バイタルサインを発信する薬剤師が集まった研修会
たいぞーさんは、日本在宅薬学会日本在宅薬学会 ── 薬剤師が在宅医療の現場で薬学的な視点を発揮することを目指す学会。バイタルサイン講習会などの教育活動を行っている。でバイタルサイン講習会の講師を定期的に務めています。
今回のエピソードのきっかけは、そのバイタルサイン講習会を通じて「薬剤師がバイタルサインを使う」ことを発信している仲間が集まった研修会に、前日参加してきたことでした。
研修会では、薬剤師のバイタルサインの現状、つまり「バイタルサインをみんな使えているのだろうか」というテーマが話し合われたといいます。
集まったメンバーは、現場でバイタルサインを使って患者の状態を把握するだけでなく、その情報をもとに薬学的な視点でアセスメントを行い、処方の適正化に介入していると、たいぞーさんは語ります。
ただただそれは把握するツールではなくて、その把握した情報をもとに、薬学的な視点で患者さんに対してアセスメントを行って、処方の適正化に介入していく。
「違法では」と言われた時代から大学教育で学ぶ時代へ
たいぞーさんは、薬剤師にとってのバイタルサインが置かれてきた状況の変化にも触れています。
昔は、薬剤師がバイタルを取るなんて、それは違法なんじゃないかとまで言われたことがあるんです。
しかし今は認識が変わり、薬剤師もバイタルを取って患者の状態を把握することは大切だと受け止められるようになったと話されています。
大学教育の中でも、バイタルサインを取る手技や、何のために取るのか、どういった情報が得られるのかといった学習が、薬学部を持つ大学で授業として行われているといいます。
そのため、6年制薬学部6年制 ── 薬学部の薬剤師養成課程は、2006年度から4年制ではなく6年制になった。臨床に関わる実務的な教育の比重が高まっている。の薬学部を卒業した学生は、少なからずバイタルサインの講習会を受け、手技などを大学の中でも学んできていると、たいぞーさんは説明します。
手技だけなら「薬剤師でなくてもいい仕事」になる
一方で、たいぞーさんは、バイタルサインは手技を知っていればいいというものではないと指摘します。
血圧を測る、聴診器を胸に当てて音を聞くといった手技そのものは、薬剤師でなくてもできることだからです。
聴診器を持って胸に当てさえすれば音は聞こえるわけなんですよね。
情報を収集すること自体にも大きな価値はあるものの、それだけなら薬剤師でなくてもいい仕事になるのではないか、とたいぞーさんは考えています。
手技自体も特別な技術が必要なわけではなく、練習すれば誰でもできるようなものだといいます。だからこそ、重要なのは取れることではなく、その後どう使うかだと語られます。
「わかる」と「できる」の間にある大きな壁
たいぞーさんは、バイタルサインを「わかっている」段階から「使える」「できる」段階へ昇華させないと、学んだことも宝の持ち腐れになってしまうと話します。
そのうえで、わかるとできるの間には結構大きな壁があると認識していると語ります。
わかる
手技を知り、何のために取るのか、どんな情報が得られるのかを理解している段階
できる
取った情報を薬学的にアセスメントし、処方の適正化など次の行動につなげられる段階
たいぞーさん自身は、日本在宅薬学会のバイタルサイン講習会を受講したことが、このわかるとできるの壁を越える一つのきっかけになったと振り返ります。
壁を越えるきっかけは、現場の中に眠っていることもあれば、外部の研修会に参加することで訪れることもあると話されています。
壁を越えた先に広がる薬剤師の専門性
たいぞーさんは、自分の置かれた環境の中で壁を乗り越える機会を、自ら見つけていくことを勧めています。
その壁を越えた先には、薬剤師の専門性をより生かし、医療の現場で自分自身をより生かせる世界が広がっているのではないか、と自身の経験から語られます。
壁を越えた先には、薬剤師の専門性をより生かして、医療の現場の中で自分自身をより生かせる、そういった世界が広がってるんじゃないかな。
今回の放送は、わかるとできるの壁を越えた先にある未来について考えるきっかけになれば、という言葉で締めくくられています。
まとめ
バイタルサインは、取れること自体がゴールではなく、取った情報を薬学的に使えるかどうかが薬剤師の専門性を分ける、というのが今回の中心的な話でした。
- 薬剤師のバイタルサインは「違法では」と言われた時代から、大学教育で学ぶ時代へと変わってきた
- 手技を知り情報を取るだけなら薬剤師でなくてもよく、価値はその後どう使うかにある
- 「わかる」と「できる」の間には大きな壁があり、それを越えて初めて専門性が生きる
- 壁を越えるきっかけは現場の中にも、外部の研修会にも眠っている



