設定
- ステップ1は薬の情報を調べること。知識は情報源へアクセスするツールとして使う
- ステップ2は薬から描く理想像と現状のギャップを見て、患者に聞くべきことを見極める
- ステップ3は薬の影響を読み解き、対応を考えて検討を完結させる。受診勧奨も選択肢に入る


