中医協で取り上げられた残薬問題とは?
来年度の調剤報酬改定に向けて、中医協 ── 中央社会保険医療協議会の略称。診療報酬や調剤報酬の改定について議論する厚生労働大臣の諮問機関ですでの議論が続いています。その中で先日、話題として取り上げられたのが残薬の問題だと、たいぞーさんは紹介しています。
残薬とは、治療に必要な数以上に、患者さんの手元に薬が残ってしまう状態のことです。自宅に使われていない薬があり、それが期限切れになって無駄になってしまう薬がたくさん存在することが、以前から問題視されてきました。
残薬を解消するため、薬局では患者さんとの関わりの中で様々な手段を講じています。中医協でも議論され、調剤報酬や診療報酬にも様々な施策が打たれてきたといいます。
それでも残薬の問題は解消に至っていないのが現状だと、たいぞーさんは見ています。手を替え品を替え、介入を続けていくことがまず第一歩なのではないか、という受け止めです。
なぜ残薬が生じたのか、原因の突き詰め
たいぞーさんは、残薬に介入するとき、自分自身への戒めも込めて気をつけていることがあると話します。それは、残薬の解消をただの数の調整にしてしまわないということです。
たくさんの残薬を薬局に持ってくる患者さんや、「ちょっと残ってる」と申し出る患者さんがいます。たいぞーさんは、なぜ手元に残薬が生じたのかを突き詰めないと、残薬の問題は根本的な解決に近づかないと考えています。
たとえば、受診の間隔がたまに前後することで残薬が溜まっていく場合があります。この場合は、薬を適切に服用して治療したうえで発生した残薬なので、数を調整するだけの対応でよいとされています。
一方で、飲み忘れによって残薬が発生している場合は事情が違うと、たいぞーさんは続けます。残薬が生じるほどの数が飲み忘れられているなら、薬がきちんと体に作用して今の状態があるのかを、改めて考える必要があるといいます。
適切に服用して治療したうえでの残薬なので、数の調整だけで対応してよい
薬が作用して今の状態があるのかを考え直し、薬を続ける必要性から検討する
飲み忘れの残薬から治療をどう見直すか
飲み忘れで残薬が生じている場合、たいぞーさんは、その薬を続ける必要があるのかどうかを考えることを挙げます。薬の状況によっては、一旦やめてみるという選択も検討できるかもしれないといいます。
必要に応じて使う頓服 ── 症状が出たときなど、必要なときにだけ服用する薬の使い方。毎日決まった時間に飲む定時薬と対になる言葉ですに変更する、という使用方法も考えられるとしています。
こうした見直しによって、残薬が解消するだけでなく、その人の薬物治療が改めて見直されます。たいぞーさんは、それが患者さんの状態に合った個別最適化につながると話しています。
原因の特定
残薬が飲み忘れによるものかを確認する
作用の検討
薬が体に作用して今の状態があるのかを考える
選択肢の検討
継続、一旦中止、頓服への変更、減量などを考える
個別最適化
その人の状態に合った薬物治療につなげる
薬理学や薬物動態学の知識をどう活かすか
治療を見直す際には、薬理学 ── 薬が体にどのように作用するか、その仕組みや効果を研究する学問です、薬物動態学 ── 薬が体内でどう吸収・分布・代謝・排泄されるか、血中濃度の推移などを扱う学問です、製剤学の知識を使うことが大事だと、たいぞーさんは話します。
これらの知識を使えば、薬がどの程度体に残存して作用しているのかを考えられます。血中濃度が減少して作用が減弱していても効果が十分得られているなら、減量して続けることも一つの選択肢かもしれない、という見立てです。
たいぞーさんは、薬学の知識を使うことで、様々な治療の可能性を考えることができるのではないかと語っています。残薬への対応が、薬剤師の専門性を発揮する場面になるという見方です。
残薬の数の向こうに見るべきもの
残薬の場面で目の前に見えるのは、残っている薬の数です。たいぞーさんは、その数だけに目を向けるのではなく、その向こうの患者さんの薬物治療にもきちんと目を向けることが大切だと話します。
その数だけに目を向けるのではなくて、その向こうの患者さんの薬物治療にもきちんと目を向けて、
(残薬を)それをきっかけとして取り扱っていくという視点を忘れないように、患者さんとは関わっていきたいな
中医協で議論されている内容を見ながら、改めてこの視点を感じたことが今回話した理由だと、たいぞーさんは締めくくっています。残薬との向き合い方を考えるきっかけになれば嬉しい、という言葉で放送は終わります。
まとめ
残薬の問題は、中医協での議論や報酬上の施策が続いても解消に至っていません。たいぞーさんは、残薬を数の調整で終わらせず、原因を特定し、薬学の知識で薬物治療を見直すきっかけにする視点を大切にしています。
- 受診間隔の前後による残薬は、数の調整だけで対応してよいとされる
- 飲み忘れによる残薬は、薬が作用して今の状態があるのかを考え直す必要がある
- 中止、頓服への変更、減量など、薬物治療の見直しにつなげられる可能性がある
- 薬理学・薬物動態学・製剤学の知識が、治療の個別最適化を考える土台になる



