OTC類似薬の自己負担増で何が変わる?
来年の調剤報酬改定に向けた議論が年末に差し掛かって具体化する中、OTC類似薬 ── 市販薬(OTC医薬品)と同じような成分や働きを持つ、医療機関で処方される医療用医薬品のことの患者負担の方針が決まったというニュースが話題になっています。
たいぞーさんによると、OTC類似薬をめぐっては保険適用から外すかどうかの議論もありました。最終的には保険を使いにくくするのではなく、条件に応じて患者の自己負担を一部増やす形にまとまったそうです。
(OTC類似薬の)自己負担の割合が増えてくるとなると、OTCの販売価格との差が大きく縮まってくるところにもつながってくると思う
これまでは、処方箋で出してもらう方が安いという理由で受診していた人もいました。自己負担が増えると市販薬との価格差が縮まり、病院や薬局の待ち時間も考えて、OTCをさっと買って対処する人が少なくとも増えると、たいぞーさんは想定しています。
方針決定
OTC類似薬の自己負担を条件に応じて一部増やす
価格差の縮小
処方薬と市販薬の販売価格の差が縮まる
行動の変化
待ち時間も考え、市販薬で済ませる人が増えると想定される
市販薬で済ませる裏に潜むリスクとは
市販薬で対処する人が増えたときの課題として、たいぞーさんが挙げるのが重症の病気の見逃しです。初期症状の中には、本来は医師の診察や検査を受けて治療すべき重症度の高い疾患が隠れている可能性があります。
受診が遅れて治療が遅れることがないようにする、という課題は何年も前から言われてきました。今回、具体的な方針が進むにあたって、この課題が改めて浮き彫りになっているといいます。
薬剤師の鍵は「飲んだ後」への関わり
薬局に勤める薬剤師として、この課題にどう向き合うか。たいぞーさんは、薬を飲んだ後にいかに薬剤師が関わるかがポイントになると考えています。
たいぞーさんの説明では、令和2年の薬機法 ── 医薬品や医療機器の品質・有効性・安全性の確保を目的とした法律。正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」改正で、患者の服用後の経過に薬学的知見をもって関わることが、薬剤師法などに義務として明記されました。
この規定は薬剤師法によるものなので、処方箋医薬品だけでなく、薬剤師が扱うOTC医薬品でも必要に応じてフォローアップを行うことが薬剤師の役割になる、とたいぞーさんは話します。
もし症状の原因が重症度の高い疾患だった場合、市販薬を一定期間飲んでも症状はなかなか改善しません。そのときにきちんと医療機関の受診につなげられるかが重要になります。
受診の遅れを防ぐために、薬剤師に求められる視点
たいぞーさんは、OTCで治療してきた経過も含めて医師に診てもらう体制を作れれば、受診や治療が遅れて患者が不利益を被ることを避けられるのではないかと考えています。
この薬ってだいたい体に働いて、どれぐらいで症状を改善していくんだろうということを、きちんと患者さんの未来の経過に対して予測を立てながら関わっていく
薬の効き方から経過を予測しておけば、症状がなかなか改善しないときに「なぜなのか」を考え抜けます。そこで、薬が効かない要素ではなく体に要因があるかもしれない、と気づくことが大切だといいます。
病態の知識を持って鑑別 ── 症状や検査結果などから、考えられる複数の病気を比べて見分けていくことできればそれに越したことはなく、薬剤師が病態を学ぶことも大切だとたいぞーさんは認めています。そのうえで、今ある知識と専門的な力を最大限に活かすことで、OTC医薬品を利用する人と上手に関わっていけると話しています。
まとめ
OTC類似薬の自己負担増によって、市販薬で対処する人が増えると想定されます。たいぞーさんは、重症の病気の見逃しを防ぐ鍵として、薬剤師が服用後の経過に関わり、改善しない理由を考えて受診につなげる視点を挙げました。
- OTC類似薬は保険適用外ではなく、条件に応じて自己負担を一部増やす方針にまとまったと紹介された
- 市販薬との価格差が縮まり、受診せずOTCで済ませる人が増えると想定される
- 令和2年の改正で、服用後の経過への関わりは薬剤師の義務として明記され、OTC医薬品も対象になる
- 薬の効き方から経過を予測し、改善しないときに体の要因に気づくことが受診勧奨につながる
- すでに学んだ薬学を使うだけでも、適切な受診勧奨はできるとたいぞーさんは考えている



