現場の学びを共有する「薬学で患者を語る」という番組
この番組は、薬局で在宅医療や外来患者対応に取り組む薬剤師のたいぞーさんが、日々の現場で感じたことや薬剤師という仕事の面白さを共有する音声配信です。
たいぞーさんは現場業務のかたわら、社内の新人育成や研修の企画、社内研修の講師なども担っています。さらに、勉強会やセミナーの自主開催、外部講演にも取り組んでいるとのことです。
最近では、薬学で患者を語ることを現場で本気で実践したいという薬剤師や、その活動を応援したい仲間が集まるオンラインサロンの運営も進めています。現場での実践や思考のプロセスをリアルタイムに共有しながら、一緒に学び合う場を作っているそうです。
国家試験の問題を実務に活かすセミナーの案内
本題の前に、セミナーの告知がありました。第111回薬剤師国家試験の最終日にあたるタイミングで、翌日に開催されるものです。
このセミナーは、第111回薬剤師国家試験で出題された問題を取り上げ、そこで問われている薬学の専門知識を現場で使うと、患者にどんな貢献ができるのかを話す内容だと説明されています。
開催は14時から14時30分の30分間で、短い時間の中にエッセンスを凝縮して届けたいとのことです。参加費は無料で、オンライン開催のためどこからでも参加できます。
対象は薬剤師や薬学生で、興味のある方なら誰でも参加可能とされています。たいぞーさんは、薬学を現場で活かして患者を見る仕事は薬剤師の醍醐味であり、大きなやりがいにつながると話しています。
マニュアルは本当に自由を奪うのか
ここから今日の本題です。医療の現場は、患者の健康に大きく関わる業務が大多数を占めるため、業務をきちんと行うことが求められます。
そのために、マニュアルを整備し、決まった手順に従って業務を行うことで安全性を担保するというのは、たいぞーさんも大事な観点だと捉えています。どの医療機関も、施設に応じたマニュアルを設定して安全に医療を届ける体制を作っているのではないか、という見方です。
一方で、マニュアルを整備すると業務のやり方がガチガチに固まり、自由度がなくなるという声を聞く場面もあると言います。ルールで決まっているからこうしてほしい、ルールに逸脱している、といったことが見え隠れし、動きが規定されて逆に動きづらくなるのは、確かに起こる課題だと認めています。
ただし、たいぞーさんはマニュアルが本当に自由を奪うものなのかという点には疑問符がつくと述べます。むしろ、思考しなくてもいいことを思考せずに済むというメリットがあるのではないか、というのがこの回の中心的な問いかけです。
マニュアルで規定しきれない「患者個々への対応」
たいぞーさんは、医療現場にはマニュアルを決めて規定通りにやることで安全性を確保できることがある一方で、マニュアルでは規定しきれないこともあると整理します。
例えば、個々の患者の状態に応じたアセスメントアセスメント ── 患者の情報を集め、状態や課題を評価・判断すること。ここでは薬物治療の方針を立てるための見立てを指すや、患者を見立てて薬物治療をどうしていくかという部分です。患者ごとに状況や状態が違うため、一定の決まりに沿って動けばすべて大丈夫、とはいかない場面がどうしても生じると言います。
こうした部分はマニュアルの整備が難しいため、向き合っている医療者が知恵を絞り、多職種で連携しながら解決策を探っていく必要があるとされています。
決まった手順に従うことで安全性を担保できる業務。標準化してよい部分
患者個々の状態に応じたアセスメントや薬物治療の見立て。医療者が知恵を絞り多職種で連携する部分
「考えなくていいこと」を減らし、思考の力を残す
薬剤師をはじめとする医療職種や介護職種は、患者個々への対応で知恵を絞り、思考をしなければなりません。だからこそ、それ以外のところで考えるべき項目を減らしておくことが意味を持つ、というのがたいぞーさんの論の核心です。
考えるべき項目を減らしておくことで、本来考えるべきところに思考の力を注ぎ、エネルギーを残す余力を作れる。これがマニュアルの必要性の一つだと述べています。
考えなくていいことを決める
マニュアルで標準化できる業務を規定する
思考の力に余力が生まれる
決まった手順で済む部分に悩まなくてよくなる
患者個々への対応に注力できる
マニュアルで規定しきれない見立てや対応にエネルギーを注げる
そう考えると、マニュアルがあることでより自由に考え、患者個々の対応に注力できると捉えられます。たいぞーさんは、マニュアルは自由度を減らすものではなく、自由な患者への関わりを生み出すツールになり得ると話しています。
整備すべきところをマニュアルで整備し、患者に関わるべき余白を生み出していく。そういう観点でマニュアルを作成し、見てみると、マニュアルは決して悪いものではなく、上手に使いこなして付き合っていけるのではないかと締めくくっています。
まとめ
この回は、医療現場のマニュアルを「業務を縛るもの」ではなく「考えるべきことに集中するためのツール」として捉え直す解説でした。マニュアルで標準化できる部分を決めておくことで、患者個々への対応という本来の仕事に思考の力を注げるという見方が示されています。
- 医療現場ではマニュアルによる手順の標準化が安全性の担保につながる
- 一方で、マニュアルは業務を縛り自由度を奪うという声もある
- 患者個々のアセスメントや薬物治療の見立ては、マニュアルで規定しきれない
- 考えなくていいことを減らすことで、本来考えるべきところに思考の力を残せる
- マニュアルは自由を奪うものではなく、患者への関わりの余白を生み出すツールにもなり得る







