国家試験を「解説」ではなく「現場での使い方」で学ぶセミナー
本題の前に、たいぞーさんから2月23日14時からのオンラインセミナーの案内があります。テーマは第111回薬剤師国家試験を実務に生かすことです。
このセミナーの特徴は、国家試験の問題そのものを解説するのではない点にあります。問題で問われている薬学の専門知識を、現場の患者さんにどう使えるかを伝える内容だと説明されています。
問題を解説するのではなくて、問題で問われているこの薬学の専門知識、これを現場の患者さんに使っていくにはどういうふうな使い方ができるのか(を伝える)。
参加費は無料で、オンライン開催です。専門性を現場で患者さんに生かすことに興味がある人に向けて、気軽な参加を呼びかけています。
すべてを薬剤師がやるのは難しい。業務に「濃淡」をつける
ここから本題に入ります。たいぞーさんは、薬剤師の業務はどれも患者さんの安全や治療に関わる大事な仕事だと前置きします。
ただし、薬局で行われるすべての仕事を薬剤師自身がこなすのは現実的ではないと指摘します。薬剤師の時間も労力も限られているためです。
すべてを100パーセントということはやはりなかなか難しくて、事の重要度によって濃淡をつけていくというところはとても大切なんじゃないかな。
この「濃淡をつける」という発想が、後半で語られるタスクシフトの前提になっています。
0402通知が示した、調剤業務を事務に任せられる範囲
たいぞーさんは、2019年に出された0402通知に触れます。これは調剤業務のあり方について示された通知です。
この通知によれば、安全性をきちんと確保したうえでなら、薬剤師が行っている調剤業務の一部を調剤事務スタッフなどに任せることは差し支えないとされています。
たいぞーさんは、具体的な例示がされたのがこの通知の特徴だったと振り返ります。これを受けて業務を見直し、事務スタッフに任せていった薬局も少なからずあるのではないかと話します。
タスクシフトの目的を「人員不足・人件費」に置くと本質を見誤る
たいぞーさんは以前、調剤事務スタッフへの薬剤師業務の移管をプロジェクトとして担っていた時期があると明かします。その経験から、大切な視点があると語ります。
その視点とは、業務を事務に任せるのは、現場の人員不足の解消や会社の人件費削減を目的に行うものではない、というものです。
では何のためか。たいぞーさんがプロジェクトで置いていた目的は、薬剤師が専門性を活かして患者さんの治療に貢献していくためだと説明されています。
人員不足の解消や人件費の削減。これを主目的にすると本質を見誤る
薬剤師が専門性を活かし、薬学を活かして患者さんに関わるため
楽な業務が残ると、人は思考しない仕事を選んでしまう
たいぞーさんは、薬剤師の業務にも重要度の濃淡があるように、専門性がとても活かせる業務と、あまり専門性を必要としない業務があると整理します。
問題は、専門性を使わずにできる業務が薬局内に残っている場合です。薬剤師には患者さんに貢献したいという思いがある一方で、専門性を活かして患者さんに関わることはとても大変だと話します。
その専門性を活かして患者さんに関わるっていうのは、薬剤師からするとめちゃくちゃ大変なんですね。
たいぞーさんは、人はどうしても弱い生き物なので、楽で簡単な業務と、思考や責任を伴う大変な業務が並ぶと、つい単調なほうを選んでしまうと語ります。
本来自分がやりたかったことだなということを認識しながらも、ついつい思考を必要としない、単調な業務の方を選んでしまう。
だからこそ、専門性を使わずにできる業務を他のスタッフに任せて薬剤師の手から離すと、薬剤師は必然的に専門性を活かす仕事しか選べなくなる、という論理が示されます。
逃げ道を塞ぐと、薬剤師は専門性へ向かい覚醒する
たいぞーさんは、専門性を活かす道をきちんと示せば、薬剤師はその道に進めると考えています。国家資格という免許を持ち、覚悟と責任があるからこそだと述べます。
そして、その道に進むと薬剤師として患者さんに関わった結果が出てきます。その結果が、仕事への手応えを生むと語られます。
薬剤師ってすごい面白い仕事やなとか、やっぱりやりがいある仕事やなということを感じて(いける)。
たいぞーさんは、こうした環境づくりを「薬剤師の逃げ道を塞ぐ」と、言葉を選びながら表現します。任せられる仕事を他職種に渡すこと、機械を導入することの両方を挙げています。
結果として人員不足が解消されたり、人件費がいくらか縮小したりすることもあると認めます。ただし、それはあくまで副次的な結果だと念を押します。
たいぞーさんは、そこを主たる目的にしてしまうと、本質を見誤ってしまうと話します。専門性を使わなくてもできる業務の幅を縮小することで、薬剤師がプロとしての強みに真摯に向き合う環境が生まれる、というのがこの回の結論です。
専門性を使わない業務を特定
重要度の濃淡を見て、専門性がほぼ不要な業務を洗い出す
他職種や機械に任せる
その業務を調剤事務スタッフに移管、または機械を導入する
薬剤師の選択肢が絞られる
楽で単調な業務が手元から離れ、専門性を活かす仕事しか残らない
薬剤師が覚醒する
患者さんに関わった結果が出て、面白さ・やりがい・誇りを感じる
まとめ
たいぞーさんは、タスクシフトの本来の目的は薬剤師が専門性を発揮するための環境づくりであり、人員不足や人件費削減はあくまで副次的な結果だと語りました。楽な業務が残るとつい単調な仕事を選んでしまうからこそ、その逃げ道を塞ぐ環境が薬剤師を専門性へ向かわせるという観点が示された回です。
- すべての業務を薬剤師が100パーセントこなすのは難しく、重要度による濃淡づけが大切
- 2019年の0402通知は、安全確保を条件に調剤業務の一部を事務スタッフに任せられる範囲を例示した
- タスクシフトの主目的を人員不足解消や人件費削減に置くと、本質を見誤る
- 専門性を使わない業務が残ると、人は思考や責任を伴う仕事より単調な仕事を選びがち
- 楽な業務を他職種や機械に任せて逃げ道を塞ぐことで、薬剤師が専門性へ向かい、やりがいや誇りを取り戻す環境が生まれる



